リーガルテックとは?市場規模とサービスの種類、導入時のポイント
(更新日:2025年11月28日)
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法務業務は企業規模や業種業界も問わない、企業経営にとって重要な業務領域となっていますが、国内の多数の企業がDX推進の施策に取り組む中、専門分野である法務もDXの対象となっています。専門領域が拡大する法務業務の高度化への対策、従来の非効率な業務プロセスを見直す動きとして、押印・契約書・書類など紙ベース中心のアナログ運用の見直しなどが始まっています。そこで注目されているのが、法律と先端テクノロジーを掛け合わせた「リーガルテック(LegalTech)」です。
この記事では、リーガルテックに関する基礎知識を解説します。また、市場規模や拡大するリーガルテックサービスの種類や分類から有効性、導入時のポイントにも触れます。法務の業務効率化・法務DX化へ向けてのアップデート情報としてぜひ参考にしてみてください。
リーガルテックの基礎知識
初めに、リーガルテックに関する基礎知識を解説します。近年、リーガルテックが注目される背景についても押さえておきましょう。
リーガルテックとは?
「リーガルテック(LegalTech)」とは、「法律(Legal)」と「技術(Technology)」を組み合わせた概念であり、複雑化・高度化し対応量が増加する法務業務を効率化するためのサービスやシステムを指します。従来の法務における手作業やアナログでの管理を、先端テクノロジーの活用やデジタル化によって大幅に効率化します。リーガルテックで用いられる技術の例として、「人工知能(AI)/生成AI」や「AIエージェント」「AI-OCR」、「暗号化技術」「電子署名/電子証明書」「タイムスタンプ」「ブロックチェーン」から「クラウドコンピューティング」などが挙げられます。
日本国内でリーガルテックが注目される背景
日本国内のビジネスシーンでは、業務のデジタル化が急速に進んでいます。また、リモートワークの普及に伴い、クラウドベースのSaaS(Software as a Service)や新たなサービスモデルとしてSaaSとBPO(Business Process Outsourcing)を組み合わせたBPaaS(Business Process as a Service)システムを導入する企業が増えています。こうしたトレンドは法務の領域にも広がっており、リーガルテックが注目されている状況です。また、トレンドとは別に日本の社会課題としての事情や、環境変化もあるかと思います。
関連記事:BPaaS(Business Process as a Service)とは?
法務領域の拡大と業務量の増加および専門性のある法務人材不足のダブルパンチ
・法務案件の増加
事業のグローバル化や企業ガバナンス(コーポレートガバナンスコード)、人権多様化のための労務対応やコンプライアンス意識の高まりなどに伴い、法務が関与すべきリーガルチェックの範囲、契約審査レビューや英文対応、法務相談、労務相談や従業員対応、法令調査や適合性審査、知的財産権など商標登録や権利保護など、新たな法的ニーズや対応領域の拡大もあり法務関連の案件数が年々増加しています。
・法務人材不足
一方で、専門性ある法務人材や知的財産人材の育成や確保は難しく、限られた人員で増大する業務に対応しなければならない状況です。現在では企業規模を問わず法務人材不足に陥っており、大手企業・上場企業でも法務部としてはあるが内部の人員リソースが不足している状況も見受けられます。もちろん個人事業主・中小企業や地方企業においては企業体力や地域性もあり、1人法務担当や法務業務の兼務状態、法務人材の採用難が続いている状態です。国内では全体的な人材不足の課題がありますが、専門性ある法務人材の採用は今後も厳しくなっていくと思われます。
【参考】経済産業省による研究開発型中小企業の契約等に係る企業法務実態調査(令和4年3月公表)
法務業務の非効率性と属人化
・アナログ業務
目検による契約書レビューや、契約書の押印(ハンコ)・郵送・紙での締結や書類保管、手作業での書籍からの法令リサーチなど、モノから人と人からモノを介したアナログな業務プロセスが多く残っており、業務が非効率でスピードがありませんでした。
・ナレッジの分散
