電子契約の後文の書き方|変更が必要な箇所と文例サンプル

\導入時に慌てないために押さえておくべき点とは?/

【この記事でわかること】

  • 契約書における「後文(こうぶん)」の意味と5つの構成要素
  • 電子契約移行時に後文で変更が必要な4つの箇所と理由
  • 今すぐ使える電子契約の後文のサンプル(完全電子・紙と電子の併存)
  • 電子契約導入・運用時に押さえるべき5つの注意点

(公開日:2023年5月24日)

目次[非表示]

  1. 1.契約における後文の基礎知識
    1. 1.1.そもそも後文とは?
    2. 1.2.後文を構成する5つの要素
    3. 1.3.後文が必要な理由
    4. 1.4.電子契約の後文はどう書き換える?
  2. 2.電子契約への移行時に後文で変更が必要な4つの箇所
    1. 2.1.①「本書」や「書面」などの文言
    2. 2.2.②写しに関する文言(作成通数・保有通数)
    3. 2.3.③署名・押印欄(契約締結の方法)
    4. 2.4.④契約締結日の記載
  3. 3.電子契約における後文の文例サンプル
    1. 3.1.電子契約サービスで締結する場合
    2. 3.2.書面と電子契約が併存する場合
  4. 4.電子契約に移行し、運用する際の注意点
    1. 4.1.①顧客や取引先から了承を得る
    2. 4.2.②電子契約に適した社内規程や業務フローを構築する
    3. 4.3.③契約書のテンプレートを変更する
    4. 4.4.④電子契約データを適切に保存する
    5. 4.5.⑤関連する法律に対応できる体制を整える
  5. 5.契約書の後文に関するよくある質問
    1. 5.1.契約書の後文とは?
    2. 5.2.契約書の後文には何を書けばよいですか?
    3. 5.3.契約書の後文は必ず必要ですか?
    4. 5.4.電子契約の後文に「記名押印」と書いたまま締結したら契約は無効になる?
    5. 5.5.タイムスタンプがあれば後文の契約締結日は書かなくてもいい?
  6. 6.まとめ

電子契約における後文(こうぶん)とは、契約書の末尾(署名欄の上)に記載し、契約の成立や電磁的記録の保管方法を証明する文言です。従来の紙の契約書のみを前提としていた「本書」「記名押印」などの表現に加えて、電子契約で用いる「電磁的記録」「電子署名」などの表現を追加するとよいでしょう。

この記事では、電子契約への移行に伴い後文で変更すべき4つのポイントや、そのまま使える文例のサンプル、導入時の注意点についてわかりやすく解説します。

関連記事:電子契約における電子署名とは?電子サインとの違いを紹介

契約における後文の基礎知識

契約書における後文(こうぶん)とは、本文の末尾(署名・押印欄の直前)に記載される1〜2行の文言であり、契約の成立や作成通数、保管方法を当事者間で証明するための重要項目です。ここでは、契約書の「後文」の概要および構成要素や必要な理由など、基礎知識について解説します。

そもそも後文とは?

後文とは契約書の末尾に記載される1〜2行程度の文言のことです。

一般的に後文には、契約の当事者、締結日、作成枚数、保管方法など重要な事項が記載されるため、特に正確・丁寧な文言にする必要があります。

後文に記載される内容は、契約書においても共通事項なので、一度フォーマットを作成すれば、他の契約書を作成する際にも活用できるでしょう。

後文を構成する5つの要素

契約書の後文は主に以下5つの要素によって構成されます。

  • 契約書の成立を示す文言
  • 契約書の作成枚数
  • 契約書の作成者および保有者
  • 契約締結の方法
  • 契約締結日

まずは契約書の成立を示すために「本契約の成立を証するため」といった文言を記載する必要があります。

続いて「甲乙相互に各1通を保有する」というように作成枚数、作成者および保有者を明確にする文言を記載します。契約締結の方法は、書面契約書の場合、署名捺印などを指す「記名押印のうえ」といった記載をすることが一般的です。

最後に契約締結日として「〇年〇月〇日」と記載して締めくくります。

関連記事:電子契約とは?メリット、書面契約との比較とともに解説 

後文が必要な理由

契約書の後文は、法令で一律に記載が義務付けられているものではありません。後文がなくても、法令上の特別な方式指定がない契約であれば、当事者の合意によって契約は成立し得ます。一方、後文に締結方法や契約書の作成・保管方法、締結日などを記載しておけば、後から契約の成立経緯を確認しやすくなります。そのため、実務では契約内容や締結方法に応じた後文を設けるのが一般的です。

