電子契約に印鑑は不要!電子印鑑の有効性や注意点、メリット・デメリットを解説

(公開日:2023年6月1日)

目次[非表示]

  1. 1.電子契約に印鑑が不要な理由
    1. 1.1.電子署名が印影の代わりとなるから
    2. 1.2.電子署名法では印影が必要とされないから
    3. 1.3.経済産業省の「押印に関するQ&A」でも必須ではないと明示されているから
  2. 2.電子印鑑は実印として有効?
    1. 2.1.電子印鑑だけでは実印の代わりにならない
    2. 2.2.電子印鑑の有効性は電子署名の有無によって異なる
    3. 2.3.電子署名された契約は実印押印書面と同様に高い証拠力を持つ
  3. 3.電子証明書やタイムスタンプのない電子印鑑を使用するリスク
    1. 3.1.①電子印鑑の偽造
    2. 3.2.②なりすまし
  4. 4.電子契約のメリット
    1. 4.1.①コンプライアンスの強化
    2. 4.2.②業務効率化
    3. 4.3.③コスト削減
    4. 4.4.④テレワークへの対応
    5. 4.5.⑤書類保管スペースの削減
  5. 5.電子契約のデメリット
    1. 5.1.①業務フローの見直しが必要になる
    2. 5.2.②取引先への事前説明が必要になる
    3. 5.3.③サイバー攻撃のリスクがある
    4. 5.4.④電子化できない契約類型や、書面が求められる契約類型が法律で定められている
    5. 5.5.⑤電子化する際に、相手方の事前承諾が必要な契約類型が法律で定められている
    6. 5.6.⑥紙の契約書を並行して利用する場合、負担になる可能性がある
  6. 6.電子契約の印鑑についてよくある質問
    1. 6.1.Q. 電子契約に電子印鑑は必要?
    2. 6.2.Q. 電子契約では割印は必要?
    3. 6.3.Q. 印鑑なしの電子契約では実印や社印の代わりに何を使う?
  7. 7.まとめ

電子契約に印鑑は不要!電子印鑑の有効性や注意点、メリット・デメリットを解説

電子契約が広がるなか、紙の契約書に慣れている担当者ほど「印鑑を押さなくても契約として有効なのか」「電子印鑑にはどのような法的意味があるのか」と迷いがちです。

電子契約では、印影の有無だけで契約の確かさを判断しません。誰が・どの手続きで・どの内容に合意したのかを記録として残せるかが、実務上のポイントになります。

本記事では、電子契約に印鑑が不要な理由、電子印鑑の有効性やリスク、導入時の注意点、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。

電子契約に印鑑が不要な理由

電子契約では、紙の契約書のように印影そのものを証拠の中心とはしません。電子署名・認証情報・タイムスタンプ・締結ログなどを用いて、誰がいつ合意したのか、契約書データが改ざんされていないかを記録します。なぜ電子契約に印鑑が不要なのか、いくつかの理由をまとめました。

電子署名が印影の代わりとなるから

電子契約では、紙の契約書における印影の役割を、電子署名が補います。電子署名は、誰が契約内容に合意したのかを示せるほか、データ改ざんの有無も確認可能です。また、タイムスタンプを押すことで、客観的な時刻証明や、効力の長期化も可能となります。

電子署名法では印影が必要とされないから

電子署名法では、電磁的記録に紙の印影を付けることは求められていません。本人による一定の電子署名が行われた電磁的記録は、真正に成立したものと推定されます。印鑑の有無よりも、本人が契約内容に合意したことを電子署名によって示せるかが重要です。

【参考】電子署名及び認証業務に関する法律 第三条(e-GOV法令検索)

経済産業省の「押印に関するQ&A」でも必須ではないと明示されているから

内閣府・法務省・経済産業省は「押印に関するQ&A」ページにおいて、特段の定めがある場合を除き、契約の成立・効力に押印は必須ではないとしています。電子契約においても、電子署名や締結ログなどで合意の経緯を記録できれば、印鑑に頼らず契約締結を進められます。

【参考】押印に関するQ&A(経済産業省)

電子印鑑は実印として有効?

