電子署名・電子印鑑・電子サインの違いは?メリットや注意点、作成方法も解説
(公開日:2023年6月30日)
目次[非表示]
- 1.電子署名・電子印鑑・電子サインとは?
- 2.電子署名・電子印鑑・電子サインの違い
- 3.電子文書に押印が不要な理由
- 4.電子署名・電子印鑑・電子サインを利用するメリット
- 4.1.紙代やインク代を削減できる
- 4.2.契約フローにおける業務効率化につながる
- 4.3.情報漏えいや改ざんを防止しやすくなる
- 4.4.文書の半永久的な保存が可能になる
- 4.5.書類の発送・保管コストの削減につながる
- 4.6.リモートワークに対応しやすくなる
- 4.7.スピーディーに取引できる
- 4.8.印章の紛失リスクを低減できる
- 4.9.書類を検索・閲覧しやすくなる
- 5.電子署名・電子印鑑・電子サインを利用する際の注意点
- 5.1.画像データの電子印鑑はコピーや悪用のリスクがある
- 5.2.導入費用や運用の手間がかかる
- 5.3.取引先の合意が必要
- 5.4.一部対応できない書類がある
- 5.5.セキュリティ対策が必要になる
- 6.電子署名・電子印鑑・電子サインの作成方法
- 6.1.電子署名の作成方法
- 6.2.電子印鑑の作成方法
- 6.3.電子サインの作成方法
- 7.電子署名・電子印鑑・電子サインに関するよくある質問
- 7.1.電子署名・電子印鑑・電子サインに法的効力はある?
- 7.2.電子サインにはどんなタイプがある?
- 7.3.電子契約を印刷して押印しても有効?
- 7.4.電子契約は一方のみの署名でも有効?
- 7.5.電子契約なら印紙税はかからない?
- 7.6.電子署名付きのPDFファイルの確認方法は?
- 8.まとめ

電子契約や契約書の電子化を進める中で、「電子署名」「電子印鑑」「電子サイン」の違いが分からず、どの方法を選べばよいのか迷った経験はありませんか?いずれも紙の契約書における署名・押印の代わりとして利用されますが、本人確認の方法や改ざん防止の仕組み、証拠力には違いがあります。
本記事では、電子署名・電子印鑑・電子サインの違いを整理し、電子文書に押印が不要とされる理由を解説します。あわせて、メリットや導入時の注意点、作成方法、よくある質問にも触れますので、ぜひ参考にしてください。
電子署名・電子印鑑・電子サインとは?
電子署名・電子印鑑・電子サインは似た場面で使われますが、それぞれ役割が異なります。まずは、特徴と違いについて解説します。
電子署名とは?
電子署名とは、電子文書において「誰が作成・承認したのか」と「作成後に改ざんされていないか」を示すための仕組みです。法的な有効性を持たせられるため、一定の要件を満たす電子署名は、電子文書の真正な成立の推定や、署名後の改ざん有無の確認に役立ちます。
電子署名の基盤となっているのが、公開鍵暗号方式です。
署名者は秘密鍵と公開鍵のペアを生成し、秘密鍵でデータに署名します。公開鍵は検証者に共有され、署名を検証するために使用されます。
電子印鑑とは?
電子印鑑とは、紙の印影を電子データ化したものです。会社名や氏名の印影画像を作成し、PDFファイルやWord、Excelなどの電子文書に挿入して利用します。
ただし、画像データのみの電子印鑑は、本人確認や改ざん検知の機能を持ちません。契約書で利用する場合は、印影そのものではなく、誰が押したのか、いつ押したのか、押印後に文書が改ざんされていないかを確認できる仕組みが必要です。
電子サインとは?