過去の契約書やノウハウが紙や個人のPCに分散し、担当者以外が利用しにくい属人化が進んでいます。法務業務の兼務による片手間での対応、長年勤めた1人法務担当者の退職などのタイミングでこのような問題に気が付くケースも多くあります。
【参考】経済法規委員会「中小企業の法務対応に関するアンケート調査」(2019年3月公表) (東京商工会議所)
競争力の強化とビジネス変化のスピードへの対応
事業部門のスピード要求に対し、法務チェックがボトルネックとなり、ビジネス機会を逃すリスクが高まっています。結果として事業部およびその先の取引先へのスピーディーな対応ができずに取引や競争に影響が出てしまいます。海外企業による国内へのインバウンドビジネスや、海外進出などグローバル取引の拡大による規制や取引条件の変化に対応する必要性も出てきています。また、多言語など多様な従業員の人材採用の拡大によって法務・労務による労働環境の整備も急務になっています。
このような様々な法務業務の課題から、今後さらにリーガルテックの普及が進み、法律業界や法務業務が大きな変化や改革を迎えると予測されています。法務は守りというイメージから「攻めの法務」「戦略法務」や、政府も旗振りをしている「知的財産戦略」などもあり、ビジネスに直結した法務改革が必要になってくるため、リーガルテックは企業にとって重要な基盤となるでしょう。
【参考】知的財産推進計画(首相官邸)
【参考】クールジャパン戦略(内閣府)
【参考】国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会 報告書~令和時代に必要な法務機能・法務人材とは~(経済産業省)
リーガルテックの市場規模
国内外の多くの企業でリーガルテックの導入が進んでいます。ここでは、リーガルテック業界の市場規模や、海外の動向をご紹介します。
日本におけるリーガルテックの市場規模
日本におけるリーガルテックの市場は拡大傾向にあります。大手企業や上場企業ではすでに導入が進み、法務の効率化やコスト削減、法務業務の高度化に向けた取り組みが進んでいる状況です。また脱ハンコ・脱印鑑の影響で急速に普及した電子契約サービスもリーガルテックの市場拡大に寄与しています。定型の法務業務を効率化して難易度の高い案件やコア業務に集中する目的で、法律事務所など法曹業界でのリーガルテックの導入も進んでいます。その一方で、中小企業や個人事業主では、初期投資の高さやDX・デジタル化の遅れなどを背景に、導入が進まないケースが少なくありません。
関連記事:電子契約の普及率とは?導入することで得られる効果や課題を紹介
海外におけるリーガルテックの動向
リーガルテックはグローバル市場においても生成AIやAIエージェント/リーガルAIが発展し、さらに近年注目されている分野の一つですが、国内より一早くリーガルテックである電子サイン・eシグネチャー(電子署名)の標準化や法的整備もされてきました、またデジタル変革の取り込みにも意欲的でありCLM:Contract Lifecycle Management(契約ライフサイクル管理)やALSP(代替法務サービスプロバイダー/Alternative Legal Service Provider)など高度で便利なリーガルテックが国内より先に導入され市場拡大しています。リーガルテックの導入により競争力の強化に取り組んでいるグローバル企業や大手法律事務所も少なくありません。国際取引でもリーガルテックが積極的に活用され、多言語対応のシステムも開発されています。その一方で、国際取引においては各地域・国の法制度や規制へ対応したリーガルテックを採用する必要があるのはグローバルでも同じ条件となります。
リーガルテックの主な種類や分類
リーガルテックでは、新たなサービス形態の登場や法律(Legal)範囲や法的チェックポイントの拡大により、法務から労務・知的財産分野など幅を広げて各種リーガルテックサービスが提供されています。様々なリーガルテックサービスが法務業務の効率化・コスト削減アプローチ・リスクヘッジ・危機管理・コンプライアンス強化などを手助けしています。主に以下のサービス群が提供されていますが、法務業務に役立つ各種サービスの一般的な特徴から有効性を確認してみましょう。
ドキュメントの自動化や文書管理サービス
大量の契約書や書類をクラウド上で一括管理できるサービスです。後述する電子署名技術を用いた電子契約の運用に移行すると、ドキュメント管理の効率がさらに向上します。検索機能による文書や契約管理の効率化が期待できます。ペーパレス化は目に見える最も効果的な手段になり、電子化作業(スキャン代行)をパックにしたドキュメントサービスもあります。比較的、手軽な手法でありリーガルテックサービス導入の最短ルートになります。