後文は、以下のような意味を持ちます。

  • 合意による契約成立の証明
  • 契約の日時の明確化
  • 契約書の保管方法の整合

普段はあまり意識しないかもしれませんが、契約書の後文は円滑な契約履行とトラブル防止のために重要な役割を担っています。

一度作成したフォーマットをただ使い回しするのではなく、記載内容に間違いや抜けがないかどうか、しっかりとチェックする必要があります。

関連記事:電子署名とは?導入のメリット・デメリットと必ず知るべき注意点

電子契約の後文はどう書き換える?

電子契約の後文では、紙契約で使われる「本書を2通作成」「記名押印」「各1通を保有する」といった表現を、そのまま使用しないほうがよい場合があります。電子契約では、契約書を「電磁的記録」として作成し、「電子署名を施す」「各自その電磁的記録を保管する」など、実際の締結・保管方法に合わせた表現に変更するのが一般的です。

次の見出しから具体的に変更する箇所について説明します。

\導入時に慌てないために押さえておくべき点とは?/

電子契約への移行時に後文で変更が必要な4つの箇所

紙の契約書から電子契約へ移行する際、後文で変更が必要な箇所は「媒体表現」「通数の記載」「締結方法」「締結日」の4点です。具体的なポイントを以下に解説します。

変更項目

紙(書面)契約

電子契約

媒体表現

本書、書面

電磁的記録、本契約

通数・保有

本書2通を作成し、各自1通を保有

各自その電磁的記録を保管する

締結方法

記名押印、署名捺印

電子署名を施す

締結日

〇年〇月〇日

タイムスタンプ記録 + 書面上の合意日

①「本書」や「書面」などの文言

電子帳簿保存法第2条第5号において、電子取引は「取引情報の授受を電磁的方式により行う取引」と定義されています。そのため、電子契約を行う場合は、紙媒体を前提とする「本書」「書面」だけではなく、「本契約」や「電磁的記録」「電磁的方法」という表現への見直し・追加なども行うとよいでしょう。

例えば、契約書で用いられることが多い、「事前の書面による承諾なしに」という文言は、「事前の書面または双方が合意した方法による電磁的記録による承諾なしに」と置き換えると電子契約で使用できます。

この文言を使用することで、電子的にやりとりしたデータでも同意を得ることが可能です。

関連記事:電子契約を印刷した場合はどうなる?印紙税の有無や適切な保存方法を紹介

②写しに関する文言(作成通数・保有通数)

電子契約の場合、作成通数、保有通数の記載は不要です。書面契約書と異なり、電子契約はデータを1通と数えることができず、また複製も可能なためです。
同様の電子ファイルで電子取引をする契約当事者双方が確認し合うため、認識の違いが生じる可能性も低いでしょう。なお、電子データを原本として、印刷したものを写しとして扱うことになるため、その旨をはっきり記載しておくことが大切です。

③署名・押印欄(契約締結の方法)

電子契約では代表印や角印など、ハンコによる押印ではなく、電子署名を利用して契約締結します。

そのため、契約締結の方法を記載するときは、従来の書面契約書のように「記名押印」ではなく、「電子署名を施す」などの文言を使用するのが一般的です。もし電子契約において「記名押印」という文言を記載してしまうと、書面契約書がないことを理由に相手方から契約の不成立や無効を主張されるリスクもあります。

トラブルのもとになりかねないため、書面契約書とは区別して考えるようにしましょう。

④契約締結日の記載

現状は、タイムスタンプとは別に契約締結日の日付欄を設けて締結するのが一般的です。電子契約では、タイムスタンプを利用して契約締結手続きを行います。

タイムスタンプは付与した後に電子書類が改ざんされていないこと、署名が完了した時刻に対象データが存在していることを確認できる技術であり、契約の締結・成立の日時が秒単位で記録されるため、契約締結日は不要という考え方があります。

