BPaaSとは?基礎知識と活用可能な業務、導入のメリット・注意点

(更新日:2025年12月12日)

目次[非表示]

  1. 1.BPaaSの基礎知識
    1. 1.1.BPaaSとは?
    2. 1.2.BPaaSと他の用語との違い
    3. 1.3.BPaaSの市場規模
    4. 1.4.BPaaSの目的別の種類
  2. 2.BPaaSに向いている主な業務と導入すべき企業
    1. 2.1.BPaaSの活用に向いている主な業務例
    2. 2.2.BPaaSの導入に向いている企業の特徴
  3. 3.BPaaSの主なメリットと注意点
    1. 3.1.BPaaSのメリット
    2. 3.2.BPaaSの注意点
  4. 4.BPaaSの導入を成功させる主なポイント
    1. 4.1.導入目的を明確にし、評価指標を設定する
    2. 4.2.自社に適したBPaaSベンダーを選ぶ
    3. 4.3.システムトラブルに備えて、責任範囲や対応方法を決めておく
    4. 4.4.委託できる業務には限りがあることを考慮する
  5. 5.BPaaSのサービス活用事例
    1. 5.1.アナログ環境におけるサービス活用例
    2. 5.2.専門分野領域におけるサービス活用例
  6. 6.BpaaSに関するよくあるQ&A
    1. 6.1.BPaaSはいつから広まった?
    2. 6.2.BPaaS(ビーパース)型とは何ですか?
    3. 6.3.BPaaSのデメリットは?
  7. 7.まとめ

BPaaSとは?基礎知識と活用可能な業務、導入のメリット・注意点

人材不足や業務効率化・DX推進が進む中で注目を浴びているBPaaS(Business Process as a Service/ビジネス・プロセス・アズ・ア・サービス)とは、「SaaS(Software as a Service/ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」と「BPO(Business Process Outsourcing/ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」を組み合わせたサービスのことです。企業はクラウド上で専門業者が提供する幅広いアウトソーシング(人員リソース)と業務ソフトウェアを組み合わせたサービスをインターネットWebサービスとして場所や地域を選ばず利用できます。従来の利用用途としては、専門人材による人員リソースが必要な業務や、繁忙期など変動的なピーク量での業務プロセスを得意としていたBPaaSが主流でしたが、近年では機微情報を扱う契約業務や法務・知的財産といった専門性の高い分野での業務プロセスでもBPaaSのサービスが登場してきています。従来の業務量変動や人員リソース確保の課題解決から、専門分野での業務プロセスの課題など、BPaaSの利活用範囲が拡大しています。

この記事では、BPaaSの基礎知識のほか、新しいモデルの専門分野のBPaaS、活用可能な業務、導入のメリット、注意点まで解説します。人材不足や業務効率化・DX推進の施策を検討しているご担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。

BPaaSの基礎知識

初めに、BPaaSに関する基礎知識を解説します。BPaaSの特徴や、似ている用語との違い、市場規模などを確認してみましょう。

BPaaSとは?

BPaaSとは、「SaaS(Software as a Service/ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」と「BPO(Business Process Outsourcing/ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」を組み合わせたサービスのことを指します。企業のさまざまな業務プロセスを効率化するサービスを、クラウド上で提供する点が大きな特徴です。一般的に、専門人材が行う大量業務処理から繁忙期など変動的な人員リソース体制や業務プロセス処理を必要とする、バックオフィス系の経理や財務会計・人事給与や総務労務・マーケティング・カスタマーサービスなどがあります。近年では専門分野の法務・知的財産や契約書管理などの専門業務にも対象が拡大しています。

BPaaSと他の用語との違い

BPOとの違い

「BPO(Business Process Outsourcing/ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」とは、大量処理や専門性を必要とする業務単位を外部企業へアウトソーシングするサービスのことです。BPOでは一般的に業務ピークにも最適化された人員リソース体制と専門人材が委託された業務プロセスを実行します。例えば金融機関向けの大規模アウトソーシングとして契約事務処理や帳票仕分け文書管理・データエントリー、コールセンターやヘルプデスクの一括請負アウトソーシングなど様々な業務のアウトソーシングが提供されていますが、主に大規模や大手企業向けでした。現在では中堅企業・中小企業・スタートアップ/ベンチャー企業向けの部分最適化やスモールスタートが出来るようなBPOサービスも出てきています。それに対してBPaaSでは、サービス提供によって業務プロセスを効率化・自動化する点が違います。

関連記事:「BPO(Business Process Outsourcing/ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」とは?