電子契約(電子サイン)サービス
電子署名(電子証明書)の技術やタイムスタンプの改ざん技術を用いて、従来の紙と印鑑(ハンコ)・郵送などの契約締結業務をインターネットからオンラインで電子締結・取引を実現できるのが電子契約サービスです。紙の印刷や押印などの手間を省き、契約業務全体を効率化します。紙の契約書による申請フローを大幅にスリム化することが出来るため、目に見えた効果を出すことができます。リモートワークの導入から出社せずとも押印・ハンコが押せ、場所を問わない電子契約サービスが注目を浴びました。現在では、電子署名法や電子帳簿保存法などの関連法令の法改正や法整備も整い、社外取引の契約書・受発注書から雇用契約書、議事録、同意書、証明書など幅広い押印書類を電子契約に対応させることができます。
生成AI・リーガルAIを用いた法律相談
AIチャットボットによる24時間対応の法律相談のサービスです。専用のAIエージェントを使い、法律関連の相談や、契約リスクやレビューといった具体的な問題に対して速やかにアドバイスを受けられます。AIエージェントが過去の判例データを基に対応策を情報提供する仕組みです。システムはアップデートされるため、最新の法規制に対応できます。一般的に利用できる汎用AIより精度を上げているリーガルAIを実装しているのがAI法律相談サービスの特長となります。
契約書レビューサービス(AI契約書レビューや弁護士審査レビュー)
取引先から提示された契約書のレビューを生成AIや弁護士が行うサービスです。AI契約書レビューでは、AIエージェントよるレビューを実施し、アドバイス・提示結果から必要に応じて修正を行います。AIによるリスクチェックが即座に行えるため効率化や業務スピードの効果が高いです。または、弁護士審査レビューに依頼することでAI契約書レビューでは判断が難しい前後関係や固有条件を組み入れた専門家によるチェックもできるため、契約書に存在する法的なリスクを速やかに確実に検証し、契約プロセスの効率化が期待できます。契約書レビューにおいてAI契約書レビューと弁護士審査レビューは、使い分けに効果があり、ともに有効的な契約書レビューの手段となります。
法律文書・契約書作成サービス
最新の法改正や新法を反映した弁護士監修のテンプレート(ひな形)で契約書を自動作成できるほか、AIに依頼して文書作成するAI契約書作成や、オンラインで弁護士に独自の契約書や文書の作成を直接依頼できるサービスです。いつでも、どこからでも弁護士監修のテンプレート(ひな形)も利用ができ、専門家の弁護士に依頼することで、新規の契約締結におけるリスクをさらに軽減でき、法務部門の業務負担も減少します。
契約管理台帳・契約管理システム
契約書類を効率的に管理するサービスです。各種書類ファイルや電子契約で締結した契約書ファイルなど関連文書の保存を一元化できます。また、契約期限や契約更新をリマインドする機能により、重要な期限を見逃すリスクを抑えられます。システムによっては契約管理台帳などデータベースの属性を保持でき細かい契約情報の管理も可能になっています。ペーパレス化が目に見える最も効果的な手段になり電子化作業(スキャン代行)をパックにした契約管理サービスもあります。売買契約書、会計や経理書類などのスキャン文書・電子文書の管理では電子帳簿保存法への対応有無なども必要となります。
CLM(Contract Lifecycle Management/契約ライフサイクル管理)・法務相談サービス
社内の関連部門間のコラボレーションや法務相談の管理・フロー設定など社内法務業務を自動化・効率化できます。法務相談・申請案件に複数の担当者が同時にアクセスできるため、チームでの作業が円滑に進行します。法務相談・申請案件から契約書が作成・登録されてから、締結、履行、更新・破棄されるまでの全過程をデジタルで管理し、法務業務の効率化と漏れの無いリスク管理の強化を図ることができるのがCLM(契約ライフサイクル管理)・法務相談サービスの特長となります。関連部門・事業所や拠点などが地理的に分散している環境などにも効果的です。
紙の書類保管・管理サービス
