公益通報者保護法とは?対象要件や企業の義務・罰則をわかりやすく解説
編集:WAN-Sign運営事務局
(公開日:2026年10月13日)
目次[非表示]

公益通報者保護制度は、企業や団体内で発覚した不正行為や法令違反を通報する者を保護するための重要な法制度です。この制度は、公益通報者保護法に基づいて設けられており、対象者には特定の要件が求められます。本法のガイドラインに従うことで、通報者は自身の権利を守ると同時に、社会全体に正義をもたらす役割を果たすことが可能です。特に、公共の利益に資する情報を提供する通報者は、適切に保護されるべきであり、その保護が不十分である場合は、不利益取扱いが発生する可能性があります。したがって、公益通報者が抱えるリスクや責任を理解することは、制度の適切な運用にとって不可欠であります。
この記事では、公益通報者保護制度の具体的な要件や義務、罰則規定、さらには内部通報と外部通報の違いについて詳述いたします。この理解を深めることで、通報者自身がどのような権利を持ち、またどのように行動すべきかを明確にすることができるでしょう。公益通報の重要性とその影響について深く考察し、通報者が安心して通報できる環境を整えるための鍵を見つけていきます。法律の改正に伴う最新の情報も交えながら、具体的な事例や手続きについてご紹介いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。
公益通報者保護制度の概要とその重要性
公益通報者保護制度は、通報者が不正行為や法令違反を通報する際に、適切に保護されることを目的とした制度です。この制度は、労働者が内部の不正や不利益行為を通報できるような環境を整備し、通報者への不利益を防止するための措置を定めています。通報内容には、組織化や深刻化するハラスメント関連から、上場企業での会計や経理の不正行為、請求書・契約書類や品質データの改ざん、個人情報の情報漏洩など多岐にわたります。これらの中には国民の安全や生命に関わる重大な通報が含まれていることから、法令・規定を遵守した厳格な運用体制が求められています。
特に、この制度は退職者や労働者に対し、通報に携わる際の権利や保護を強調しており、法人や事業者はこれに従って適切な通報窓口を設ける必要があります。通報者が行うべき情報の取り扱いに関しても、厳格な規定が設けられています。
昨今、地方自治体内でのハラスメントや法令違反に対する公益通報制度の運用が注目を集めています。通報者の保護や匿名性の確保といった課題が広く議論されるようになり、民間企業だけでなく、公共機関・地方自治体・行政機関を問わず、制度の在り方に対する関心が高まっています。
【参考】行政機関における公益通報者保護法に係る対応の徹底について「国の行政機関宛て」「地方公共団体宛て」令和7年5月22日(消費者庁)
【参考】地方公共団体における各種ハラスメントに関する職員アンケート調査結果/取組事例集/通知(総務省)
この制度を利用することで、公益性が高く、不正行為の早期発見や是正が促進され、社会全体の利益にもつながります。そのため、企業や行政機関はこの制度を理解し、適切に運用する努力が必要です。
公益通報者保護法とは?
公益通報者保護法とは、内部告発を行った労働者や退職者を保護するための法律です。この法律の目的は、不正や違反行為が行われる企業や行政機関において、通報が適切に行われる環境を整えることにあります。
この法令は、公益に関する情報を通報した者に対して、不利益な取扱いを禁止し、保護措置を講じることを定めています。例えば、通報者が所属している企業から解雇や降格などの不当な処分を受けることがないよう、事業者は適切な体制を整備する必要があります。
さらに、公益通報者保護法は、公益を守るために、企業に一定規模以上の事業者には体制整備義務を課し(常時使用する労働者の数が300人を超える事業者は体制整備義務、300人以下の事業者は努力義務)、告発された内容に対する調査を行うことを促しています。この法律は、特定の違反行為に対し、適用されるため、通報を行う労働者は、その情報がどのような法律に関わるかを理解し、提供することが求められます。
このように、公益通報者保護法は、内部通報制度を円滑に運用するために重要な役割を果たしており、公益の確保に向けた重要な法律として位置づけられています。法律の理解と適切な利用は、不正防止に向けた第一歩となるでしょう。
【参考】公益通報者保護法が改正。「内部通報制度」で不正をストップ!(政府広報オンライン)
公益通報の主な対象者と要件
公益通報の主な対象者と要件については、法律に基づき適切に定められています。公益通報制度は、労働者や退職者(公益通報者保護法上は「通報の日前1年以内に労働者であった者」が保護の対象:公益通報者保護法2条1項1号)、特定の事業者が利用できるため、透明性の確保と不正行為の防止に寄与します。
この制度の主な対象者には、内部通報を行うことができる「労働者、派遣労働者、退職者、役員」および2026年12月1日に施行される公益通報者保護法の改正後は「特定受託業務従事者(フリーランス)※」も含まれます。通報を行う際、通報者は法令違反や不正行為、消費者の権利に関する損害を報告することが求められています。また、行政機関などが通報を受け付け、適切な措置を講じることが義務付けられています。
※特定受託業務従事者の定義は、フリーランス法(正式名称「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)に定めるところによります。