SaaSとの違い

「SaaS(Software as a Service/ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」とは、インターネットを通じてサービスを利用する形態のことです。従来の個社固有で構築されていたオンプレミス環境では提供が難しかったソフトウェアをインターネットから汎用的に利用できるようになります。オンプレミス環境とは違い資産保有や運用も必要なく、ソフトウェアのアップデートやメンテナンスも自動化されています。ストレージ・ファイル共有、メール、チャットのIT系ツールや管理システムから、CRM(顧客関係管理)、経費や交通費精算、人事管理、電子契約、文書・契約管理、EC(電子商取引)業務など、さまざまなサービスがクラウド上で提供されています。一方、BPaaSとは業務プロセスを効率化するサービスで、かつクラウド上で提供されているものを指します。

BPaaSの市場規模

BPaaSのマーケットは近年急速に拡大する傾向にあります。従来は大量処理や専門人材へ業務プロセスを外部委託するBPOが主流でしたが、今後はBPOに代わりBPaaSを導入する企業が多くなると予想されています。特にアジア太平洋地域では大きな市場成長が見込まれていますが、人材不足・採用確保が大きな課題となっている日本国内ではますます導入が進む可能性があります。さらに生成AIの活用をBPaaSに組み入れることでBPaaSのサービスレベルや業務に対する有効性や提供価値が格段に上がっています。また、人材不足の中には専門分野の人材不足も含まれているため、専門分野に特化したBPaaSの登場によりさらに活用方法が拡大しています。

【参考】BPaaSの市場規模は、2025年には786億9,000万米ドルに達すると推定され、予測期間(2025~2030年)中に12.10%のCAGRで成長し、2030年には1,393億米ドルに達すると予想されています。地域別では、北米が2024年に41.2%の収益シェアでトップとなり、アジア太平洋地域は2025年から2030年の間に12.8%という最高のCAGRを記録すると予測されています。

Business-process-as-a-service Market Size & Share Analysis - Growth Trends And Forecast (2025 - 2030) (Mordor Intelligence)

BPaaSの目的別の種類

主にBPaaSには3つのタイプがあります。従来は変動的な大量業務処理の対応サービスと、専門人材の対応サービスの2つが主流でしたが、現在ではさらに専門分野に特化したタイプのBPaaSも登場しています。

【大量業務処理の対応】

各種の業務プロセスにおいて、業務処理量は決して均一ではありません。例えば年末調整は年末に向けて、新入社員や人事異動などが多くなる期末前後はイベント時期で業務が集中するピークとなります。通常であれば年末時期のみや期末前後のみ人員リソースを確保・配置する必要がありますが、大量業務処理タイプのBPaaSであれば繁忙期やイベントもパフォーマンスを損なわず処理ができるサービス体制を組んでいるのが特長です。これにより企業は、業務ピークに合わせて人員リソースの再配置や増員、採用も不要で、BPaaSが自動的に業務プロセスを含めて最適化してくれます。

【専門人材の対応】

業務プロセスにおいて、専門人材に重きを置いているサービスとなります。特定業務において人材の育成や教育、または人材の新規採用が必要になりますが、専門人材タイプは予め特定業務のスキルセットを保有した人員リソースが即戦力で対応できるBPaaSとなります。例えば、経理事務処理や給与計算・各種手続き系、カスタマーサポート対応、さらには入力処理のタイピングや紙からスキャンによる電子化作業なども、精度・速度を必要とするスキルでもあり、その各業務に精通した専門知識やノウハウ・経験レベルを得るまでにそれなりに時間が掛かります。専門人材タイプにより特定業務の業務プロセスもBPaaSで即座に対応することができます。

【専門分野の対応】

業務プロセスの中で専門分野に特化したBPaaSも登場してきています。業務量の変動や専門人材も必要ですが、例えば契約処理・管理、行政申請、法的サポートや法律面など外部の専門家に関わる分野においてBPaaSが対応できるようになりました。法務や知財・労務・税務など法的側面を必要とする専門分野でも、BPaaSにより高い品質で最適化された専門家サービスの提供が可能となっています。

