電子契約の保存方法とは?紙の契約書をスキャンする場合の要件を紹介
目次[非表示]
- 1.電子契約とは
- 2.電子契約の保存方法
- 2.1.①電子データのまま保存
- 2.2.②紙の契約書をスキャンしてデータとして保存
- 3.紙の契約書をスキャン・保存する際の主な要件
- 3.1.①見読性の確保
- 3.2.②タイムスタンプの付与
- 3.3.③検索機能の確保
- 3.4.④マニュアルの整備
- 3.5.⑤スキャナのスペック
- 4.まとめ
業務の効率化とペーパーレス化の促進に有用な電子契約。
紙を必要としないため、印刷するためのインクや取引先とやりとりするための郵送料などのコスト削減につながります。
また、契約書を電子化することでクラウドやオンラインストレージに保存できるようになり、保管スペースを縮小できるメリットがあります。
しかし、電子契約といっても、契約書をただ電子化すればよいというわけではなく、要件を満たしたうえで保存する必要があります。
担当者のなかには、「電子契約の保存方法が知りたい」「紙の契約書をスキャンする際の要件を知りたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、電子契約の保存方法について詳しく解説します。
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電子契約とは
電子契約とは、電子データで作成された契約書に電子署名して締結される契約のことをいいます。
電子データのため、契約内容を紙に印刷する必要がなく、直筆の署名や押印も不要です。
署名された電子契約は原本性が保たれると同時に、紙媒体で行われた契約と同等の法的効力を持たせることが可能です。
>>電子帳簿の保存方法って?電子帳簿保存法で変わることやメリットデメリットを紹介
電子契約の保存方法
契約書を電子データで保存する場合には2つの保存方法があり、それぞれ内容に細かな違いがあります。ここでは、それぞれの保存方法を紹介します。
①電子データのまま保存
メールやクラウドなど、インターネット上でやりとりされた書類のうち、はじめから電子データで作成された書類はそのまま保存する必要があります。
電子取引で授受した電子契約書は紙に印刷して保存しても原本にはならないため、注意が必要です。
②紙の契約書をスキャンしてデータとして保存
既存の紙媒体で作成された、もしくは受領した書類はスキャンして電子データとして保存できます。
スキャナに加え、スマートフォンやデジタルカメラによって撮影された画像を使用することも可能です。
自らが電子機器のみで作成・交付した書類は、控えとして紙に印刷して保管できます。
>>電子契約における契約書の文言とは?変更箇所や注意点を紹介
紙の契約書をスキャン・保存する際の主な要件
紙媒体で作成された契約書をスキャンし保存する際は、要件を満たす必要があります。
法改正によって要件が緩和される場合もあるため、常に最新の情報を基に電子化を進めることが大切です。
ここでは、紙の契約書をスキャンし、保存する際の主な要件を5つ紹介します。
①見読性の確保
見読性とは、電子的に保存したデータが容易にアクセスできる状態のことをいいます。
具体的には、電子契約の内容を速やかに確認できるパソコンやディスプレイ、プリンターなどの機器を整備しておく必要があります。
パソコンやディスプレイの設置数については明確な定めはありませんが、容易にアクセスできる環境を確保・維持しておくことが大切です。
保存するデータについては、ディスプレイで確認する際と紙に印刷した際に、肉眼で内容を確認できる品質を保っていなければなりません。
内容が読み取れないものは、見読性が確保されているとは認められません。
②タイムスタンプの付与
タイムスタンプとは、電子データが作成・編集された日時を証明する技術です。TSA(時刻認証局)で認証されるため、正確な時刻を電子データに付与できます。
契約内容の改ざんやなりすましによる契約を防止する効果が期待でき、電子データの信頼性や原本性を確保するのに有用です。
以前は、すべてのデータにタイムスタンプの付与が義務づけられていましたが、一部緩和されました。
現在は、訂正・消去の履歴が確認できるデータ、もしくは訂正・消去ができないシステムを導入していればタイムスタンプの付与は必要ありません。
それ以外のデータについては、従来どおりのタイムスタンプ付与が求められます。
③検索機能の確保
電子契約を保存・保管する際は、履歴から範囲を絞り込んで検索できる機能を確保しておく必要があります。
取引年月日や金額、取引先の項目で検索できれば、要件を満たすことが可能です。
また、税務職員から保管データのダウンロードを求められた際に対応できる状態が確保されていれば、項目の組み合わせ検索や範囲指定検索などの要件が緩和されます。
以前は、検索要件を満たすために複雑なシステムを導入する必要がありましたが、要件緩和によりシステムの選択肢の幅が広がりました。
④マニュアルの整備
書類を電子データとして保存する際は、データを閲覧するために必要な機器のマニュアルを整備しなければなりません。
電子データの保存方法はもちろん、パソコンやディスプレイなどの機器の取扱い、閲覧時のルールを示す必要があります。
初心者でもすぐに理解できるような分かりやすい内容で作成することが大切です。
容易に確認できる状態を確保できるのであれば、マニュアルは紙媒体とデータのどちらでも問題ありません。
⑤スキャナのスペック
スキャナとは、書類を読み取ってデータ化する機器であり、紙媒体の書類を電子化する際に必要になります。
紙媒体で作成された書類をスキャンしてデータ化する際は、スキャナのスペックに注意しなければなりません。
スキャナに求められるスペックは以下の通りです。
- スキャン時の解像度が25.4mm当たり200ドット以上で読み取れるもの
- 赤色と緑色および青色の階調がそれぞれ256階調以上で読み取れるもの
- 一般書類の場合は、白色から黒色までの階調が256階調以上で読み取れるもの
>>電子契約の保管は契約書のスキャナ保存も含む?電子文書との違いとは
まとめ
この記事では、電子契約について以下の内容で解説しました。
- 電子契約とは
- 電子契約の保存方法
- 紙の契約書をスキャンする際の要件
電子契約やスキャンしてデータ化した書類を保存する際は、要件を満たしたうえで行わなければなりません。
要件を満たすことは法律を守ることだけではなく、書類の安全性・信頼性を守ることでもあります。
法改正により、要件は緩和される傾向にあるため、常に最新情報を参考に保存することが大切です。
ただし、紙の契約書は原本として保管しておき、いつでも検索・閲覧するために別途スキャンして保存する場合は、上記のような要件はなく、全く問題ありません。
『WAN-Sign』は、電子取引において、電子帳簿保存法に対応している電子契約・契約管理サービスです。
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