要件に関しては、通報内容が公益に関するものであり、明らかな事実に基づく必要があります。例えば、正当な理由がある場合に限り、通報者に対する不利益が禁止され、通報された内容に基づく調査が行われます。このように、法的保護が通報者に提供されることにより、企業内での不正行為が是正されやすくなります。
公益通報制度は、内部の不正を是正し、健全な労働環境を構築する上で不可欠な仕組みであり、その実効性には十分な管理体制と整備が就業環境において求められています。
【参考】公益通報者保護法と制度の概要(消費者庁)
公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)
標記法律については、令和7年3月4日に国会に法案を提出し、同年4月24日に衆議院において修正議決され、同年6月4日に参議院において可決され、成立しました。その後、同月11日に令和7年法律第62号として公布されました。この法律は、令和8年12月1日から施行されます。
公益通報と内部通報の違いについて
公益通報と内部通報は、企業における不正行為の通報制度として重要な役割を果たしています。両者には明確な違いがありますので、その理解が重要です。
公益通報と内部通報は、対立する別々の制度ではありません。公益通報者保護法では、通報先に応じて公益通報を3つの類型に分類しており、内部通報(1号通報)は公益通報の一形態として位置づけられています。
すなわち、労働者等が事業者内部の窓口や上司に対して法令違反等を通報する「内部通報」は、公益通報者保護法3条1号に定める公益通報(1号通報)に該当します。これに加えて、行政機関への通報(2号通報)や、報道機関・弁護士等の外部への通報(3号通報)も、いずれも「公益通報」の一類型です。
企業が社内に設置する「内部通報窓口」は、この1号通報を受け付けるための体制であり、公益通報者保護法11条に基づく体制整備義務の中核をなすものです。
公益通報者保護法3条は、公益通報の通報先に応じて保護要件を3つに区分しています。(e-Gov 法令検索)
区分 | 通報先 | 一般的な呼称 |
1号通報 | 事業者内部(社内通報窓口・上司など) | 内部通報 |
2号通報 | 処分・勧告等の権限を有する行政機関 | 行政機関への通報 |
3号通報 | 報道機関・弁護士・消費者団体など、被害の発生・拡大防止に必要と認められる外部の者 | 外部通報 |
このように、「内部通報」とは公益通報のうち事業者内部に対して行われるもの(1号通報)を指す用語であり、公益通報とは別の制度ではありません。両者の関係を図で示すと、次のようになります。
【参考】公益通報者保護法 現行法(e-Gov法令検索)※最新の法令条文はe-Govで確認できます。なお、令和7年法律第62号による改正は公布済みであり、施行日は令和8年12月1日です。
(目的)
第一条 この法律は、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効及び不利益な取扱いの禁止等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置等を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。
※改正前(現行法)
関連記事:内部通報制度とは?内部通報窓口の設置義務・運用方法まで徹底解説
公益通報者保護法の具体的な要件と義務
公益通報者保護法は、内部の不正行為を通報する者を保護するための法律です。この法律には、通報者が適切に保護されるための具体的な要件と義務が定められています。通報を行う労働者や退職者は、違反行為に関する情報を事業者の内部や行政機関に提供することが求められます。
具体的には、通報者は不正行為の事実を明らかにし、その影響を考慮した上で適切な窓口に相談を行う必要があります。この法律は、通報によって生じる不利益や損害からの保護を目的とし、事業者は通報に対して不利益な措置を講じてはならず、違反が発生した場合には是正措置を講じなければなりません。
また、法律が改正されることで、通報者の保護はより強化されています。この改正により、特定の条件を満たした通報が行われた場合、通報者は行政からの保護を受ける権利を有し、法人または役員による不正行為が発生した場合には、より厳格な対応を求められることがあります。公益通報者保護法は、企業の透明性や信頼性を確保するために不可欠な制度として位置付けられています。
保護されるための条件と保護内容
労働者が保護されるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。主に通報者が行った通報が、不正行為や違反行為に関するものであることが求められます。この場合、通報の内容が具体的であり、公益を目的とするものであれば、法令によって保護が定められています。
保護の内容については、通報者が受ける可能性のある不利益、例えば解雇や不当な扱いに対して、法律が適切な措置を講じることを含みます。また、通報者が退職した後も保護が継続されることがあり、これにより報復を防ぐための制度が整備されています。行政機関への相談や、窓口への通報も重要な手段です。
さらに、企業は内部通報制度を確立し、労働者が安心して報告できる体制を整えていることが求められます。これにより、適切な対応を行い、不正行為を防止するための体制整備義務を果たす(常時使用する労働者の数が300人を超える事業者は体制整備義務、300人以下の事業者は努力義務)ことが期待されます。制度の実効性を高めるためには、経営層や役員の理解と協力が不可欠です。以上のように、保護されるための条件と保護内容は、労働者の権利を守るために重要な役割を果たしています。
関連記事:労使協定の基本を徹底解説!目的と種類、策定プロセス、違反時の罰則は?