BPaaSに向いている主な業務と導入すべき企業

BPaaSの導入に向いているのは、どのような業務や、どのような企業なのでしょうか。ここでは、BPaaSに向いている主な業務と導入すべき企業についてお伝えします。主に変動的な大量処理と専門人材および専門分野の3つになっています。

BPaaSの活用に向いている主な業務例

調達(SCM)・販売管理

販売管理業務では、商品の仕入れ・見積・受注・販売までの一連のプロセスを管理します。BPaaSを導入すると、販売管理の中でも主に「見積書や納品書の発行」「売上管理」などの定型的な業務を自動化し、自動化された定型業務に乗せることにより可視化もできます。

HR・人事管理

人事労務管理業務では、企業の人材に関わる幅広い情報を管理します。例えば、採用・人材育成・人事評価・人材配置などのデータです。BPaaSを導入してこれらの幅広いデータを効率的に管理することで、人材戦略への活用や人事担当者の業務負担を軽減できます。

総務・労務管理

総務労務管理では、各種手続き業務である給与計算・社会保険・雇用保険・入退社情報などを管理します。従業員労働の見える化(データ化)による労務対応の抜け目も防げます。またBPaaSによって企業規模で異なる頻度やピーク時期に対して複雑な事務手続きや入力代行管理もできるため、業務負荷を減らしながらミスも防ぐことができます。

会計・経理管理

会計・経理業務では、経費精算や支払い処理・取引などのお金の流れの計算を担います。複雑な計算で多くの時間を要することも少なくありません。また、領収書や請求書などの関連書類の入力業務や証跡管理なども発生することから、手動でのミスや業務負荷も発生します。支払い処理に関しては期末に向けて集中することもあり、担当部門の残業対応で追われることも珍しくありません。BPaaSによって計算や入力管理を自動化すると、担当者の負担軽減や人的ミスの低減が期待できます。

カスタマーサポート・顧客管理

電話やチャットによる問い合わせに対応するカスタマーサポート業務は、サポート品質やレスポンスが企業の顧客満足度に影響を与えます。BPaaSによる顧客関係情報のデータ化によって営業分析で活用したり、顧客対応の体制を効率化するとともに、対応レスポンスや利便性が向上すれば、顧客満足度を高められる可能性があります。

法務・コンプライアンスや契約管理

人材の中で特に専門分野である法務やコンプライアンス人材の採用や人員確保は難しくなっています。法務・コンプライアンスや契約管理の業務では、BPaaSから外部の専門家・専門士業や、高い機密性やセキュリティ対策を施した専用ファシリティを活用することで専門的で均一的な専門分野の業務に対応できます。高コスト体制で社内整備することが難しい専門分野においては、業務効率やコスト削減さらには競争力強化も取り入れることができます。

BPaaSの導入に向いている企業の特徴

グローバル展開予定の企業

BPaaSはベンダーごとに各種法令や規制に対応して設計されており、国外市場への参入ハードルを下げる可能性があります。現地での専門人材の採用や現地法令を考えるとグローバル展開予定の企業が現地のBPaaSを導入するのも一つの手です。

専門的知識が必要な企業

専門分野に特化したBPaaSは、社内に専門の担当者が不在で、かつ専門的知識を必要としている企業に適しています。自社で専門人材を確保することなく、BPaaSを活用して専門性の高い業務をこなせるようになります。近年の社会課題でもある専門分野での人材不足に対する有効手段にもなります。

特定業務の推進を図っている企業

BPaaSは、営業や法務・経理・人事など特定業務の推進やKPI改善を目標として取り組んでいる企業にもおすすめできます。現状の業務課題に応じたBPaaSを導入することで、業務改善や課題解決が期待できます。

人材不足の企業

国内の社会課題でもある人材不足もあり、慢性的にリソース不足に陥っている企業が規模を問わず多くあります。特に中小企業や地域格差での影響が大きく、地方では専門人材を安定的に確保し体制を維持し続けるのはこれから厳しくなっていくと思われます。このように場所も問わず専門人材や大量業務処理のための新規採用や育成コストも気にせず、業務ピークに関係なく依頼できることからBPaaSは日本社会の救世主となるでしょう。

