企業法務とは?押さえるべき法律と法的リスクの対策、よくある質問は?


目次[非表示]

  1. 1.企業法務とは
    1. 1.1.企業法務の基本的な定義
    2. 1.2.企業法務が必要となる背景
    3. 1.3.企業法務の役割
  2. 2.企業法務部門の重要性
    1. 2.1.法的リスクの予防
    2. 2.2.コーポレートガバナンス・コンプライアンスの確立
    3. 2.3.経営戦略との関係
  3. 3.企業法務で押さえるべき法律
    1. 3.1.労働関係の法律
    2. 3.2.知的財産権関係の法律
    3. 3.3.契約関係の法律
    4. 3.4.情報保護関係の法律
  4. 4.企業における法的リスクの事例と対策
    1. 4.1.労働問題の事例と対応策
    2. 4.2.取引における契約問題の事例と対応策
    3. 4.3.消費者保護に関する問題の事例と対応策
    4. 4.4.株主変動に関する問題の事例と対応策
  5. 5.企業法務担当者に必要な知識とスキル
    1. 5.1.法的知識
    2. 5.2.コミュニケーション能力
    3. 5.3.問題解決能力
  6. 6.企業法務に関する資格
    1. 6.1.弁護士
    2. 6.2.司法書士
    3. 6.3.弁理士
    4. 6.4.行政書士
    5. 6.5.社会保険労務士
    6. 6.6.個人情報保護士
    7. 6.7.ビジネス実務法務検定®
  7. 7.初めての企業法務体制の構築
    1. 7.1.専門家の選び方
    2. 7.2.部門設置の基本
    3. 7.3.ALSP(法務代替サービス事業者)など外部リソースの活用法
  8. 8.企業法務における最新トレンド
    1. 8.1.リーガルテックの活用
    2. 8.2.サイバーセキュリティの重要性
    3. 8.3.ポリシーの最新更新
    4. 8.4.国際取引の増加
  9. 9.企業法務に関するよくある質問
    1. 9.1.初心者向けのよくある質問は?
    2. 9.2.トラブル時の初動対応は?
    3. 9.3.専門家への相談タイミングは?
  10. 10.まとめ


企業法務とは?押さえるべき法律と法的リスクの対策、よくある質問は?


企業が法律に則って適切に事業活動を行う上で、法的なアドバイスやサポートを提供する「企業法務(法務業務)」の重要性はますます高まっています。特に、近年は多くの企業でリーガルテックの活用が進むほか、サイバーセキュリティが一層重視され、そのほかに時代の変化に応じたポリシーの更新も求められています。

そこでこの記事では、企業法務の基礎知識を解説します。企業法務の目的や、多くの企業が押さえておくべき重要な法律、リスク対策、よくある質問への回答までご紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。


企業法務とは

始めに、企業法務の基本的な定義や、企業法務が必要となる背景、企業法務の役割などの基礎知識を解説します。


企業法務の基本的な定義

企業法務とは、企業が日常業務を遂行する上で必要な法的アドバイスやサポートを提供する業務です。契約書の作成や交渉、労働問題、知的財産権の保護など、幅広い業務が含まれます。企業法務の専門家は、企業が法律を遵守しながら効率的に事業が運営されるよう支援します。

さらに、法的リスクの分析や予防策の策定も行います。例えば、新規事業を開始する際には関連する法律や規制を確認し、適切な手続きを提案します。また、「労働法」「会社法」「商法」など、法令遵守の状況を定期的に監査することも重要です。これにより企業が法的トラブルに巻き込まれないよう予防措置を講じます。

企業法務は規模や業種を問わず事業運営に最低限必要な機能となるため、個人事業主・スタートアップ/ベンチャー企業や零細企業・中小企業も対象と言えるでしょう。


企業法務が必要となる背景

企業法務は、企業が市場で競争力を保ち、法的トラブルを避けるために必要とされています。法律違反があると企業の信用が失われる危険があるため、法務部門は違反を未然に防ぐ役割を果たします。さらに、労働法に違反すると、従業員とのトラブルが増え、生産性が低下する恐れもあります。

これらの問題を防ぐため、企業法務は日々更新される法律情報をキャッチアップし、企業に適したアドバイスを提供します。また、グローバル展開する企業は、海外諸国での法律遵守が求められ、現地の状況に応じた法務のサポートが必要とされます。