公益通報に必要な申請手続きと要件
公益通報においては、適切な申請手続きと要件を理解することが重要です。まず、通報を行うにあたっては、内部または外部の窓口を利用し、法令に基づく規定を遵守する必要があります。これにより、労働者や退職者は不正行為を通報する際に、必要な保護が得られます。
利用に際しては、通報対象となる違反行為が明確でなければなりません。事業者は、公益通報制度において、通報者が不利益を被らないように具体的な措置を講じる責任があります。特に、事業者の役員や上司に関しては、自社内での不正に対して高い管理体制を整備し、調査の実効性を確保することが求められます。
法改正に伴い、公益通報の制度は一定程度強化されています。これにより、通報行為に対して刑事罰や解雇等の不利益を受けることがないよう、企業は努力義務を果たす必要があります。結局、適切な手続きと要件を遵守することで、通報者は法的に保護され、社会全体の利益に貢献することが可能となります。
3号通報とは何か?要件についてわかりやすく解説
3号通報とは、公益通報者保護法における通報類型のひとつで、事業者内部や行政機関以外の外部の者に対して行う公益通報をいいます。
たとえば、報道機関、消費者団体、労働組合、弁護士、議員、NPOなどへの通報がこれに該当する場合があります。
公益通報者保護法では、通報先に応じて次の3種類に分類されています。
1号通報:勤務先など事業者内部への通報
2号通報:権限のある行政機関への通報
3号通報:その他の外部の者への通報
1.公益通報の3類型(通報先による区分)
公益通報者保護法では、どこに通報するか(通報先)によって、保護される通報が次の3つに分類されます。
区分 | 通報先 | 一般的な呼称 |
1号通報 | 事業者内部(社内通報窓口・上司など) | 内部通報 |
2号通報 | 処分・勧告等の権限を有する行政機関 | 行政機関への通報 |
3号通報 | 報道機関・労働組合・消費者団体・弁護士など、被害の発生・拡大防止に必要と認められる外部 | 外部通報 |
3号通報とは「報道機関・弁護士などの外部への通報」であり、行政機関への通報(2号)とも、社内窓口への通報(1号)とも明確に区別されます。
3号通報が保護されるための厳格な要件
3号通報は外部への通報であり、企業の信用毀損などの影響も大きいため、3類型のなかで保護要件が最も厳格に定められています。1号・2号通報の基本要件(通報内容が真実であると信じる相当の理由があることなど)に加え、次のいずれかの事情が必要です(主なもの)。
- 1号通報や2号通報をすれば、解雇その他不利益な取扱いを受けると信じる相当の理由がある
- 1号通報をすれば、証拠の隠滅・偽造・変造のおそれがあると信じる相当の理由がある
- 1号通報をすれば、事業者が通報者を特定させる情報を正当な理由なく漏らすおそれがあると信じる相当の理由がある
- 事業者から、正当な理由なく公益通報をしないことを要求された
- 書面により1号通報をした日から20日を経過しても調査が行われない、または正当な理由なく調査が行われない
- 個人の生命・身体への危害、または財産に対する重大な損害(回復不能な損害、著しく多数の個人における多額の損害等)が発生し、または発生する急迫した危険があると信じる相当の理由がある
3号通報が認められる背景
公益通報者保護法は、事業者による法令違反を早期に発見し、是正につなげることで、国民の生命、身体、財産その他の利益を保護することを目的としています。
その中でも3号通報は、内部通報や行政通報だけでは十分な是正が期待できない場面において、公益を守るための最後の手段として位置づけられています。
一方で、外部通報は企業の信用低下や風評被害につながる可能性もあるため、法は無制限に保護するのではなく、一定の厳格な要件を設けています。
企業の内部通報制度との違い
この3号通報制度が整備された背景には、企業内部での不正行為に対する厳しい対応が求められるようになった理由があります。従来の規定では、通報者が不利益を被る場合が多く、そのため通報が行われないケースがあったからです。改正された法律では、適切な措置や保護が求められ、企業は通報窓口を設置しなければなりません。
3号通報と混同されやすいのが、企業の内部通報制度です。
内部通報制度は、従業員等が社内窓口に対して不正や法令違反を申告できる仕組みであり、これは主に1号通報に関係します。