紙書面や文書のアナログ環境のデータを、デジタルデータと併せて適切に保管・管理するサービスです。過去から累積している紙の書類を保管・管理するほか、サービス内で紙からデータに変換依頼することも可能です。また機密倉庫への書類保管の依頼や指定文書の機密抹消などもできるため、アナログからデジタルまで、書類の一元管理およびハイブリッド運用で法務の書類運用・管理の効率化を実現できるのが書類保管・管理サービスになります。キャビネットや段ボールで簡易的に保管している過去分の紙書面の課題や、取引先ありきのため全てを電子化・電子契約・電子取引にできない実態から見るとこちらも効果的なサービスとなります。
会社登記や商標出願などのオンライン申請サービス
会社の新規設立や子会社設立・登記変更、商標登録等の新規申請・再申請などの行政手続きを弁護士や専門士業(司法書士・弁理士・行政書士)が行う代行サービスです。オンラインで簡単な質問に答えるだけで、速やかに専門家への依頼を行えます。登記申請・変更や商標などの調査や出願作業も法務業務の領域になっているため、代行サービスを利用することで申請や手続きのために外出したり、紙の申請書類を作成し郵送したりする手間を省けます。IP(Intellectual Property)・ライセンス事業を展開している企業では日常的に発生し多くの手間と工数が掛かっており、稀に発生する企業にとっても経験やナレッジも無く手間が掛かるため、法務業務の工数としては複雑で重たい部分をスムーズに解決することができます。昨今の政府が推進している「知的財産戦略」や「クールジャパン戦略」の動向もあり知的財産分野の拡大や、小規模M&A・事業譲渡も活性化していることから、各種の調査・申請・行政手続き関連が増えていくと想定される中で、一連の効率化が図れるのがオンライン申請サービスになります。
法令調査(リーガルリサーチ)など情報検索サービス
法務業務に必要な情報を速やかに検索できるサービスです。書籍データベースや公開判例情報・各省ガイドラインなどをベースにリサーチします。なかには生成AIを搭載した検索機能により、大量のデータからの法令・判例・文献・条文など高度な検索が可能なサービスもあります。自社が求める法律情報を短時間でリサーチすることが可能です。弁護士や専門士業へ相談・調査依頼する手前として速やかにリサーチできるため社内ナレッジが蓄積され法務要員の育成などにも有効なサービスとなります。
広告審査・薬機法チェックサービス
インターネットビジネスが普及している現在では、情報発信の媒体が多角化しています。商品パッケージ・ラベル、チラシや動画から、企業のWebサイト・Web広告・SNSなどデジタル情報で発信する際も審査対象範囲となっており、審査業務が年々増加しています。表現の不適切性チェックによるコンプライアンス確保や不正表示によるトラブル回避など企業生命に係わる審査をスムーズにチェックすることができるサービスになります。生成AIを利用した自動化チェックから、弁護士・専門士業が実施する審査方法があります。
特に医療・健康・美容に関連する表現は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)をはじめとする各種法令に違反していないかを審査・確認するための専門的な薬機法チェックサービスもあります。
IP(Intellectual Property)・知的財産管理サービス
企業が保有する特許、実用新案、意匠、商標、著作権などの知的財産(IP:Intellectual Property)を、調査から出願・権利化や権利維持、活用、契約管理に至るまで、ライフサイクル全体を通じて効率的かつ戦略的に管理することができます。生成AI技術の発展および普及に伴い、模造品やコピー、権利侵害に関する対策などデジタル分野での知財保護の観点や、昨今の政府が推進している「知的財産戦略」や「クールジャパン戦略」の動向による知的財産分野の拡大から、今後は重要視されるサービスになると思われます。
反社チェックサービス
企業が取引先の組織や役員・従業員などが反社会的勢力(反社)と関係がないかを調査し、コンプライアンスリスクを回避するために利用するサービスです。反社チェックサービスによっては海外の反社チェックの対応や個人レベルも調べることができます。新規取引でも有効ですが契約の更新時や追加契約や取引再開の際にも活用できるサービスとなります。対応する独自のデータベースなど反社チェックサービス側で自動アップデートされるため、従来の紙面情報・書面・独自閲覧システムを介さず一括してチェックすることができるため効率化とリスク管理を図れるサービスになります。