このように、企業は企業法務の支援によって安心してビジネスを推進し、リスクを最小限に抑えながら事業を拡大することが可能となります。


企業法務の役割

企業法務の役割は、企業が法的リスクを管理しながら事業を進めるためのサポートを行うことです。例えば、契約書のレビュー・リーガルチェックや契約書作成を行い、企業が不利な条件に巻き込まれないようチェックを行います。また、法律に沿った業務運営がなされるよう定期的にチェックを行います。

企業が新規事業を開始する際には、法令に照らし合わせた法的リスクの分析や、適切な手続きの提案を行います。さらに、知的財産権の保護も重要な役割です。企業が持つブランドや技術を守るために、特許や商標の出願をサポートします。企業は法令に基づいた安定した運営により、長期的な成長を実現できます。


企業法務部門の重要性

企業法務部門は、会社の運営において欠かせない役割を果たします。続いて、企業法務部門の重要性について解説します。


法的リスクの予防

企業法務部門の主要な役割の一つは、法的リスクを予防することです。法務部門は常に最新の法令をチェックし、法令に準拠するためのガバナンスやコンプライアンス体制を整えます。新しい法令が施行される前には、関連する社内規程を改訂します。このようにして、企業は法令違反による罰則を避けやすくなります。また、契約書や取引先との交渉においても、法務部門のサポートは不可欠です。例えば、契約書の条項を細かくチェックし、不利な条件を排除することで、将来的なトラブルを防げるでしょう。これらの活動は、企業の経済的な損失を防ぐだけでなく、企業の社会的信用をも維持する役割があります。


コーポレートガバナンス・コンプライアンスの確立

企業法務部門は、コーポレートガバナンス・コンプライアンスの確立にも重要な役割を果たします。コーポレートガバナンス・コンプライアンスは、法令を遵守することだけでなく、企業の倫理的な行動を促進する意味も含まれます。法務部門は定期的に社内監査を実施し、調査によって不正や違反を未然に防ぐシステムを構築します。これにより、企業は社外からの信頼を得られ、持続的な成長が期待できるのです。

また、社内教育を通じてすべての従業員が適切な法令理解と倫理観を持って業務を遂行することが求められます。例えば、内部通報制度を整備して違反行為を早期に発見する仕組みを作れば、法的リスクの発生を未然に防ぎ、会社全体の安全性を高められます。


経営戦略との関係

企業法務部門は、経営戦略とも密接な関係を持っています。法務部門は、企業の目指す方向性に沿った法的助言を提供し、経営陣が適切な判断を下せるようサポートします。例えば、海外進出を検討する際には、現地の法令や規制を精査し、適切な戦略の立案をサポートします。このような法的バックアップがあれば、企業は安心して新たな市場に挑戦できるでしょう。

また、M&A(合併・買収)の際にも法務部門は重要な役割を果たします。契約の交渉やデューデリジェンス(企業の財務状況や法的リスクを事前に調査する手続き)を通じて、リスクを最小限に抑える手助けをすることで、企業は持続可能な成長を実現できるでしょう。 


企業法務で押さえるべき法律

経営者や法務担当者は、労働法・知的財産法・契約法などの基本を理解することが重要です。ここでは、企業法務で押さえるべき法律について解説します。


労働関係の法律

労働関係の法律は、労働者の権利と企業の義務を規定する法律です。例えば、「労働基準法」や「労働契約法」などがあります。これらの法律は、労働時間、休暇、賃金などの基本的条件を定めています。

「労働基準法」はすべての労働者に適用され、労働条件の最低基準を守ります。これにより、労働者は適切な環境で働けます。「労働契約法」は、労働者と使用者の間で締結される労働契約を詳細に規定しています。この法律により、労働者の権利や義務が明確になります。また、不当な解雇を防ぎ労働者の生活を守るために、解雇についても厳格な規定が設けられています。

企業はこれらの労働関係の法律を遵守することが求められます。違反した場合、罰則が科せられることもあります。法令を遵守することで、健全な労働環境を提供できます。さらに近年は人材のグローバル化によりさまざまな雇用形態・労務環境の柔軟性・最適化が求められています。雇用契約の内容のリスクチェックや労務相談窓口としても法務は重要な役割を担います。