改正公益通報者保護法により、一定規模の事業者には、公益通報に適切に対応するための体制整備が求められています。しかし、これは「3号通報制度」の説明ではなく、あくまで事業者全体の通報対応義務に関するものです。
【参考】公益通報者保護法にかかる法定指針および指針の解説の改正について 2026年04月01日(日本商工会議所)
不利益取扱いと罰則規定について知っておくべきこと
不利益取扱いと罰則規定は、企業や組織の内部通報制度を健全に運用するために重要な要素です。この制度は、労働者が不正行為を通報する際に、報復や不利益を受けることから保護することを目的としています。
法令に基づき、通報者は一定の保護を受ける権利を有し、企業は内部通報を促進するための適切な措置を整備する必要があります。特に、退職者や労働者に対しては、解雇や不当な処遇といった不利益取扱いを禁止する規定が定められています。
また、通報が行われた場合、企業は迅速に調査を行い、必要に応じて是正措置を講じる義務があります。違反行為が発生した場合、企業や役員は刑事罰の対象となる可能性があるため、法令遵守は企業運営において必要不可欠です。労働者や関係者が公正に扱われる環境を確保するため、より高い実効性を持った内部通報制度の運用を心がけるべきです。
通報後の不利益取扱いとは?具体例を解説
通報後の不利益取扱いについては、法令に基づく保護制度が整備されています。主に、労働者が不正行為や違反行為を通報した場合、その通報が原因で不利益を受けることが禁止されています。
例えば、通報を行った労働者が解雇された場合、その解雇は不当とされ、法的措置が求められることがあります。企業は、通報者に対して適切な保護を提供しなければならず、これには労務管理上の努力義務が含まれます。また、関係法令においても、通報者の情報が外部に漏れることを防ぐための規定が明確に定められています。
このように、通報後の不利益取扱いに関する法律は、通報者を保護するための重要な枠組みであり、企業や行政機関にはその実効性を確保する責任があります。通報者が安心して情報を提供できる体制を整えることが、企業の透明性を高め、公益を守る目的に寄与すると考えられます。
公益通報者保護法違反の罰則はどのようなものか
公益通報者保護法は、不正行為を通報した労働者や退職者を保護するための法律です。しかし、違反行為が発生した場合、その罰則は厳格に定められています。通報を行った者に対する不利益取扱いや解雇などの行為は、法律により禁止されています。
現行法における罰則 ― 守秘義務違反(公益通報者保護法21条)
現行法では、公益通報対応業務従事者(公益通報の受付・調査・是正措置に従事する者として事業者から指定された者)に対し、通報者を特定させる情報についての守秘義務が課されています(12条)。この守秘義務に違反して通報者を特定させる情報を漏らした場合、30万円以下の罰金に処せられます(21条)。
この罰則は、通報者が「通報したことが社内に知られて報復を受けるのではないか」という不安を軽減し、安心して通報できる環境を確保するために設けられたものです。従事者の指定を受けた方は、在職中はもちろん、退職後も守秘義務を負う点にご注意ください。
改正法で新設される罰則 ― 不利益取扱いに対する直罰規定(令和8年12月1日施行)
これに加え、令和7年改正法(令和8年12月1日施行)では、公益通報を理由とする解雇・懲戒を行った者に対する直罰規定が新設されます。具体的には、個人に対しては6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、法人に対しては3,000万円以下の罰金が科されます。
このように、現行法の守秘義務違反の罰則と、改正法で新設される不利益取扱いの直罰規定は、それぞれ異なる行為を対象とする別個の罰則です。通報を行った結果、法律で定められた範囲内で不当な差別や解雇があった場合、企業は損害賠償責任を負うこととなります。また、法令に基づき、行政が対応を行う場合もあります。高い実効性を確保するため、この法令は定期的に改正され、関連する規定が整備されています。結果として、適切な通報制度の運用が求められています。
関連記事:法務やコンプライアンス体制を支援する契約・法務BPaaS型のALSP(代替法務サービスプロバイダー)