一方、タイムスタンプの日付とは別に、契約当事者が実際に合意した日を具体的に表示するために、契約締結日の記載を設けたほうがよいという見方も存在します。

どちらを採用すべきかは、企業によって異なりますが、現状、タイムスタンプとは別に、契約締結日の日付欄を設けて締結するのが一般的な方法です。

関連記事:電子署名の安全性とは?セキュリティの仕組みを紹介

電子契約における後文の文例サンプル

電子契約の後文テンプレートは、「双方で電子契約を結ぶ場合(完全電子契約)」と「一方は紙・他方は電子で結ぶ場合(併存)」の2パターンで使い分けます。

自社の運用スタイルに合わせて、以下の文例(ひな形)を契約書フォーマットへ組み込んでご活用ください。

電子契約サービスで締結する場合

双方が電子契約サービスを利用して、契約を締結する場合、以下のような後文がおすすめです。

「本契約の成立を証するため、本書を電磁的方法により作成のうえ、甲乙合意の後、電子署名を施し、各自その電磁的記録を保管するものとする。」

関連記事:電子契約における電子署名の基礎知識|実行の方法とよくある質問

書面と電子契約が併存する場合

少しイレギュラーなケースですが、書面と電子契約が併存することもあります。

例えば相手方が電子契約の利用に同意しない場合においては、相手方は書面契約書を保管し、自社分のみを電子契約で締結して対処します。

この場合、以下のような後文を用いるとよいでしょう。

「本契約の成立を証するため、本書を書面および電磁的方法により作成のうえ、甲乙合意の後、記名押印および電子署名を施し、甲は書面を、乙は電磁的記録をそれぞれ保管する。」

ただし、後文は、契約形態および利用サービスに応じて専門家へ確認してください。

\導入時に慌てないために押さえておくべき点とは?/

電子契約に移行し、運用する際の注意点

電子契約へ円滑に移行し、運用するためには、契約書の文言変更だけでなく「取引先からの事前合意」「社内規程の整備」「電子帳簿保存法に沿ったデータ保存」などの体制構築が必須です。

導入時のトラブルや法律違反を防ぐため、事前に確認すべき注意点を解説します。

①顧客や取引先から了承を得る

電子契約は、自社のみで完結するものではありません。契約を交わす顧客や取引先が関わるため、電子契約に移行する際は注意が必要です。

電子帳簿保存法改正の影響などにより、少しずつ普及している電子契約ですが、すべての企業が電子契約や電子署名に対応できるとは限りません。

顧客や取引先とのトラブルを避けるためにも、電子契約を取り入れる際は相手方から事前に合意を得ることが大切です。

関連記事:電子契約での電子署名とタイムスタンプの違い、役割、よくある質問

②電子契約に適した社内規程や業務フローを構築する

電子契約を導入する際は、従来とは性質が異なるため適切な管理・業務フローを新たに設計し、社内へ周知・共有する必要があります。 従来の紙契約と業務フローが異なるため、セキュリティ対策や新しい運用の浸透に向けた見直しが不可欠です。

具体的には、既存のフローから以下の対応を行います。

  • セキュリティ対策とルール策定:電子データ漏洩や不正アクセスを防ぐため、パスワード・アクセス権限を設定し、取り扱いルールやマニュアルを整備する
  • 既存業務の洗い出しとフロー設計:既存の業務フローのどこを電子化できるか洗い出し、電子契約を組み込んだ新しい業務フローを設計して関係者間で共有する
  • 社員への教育・研修:新しい業務フローや電子契約システムの使い方を社内に周知するため、社員に対する教育・研修を実施する

既存の業務を整理し、システムの使い方やルールを社内に共有・教育することで、円滑な運用へ移行できます。

関連記事:PDFの電子契約は有効?契約締結の流れとメリット・デメリット

③契約書のテンプレートを変更する

書面契約書と電子契約では書き方や記載すべき内容が異なる部分があります。

特に後文で記載する内容には注意しなければなりません。

まずは電子契約書の具体例やひな形などを参考にして、自社のテンプレートを作成するようにしましょう。

④電子契約データを適切に保存する

電子契約はデータのまま保存する必要があります。

2021年の電子帳簿保存法改正により、2022年1月以降にメールやクラウドサービスなどの電子取引で授受した契約書は、電子データのまま保存することが定められたためです。なお、2023年12月31日までは経過措置として、やむを得ない事情がある場合に書面での保存を認める宥恕期間が設けられていましたが、現在は終了しています。