知的財産権関係の法律

知的財産権関係の法律は、企業が創出した知的財産を保護するための法律です。「特許法」「著作権法」「商標法」などがその代表です。

「知的財産法」は、発明やデザイン、ブランドなどの企業の競争力を支える要素を守ります。「特許法」は、新しい発明を保護し、その利用を独占できる権利を付与します。これにより、企業は技術革新を続けるインセンティブを得ます。「著作権法」は、著作者が持つ権利を保護するとともに、著作物の無断使用を防ぐための法律です。例えば、文章や音楽、映画などが著作権の対象です。この法律により、著作者は公平な対価を得られます。「商標法」は、企業のブランドを保護します。登録された商標は、他者による無断使用を禁止することで競争力の対策、ブランド価値を守ることができます。

企業は知的財産法を正確に理解し、適用することが求められます。これにより、知的財産を有効に活用し、競争力を高められます。商標の課題は国内だけの問題ではなくグローバルでも話題となることが多いため、自社を守る予防策としても、商標管理や申請は法務の重要な役割と言えます。


契約関係の法律

契約関係の法律は、企業間や個人間の契約を規定する法律です。契約は、法律によって有効性が保証されます。契約は双方の合意のもとで成立し、法的拘束力があります。具体的には、契約の成立条件や、契約違反時の対応などが規定されています。例えば、契約書に明示された条項に従わないと契約違反となり、法的措置が取られる可能性があります。

契約では内容の明確性と対等な立場が求められます。契約内容が不明確であると、後々のトラブルの原因になります。納期や価格など具体的な内容を明示することが重要です。また、契約は対等な立場で行われるべきです。一方的な条件では、契約の有効性が失われる可能性があります。

さらに、近年はリモートワークの普及を背景に、従来の紙の契約書・押印・郵送に代わり、本人性・証跡が残る電子契約に移行する企業も増えてきました。電子契約の利便性に注目しながらも、法務では準備段階で社内規程や運用ルールを定めるとともに、適切な署名管理が求められます。


情報保護関係の法律

「個人情報保護法」は、個人情報を適切に取り扱うためのルールを定めた法律です。多くの企業では、事業活動で顧客・従業員・取引先の担当者などの個人情報を取り扱っています。具体的に個人情報に該当するのは、個人の氏名・生年月日・住所・電話番号など特定の個人を識別できる情報です。企業は個人情報の活用によってサービス改善などのメリットが期待できる一方で、個人の権利や利益を損ねることは避けなければなりません。そのためにも、企業は個人情報保護法に基づいてルールを定め、「個人情報の目的以外の利用を避ける」「個人情報の流出を防止する」「本人の許可なく個人情報を第三者に提供しない」といった取り組みを厳格に遵守しなければなりません。 



企業における法的リスクの事例と対策

法的リスクを無視すると重大な問題に発展する可能性があるため、企業は法的リスクの早期発見と対策に努める必要があります。ここでは、法的リスクの事例と対策をご紹介します。


労働問題の事例と対応策

労働問題の一例として、過労による労災認定があります。社員が長時間労働を強いられ、健康被害を受けるケースです。こうした問題が発生すると、企業は労働基準法違反として罰則を受ける可能性があります。そのため、従業員の勤務時間を適正に管理し、健康管理にも注意を払うことが重要です。また、定期的なストレスチェックを実施し、早期発見と対応が求められます。労働環境の改善も重要で、適切な休憩や福利厚生の充実を図ることで、労働問題を未然に防げます。


取引における契約問題の事例と対応策

取引における契約トラブルは企業間でよく発生します。特に、契約内容の曖昧さや誤解から生まれるトラブルが多いです。これを避けるためには、契約書の作成時に法律専門家の助言を受けることが大切です。もう一つの対策として、交渉段階でのクリアなコミュニケーションが必要です。相手方との合意事項を明確にし、文書に残しておくことで、後々の紛争を防げます。契約書の定期的な見直しも重要で、最新の法規制に対応することで、トラブルのリスクを低減できます。


消費者保護に関する問題の事例と対応策

消費者保護に関する問題は、企業にとって大きなリスクです。商品やサービスに対するクレームや訴訟が発生することがあります。最も一般的な問題として、欠陥のある商品による消費者の被害があります。企業は迅速に対応し、修理や交換、場合によっては返金を行うことが求められます。さらに、消費者からのフィードバックを積極的に収集し、改善点を見つけ出すことが効果的です。情報の提供も重要で、商品の安全性や使用方法について詳しく説明することで、消費者の信頼を得られます。