違反があった場合の法的責任について
違反があった場合、法的責任が発生する可能性があります。これは、企業や労働者が遵守すべき規定に違反した際に、法令に基づく措置が求められるためです。具体的には、内部通報制度や公益通報者保護制度が整備され、通報者が不利益を受けないように保護されています。
例えば、労働法において違反行為が発生した場合、労働者は適切な窓口に通報することが求められます。行政機関は、その情報を基に調査を行い、必要に応じて勧告や是正措置を講じます。このように、違反が明らかになると、関係者には一定の責任が問われることがあります。
また、企業の役員や担当者も法的責任を負う場合があり、特に重大な違反があった場合は、刑事罰も適用されることがあります。このため、組織内でのガバナンス体制の強化や、労働者への啓発が重要です。体制が整っていれば、違反防止に対して十分な対応が可能となります。以上の要点から、企業は法的責任を真剣に考え、取り組む必要があります。

内部通報と外部通報の流れと注意点
内部通報と外部通報の流れは、企業や組織が遵守すべき重要な手続きです。通報を行う際には、適切な窓口を通じて情報を伝えることが求められます。この際、労働者や退職者が通報者となる場合もあり、保護法令に基づいて不利益を受けないような措置が整備されています。
内部通報は、主に企業の内部における不正や違反行為を対象とし、事業者は定められた規定に基づき通報を受理します。外部通報は、行政機関や特定の法人に対して行われ、公益を守る目的で利用されます。どちらの場合も通報の目的や内容は明確である必要があり、具体的な事実や情報が求められます。
通報しやすい環境を整えることは、企業の労務管理においても重要です。組織は、通報者の保護を確保し、体制を整備する責任があります。また、通報に対する対応や調査は迅速かつ公正に行われなければならず、法令に基づく適切な対応が求められます。このような一連の流れを理解し、実行することが、不正の防止と組織の健全性を維持するために不可欠です。
関連記事:内部通報制度とは?内部通報窓口の設置義務・運用方法まで徹底解説
内部通報と外部通報の具体的な違い
内部通報と外部通報は、通報制度における重要な概念であり、それぞれ異なる特徴を持っています。
内部通報は、企業内の不正行為や法令違反に対して行われます。その目的は、企業内部での問題を早期に発見し、適切な措置を講じることです。この通報は、通常、内部の窓口を通じて受け付けられ、通報者には一定の保護が与えられます。具体的には、退職者や労働者がコンプライアンスを考慮し、労務問題や内部管理に関する知らせが行われることがあります。
一方、外部通報は、行政機関や第三者機関に対して行われる通報です。このタイプの通報は、企業内での対応が不十分である場合や、不正行為が広く公益に関わる問題であるときに利用されます。外部通報は、特定の法律に基づいた手続きに従い、報告内容が行政によって調査されるため、通報者はより高い保護を得ることが可能です。
以上のように、内部通報と外部通報は、対象となる関係者や目的が異なることから、それぞれの特性に応じた適切な使い分けが求められます。これにより、企業と社会の利益が最大化されることが期待されます。
公益通報のやり方と情報提供先の選び方
公益通報は、労働者や外部の者が不正行為を報告するための制度であり、適切に運用されることで、企業や社会の透明性を高めます。
まず、通報を行う理由として、法令違反や企業内の不正行為が挙げられます。これにより、内部の問題を明らかにし、改善を促すことが可能となります。また、公益通報者は法的に保護されるため、通報後の不利益を回避することができます。
通報の手続きに関しては、事業者ごとに定められた窓口を使用することが推奨されます。一般的には、専用の受付窓口や、行政機関への通報が考えられます。ここで重要なのは、通報先の選定です。必要に応じて、オンラインでの相談や、退職後の情報提供が可能な体系が整備されていることを確認しておくべきです。
最終的には、公益通報を通じて社会全体が得られる利益は大きく、制度の実効性向上に寄与することを目的とします。情報を正確に伝え、適切な措置を講じることが、健全な社会づくりに繋がるのです。
関連記事:企業法務とは?押さえるべき法律と法的リスクの対策、よくある質問は?