【参考】地域の経済2023-地域における人手不足問題の現状と課題-(内閣府)

【参考】2024年版 中小企業白書 第1節 人材確保(中小企業庁)

BPaaSの主なメリットと注意点

企業がBPaaSを導入すると、具体的にどのようなメリットが期待できるのでしょうか。ここでは、BPaaSの主なメリットと注意点を解説します。

BPaaSのメリット

ビジネスプロセスを自動化でき、業務効率化や生産性向上を実現できる

BPaaSはビジネスプロセスの自動化に貢献します。効率化・自動化によって、従来の手作業の手間がなくなり、従業員が付加価値の高い業務に集中することが可能です。結果として、業務効率化や生産性向上を実現できるほか、自動化による人的ミスの低減にもつながります。

長期的に見てコスト削減につながる

BPaaSによって日常業務の負担が減少すると、企業全体の効率が向上します。また、業務プロセスの見える化によって、迅速な経営判断が可能です。また、BPaaSはクラウド上でサービスを利用する仕組みのため、業務ピークを意識しながらの専門人材のリソース整備・都度調整や維持費用、初期投資などのコストを抑えながら運用が可能です。長期的に見てコスト削減の効果が期待できるでしょう。

専門知識やノウハウ、データを蓄積できる

BPaaSを導入した企業は、ITサービスを利用しながら自社で業務プロセスに対応します。そのため、業務プロセスを外部企業にアウトソーシングするBPOとは異なり、社内に専門知識やノウハウが蓄積されます。また、システム上に蓄積されるデータを活用して、業務改善に役立てることも可能です。

ニーズや需要の変動に柔軟に応じられる

BPaaSは、柔軟性とスケーラビリティにおいて優れた特性を持つサービスです。業務量やビジネスニーズ、イベント時期に応じて、必要なリソースを簡単に追加・削減できます。季節ごとの需要の変動にも迅速かつ柔軟に対応可能で、より戦略的に資源を利用できるようになります。中小企業・中堅企業・成長企業において、事業拡大や新市場進出、経営リスクの軽減に寄与します。

セキュリティとコンプライアンスの強化につながる

BPaaSのクラウドサービス提供者は、二重認証や暗号化技術などの高度なセキュリティ対策を講じて、データの保護に取り組んでいます。これにより、企業は自社で同等基準の社内システムの構築整備やセキュリティ対策を講じる手間がなくなり、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑えられます。複雑化し巧妙化しているサイバー攻撃が増加している昨今では、社内システムの場合セキュリティ対策は一層の注意と設備投資が必要となり、対策コストやシステム運用監視の手間も増えています。また、BPaaSではコンプライアンス基準も厳格に遵守されているため、特定業務向けでも業界規制や法令に適合した運用が可能です。

継続的な改善と最適化が可能になる

BPaaSでは常に最新の技術や基準・各種法令・ガイドラインに対応した環境を維持できます。定期的に発生する法令改正や新法への対応が自動的に行われ、企業の信頼性が向上します。また、生成AIを活用したデータに基づいた改善策を迅速に実施できます。例えば、業務の進捗状況をリアルタイムで確認できるため、問題が発生しても即座に対応可能です。

ユーザーエクスペリエンスUX/UIの向上につながる

BPaaSによって、ユーザーにとってわかりやすく、使いやすいシステムを提供することが可能で、サービス利用の満足度が高まります。迅速で正確な対応が可能となり、ユーザーの期待を上回るサービスを実現できるでしょう。生産性や効率化を高める新機能や改善機能の搭載など常にBPaaS側で行われ、付加価値を提供し続けることができます。また、フィードバックを活用してサービス内容を改善することで、さらなる業務の生産性や効率化が向上します。

BPaaSの注意点

一定のセキュリティリスクがある

メリットの項目でも記載した通り、BPaaSには高度なセキュリティ対策が施されていますが、完全というわけではありません。BPaaSはクラウド上でデータを管理するため、データ漏洩や不正アクセスなどのリスクが伴います。そのため、BPaaSベンダーが講じるセキュリティ対策に加えて、自社内のセキュリティ体制を強化する必要があるでしょう。アクセス制御や暗号化を実施するほか、定期的なセキュリティ監査で潜在的な脅威を早期に発見することが大切です。また、社内利用者への教育や講習も必要となります、利用者が情報漏洩ポイントになることも想定に置くことがセキュリティ対策として重要です。