株主変動に関する問題の事例と対応策

M&Aの活性化や経営継承の問題での事業譲渡など株式交換や株主交代など当然変化する企業運営は常に経験することではなく突発的となります。株式が正常な状態で整理されておらず株主対策に追われる事例に対して、適正な株主総会や取締役会の開催や運営を実施するのも企業法務の役割になります。法的側面も考慮し正常化に導くことで企業運営が健全化します。


企業法務担当者に必要な知識とスキル

企業法務担当者には、会社の法律問題に対処するための高いスキルと幅広い知識が求められます。ここでは、企業法務担当者に必要な知識とスキルをご紹介します。


法的知識

企業法務担当者には、法律に関する専門知識が求められます。法律知識は、会社運営で直面する多くの課題に対応するために不可欠です。例えば、契約書の作成や法的リスクの評価などが主な業務になります。また、企業の業界特有の法規制に詳しくなることも大切です。特にコーポレートガバナンス・コンプライアンスや労働法関連も重要な分野です。ほかにも、法令改正が頻繁に行われる現代では、常に最新の情報をキャッチアップし続ける姿勢が大切です。


コミュニケーション能力

企業法務担当者には、コミュニケーション能力が求められます。企業法務担当者は経営陣や他部門と円滑に情報を共有し、法的リスクを適切に伝える役割があるからです。また、法律の専門用語をわかりやすい言葉に置き換えて、他部門の担当者に理解してもらうことも大切です。具体的には、契約書の内容やリスクに関する会議で、専門知識を持たない従業員に対して対話をリードする能力が求められます。そのためには、日々のコミュニケーションスキルの向上を目指すことが大切です。


問題解決能力

企業法務担当者には、高い問題解決能力が求められます。予測しないトラブルや紛争が発生した場合に、迅速かつ適切に対処することが重要です。問題の本質を正確に理解して現状を分析し、複数の解決策の中から最適な選択肢を見つけることで、企業の法的リスクを最小限に抑えられます。問題解決にはチームワークも不可欠です。他部門と連携しながら解決策を見つけるための協力が欠かせません。時には契約相手と契約交渉に挑む必要もありますが、的確な判断力と併せて柔軟な思考力が求められます。


企業法務に関する資格

企業法務の仕事では、以下のような資格を保有する専門家による支援が必要な場合があります。ここでは、企業法務に関する資格の特徴や、それぞれの専門家にどんな仕事内容を依頼するかを解説します。


弁護士

弁護士とは、法律の専門家として社会における事件・紛争の予防や解決を支援する専門家です。国家資格である弁護士資格を得るには、一般的にはまず法科大学院を修了して司法試験の受験資格を得た上で、司法試験に合格し、さらに司法修習を修了する必要があります。ビジネスシーンでは「顧問弁護士」や「企業内弁護士(インハウスローヤー)」などの専門家が活躍し、法務のアドバイスや訴訟対応など幅広い支援を担っています。


司法書士

司法書士とは、登記業務や供託業務などを担う専門家です。企業の商業登記・法人登記・不動産登記といった各種申請手続きのほか、供託業務のような法務処理を独占業務としています。国家資格である司法書士資格を得るには、司法書士試験に合格する方法が一般的です。ビジネスシーンでは、専門家である司法書士が企業法務のコンサルティングを担うケースもあります。


弁理士

弁理士とは、知的財産(=特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権など)の保護や利用促進に関わる専門家です。国家資格である弁理士資格を取得するには、弁理士試験に合格することが必須となります。ビジネスシーンでは、企業による特許出願・実用新案出願・意匠出願・商標出願などを代理で行う業務を主に担っています。


行政書士

行政書士とは、官公署へ提出する許認可の申請書類の作成・申請などを代理で行う専門家です。公的な書類を法律に基づいて正確に作成・申請する役割を担います。国家資格である行政書士資格を得るには、行政書士試験に合格する方法が代表的です。ビジネスシーンでは、事業に必要な許認可の手続きを行政書士へ委託するケースが多く見られます。


社会保険労務士

社会保険労務士(社労士)とは、人材の採用から退職までに発生する各種手続きや、人材に関する問題解決などを担う専門家です。主に企業の社会保険関連の手続きや、労務管理の相談指導、紛争解決といった幅広い業務を担います。国家資格である社労士資格を得るには、社会保険労務士試験に合格する必要があります。