通報後の調査と報告はどのように行われるか
通報後の調査と報告は、特に重要なプロセスです。通報が行われた場合、企業や組織は速やかに調査を開始する義務があります。この調査は、適切な内部規定と法令に基づき行われ、公益を守る目的で実施されます。
調査の実施にあたり、まず通報内容に対して具体的な事実関係を明らかにする必要があります。通常は、専門の担当者が選任され、関連情報を収集します。必要に応じて、外部の行政機関とも連携し、法律に則った適切な対応を求めることが求められます。
調査の結果、違反行為が確認された場合は、是正措置が講じられます。企業は、この情報を基に内部の対応策を整備し、再発防止に努めることが求められます。また、通報者の保護も重要であり、不利益な取扱いを受けない制度が整備されています。
以上のように、通報後の調査と報告は、企業の信頼性や社内の安全な環境づくりに寄与する重要な要素と言えます。適切な手続きを踏むことにより、労働者や消費者に対する保護を確保し、社会全体の利益を守ることに繋がります。
公益通報制度の最近の改正と影響
最近の公益通報制度に関する改正は、通報者の保護を強化する目的で実施されています。この改正により、労働者や退職者が不正行為や法令違反に関する情報を通報しやすくなり、事業者や行政機関における制度の有効性が向上しています。
改正後の制度では、通報を行った労働者に対する不利益な扱いが禁止され、不利益や威圧から守るための措置が定められました。特に内部通報においては、上司や役員に対する情報提供が求められる場合もあるため、その運用には注意が必要です。具体的な窓口や相談先も明確に示され、通報者が安心して行動できる体制が整備されています。
この制度の改正により、事業者は不正行為の早期発見に努める必要があり、さらに適切な行動を求められています。企業は内部監査を強化し、透明性を高めることで、消費者や社会全体に対する信頼を獲得することが可能になるでしょう。公益性を重視した法令に則った運用が、今後ますます重要になっていきます。
退職者の保護は令和2年改正(令和4年6月施行)で既に導入されており、退職後1年以内の者が保護対象となっています。令和7年改正では、これに加えてフリーランス(特定受託業務従事者)が新たに保護対象に追加されます。通報者が退職後においても保護を受けられるような体系を整備することで、従業員が不正を報告しやすくなる環境が実現されます。また、行政機関が定める措置が明確化されれば、企業側も対応に対して高い意識を持つようになるでしょう。このような改正によって、通報者に対する不利益や損害が発生しにくくなることが期待されます。
例えば、一定の条件を満たす通報者に対しては、法律による保護が強化され、労働者が不正を通報する際の懸念が大幅に軽減されます。内部通報に加え、外部通報に対してもきちんとした制度を設けることが重要です。このような取り組みを通じて、企業内での不正行為の早期発見と是正が進むことは、公益を確保する上でも必要です。
そして、内部通報制度を導入することで、企業内の不正行為が早期に発見され、適切な措置を講じることが可能になります。また、通報者の保護が定められていることで、報復を恐れずに相談できる体制が確保されます。これにより、企業は公益に反する行為を効果的に防止し、法令違反が発生した場合には迅速な対応を行うことが求められます。
通報された内容に対して行政機関が調査を行い、事実が明らかになった場合には、是正措置が取られることが求められます。また、特定の違反行為に関しては、事業者に対し勧告が行われることもあります。これにより、通報者が不利益を受けることなく、内部問題を共有できる環境が整います。
さらに、企業は通報窓口を設置し、その利用を促す努力義務が課されます。通報者は、直接的な損害を被る可能性を軽減されるため、安心して情報を提供できる仕組みが構築されます。この改正によって、公益の確保が一層推進され、企業の倫理的な運用が促進されることが期待されています。
関連記事:企業法務とは?押さえるべき法律と法的リスクの対策、よくある質問は?
公益通報者保護法の改正内容とその影響
公益通報者保護法の改正内容は、通報者が行う内部通報に対する保護を強化し、対象を拡大することを目的としています。新たに定められた規定により、従来の保護対象(労働者、退職者、役員等)に加え、フリーランス(特定受託業務従事者)も通報者として保護の対象となります。この改正は、事業者が不正行為を防止し、適切な内部通報制度を整備することを求めるものです。
さらに、特定の情報の取扱いについては、法律で明確に規定されており、企業は設立した体制が実効性を持つように運用しなければなりません。このような整備により、業務の透明性が向上し、外部の信頼を得ることが可能となります。結果として、企業の財産を守り、労働環境の改善につながるでしょう。
関連記事:スタートアップ/ベンチャー・中小企業に顧問弁護士は必要?導入のメリットや顧問料の費用相場
公益通報者保護法の主な改正ポイント ― 改正前後の対比
令和7年改正(令和7年法律第62号)は令和8年12月1日施行です。公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)は、令和7年3月4日に国会に法案を提出し、同年6月4日に参議院において可決・成立し、同月11日に公布されました。
消費者庁が公表している令和7年改正法の概要資料によれば、改正事項として、①事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上、②公益通報者の範囲拡大、③公益通報を阻害する要因への対処、④公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済の強化の4点が挙げられています。
令和7年改正法(令和8年12月1日施行)の主な改正ポイントは、以下の4点です。各項目の詳細は後述します。
No. | 改正ポイント | 概要 |
① | 体制整備義務の実効性向上 | 勧告に従わない場合の命令権・刑事罰の新設、立入検査権限の新設 等 |
② | 公益通報者の範囲拡大 | フリーランス(特定受託業務従事者)を保護対象に追加 |
③ | 公益通報を阻害する要因への対処 | 通報者探索の禁止、通報妨害の禁止 |
