BPaaSとは?基礎知識と活用可能な業務、導入のメリット・注意点
目次[非表示]
- 1.BPaaSの基礎知識
- 1.1.BPaaSとは?
- 1.2.BPaaSと他の用語との違い
- 1.3.BPaaSの市場規模
- 2.BPaaSに向いている主な業務と導入すべき企業
- 3.BPaaSの主なメリットと注意点
- 3.1.BPaaSのメリット
- 3.2.BPaaSの注意点
- 4.BPaaSの導入を成功させる主なポイント
- 4.1.導入目的を明確にし、評価指標を設定する
- 4.2.自社に適したBPaaSベンダーを選ぶ
- 4.3.システムトラブルに備えて、責任範囲や対応方法を決めておく
- 4.4.委託できる業務には限りがあることを考慮する
- 5.BPaaSのサービス活用事例
- 5.1.アナログ環境におけるサービス活用例
- 5.2.専門領域におけるサービス活用例
- 6.まとめ
BPaaSとは、「SaaS」と「BPO」を組み合わせたサービスのことです。企業はクラウド上で専門業者が提供する幅広いアウトソーシングのサービスを利用できます。近年は契約業務や法務といった専門性の高い業務プロセスでもBPaaSが活用されています。
この記事では、BPaaSの基礎知識のほか、活用可能な業務、導入のメリット、注意点まで解説します。業務効率化の施策を検討しているご担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。
BPaaSの基礎知識
初めに、BPaaSに関する基礎知識を解説します。BPaaSの特徴や、似ている用語との違い、市場規模などを確認してみましょう。
BPaaSとは?
BPaaSとは、「SaaS(Software as a Service)」と「BPO(Business Process Outsourcing)」を組み合わせたサービスのことを指します。企業のさまざまな業務プロセスを効率化するサービスを、クラウド上で提供する点が大きな特徴です。一般的に、専門性を必要とする人事・財務・法務・経理・マーケティングなどの業務が対象となります。
BPaaSと他の用語との違い
BPOとの違い
「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」とは、専門性を必要とする業務単位を外部企業へアウトソーシングするサービスのことです。BPOでは一般的に専門人材が委託された業務プロセスを実行します。それに対してBPaaSでは、サービスによって業務プロセスを効率化・自動化する点が違います。
SaaSとの違い
「SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」とは、インターネットを通じてサービスを利用する形態のことです。ITツールや管理システムなど、さまざまなサービスがクラウド上で提供されています。一方、BPaaSとは業務プロセスを効率化するサービスで、かつクラウド上で提供されているものを指します。
BPaaSの市場規模
BPaaSのマーケットは近年急速に拡大する傾向にあります。従来は専門人材へ業務プロセスを外部委託するBPOが主流でしたが、今後はBPOに代わりBPaaSを導入する企業が多くなると予想されています。特にアジア太平洋地域では大きな市場成長が見込まれており、日本国内でもますます導入が進む可能性があります。さらに生成AIの活用をBPaaSに組み入れることでBPaaSのサービスレベルや業務に対する有効性や提供価値が格段に上がっています。
BPaaSに向いている主な業務と導入すべき企業
BPaaSの導入に向いているのは、どのような業務や、どのような企業なのでしょうか。ここでは、BPaaSに向いている主な業務と導入すべき企業についてお伝えします。
BPaaSの活用に向いている主な業務
販売管理
販売管理業務では、商品の見積・受注・販売までの一連のプロセスを管理します。BPaaSを導入すると、販売管理の中でも主に「見積書や納品書の発行」「売上管理」などの定型的な業務を自動化できる可能性があります。
人事管理
人事管理業務では、企業の人材に関わる幅広い情報を管理します。例えば、採用・人材育成・人事評価・人材配置などのデータです。BPaaSを導入してこれらの幅広いデータを効率的に管理することで、人事担当者の業務負担を軽減できます。
給与計算・会計
給与計算・会計業務では、従業員の給与や業務におけるお金の流れの計算を担います。複雑な計算で多くの時間を要することも少なくありません。BPaaSによって計算を自動化すると、担当者の負担軽減や人的ミスの低減が期待できます。
カスタマーサポート
電話やチャットによる問い合わせに対応するカスタマーサポート業務は、サポート品質が企業の顧客満足度に影響を与えます。BPaaSで顧客対応を効率化するとともに、利便性が向上すれば、顧客満足度を高められる可能性があります。
BPaaSの導入に向いている企業の特徴
グローバル展開予定の企業