電子サインとは、電子署名も含む広い概念で、電子的な方法で本人の同意や承認を示すことを指します。氏名入力、チェックボックスへの同意、タブレットへの手書きサイン、メール認証による契約同意などが含まれます。
署名者は、デジタルツールを使用して電子文書にサインします。この際、利用する仕組みによっては、個人の識別情報や署名データなどが記録されます。
電子サインは、物理的な署名に比べて迅速かつ効率的であり、遠隔地やオンライン上での取引に便利です。
電子署名・電子印鑑・電子サインの違い
電子契約を導入する際に、電子署名・電子印鑑・電子サインの特徴の違いを理解しておくことは非常に重要です。
電子署名の特徴
電子署名の特徴は、本人性と非改ざん性を確認しやすいことです。電子証明書、認証情報、タイムスタンプ、操作ログなどを組み合わせることで、誰がいつ文書に同意したのか、署名後に内容が変更されていないかを確認できます。
電子印鑑の特徴
電子印鑑は、社内文書や見積書における押印の代替手段として使われています。WordやPDFに印影画像を挿入するだけで押印を表現できるため、書類を印刷せずに処理できます。
ただし、画像データだけの電子印鑑は複製や転用が容易です。契約書で利用する場合は、印影そのものではなく、誰が押したのか、いつ押したのか、押印後に文書が改ざんされていないかを証明できる仕組みが求められます。
電子サインの特徴
電子的な方法で同意・承認を示す手段です。メール認証による契約内容への同意、画面上での氏名入力、タブレットへの手書き署名、本人確認済みアカウントによる承認などがあり、利用するサービスによって採用される方法は異なります。
電子文書に押印が不要な理由
昨今のデジタル時代においては、電子署名に法的な有効性や信頼性があることから、電子文書への押印が不要とされています。
ここでは、電子文書に押印が不要な3つの理由を具体的に解説します。
電子署名が押印の役割を果たすから
物理的な印章を使って、電子ファイルに直接押印することはできません。
しかし、電子契約では電子署名を使用することで、押印に代わる意思表示の証跡を電磁的な記録として電子ファイルに書き込めます。
現在の電子署名は暗号技術を利用しており、改ざんが検知された場合に警告が表示される仕組みになっています。また、タイムスタンプ機能によって、署名が行われた日時を正確に把握することが可能です。
電子署名は高いセキュリティ水準を備えており、改ざんされていないことを確認できる電子ファイルには、両当事者の合意内容が正確に書き込まれています。
電子署名法で印影が不要とされているから
『電子署名法』とは、電子文書における署名の法的効力を定めた法律です。
電子署名法第3条では、本人によって電子署名が施された場合、紙の契約書に署名・押印した場合と同様に真正な成立を推定すると明記されています。
したがって、電子ファイルに印影を付与することは求められておらず、法的に電子契約に埋め込む必要性はありません。
政府が押印不要と言及しているから
内閣府・法務省・経済産業省によって2020年6月に公開された『押印に関するQ&A』でも、押印に関して以下のように言及されています。
Q1.契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。
私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。
電子署名・電子印鑑・電子サインを利用するメリット
電子化のメリットは、紙代の削減にとどまりません。契約フロー、保管、検索、リモート対応の効率化にもつながります。
紙代やインク代を削減できる
電子署名・電子印鑑を利用すると、契約書や社内文書の印刷を減らせます。紙代、インク代、封筒代、ファイル代などの削減につながるほか、契約書を印刷・押印・製本して送付する作業も省略できます。
契約フローにおける業務効率化につながる
電子契約システムを使うと、契約書の送信から、承認、署名、締結完了通知までオンラインで進められます。出社して印鑑を押す、郵送を待つ、紙の回覧を追うといった作業が減ります。
また、承認ワークフローや操作ログによって進捗状況を把握しやすくなり、押印待ちや返送待ちによる契約締結の遅れを防ぎやすくなります。
情報漏えいや改ざんを防止しやすくなる
電子署名・電子契約システムでは、アクセス権限、本人認証、操作ログ、暗号化、改ざん検知などの機能を利用できます。紙の契約書の放置やメール誤送信、最新版の取り違えといったリスクの軽減に役立ちます。
文書の半永久的な保存が可能になる
電子文書は、物理的に変色したり破れたりする心配がありません。契約書データをバックアップし、検索できる状態で管理しておけば、必要なときに取り出せる形で長期保管できます。
書類の発送・保管コストの削減につながる
紙の契約書では、郵送費、封筒代、印紙代、保管スペースの確保、ファイリング作業が発生します。一方、電子契約を活用すると、契約書の送付から締結、保管までオンラインで進められます。
また、契約管理サービスなどで電子データとして管理すれば、取引先名、契約日、契約金額、更新期限などで検索でき、紙の原本を探す手間を削減できます。
リモートワークに対応しやすくなる
オンラインで締結できる契約の場合、担当者が出社しなくても契約手続きを進められます。リモートワークや出張中でも、承認依頼を受け取り、内容を把握し、契約締結まで進められます。
スピーディーに取引できる
電子契約は、郵送や返送にかかる時間を短縮できる方法です。取引先へ契約書を送信し、相手がオンラインで内容を確認して署名すれば、締結までの期間を縮められます。
印章の紛失リスクを低減できる
紙の印鑑を使う運用では、印章の紛失、無断使用、保管場所の管理が問題になります。電子署名や電子契約システムへ移行すると、物理的な印章を持ち出す機会を減らせます。
書類を検索・閲覧しやすくなる