④ | 不利益取扱いの抑止・救済の強化 | 直罰規定の新設、推定規定の導入 |
改正前の公益通報者保護法では、通報を理由とする解雇の無効(3条)や不利益取扱いの禁止(5条)は定められていたものの、これに違反した行為者個人に対する刑事罰は設けられていませんでした。そのため、禁止規定の抑止力が不十分であるとの指摘がなされていました。
令和7年改正法(令和8年12月1日施行)では、この点を抜本的に改め、公益通報を理由として解雇又は懲戒をした者に対する直罰規定が新設されました。個人に対しては6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、法人に対しては3,000万円以下の罰金が科されます。
さらに、通報後1年以内に行われた解雇・懲戒については、公益通報を理由としてされたものと推定する規定も導入されました。これにより、従来は通報者側が負っていた「通報を理由とする不利益取扱いである」ことの立証責任が事業者側に転換され、通報者の救済がより実効的なものとなります。なお、外部通報(2号・3号通報)の場合は、事業者が当該公益通報があったことを知った日から1年以内にされた解雇・懲戒についても、同様に推定規定が適用されます。
※具体的な改正条文・適用範囲は、施行までに公表される政令・指針で確定するため、最新の公式情報をご確認ください。
関連記事:法務・労務相談できる弁護士体制のALSP(代替法務サービスプロバイダー)とは?
改正法における企業の体制整備義務についての解説
改正法における企業の体制整備義務は、労働者や消費者の権利保護を目的としており、特に内部通報制度の適切な運用が求められています。企業は、この制度を通じて不正行為や法律違反に関する情報を受け付ける窓口を整備し、退職者を含む全ての関係者が安心して通報できる環境を提供する必要があります。
① 体制整備義務の実効性向上
項目 | 改正前(令和2年改正法) | 改正後(令和7年改正法) |
従事者指定義務違反への対応 | 消費者庁による指導・助言、勧告等の行政措置 | 勧告に従わない場合の命令権を新設。命令違反時の刑事罰(30万円以下の罰金)を新設 |
行政調査権限 | 報告徴収のみ | 立入検査権限を新設。報告懈怠・虚偽報告、検査拒否に対する刑事罰(30万円以下の罰金)を新設 |
内部通報制度の周知 | 法定指針(令和3年内閣府告示第118号)において、労働者等への周知が求められていた | 法律上の義務として明記、労働者等に対する公益通報対応体制の周知が体制整備義務の内容として明文化 |
現行法では、公益通報対応体制の周知は法定指針上の義務にとどまっていましたが、改正法では法律上の義務として明文化されました(改正法11条2項)。これにより、常時使用する労働者の数が300人を超える事業者は、公益通報対応業務従事者の指定に加え、公益通報対応体制の周知を含む体制整備を法律上の義務として履行しなければなりません。
② 公益通報者の範囲拡大
項目 | 改正前 | 改正後 |
保護対象者 | 労働者、派遣労働者、退職者(退職後1年以内)、役員 | 左記に加え、フリーランス(特定受託業務従事者)及び業務委託終了後1年以内のフリーランスを追加 |
現行法では公益通報の主体として特定受託業務従事者(フリーランス)を対象としていませんでしたが、2026年12月1日に施行される公益通報者保護法の改正法では、特定受託業務従事者(フリーランス)も公益通報の対象となります。
「令和7年改正法の4つの改正ポイント ― 詳細解説」
外部通報に対する保護要件の見直しは、労働者や事業者、ひいては消費者にとって非常に重要な課題です。通報制度は、不正行為や法令違反に対する適切な対応を促進するために存在しますが、現行の規定では保護措置が不十分な場合もあります。こうした背景から、制度の改正が求められています。
③ 公益通報を阻害する要因への対処
項目 | 改正前 | 改正後 |
通報者の探索(犯人探し) | 法定指針上の措置義務(探索防止措置・探索時の懲戒処分等) | 法律上の禁止行為として明記。違反してされた合意等の法律行為は無効 |
通報の妨害 | 明文規定なし(法の趣旨から解釈) | 通報を妨害する行為を法律上禁止(正当な理由なく通報しないことを要求する行為等) |
改正法では、通報者を探索する行為を禁止し、これに違反してされた合意等の法律行為を無効とするとともに、通報者を妨害する行為の禁止も規定されました。
また、3号通報(外部通報)については、改正前は要件が厳格で、通報者が保護を受けにくい場面がありました。改正後は、外部通報が必要とされる状況をより適切に評価する方向で要件が見直され、内部・行政への通報だけでは是正が見込めないケースにおいて、通報者が保護を受けやすくなる点が特徴です。
④ 不利益取扱いの抑止・救済の強化
項目 | 改正前 | 改正後 |
不利益取扱いへの制裁 | 解雇は無効(3条)、不利益取扱いは禁止(5条)。ただし、行為者への直接的な刑事罰はなし | 公益通報を理由とする解雇・懲戒をした者に対し、直罰規定を新設(個人:6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、法人:3,000万円以下の罰金) |
立証責任 | 通報者側が「通報を理由とする不利益取扱いであること」を立証 | 通報後1年以内の解雇・懲戒は、公益通報を理由としてされたものと推定(立証責任の転換)。事業者側が通報以外の理由であることを立証しなければならない |
現行法では不利益取扱いの違反行為に対する制裁等は特に定められておらず、抑止力が不十分と指摘されていました。改正法では、公益通報を理由として解雇・懲戒をした者に対し、直罰規定の導入(個人:6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、法人:3,000万円以下の罰金)がなされました。
立証責任の転換について、従来は「通報を理由に不利益取扱いをされた」ことを通報者側が立証する必要がありましたが、推定規定が適用される場面では、企業側が「通報とは無関係の理由による解雇・懲戒だった」ことを積極的に立証しなければなりません。
関連記事:法務業務を支援するリーガルテックとは?