BPaaSはベンダーごとに各種法令や規制に対応して設計されており、国外市場への参入ハードルを下げる可能性があります。グローバル展開予定の企業が現地のBPaaSを導入するのも一つの手です。
専門的知識が必要な企業
専門分野に特化したBPaaSは、社内に専門の担当者が不在で、かつ専門的知識を必要としている企業に適しています。自社で人材を確保することなく、BPaaSを活用して専門性の高い業務をこなせるようになります。近年の社会課題でもある専門分野での人材不足に対する有効手段にもなります。
特定分野の業務推進を図っている企業
BPaaSは、営業や経理など特定の分野の業務推進を目標として取り組んでいる企業にもおすすめできます。現状の業務課題に応じたBPaaSを導入することで、業務改善や課題解決が期待できます。
BPaaSの主なメリットと注意点
企業がBPaaSを導入すると、具体的にどのようなメリットが期待できるのでしょうか。ここでは、BPaaSの主なメリットと注意点を解説します。
BPaaSのメリット
ビジネスプロセスを自動化でき、業務効率化や生産性向上を実現できる
BPaaSはビジネスプロセスの自動化に貢献します。効率化・自動化によって、従来の手作業の手間がなくなり、従業員が付加価値の高い業務に集中することが可能です。結果として、業務効率化や生産性向上を実現できるほか、自動化による人的ミスの低減にもつながります。
長期的に見てコスト削減につながる
BPaaSによって日常業務の負担が減少すると、企業全体の効率が向上します。また、業務プロセスの見える化によって、迅速な経営判断が可能です。また、BPaaSはクラウド上でサービスを利用する仕組みのため、初期投資や維持費などのコストを抑えながら運用可能です。長期的に見てコスト削減の効果が期待できるでしょう。
専門知識やノウハウ、データを蓄積できる
BPaaSを導入した企業は、ITサービスを利用しながら自社で業務プロセスに対応します。そのため、業務プロセスを外部企業にアウトソーシングするBPOとは異なり、社内に専門知識やノウハウが蓄積されます。また、システム上に蓄積されるデータを活用して、業務改善に役立てることも可能です。
ニーズや需要の変動に柔軟に応じられる
BPaaSは、柔軟性とスケーラビリティにおいて優れた特性を持つサービスです。業務量やビジネスニーズに応じて、必要なリソースを簡単に追加・削減できます。季節ごとの需要の変動にも迅速かつ柔軟に対応可能で、より戦略的に資源を利用できるようになります。中小企業・中堅企業・成長企業において、事業拡大や新市場進出、経営リスクの軽減に寄与します。
セキュリティとコンプライアンスの強化につながる
BPaaSのクラウドサービス提供者は、二重認証や暗号化技術などの高度なセキュリティ対策を講じて、データの保護に取り組んでいます。これにより、企業は自社で同等基準の対策を講じる手間がなくなり、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑えられます。また、コンプライアンス基準も厳格に遵守されているため、業界規制や法令に適合した運用が可能です。
継続的な改善と最適化が可能になる
BPaaSでは常に最新の技術や基準・法令に対応した環境を維持できます。定期的に発生する法令改正や新法への対応が自動的に行われ、企業の信頼性が向上します。また、データに基づいた改善策を迅速に実施できます。例えば、業務の進捗状況をリアルタイムで確認できるため、問題が発生しても即座に対応可能です。
ユーザーエクスペリエンスの向上につながる
BPaaSによって、ユーザーにとってわかりやすく、使いやすいシステムを提供することが可能で、サービス利用の満足度が高まります。迅速で正確な対応が可能となり、ユーザーの期待を上回るサービスを実現できるでしょう。また、フィードバックを活用してサービス内容を改善することで、業務の生産性が向上します。
BPaaSの注意点
一定のセキュリティリスクがある
メリットの項目でも記載した通り、BPaaSには高度なセキュリティ対策が施されていますが、完全というわけではありません。BPaaSはクラウド上でデータを管理するため、データ漏洩や不正アクセスなどのリスクが伴います。そのため、BPaaSベンダーが講じるセキュリティ対策に加えて、自社内のセキュリティ体制を強化する必要があるでしょう。アクセス制御や暗号化を実施するほか、定期的なセキュリティ監査で潜在的な脅威を早期に発見することが大切です。
ベンダーの変更や解約に手間がかかり、特定企業に依存しやすい
BPaaSの導入後は、自社の業務プロセスが特定のBPaaSベンダーに依存しやすくなります。一度業務プロセスがBPaaSに適応すると、後からベンダーの変更や解約が難しくなるケースが多い傾向です。こうした背景から、特定企業に依存しやすい点に留意しておきましょう。
導入時に一定のコストがかかるため、初期投資とROIを見極める
BPaaSの導入にあたって、「初期投資」と「投資回収率(ROI)」を見極めることが重要です。BPaaSにはBPOの要素もあるため、導入効果を発揮する範囲や処理量によって分岐点が発生します。