ベンダーの変更や解約に手間がかかり、特定企業に依存しやすい

BPaaSの導入後は、自社の業務プロセスが特定のBPaaSベンダーに依存しやすくなります。一度業務プロセスがBPaaSに適応すると、後からベンダーの変更や解約が難しくなるケースが多い傾向です。こうした背景から、特定企業に依存しやすい点に留意しておきましょう。

導入時に一定のコストがかかるため、初期投資とROIを見極める

BPaaSの導入にあたって、「初期投資」と「投資回収率(ROI)」を見極めることが重要です。BPaaSにはBPOの要素もあるため、導入効果を発揮する範囲や処理量によって分岐点が発生します。

初期投資には、サービス利用費用としてインフラ整備やシステム構築に必要な資金が含まれます。これらの費用を適切に見積もることで、投資の効果を客観的に評価することが可能です。また、投資回収期間を短縮するための戦略立案が求められます。その際は、段階的な導入や部分的な展開を行うことで、リスクを最小限に抑えながら、効果を引き出せます。

BPaaSの導入を成功させる主なポイント

BPaaSの導入を成功させるには、以下がポイントとなります。導入前に重要なポイントを押さえておくと良いでしょう。

導入目的を明確にし、評価指標を設定する

自社がBPaaSを導入する目的を明確にするとともに、導入によって目標とする評価指標を設定しましょう。SaaSBPOではなくBPaaSの選択肢が、業務や課題に対しての解決手段として適切であるかなど、比較シミュレーションすることも大事です。例えば、「紙と電子の契約業務を一元管理して運用を効率化する」「専門的で定型的な法務業務を自動化して担当者の負担を減らす」「発生頻度は高くないがノウハウが必要な複雑な人事労務手続きを自動化したい」といった形で、BPaaSの導入によって実現したいことを明らかにします。

自社に適したBPaaSベンダーを選ぶ

近年はBPaaSの市場が拡大傾向にあり、数多くのBPaaSベンダーが市場に参入してサービスを提供しています。数あるBPaaSベンダーの中でも自社の目的に適したサービスを選ぶことが重要です。サービスの機能や価格帯だけでなく、担当者の対応やサポート体制なども含めて判断すると良いでしょう。また、将来成長を考え現行の業務プロセスや業務量ではなく成長戦略を見据えた業務プロセスや業務量に拡張対応できるBPaaSなのか事前に確認しておくことも必要です。

システムトラブルに備えて、責任範囲や対応方法を決めておく

BPaaSの導入後にシステムトラブルが発生すると、業務プロセス全体が停止して企業活動に甚大な影響を与えるおそれがあります。事前に自社とBPaaSベンダーの責任範囲を明確にするとともに、緊急時の代替対応方法を決めて、スムーズに対処できる社内体制を整備しておくと安心です。また、BPaaSによってはサポート機能で生成AIが実装されていることもありますが、重要な業務部分に関しては生成AIとの責任範囲も定めておくことでトラブル回避にもなります。

委託できる業務には限りがあることを考慮する

BPaaSで対応できる業務の範囲は、サービスごとに決まっています。そのため、自社の業務プロセスに合わせてサービスをカスタマイズしたり、自社独自の業務をサービスで自動化したりするのは難しい可能性があります。導入前に、BPaaSで対応可能な業務の範囲を確認しておくと良いでしょう。BPaaSは表向きにはSaaS形式のサービス提供に近いため多くの汎用ユーザーが同一システムを利用する設計になっていることが多いです。よって、業務プロセスではありますが自社独自のスクラッチ業務システムではないことに注意が必要です。

BPaaSのサービス活用事例

BPaaSは、さまざまな企業規模や業界・業種や業務単位向けにサービスが展開されています。ここでは、「アナログ環境」と「専門分野領域」における特長あるBPaaSサービスの活用事例をご紹介します。