個人情報保護士

個人情報保護士とは、個人情報保護法に基づいて情報の適切な管理・運用を支援する専門家です。一般財団法人全日本情報学習振興協会による民間資格であり、資格の取得によって個人情報保護法に関する知識を証明できます。近年の個人情報保護の意識の高まりを背景に、ビジネスシーンにおける知識の活用が注目されています。


ビジネス実務法務検定®

ビジネス実務法務検定®とは、ビジネスシーンで必要とされる法律知識の習得を証明するための、東京商工会議所による民間資格です。企業の法務部門・人事部門・総務部門のほか、幅広い部門の管理職の実務で役立てられる法律の知識を身に着けられます。社会人として働く上で必要とされる実用的な法律知識の習得が可能です。


初めての企業法務体制の構築

法人設立後や成長後に企業法務体制を構築する際は、専門家のアドバイスを参考にしながら、法的な課題に対処する具体的な方針を定めていきましょう。ここでは、初めての企業法務体制の構築について解説します。


専門家の選び方

専門家を選ぶ際には、経験と実績を重視しましょう。まず、法務に関連する具体的な質問に対して、明確で適切な回答ができるかどうかをチェックします。また、過去のクライアントの評価や成功事例を参考にするのも有効です。自社の担当者との相性も重要となるため、実際に会って相談し、コミュニケーションが円滑に進むかどうかを見極めると良いでしょう。信頼できる専門家を見つけることで、企業法務の体制をしっかりと整えられます。専門事業が多岐に拡大する場合は、各分野に得意な複数人の専門家をそれぞれ選定する必要も出てきます。


部門設置の基本

企業法務部門を設置する際、まずは予算と人材の確保が必要です。法務部門は企業全体の法的な問題を対処するための中枢となるため、組織内での重要性を認識し、適切なリソースを割り当てることが求められます。そこでは、役割と責任の分担を明確にすることが鍵となります。法務担当者だけでなく、他の部門との連携も考慮し、協力体制を築くことが重要です。また、継続的な教育とトレーニングを行い、最新の法令や判例に対応できる体制を整えることが大切です。個人事業主・スタートアップ/ベンチャー企業や中小企業では専門部門や法務専任担当者を設けることが難しい場合もありますが、内部・外部とのコミュニケーションを考えて担当役員や業務が広く横断する総務担当・管理部などが企業法務を兼務担当することが多いかもしれません。


ALSP(法務代替サービス事業者)など外部リソースの活用法

企業法務体制を強化するために、外部リソースを活用する方法も検討する価値があります。社内で法務専任担当者や法務部門を常設できない個人事業主・スタートアップ/ベンチャー企業・中小企業や、一時的なプロジェクトや特定の専門知識が求められる場合は、外部の弁護士を活用することで、効率的に問題解決を図れるでしょう。また、コスト削減やリスク分散の観点から、外部の法務サービスを利用することも効果的です。定期的に契約見直しやサービス提供の評価を行い、最適なパートナーシップを築くことが求められます。これにより、内部リソースとのバランスを取りつつ、高い法務レベルを維持できます。また、現在では法律事務所や顧問弁護士との個別契約ではなく、企業法務アウトソース・サービスALSP(代替法務サービス事業者)や弁護士クラウドサービス、バーチャル法律事務所を活用して社内法務や顧問弁護士を設ける方法も出てきており、より身近に士業への相談ができる環境も整ってきています。



企業法務における最新トレンド

近年は技術の発展によりリーガルテックの導入が進み、最新の法令やポリシーの更新が求められています。ここでは、企業法務における最新トレンドをご紹介します。


リーガルテックの活用

リーガルテックは、企業法務の分野で急速に進展しています。例えば、AIレビューによる契約内容のアドバイスや契約管理システムによって契約書の作成や管理などの多岐にわたる業務が自動化され、効率化が期待できます。AIが予測される法的リスクを事前に察知する手助けをすることで、企業は法的リスクを減少させることが可能です。また、電子署名やブロックチェーン技術の導入により、契約書類やデータの改ざんを防止し、透明性を確保することも可能になります。これにより、企業はより信頼性の高い法務運営を実現できます。


サイバーセキュリティの重要性

政府が導入する能動的サイバー防御法など本格的に進むサイバーセキュリティは、現代の企業にとって欠かせないトレンドです。デジタル化が進む中で企業は大量のデータを扱うため、悪意のある第三者から情報資産を守る必要があります。ハッキングやマルウェア攻撃のリスクが増加している今、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠となります。加えて、フィッシングメールや悪意あるリンクへの対策として、従業員のリテラシー向上も重要です。こうした包括的なシステムで企業情報を守ることがサイバーセキュリティの鍵となります。