弁護士紹介サービス
相談内容や地域などの条件を指定して、適切な弁護士の紹介やマッチングを受けられるサービスです。複数の弁護士に一括で見積もりや提案を依頼することも可能です。必要なタイミングで効率的に弁護士を選定できます。現在では、弁護士に限らず専門士業として司法書士/弁理士/行政書士/社会保険労務士などの特定士業の紹介サービスも提供されているためピンポイントで法律や依頼分野の専門家を探すことができるようになりました。
内部通報窓口サービス
企業や組織における不正行為、ハラスメント、法令違反など、様々な問題に関する情報を、従業員や取引先などからの通報によって受け付け、通知、管理するためのサービスになります。法務・労務担当が窓口対応せずに外部サービスを利用して効率化と確実な体制構築により信頼性を高めることもできるサービスです。なかには弁護士や社会保険労務士による法的サポートを含んだ内部通報窓口サービスもあります。
規程管理サービス
企業内の規程やマニュアル、関連文書をデジタルで一元管理し、規程作成、承認、配布、改訂/改廃といったプロセス全体を効率化するためのサービスになります。法務から知的財産・経営企画・労務・人事管理などのドキュメント管理サービスとして、頻繁に発生する法改正や新法に照らし合わせた法令適合のチェックから、新規規程作成、改訂作業・変更履歴などを自動化し一元管理します。生成AIによって自動的な情報収集や法令チェックができるサービスもあり法務業務の規程ドキュメント管理の効率化を図ることができます。なかには弁護士や社会保険労務士による法的サポートを含んだ規程管理サービスもあります。
誹謗中傷・風評被害対策サービス
個人の問題だけではなく、企業やブランド、従業員にとってもインターネットが普及した現在では、誹謗中傷や風評被害は小さなことでも情報の伝達スピードから損害が膨大になり、状況によっては企業存続にも影響を与えます。生成AIなどを活用しインターネットやSNS上での企業や商品・サービスに関するネガティブな情報を監視し、その拡散を防止・抑制することで、ブランドイメージや信用の低下を防ぐためのサービスになります。法務の対応範囲が拡大する中でインターネット監視や初期対応などを自動化できることで法務業務の効率化から危機管理(クライシス・マネジメント)やレピュテーションリスク(評判リスク)実施することができるためコンプライアンスを強化することもできます。なかには弁護士と連携し法的サポートや対処、アドバイスを受けることができる風評被害対策サービスもあります。
ALSP(代替法務サービスプロバイダー/Alternative Legal Service Provider)
生成AIやITサービスなどリーガルテックを組み合わせた新しいリーガルサービスとして登場しています。弁護士・専門士業のスケール体制とリーガルテックを活用し効率化とコスト削減および専門性を高めた企業法務全般の提供サービスとなっています。1人法務や法務担当者の退職、法務の兼務状態、法務部門のリソース不足などで発生する企業法務の業務負担を代替し提供することができるサービスになります。高速で大量処理の契約書レビュー(リーガルチェック)や法務から知的財産・労務・税務対応など専門性と拡張スケールやコストパフォーマンスを完備しているALSPサービスもあります。
人事労務管理サービス
企業の労務・人事管理を支援するサービスです。改正労働基準法への対応や従業員の労働時間の管理、ハラスメント相談、社会保険・労働保険の管理をシステムで一元化することで、業務効率化を実現します。労務は労働基準法を含んだ法律対応など法務業務も密接に関わっています。働き方改革による環境変化や、従業員の多用化など労務対応の範囲も拡大しています。なかには弁護士や社会保険労務士に労務相談ができる労務・人事管理サービスもあります。
紛争・訴訟の支援サービス
紛争や訴訟などの問題解決を支援するサービスです。具体例として、訴訟に必要な電子証拠を開示する「eDiscovery(電子証拠開示)」、IT機器やネットワークに残るデジタルの法的証拠を収集・分析・鑑識する「フォレンジック」、集団訴訟を支援するプラットフォームなどが挙げられます。行政調査や国際提訴に発展するケースも増えてきておりフィジカルなIT機器から、インターネットやSNS・各ツール内の膨大なデジタルデータからの収集技術は紛争・提訴準備における効果的なサービスとなります。