その後、令和5年度税制改正により、2024年1月1日以後に行う電子取引については、保存要件に従った保存ができないことについて相当の理由があると税務署長が認め、税務調査等の際に電子データおよびその出力書面(整然とした形式・明瞭な状態で出力されたもの)の提示・提出の求めに応じられるようにしている場合に限り、検索機能の確保をはじめとする保存時に満たすべき要件にかかわらず、電子データの保存が認められる猶予措置が設けられています。ただし、出力書面のみを保存して電子データを保存しないという対応は認められておらず、電子データそのものの保存は必須です(出力書面自体を保存しておくことまでは求められていません)。この猶予措置の適用に事前の税務署への申請は不要です。

電子データとして残しておけば、紙に出力して保存する必要はないので、電子契約システムを取り入れることはペーパーレス化につながります。

一方、もともと書面で締結していた紙の契約書の場合は、これまでどおり紙媒体のまま保存しても効力が認められます。

ただし、電子取引で授受した契約データは、電子帳簿保存法の要件に従って電子データとして保存する必要があります。紙に出力して社内で併せて保管すること自体は禁止されていませんが、出力した紙だけを保存し、元の電子データを保存しない方法では要件を満たしません。電子データを適切に保存したうえで、必要に応じて紙の控えを利用しましょう。

【出典】国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和8年7月)」

⑤関連する法律に対応できる体制を整える

電子契約を導入する場合、関連する法律に対応できる体制を整えることも大切です。

例えば整備内容の一つとして考えられるのが「電子署名管理規程」の制定です。

電子署名の運用ルールを文書化したもので、本規程を定めることによって電子署名を実施できるアカウントの管理者・権限者が明確になります。

電子契約システムを社内で運用する際に関係者が共通認識を持つことにもつながるので、ぜひ制定するようにしましょう。

なお、令和7年度税制改正により、2027年1月1日から、一定の要件を満たすシステムで請求書等の電子取引データを自動保存し、帳簿へ自動連携する仕組みに対応した新制度が施行されます。電子契約データを適切に電子保存するという基本的な考え方に変更はありませんが、経理・契約管理システムの連携を進める企業は最新制度も確認しておくとよいでしょう。

関連記事:電子契約で紙はなくなる?書面契約との上手な管理

契約書の後文に関するよくある質問

契約書の後文とは?

契約書の後文(こうぶん)とは、本文の最後(署名・押印欄の直前)に記載される1〜2行の文言のことです。当事者間で契約が適法に成立したこと、契約書の作成通数、保管方法、締結方法などの重要事項を証明する役割を果たします。

契約書の後文には何を書けばよいですか?

契約書の後文には、主に以下の5つの構成要素を記載します。

  • 契約成立を示す文言(例:「本契約の成立を証するため」)
  • 契約書の作成通数(例:「本書2通を作成し」※紙契約の場合)
  • 契約書の作成者および保有者(例:「甲乙各自1通を保有する」)
  • 契約締結の方法(例:「記名押印のうえ」または「電子署名を施し」)
  • 契約締結日(例:「〇年〇月〇日」)

契約書の後文は必ず必要ですか?

法律上、後文の記載がなくても当事者間の合意があれば契約自体は有効に成立します。しかし、実務においては「誰が原本を保有しているか」「どのような方法・日付で合意したか」を証明し、後日の改ざんや紛争を未然に防ぐために記載することが望ましいでしょう。

電子契約の後文に「記名押印」と書いたまま締結したら契約は無効になる?

「記名押印」と記載されていても、当事者間に契約成立の合意があれば契約自体が直ちに無効となるわけではありません。しかし、相手方から「紙の契約書が存在しないため不成立である」と主張されるなど、無用な法的トラブルや争点に発展するリスクがあるため、必ず「電子署名を施す」等の正しい表現に修正すべきです。

タイムスタンプがあれば後文の契約締結日は書かなくてもいい?

タイムスタンプは、その時刻に電子データが存在していたことや、その時刻以降にデータが改変されていないことを確認するための仕組みです。その時刻が、必ずしも当事者が契約に合意した日や契約の効力発生日と一致するわけではありません。そのため、タイムスタンプの有無にかかわらず、契約締結日や効力発生日を明記しておくと、当事者間の認識のずれを防ぎやすくなります。

まとめ

契約書の末尾に記載する後文には重要な事項が記載されるため、しっかりとチェックする必要があります。

電子契約では書面契約書から文面を変更すべき箇所があるので、新しく作成する場合は十分に注意しなければなりません。

なお、電子契約を法律に準拠して安全に運用したい場合、法改正に迅速に対応している電子契約サービスの導入が望ましいといえます。

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