ポリシーの最新更新

企業法務におけるポリシーは、時代の変化に応じて更新するのが望ましいでしょう。新しい法令や規制が施行された場合、速やかな対応が求められます。さらに、企業の内部規程も、現状に合った形に見直す必要があります。それに加えて、社員への周知を徹底し、実際に遵守されるよう働きかけることが大切です。最新のポリシーを適用することで、企業は法的なリスクを最小限に抑え、健全な運営によって信頼性が高まります。


国際取引の増加

コロナ過の影響で人が動かない環境変化によって生まれたEC(電子商取引)など身近でECサイトで売買や様々な取引が盛んに行われるようになりました。一方で国内取引ではなく国を跨ぐ越境越えのグローバル取引も拡大しており、契約文化や各種法律・規則など異なってきます。今までに経験のないグローバル取引など対応に苦戦している企業も多く、英文対応や法務サービス・法律事務所・顧問弁護士もグローバル対応を求められています。


企業法務に関するよくある質問

ここでは、企業法務の基本的な考え方や注意点について、よくある質問に対する回答をわかりやすく解説します。企業が法的問題に直面した際にどのように対応すべきか、押さえておきましょう。


初心者向けのよくある質問は?

企業法務の初心者向けに、企業法務とは何かを簡単に説明します。企業法務とは、会社が法律を守りつつ事業を行うための手助けをすることです。次に、契約書の作成やチェックについての基本的なポイントを紹介します。契約書は特に重要な文書であり、注意深く確認する必要があります。また、知的財産権や労働法に関連する問題も頻繁に取り上げられます。これらの法律は、企業活動において避けては通れないものであり、正しい知識を持つことが求められます。


トラブル時の初動対応は?

企業が法務トラブルに直面した際の初動対応として重要なのは、冷静に状況を把握することです。焦ることなく、具体的な事実関係を確認します。次に、社内の法務担当者や関係部門と迅速に連絡を取り合い、情報を共有します。その後、必要に応じて社外の専門家にも連絡を取り、適切なアドバイスを仰ぎます。また、証拠の保存も重要です。トラブルが訴訟に発展する場合に備えて、関連する書類や通信記録を確保しておくことが求められます。これにより、後々の対応がスムーズになります。


専門家への相談タイミングは?

企業が法的な問題に直面した際、専門家に相談するタイミングは、一般的に早い段階が望ましいです。トラブルの兆候が見え始めた時点で弁護士や他の専門家に相談することで、問題が深刻化する前に適切な対応ができるからです。また、契約書の作成や取引先とのトラブルが予見される場合、事前に専門家のチェックを受けることも重要です。これによりトラブルを未然に防ぐことが可能です。早めの相談が、企業のリスクを減少させることにつながります。予防法務としていつでも相談できる顧問弁護士の体制を整えておくことが企業運営にとって必要になります。


まとめ

ここまで、企業法務の基礎知識を解説しました。現状の法務業務を見直して業務効率化や業務改善を推進するなら、企業法務アウトソース・サービスALSP「クラウドリーガル」(バーチャル法律事務所)をおすすめします。「クラウドリーガル」は、企業法務のアウトソースを実現するALSPサービスです。生成AIと弁護士(専門士業)のタッグによって、社内法務や顧問弁護士の役割を担いながら企業を法務リスクから守る専門性の高い法務機能を提供いたします。

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監修:弁護士 崎地 康文
監修:弁護士 崎地 康文
(第二東京弁護士会・米国ニューヨーク州) 所属:なゆた国際法律事務所 代表弁護士 慶應義塾大学オープンイノベーション推進本部 特任講師 東京薬科大学 特命教授 アンダーソン・毛利・友常法律事務所にて弁護士として企業法務に従事、米国University of California Berkeley Law School.(UC Berkeley LL.M.)留学後、AI 医療機器スタートアップの執行役員プロダクトマネージャー、慶應大学発ヘルスケアスタートアップ共同創業者兼取締役COOを経て、日本初の企業法務アウトソース・サービスALSP(代替法務サービスプロバイダー)であるバーチャル法律事務所「クラウドリーガル」を開発・提供しているa23s株式会社の代表取締役を務める。

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