法律事務所向けサービス
法律事務所の業務効率化に特化したサービスです。法律事務所もリーガルテックサービスを活用して、案件に関するクライアントとのコミュニケーションをシステム上で一元管理する機能や、案件と書類を紐づける機能により、法律事務所の独自で煩雑な管理業務の効率化に貢献します。法律事務所の事務作業として請求管理などの機能も搭載している法律事務所向けサービスもあります。
リーガルテックを導入するメリット・デメリット
リーガルテックを導入すると、企業には以下のメリット・デメリットがもたらされます。自社へ導入する際は、これらを踏まえて検討すると良いでしょう。
リーガルテックを導入するメリット
業務の効率化と生産性の向上につながる
リーガルテックによって法務の手作業が大幅に省略されると、各種の依頼に対して迅速な対応が可能となります。業務の効率化が進むと、従業員はより重要性の高い仕事に時間を使えるようになり、組織全体の生産性が向上します。また、この効率化や生産性の向上結果はスピードとして社外の顧客や取引先にも連動するため企業価値の向上や競争力の強化にも繋がります。
コストの削減につながる
リーガルテックの活用により、業務の自動化や紙媒体のデジタル化が進み、従来よりも工数や人件費を大幅に削減できます。その際は、専門家の知識を活かしつつAIがサポートするため、業務の品質を落とさずにコスト削減が可能です。
担当者による品質のバラつきを防げる
リーガルテックに搭載された契約書の作成機能やチェック機能を活用することで、担当者のスキルにかかわらず、一定以上の品質で業務を遂行できるようになります。担当者ごとに生じるバラつきを防ぎ、法務全体の品質向上が可能です。
過去のデータを分析し、リスク予測できるようになる
過去に蓄積された大量のデータをリーガルテックで収集・分析することで、リスク予測に活用できます。手作業の分析作業を自動化することで、生成AIを駆使したスピーディーなリスク予測を実現し、速やかに企業の意思決定に反映させられます。
必要な書類・情報をすぐに探し出せる
リーガルテックには高度な検索機能が搭載されています。自社が保管するデータのほか、法律の専門書や過去の判例の検索も可能です。担当者が膨大な資料の中から手作業で検索する手間がなくなり、業務に必要な書類・情報を即座に入手できます。生成AIによる情報結合性など今までにない高度な検索も可能となります。
法律リスクを軽減できる
AIによる契約書の自動チェックでミスを修正し、内容の正確性を高められます。システムによっては新法や法改正が自動で更新されるものもあり、最新の法律に即座に対応することが可能です。結果として、目検によるチェック漏れなど法律リスクの低減が期待できます。
リーガルテックを導入するデメリット
導入に一定のコストがかかる
リーガルテックを導入する場合、一定の初期費用やランニングコストが発生します。また、導入時にはシステム化による業務フローの変化にともない社員教育が必要となるため、社内で人的リソースを確保しなければなりません。現在では、リーガルテックの参入企業・サービス数の増加や多種多様なリーガルテックサービスの拡大から、サービスコストは下がりつつあり、個人事業主や中小企業への導入敷居が低くなってきています。
セキュリティ対策が必要
一般的にリーガルテックは、サービスを提供するベンダー側で強固なセキュリティ対策が講じられています。ただし、企業を狙ったサイバー攻撃によるデータ漏えいや不正アクセスを防ぐためにも、社内の利用者側でもセキュリティ対策を講じることが必須です。利用者によってリーガルテックサービスが漏洩ポイントになるリスクがあります。
トラブル発生のリスクがある
社会にリーガルテックが普及し、多くのメリットが期待されている一方で、将来的に提供サービスの法的効力や適法性などが議論の対象となる可能性があります。リーガルテックの導入企業には法的権利と技術利用のバランスを取る意識が求められるでしょう。近年では生成AIを搭載した多くのリーガルテックサービスが登場しています。全てを任せるのではなくAIとの責任分離を意識し活用することが重要となります。
電子契約できない場合がある
2025年3月現在、電子署名法の整備などによって多くの契約で電子契約が認められているものの、一部の契約は書面以外での締結が認められていません。例えば、「事業用定期借地契約」「企業担保権の設定又は変更を目的とする契約」「任意後見契約書」などは紙の契約書による締結が義務付けられています。各省庁ガイドラインや業法など法務と弁護士が連携し最新の情報を入手して判断することが重要となります。