アナログ環境におけるサービス活用例

【 紙の契約処理や管理にも対応した電子契約・契約管理サービス 】

アナログ環境におけるBPaaSサービス活用例として、「紙の契約書や書類の管理」「押印や契約締結」の場面が挙げられます。古くから国内では、紙文化や押印・ハンコ文化が根付いており、社外文書であるto B(企業間取引)、to C(個人取引)や社内文書までも紙での手続きが大量に発生していました。民間企業もそうですが行政機関(to G)などの届け出書類や申請書類も紙のアナログ環境でした。

近年は政府主導による社会のデジタル化にともない、リモートワークの普及から脱ハンコ(脱印鑑)・脱FAXなど電子化・電子契約・電子取引、契約管理などペーパレス化も進む一方で、従来のアナログ業務との併用や統合が課題となっている状況です。過去分の押印済み契約書や関連書類の契約管理や保管問題、さらには取引先ありきの環境のためになかなか電子化・電子契約・電子取引できずに残っている紙の押印・締結業務など併用運用がある実態もあります。

BPaaSの電子契約・契約管理サービス「WAN-Sign」では、契約に関わるアナログ業務とデジタル業務の支援をワンストップで受けられます。電子化に向けた電子契約・署名締結といったデジタル業務と併せて、従来の紙の契約書や締結を管理するアナログ業務まで含めて、システム上での一元管理を実現します。「WAN-Sign」の電子契約・締結機能は、to B(企業間取引)からto C(個人取引)、to E(従業員)や社内押印文書など広範囲に適応できます。また、機微情報や個人情報を多く含んでいる押印・締結済みの契約書や取引書類といった紙書類の機密保管や契約管理、電子化作業(スキャン代行)といった取り回しについては、BCP対策や高い機密性やセキュリティ対策を施した専用の情報資産管理センターを国内数拠点に分散保有し、経験豊富な専門人材のリソース体制を配備しているハイスペックな専用アセットがBPaaSとして利用できる唯一の電子契約・契約管理サービスが「WAN-Sign」となります。

【特許の概要】特許番号:特許第6898416号 特許取得日:2021年6月14日

アナログ環境におけるサービス活用例

専門分野領域におけるサービス活用例

【 生成AIと弁護士体制を融合した法務や知的財産・労務・税務などの企業法務サービス 】

専門分野におけるサービス活用例として、「法務体制の運用」「専門的な法的サポート」の場面が挙げられます。近年は国際取引も急速に進み、経済安全保障・危機管理・知的財産権の利活用・公益通報制度、個人情報保護や人権などの労務対応など、拡大する法務領域や法務業務量への整備が課題となっています。社会情勢にあわせて変化する新法や法令改正への対応など現状の業務範囲がありながらも、企業ガバナンス・コンプライアンス重視の時代背景から、法務の重要性が高まっている状況です。

この専門分野の法務業務の課題に対して、社会課題である人材不足の中で、専門分野である法務・コンプライアンスの人材不足が目立っています。大手企業での法務部内のリソース不足・1人法務担当・長年勤めた法務担当者の退職・採用難など、リソース体制を用意するのが難しくなっています。

BPaaSの企業法務アウトソーシングサービスALSP「クラウドリーガル」は、弁護士監修・設計のリーガルAIと弁護士などの専門士業(司法書士/弁理士/行政書士/社会保険労務士/税理士)を融合しクラウドサービスを介して様々な法務や知的財産・労務・税務の支援を受けられます。AI契約書レビュー(リーガルチェック)・契約書作成やAI法務相談の利用から、必要に応じて社内の法務関連業務を弁護士や専門士業が実務代行や作業を直接支援するため、自社内で法務チームを構成・増強することなく、法務担当者は経営戦略・新規事業などコア業務に集中することが可能です。また、BPaaS側で多種多彩な弁護士・専門士業(司法書士/弁理士/行政書士/社会保険労務士/税理士)による柔軟なスケールアップが可能な体制を敷いているため、法務や知的財産・労務・税務のサポートから、法令調査(リーガルリサーチ)、社内規程整備、広告審査、商標登録や新規会社設立・登記変更、株主総会や取締役会の運営支援、短期間による弁護士による大量の契約書レビュー(リーガルチェック)などの内容を問わず、繁忙期や事業拡大などピークにも関係なく、リーガルAIと弁護士・専門士業のスケール体制をアセットした「クラウドリーガル」に実務依頼や相談ができます。

BpaaSに関するよくあるQ&A

BPaaSはいつから広まった?