契約管理サービスなどで契約書を電子データとして管理すると、取引先名、契約書名、締結日、契約期間、更新期限などで検索できます。紙のファイルを探す時間が減り、法務や総務、経理、営業担当者が同じ契約情報を参照できます。
電子署名・電子印鑑・電子サインを利用する際の注意点
電子化では、法的効力に加えて運用とセキュリティが重要となります。導入前にデメリットや注意点を押さえましょう。
画像データの電子印鑑はコピーや悪用のリスクがある
画像データの電子印鑑は手軽に作成できますが、コピーや転用が容易です。印影画像だけを共有フォルダで管理すると、誰がいつ押したのかを証明できず、第三者による無断利用も見分けにくくなります。
導入費用や運用の手間がかかる
月額費用、手数料、送信料、初期設定費用に加え、社内研修や既存の契約書の移行作業などの負担が発生します。また、既存の押印フローをそのまま電子化するだけでは十分な効率化は期待できません。導入前に、対象書類や利用部署、承認フロー、取引先への案内、保管ルールを整理してから運用を設計することが重要です。
取引先の合意が必要
電子契約を利用するには、取引先の同意が必要です。相手が紙の契約書や押印を求める場合は、電子契約へ切り替える目的や署名方法を説明し、事前に電子契約で締結する旨をメールや取引条件で共有します。
一部対応できない書類がある
すべての契約書を、一般的な電子契約サービスだけで同じように締結できるわけではありません。法律上、書面や特別な方式が求められる契約は、電子契約のみで完結できない場合があります。
たとえば、農地の賃貸借契約は、農地法第21条により、書面による契約が義務付けられています。また、相手の事前承諾が必要な契約や、業界慣行上紙での提出を求められる書類もあるため、対象書類ごとに電子化できる範囲を分けておきましょう。
セキュリティ対策が必要になる
契約書データをオンライン上で扱うため、紙の契約書とは異なる管理が求められます。導入時は、アカウント権限、本人確認、パスワード管理に加えて、アクセス制限や暗号化、操作ログ・監査証跡、二要素認証、データの保管場所を確認します。
>>電子契約できない契約書とは?相手の事前承諾が必要な例と見分ける際の注意点
電子署名・電子印鑑・電子サインの作成方法
利用するツールやサービスによって、署名の作成方法、本人確認の流れ、ログ保存の範囲が変わります。
電子署名・電子印鑑・電子サイン、それぞれの作成方法を簡単に説明します。
電子署名の作成方法
通常、電子契約システムや電子署名サービスを使って電子署名を作成します。まず契約書データをアップロードし、署名者や承認者を設定して相手へ送信します。その後、相手が認証を行い、契約内容に同意することで電子署名が付与されます。
電子印鑑の作成方法
電子印鑑は、印影作成ソフト、電子印鑑サービス、PDF編集ソフト、WordやExcelの図形機能などで作成できます。会社名や氏名を入力し、フォントや印影デザインを選んで、画像データとして保存する流れが一般的です。
なお、自作した画像データの電子印鑑は、本人確認や改ざん検知の機能を持ちません。社内文書へ簡易的に使う場合でも、保存場所や利用者を決めておく必要があります。
電子サインの作成方法
電子サインは、利用するサービスや書類によって方法が異なります。画面上で氏名を入力する、チェックボックスに同意する、タブレットに手書きで署名する、メール認証で承認する方法などがあります。
電子署名・電子印鑑・電子サインに関するよくある質問
電子署名・電子印鑑・電子サインに法的効力はある?
契約は、法令で特別な方式が求められるものを除き、当事者の合意で成立します。電子署名、電子印鑑、電子サインを使った契約でも、合意内容を証明できれば契約として扱われます。
電子サインにはどんなタイプがある?
簡易的な電子サインとして、PDFやWordファイルにサインや印鑑の画像データを貼り付ける方法があります。これは、タイムスタンプや電子証明書などを使わないため、厳密には本人性・非改ざん性を証明できません。
本人性・非改ざん性のある電子サインを行うには、電子署名が可能な電子契約システムを利用します。さらに電子署名は、電子認証局によって発行される当事者名義の電子証明書を利用する「当事者型」と、電子契約システムの事業者名義の電子証明書を利用する「立会人型」の2つのタイプに分かれます。当事者型のほうがより厳密な電子署名です。
電子契約システムによっては、氏名入力やチェックボックスへの同意、タブレットへの手書きサイン、メール認証、SMS認証、IDログインを使った承認方法などに、タイムスタンプや操作ログを組み合わせます。
電子契約を印刷して押印しても有効?
電子契約を印刷しただけの紙は、原則として電子契約データの写しであり、電子データ自体の真正性が高まるわけではありません。一方で、印刷した紙に当事者が署名・押印し、契約成立を証明する文書として扱う場合は、紙の契約書として扱われるケースがあります。
電子契約は一方のみの署名でも有効?
契約は、当事者間の合意があって初めて成立します。電子契約で片方だけが署名し、相手の承認や同意を示す記録が残っていない場合は、契約成立を説明しにくくなります。
電子契約なら印紙税はかからない?
電子契約を電子データとして作成・送信し、紙の課税文書を作成しない運用であれば、収入印紙は不要とされています。
電子署名付きのPDFファイルの確認方法は?
電子署名付きのPDFファイルは、PDF閲覧ソフトや電子契約システムで署名情報を確認します。主な確認項目は、署名者、証明書、署名日時、署名後の変更有無、タイムスタンプです。
まとめ
電子署名・電子印鑑・電子サインは、作成方法や本人確認の方法、残せる記録が異なります。電子契約を導入する前に、どの契約で電子署名を使うか、どの場面で電子印鑑や電子サインを使うかを整理しておきましょう。
あわせて、締結後の契約書をどのように保管・検索し、更新期限を管理するかも決めておきたいところです。
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