生成AIによる適法性の確認と利用範囲の決定
2025年11月現在、AIが提供する情報が、弁護士法 第72条に抵触する「非弁行為の禁止」にあたるかという問題や、AIの出力の誤り(ハルシネーション)によって損害が発生した場合、誰が責任を負うのかが不明確(グレー)な場合があります。生成AIによる外部への学習情報の取得などリーガルテックサービスのセキュリティ対策や取得用途の範囲なども明確にしておくことが重要となります。生成AIを活用しているリーガルテックサービスの利用の際は、法務と弁護士が緊密に連携し、AIサポート範囲と法律などの専門家判断を併用し適切に使い分けることで法務業務の信頼性と効率化が図れるでしょう。
【参考】法務省ガイドライン AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について(法務省)
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止) 第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。 |
【出典】「弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)」(e-Gov法令検索)
【参考】ALSP(代替法務サービス事業者)による法務省ガイドラインのポイント整理
リーガルテックの導入をスムーズに行うポイント
リーガルテックの導入をスムーズに行うためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。法務担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
導入目的を明確にする
初めに自社がリーガルテックを導入する目的を明らかにします。法律(Legal)の範囲が拡大する中で目的が明確になると、適切なサービス選定が可能となります。例えば「契約書のレビューをスピードアップする」「紙と電子の契約書を一元管理する」「知的財産権を棚卸・管理する」「労務対応の法的サポートを強化する」といった形で、リーガルテックの導入によって解決すべき点を明確にしましょう。
リーガルテックサービス選定のため、要件を定義する
自社に適したリーガルテックツールを選定するには、求める要件を定義することが大切です。例えば「搭載されている機能」「初期費用・月額費用」「セキュリティ体制」「データの所在・取扱い」「ベンダーの導入実績」といった観点で求める要件を決めた上で、各種サービスを比較検討すると良いでしょう。
導入前にトライアルを活用する
リーガルテックのサービスによっては、導入前に無料トライアルを利用できる場合があります。無料トライアルを活用すれば、担当者がサービスの機能や操作性を実際に確かめることが可能です。無料トライアルの有無はサービスによって異なるため、製品サイトで確認したり問い合わせたりすると良いでしょう。
導入計画を策定し、スモールスタートで段階的に導入する
リーガルテックサービスを導入する際、全ての業務を一斉に移行する方法のほかに、スモールスタートで段階的に移行する方法があります。例えば、一部の業務や部署のみを対象に導入することで、導入直後に発生する問題に対処しやすくなります。現場の負担を軽減するためにスモールスタートを検討してみましょう。
他社の成功事例を参考にする
リーガルテックサービスを導入して業務効率化やコスト削減を実現した企業の事例から、成功させるためのポイントを学ぶと良いでしょう。自社と近い業界・業種・規模の企業を参考にすることで、スムーズな導入や成果につなげられる可能性があります。その際は、製品サイトの導入事例ページなどを参考にできます。
まとめ
ここまで、リーガルテックに関する基礎知識のほか、市場規模やサービスの種類や分類から有効性、導入時のポイントなどをお伝えしました。現状の法務や知的財産・労務の課題解決へ向けてリーガルテックの導入を検討しているご担当者様には、企業法務をアウトソーシングする新時代のリーガルテック「クラウドリーガル」がおすすめです。
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