BPaaSという言葉は、アメリカのコンサルティング企業・ガートナー社により提案されました。

当初は概念として提唱されたBPaaSが、SaaS/クラウドサービスの技術進化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透から、ビジネスモデルとして認識されるようになりました。

外部の専門性・知識やリソースの活用ができるBPaaSは人材不足にも効果があることから国内でも広がりを見せています。

BPaaS(ビーパース)型とは何ですか?

企業が特定のビジネスプロセス全体を、クラウドサービスとして外部の専門ベンダーにアウトソーシングするサービスモデルです。

BPaaS(Business Process as a Service)と用語の使い方に特段大きな違いはなく、そのサービスモデルをより分かりやすく表現しています。

現在では生成AIやIoTも組合せたBPaaSも登場しており、さらなる最適化と専門性にも対応できるよう進化しています。

BPaaSのデメリットは?

主なものとして、以下が挙げられます。

・クラウド上でデータを管理するため一定のセキュリティリスクがある

・導入後に特定のBPaaSベンダーに依存しやすく、ベンダー変更や解約が手間になる

・導入時に初期投資が必要な場合がありROIを見極める必要がある

・ボリューム処理なのか専門性なのか的確なBpaasベンダーを選定しないと効果がでないことがある

これらの点を事前に把握し、対応策を検討することが重要です。

まとめ

BPaaSは、「SaaS」と「BPO」を組み合わせたサービスで、人材不足の課題解決から業務効率化や生産性向上の観点から注目されています。今後は従来のBPOに代わって普及すると期待され、多くの企業が導入を進めている状況です。BPaaSの導入を成功させるためにも、自社に適したBPaaSベンダーを選定するとともに、万が一の事態に備えてトラブル対応の方針を定め、安定的に運用できる体制を整えましょう。

近年、社会課題である人材不足の影響で専門分野である法務・コンプライアンス人材も不足しており、さらにガバナンス・危機管理・国際取引化・人権・プライバシー・経済安全保障・サイバー防衛など法務領域の拡大・増加もしています。この課題に対し法務業務の業務プロセスの最適化としてBPaaSである企業法務アウトソーシングサービスALSPの「クラウドリーガル」と、NXワンビシアーカイブズの提供する電子契約・契約管理サービス「WAN-Sign」や「AI契約管理」「機密文書保管」「電子化(スキャン代行)」「機密書類抹消」「電子帳簿保存」「契約事務BPOサービス」と組み合せることで法務DXの最大化を実現することもできます。

AI×弁護士がつくる、国内初の企業法務アウトソーシングサービス(ALSP)「クラウドリーガル」

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監修:金沢 由樹
監修:金沢 由樹
日本初の生成AI×弁護士体制を融合した企業法務アウトソーシングサービス ALSP(代替法務サービスプロバイダー)であるバーチャル法律事務所「クラウドリーガル」(a23s株式会社)で戦略営業顧問を経て、CSMO (Chief Sales & Marketing Officer / 最高営業・マーケティング責任者)に就き、事業開発・アライアンス戦略・IR広報・資金調達も担当している。IBM 系独立ソフトウェアベンダー(ISV)や商社系 SIer では、メインフレーム(汎用機)、クラウド、e-文書法・電子帳簿保存法・基幹印刷・帳票作成管理基盤、J-SOX(内部統制)・IT 全般統制などの分野でソリューションセールス、パートナーセールス、アライアンス戦略や製品企画に従事し、電子契約サービスの代理店としても活動。その後、GMO グローバルサイン・ホールディングス株式会社(旧:GMO クラウド株式会社)で、SaaS・電子認証(電子証明書/電子署名/タイムスタンプ)・リーガルテックの電子契約推進室(現:電子契約事業部「電子印鑑GMOサイン」)に2017年所属。政府が閣議決定し脱ハンコ・脱印鑑を推進する2020年以前の黎明期から電子契約やリーガルテックに携わる。BPaaSの AI 契約書管理付き電子契約・契約管理サービス「WAN-Sign」や、「Z-SIGN」へOEM の新規立上げ・供給も実現。

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