契約書をAIで作成・レビューできる?可能な業務とメリット・注意点
目次[非表示]
- 1.AIを契約書業務に活用するための基礎知識
- 2.AIを契約書業務に活用するメリット
- 2.1.業務の効率化につながる
- 2.2.チェック精度を向上させ、リスクを軽減できる
- 2.3.属人化の解消につながる
- 2.4.人件費の削減につながる
- 2.5.契約締結をスピーディーに行える
- 2.6.社内にノウハウを蓄積できる
- 3.AIを契約書業務に活用する際の注意点
- 3.1.非弁行為で違法となるおそれがある
- 3.2.正確性の確保に限界がある
- 3.3.情報漏えいなど一定のセキュリティリスクがある
- 3.4.責任の所在があいまいになる
- 3.5.AIが対応できる契約書の種類・範囲には限界がある
- 3.6.個別の事情などを考慮した柔軟な対応が難しい
- 3.7.完全な代替は難しい
- 4.まとめ

近年は企業の契約書業務におけるAI活用が進んでいます。AIを活用することで、業務効率化や属人化解消につながり、契約書業務の課題を解決できる可能性があります。その一方で、AI利用の制度的・技術的な課題を理解して適切に運用することが大切です。
この記事では、AIを契約書業務に活用するための基礎知識を解説します。法律のルールを守って運用するための注意点もお伝えします。契約書業務のご担当者様はぜひ参考にしてください。
AIを契約書業務に活用するための基礎知識
初めに、契約書業務でAIを活用するための基礎知識を解説します。まずは業務効率化へ向けたAI活用の方法を確認してみましょう。
AIは契約書業務に活用できる?
AIは契約書業務における幅広い作業に活用できます。定型業務をAIで自動化・効率化することが可能です。近年はAIを搭載した契約書関連の業務支援サービスも登場しています。ただし、その際は法律のルールに則って適切にAIを利用することが重要です。詳しくは、後の見出しで解説するAI活用の注意点をご確認ください。
AIで支援できる契約書業務
AIによる契約書の作成支援
AIで契約書の草案(ドラフト)を作成し、その後に法務担当者や弁護士などの専門家が確認を行います。草案を一から作成する手間をなくすことが可能です。
AIによる契約書のレビュー・審査支援
AIが契約書の一次的なチェックを実施し、修正の提案を行います。法務担当者や弁護士によるリーガルチェックや審査の実施前に、一次チェック作業の支援が可能です。
AIによる契約書の保管・管理支援
AI搭載のシステムで社内の契約書を効率的に保管・管理します。AIが文書を解析することで、分類や情報入力にかかる時間と手間を削減します。
生成AIを利用した契約書業務のプロンプト例
生成AIを利用すると、以下のようなプロンプトで契約書の草案を作成できます。ただし、生成AIで出力した文書はあくまでも草案として扱い、業務で使用する際は必ず事前に法務担当者や弁護士など法律の専門家による監修を受けてください。
以下の条件で売買契約書を作成してください。
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AIを契約書業務に活用するメリット
AIを契約書業務のサポートに活用すると、以下のさまざまなメリットが期待できます。契約書業務をさらに効率化・高度化したい場合、AIは強い味方となるでしょう。
業務の効率化につながる
AIを活用して契約書の草案作成や一次的なチェックを実施すると、業務が効率化され担当者の負担軽減が可能です。
チェック精度を向上させ、リスクを軽減できる
法務担当者や弁護士によるリーガルチェックの前にAIによる一次チェックを実施すると、ダブルチェックによる精度向上が期待できます。見落としを防止し契約リスクの軽減につながります。
属人化の解消につながる
契約書業務にAIを導入することで、草案作成や契約管理といった業務が標準化され、複数の担当者が担えるようになります。社内の属人化が解消され、特定の担当者に業務負担が集中しにくくなります。
人件費の削減につながる
AIによる支援で煩雑な作業にかかる時間と手間がなくなると、担当者の負担が大幅に軽減されます。繁忙期の時間外労働が抑制されるなど、人件費削減の効果が期待できます。
契約締結をスピーディーに行える
契約書の草案をAIで瞬時に作成できるようになれば、結果として契約締結までのリードタイムが短縮されます。取引先とのスピーディーな連携が可能となり、機会損失を防止できる可能性があります。
社内にノウハウを蓄積できる
AI搭載の業務支援サービスを導入することで、業務プロセスが可視化され社内にノウハウを蓄積できます。担当者の異動・転勤・退職の際にスムーズな引き継ぎが可能となります。
AIを契約書業務に活用する際の注意点
現状ではAI利用に関して、正確性や責任の所在について制度的・技術的な課題が残されています。最後に、AIを契約書業務に活用する際の注意点をお伝えします。
非弁行為で違法となるおそれがある
法律事務の最終的な確認や判断は、有資格者である弁護士が行う必要があることに留意しましょう。「弁護士法」第72条の条文において、弁護士資格を持たない者が法律事務を行うことは、以下のように禁止されています。なお、各種支援サービスの適切な利用方法については、法務省が公表するガイドライン「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」を参照すると良いでしょう。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
【出典】「弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)」(e-Gov法令検索)
【参考】「弁護士法(その他) AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」(法務省)
正確性の確保に限界がある
AIを利用したチェック作業は、正確性の確保に限界があります。誤りが生じる可能性があることから、弁護士など法律の専門家による監修を実施しましょう。
情報漏えいなど一定のセキュリティリスクがある
外部サービスに契約書のデータを登録する場合は、情報漏えいのリスクが存在します。契約書には自社の取引に関する機密情報が含まれるため、導入の際はサービス提供会社のセキュリティ体制を確認しておきましょう。
責任の所在があいまいになる
AIで契約書作成やチェック作業を実施する際は、責任の所在を明確にしなければなりません。法務担当者や弁護士などの専門家を責任者として配置することが重要です。
AIが対応できる契約書の種類・範囲には限界がある
英文契約書をはじめとした特殊で専門性の高い契約内容は、一般的なAI搭載の業務支援サービスでは対応できない可能性があります。自社の法務業務に必要な機能を備えたサービスを選定しましょう。
個別の事情などを考慮した柔軟な対応が難しい
ビジネスシーンでは、業界・会社独自の慣習や商習慣を踏まえた契約業務が求められます。AI搭載の業務支援サービスでは、こうした個別の事情に合わせて対応するのが難しい場合が少なくありません。
完全な代替は難しい
現状のAI搭載の業務支援サービスには、前述した通り制度的・技術的な課題が多くあります。担当者の負担軽減に役立てられるものの、業務の完全な代替は難しいことを押さえておきましょう。
まとめ
ここまで、AIを契約書業務に活用するための基礎知識や、運用の注意点をお伝えしました。AI搭載の業務支援サービスを導入すると、業務効率化や属人化解消が期待できます。例えばNXワンビシアーカイブズの電子契約・契約管理サービス「WAN-Sign」には「AI契約書管理機能(AI解析)」が搭載されています。
こちらは、締結完了後の契約書のPDFファイルをAIが読み取り、契約日や契約金額といった情報を自動で抽出してシステムに登録する機能です。電子帳簿保存法で定められている検索要件に対応しています。このほかに、業界最高水準のセキュリティが標準搭載されていることもポイントです。契約管理の効率化は、NXワンビシアーカイブズへお問い合わせください。