初期投資には、インフラ整備やシステム構築に必要な資金が含まれます。これらの費用を適切に見積もることで、投資の効果を客観的に評価することが可能です。また、投資回収期間を短縮するための戦略立案が求められます。その際は、段階的な導入や部分的な展開を行うことで、リスクを最小限に抑えながら、効果を引き出せます。
BPaaSの導入を成功させる主なポイント
BPaaSの導入を成功させるには、以下がポイントとなります。導入前に重要なポイントを押さえておくと良いでしょう。
導入目的を明確にし、評価指標を設定する
自社がBPaaSを導入する目的を明確にするとともに、導入によって目標とする評価指標を設定しましょう。例えば、「紙と電子の契約を一元管理して運用を効率化する」「定型的な法務を自動化して担当者の負担を減らす」といった形で、BPaaSの導入によって実現したいことを明らかにします。
自社に適したBPaaSベンダーを選ぶ
近年はBPaaSの市場が拡大傾向にあり、数多くのBPaaSベンダーが市場に参入してサービスを提供しています。数あるBPaaSベンダーの中でも自社の目的に適したサービスを選ぶことが重要です。サービスの機能や価格帯だけでなく、担当者の対応やサポート体制なども含めて判断すると良いでしょう。
システムトラブルに備えて、責任範囲や対応方法を決めておく
BPaaSの導入後にシステムトラブルが発生すると、業務プロセス全体が停止して企業活動に甚大な影響を与えるおそれがあります。事前に自社とBPaaSベンダーの責任範囲を明確にするとともに、緊急時の対応方法を決めて、スムーズに対処できる社内体制を整備しておくと安心です。
委託できる業務には限りがあることを考慮する
BPaaSで対応できる業務の範囲は、サービスごとに決まっています。そのため、自社の業務プロセスに合わせてサービスをカスタマイズしたり、自社独自の業務をサービスで自動化したりするのは難しい可能性があります。導入前に、BPaaSで対応可能な業務の範囲を確認しておくと良いでしょう。
BPaaSのサービス活用事例
BPaaSはさまざまな業界・業種向けに展開されています。ここでは、「アナログ環境」と「専門領域」におけるサービス活用事例をご紹介します。
アナログ環境におけるサービス活用例
アナログ環境におけるサービス活用例として、「紙の契約書や書類の管理」の場面が挙げられます。近年は社会のデジタル化にともない、リモートワーク・脱ハンコ(脱印鑑)・脱FAXが進む一方で、従来のアナログ業務との併用や統合が課題となっている状況です。
BPaaSの電子契約・契約管理サービス「WAN-Sign」では、契約に関わるアナログ業務とデジタル業務の支援をワンストップで受けられます。電子契約・署名締結といったデジタル業務と併せて、紙の契約書を管理するアナログ業務まで含めて、システム上での一元管理を実現します。
【特許の概要】特許番号:特許第6898416号 特許取得日:2021年6月14日
専門領域におけるサービス活用例
専門領域におけるサービス活用例として、「法務体制の運用」の場面が挙げられます。近年は国際化やIT化が急速に進み、法務領域の業務整備が課題となっています。個人情報保護や企業ガバナンス・コンプライアンス重視の時代背景からも、法務の重要性が高まっている状況です。
BPaaSの企業法務アウトソース・サービスALSP「クラウドリーガル」は、弁護士などの専門士業からクラウドサービスを介して様々な法務支援を受けられます。社内の法務業務を弁護士が直接支援するため、自社内で法務チームを構成・増強することなく、法務担当者は経営戦略・新規事業などコア業務に集中することが可能です。また、多種多彩な専門士業による柔軟なスケールアップが可能な体制を敷いているため、法律・労務・法令・商標・契約書レビューなどの内容を問わず、繁忙期や事業拡大などピークにも関係なく弁護士や専門士業への相談や依頼ができます。
まとめ
BPaaSは、「SaaS」と「BPO」を組み合わせたサービスで、業務効率化や生産性向上の観点から注目されています。今後は従来のBPOに代わって普及すると期待され、多くの企業が導入を進めている状況です。BPaaSの導入を成功させるためにも、自社に適したBPaaSベンダーを選定するとともに、万が一の事態に備えてトラブル対応の方針を定め、安定的に運用できる体制を整えましょう。
近年、社会課題である人材不足の影響で専門分野である法務・コンプライアンス人材も不足しており、さらにガバナンス・危機管理・国際取引化・人権・プライバシー・経済安全保障・サイバー防衛など法務領域の拡大・増加もしています。この課題に対し法務業務の最適化としてBPaaSである企業法務アウトソース・サービスALSPの「クラウドリーガル」とNXワンビシアーカイブズの提供する電子契約・契約管理サービス「WAN-Sign」や「AI契約管理」「機密文書保管」「電子化(スキャン代行)」「機密書類抹消」「電子帳簿保存」「契約事務BPOサービス」と組合せることで法務DXの最大化を実現することもできます。
AI×弁護士がつくる、企業法務アウトソース・サービス(ALSP)「クラウドリーガル」