まとめ
ここまで、公益通報者保護法とは?対象要件や企業の義務・罰則の解説などをお伝えしました。
弁護士や社会保険労務士の体制を整備した第三者機関として内部通報窓口の提供から、法務・労務への対応やコンプライアンスの課題解決へ向けて法務DX・リーガルテックの導入を検討しているご担当者様には、企業法務アウトソーシングサービスのALSP(代替法務サービスプロバイダー)「クラウドリーガル」がおすすめです。
生成AIなどの先端テクノロジーと弁護士・専門士業(司法書士/弁理士/行政書士/社会保険労務士/税理士)のスケール体制を融合させることで、法務業務・コンプライアンスや契約業務を支援いたします。クラウド上での契約書の作成・契約書のレビュー(リーガルチェック)・法務や知的財産・労務・税務の相談、法令・ガイドラインQAや判例調査(リーガルリサーチ)や法令適合性審査、社内規程整備・作成、広告審査・薬機法チェック、知的財産権の商標登録・調査、会社設立(新規設立・子会社等)、株主総会・取締役会の運営サポートや株主対策、内部通報窓口(法令違反、ハラスメント等)、労務や税務サポート、資本政策(ファイナンス)、法務デューデリジェンス(DD)、IPO準備支援などの幅広いサービスを、月額料金でご利用いただけます。法務部門や人事労務・コンプライアンスのご担当者様は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
契約・法務BPaaSの企業法務アウトソーシングサービスALSP「クラウドリーガル」とNXワンビシアーカイブズの提供する電子契約・契約管理サービス『WAN-Sign』や「AI契約管理」「機密文書保管」「電子化(スキャン代行)」「機密書類抹消」「電子帳簿保存」「契約事務BPOサービス」と組合せることで法務DXの最大化を実現します。

編集:WAN-Sign運営事務局
日本で初めて「情報の安全保管」ビジネスを立ち上げ「情報の活用」を支援してきたリーディングカンパニー。情報資産管理業として、半世紀にわたり官公庁・金融機関・医療機関・製薬業や上場企業・大手企業などの重要な情報(機密文書、医薬品開発関連資料、永年保存の歴史資料、マイナンバー書類・特定個人情報、テープ等の記録メディア、デジタルデータ、細胞・検体試料・医薬品原料、等)の発生段階から活用・保管・抹消までのライフサイクル全てをカバーした総合的サービスを展開してきた、NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社のグループである株式会社NXワンビシアーカイブズが提供する、BPaaS型でAI搭載の電子契約・契約管理サービスWAN-Signの運営事務局。電子署名(電子証明書)・電子サイン・タイムスタンプ・電子印鑑/脱ハンコ・脱印鑑/電子署名法/文書管理・電子文書/電子帳簿保存法・e-文書法/電子化(スキャン代行)/AI-OCR/公文書/医薬品・医療機器等GxP省令文書記録/文書コンサルティング/アーカイブ(Archive)・データ保全/デジタル主権・データ主権/災害対策・BCP(事業継続)/セキュリティ/プライバシー/データセンター/BPO・アウトソーシングサービス/リーガルテック・リーガルサービス/DX/クラウド・SaaS/BPaaSなどドキュメントやサービスに関する様々な情報を提供します。