電子印鑑は、実印と同じ仕組みで本人性を示すものではありません。印影画像だけでは証拠として弱い場合があるため、電子署名や本人確認、タイムスタンプなどの仕組みとあわせて扱います。

電子印鑑だけでは実印の代わりにならない

印影を画像データ化しただけの電子印鑑では、誰が押したのか、本人の意思にもとづくものなのかを十分に示せません。実印は印鑑登録や印鑑証明書と組み合わせて本人性を示すため、電子印鑑とは証拠の残し方が異なります。

そもそも、電子印鑑と電子署名の違いは、本人の意思表示や当該電磁的記録の真正性を、どの情報で裏付けるかにあります。朱肉で押した印章をスキャンして電子ファイルへ貼り付けた画像は、それだけで証拠能力や信頼性が高まるわけではありません。認証局が発行する電子証明書や利用者の識別情報、改ざん防止の技術まで確認することで、契約の安全性を高めやすくなります。

電子印鑑の有効性は電子署名の有無によって異なる

電子印鑑の有効性は、電子署名や本人確認の仕組みを伴うかどうかで変わります。印影画像だけでは証拠として弱くても、電子署名や電子証明書、タイムスタンプなどがあれば、誰がいつ契約内容に合意したのかを示しやすくなります。

電子署名された契約は実印押印書面と同様に高い証拠力を持つ

電子署名法では、本人による一定の電子署名が行われた電磁的記録について、真正に成立したものと推定されます。ただし、実際の証拠力は電子署名の方式や本人確認、認証情報の管理状況によって変わるため、契約の重要度に合った仕組みで運用しましょう。

電子証明書やタイムスタンプのない電子印鑑を使用するリスク

電子証明書やタイムスタンプが付与されていない電子印鑑を使用する場合、リスクに注意しなければなりません。電子印鑑の印影はあくまで画像でしかないため、偽造やなりすましに使用される可能性があります。

特に無料ツールやWord、Excelなどで作成した印影画像をPDFファイルへ貼り付けるだけのタイプは、画像データとして複製されやすく、誰がいつ使用したのかも追いにくくなります。電子契約書にハンコのような表示があっても、本人確認や改ざん防止の仕組みがなければ、契約締結後にトラブルを招く可能性があります。

ここでは、電子契約で電子印鑑を使用する際のリスクをご紹介します。

①電子印鑑の偽造

電子印鑑のなかには、無料ソフトや画像編集ツールで簡単に自作できるものがあります。角印や社名入りの印影を画像化してPDFへ貼り付けるだけであれば、見た目は紙のハンコに近くなります。

ただし、印影が単なる画像データの場合、第三者に複製されたり、別の電子文書へ流用されたりするリスクがあります。電子証明書やタイムスタンプが付いていなければ、正規の担当者が使った電子印鑑なのかを後から説明しにくくなります。

無料ダウンロードできる電子印鑑の作り方は手軽ですが、操作画面で社名を入力し、クリックだけで発行できるタイプは、本人確認や権限管理の機能が十分でない場合があります。社内向けの請求書や軽微な確認書に使うときでも、重要な契約では有料プランの電子契約システムと併用するなど、用途に合う運用かを事前にチェックしましょう。

②なりすまし

電子印鑑は、タイプによって使用者や使用日時を判別できないものがあります。誰がファイルを作成し、どの操作で契約締結まで進んだのかが記録に残らない場合、第三者によるなりすましや不正利用があっても、後から経緯を追いにくくなります。

なりすましのリスクを抑えるには、本人確認、操作履歴、アクセス権限、タイムスタンプなどを備えた契約システムの活用が有効です。電子印鑑を使う際は、印影の有無だけでなく、契約業務の流れを記録できる仕組みまであわせて整えておきましょう。

電子契約のメリット

電子契約が自社に合った取り組みか見極めるためには、どのようなメリットがあるかを把握しておくことが大切です。

ここでは、電子契約のメリットを5つ紹介します。

①コンプライアンスの強化

書面契約は、改ざんされた可能性がある場合に改ざんを証明することが難しい場合があります。

一方で、電子契約では、誰がいつ署名したかや、何らかの手が加えられたことが記録として残るため、コンプライアンス強化を図ることが可能です。

②業務効率化

書面契約では、印刷費用や押印の手間、郵送にかかる時間などにより、円滑に業務を進めることができない場合があります。

しかし、電子契約は作成から締結まですべてオンライン上で行われるため、業務効率化につなげられます。

③コスト削減

書面による契約は、印刷するための紙やインクの費用、取引先へ郵送するための郵送料や、担当者が現地に行くための交通費など、さまざまなコストがかかります。

電子契約の場合、書類のやりとりはメールで完結できるため、これらのコストを削減することが可能です。

また、電子契約には印紙税が課税されないため、収入印紙のコストを抑えられるメリットもあります。

④テレワークへの対応

書面契約や物理的な印鑑を使用している場合、テレワークをする従業員は会社や取引先へ足を運ばなければならないケースがあります。

電子契約は、作成から締結までのすべてをオンライン上で完結できます。

場所を問わず締結業務を遂行することが可能であるため、社内のテレワーク推進に有効です。

⑤書類保管スペースの削減

契約書のなかには、一定期間保管することが義務づけられているものがあり、保管するためのスペースが必要です。

電子契約は電子データであるため、社内サーバーやオンラインストレージに保存できます。

物理的な保管スペースを必要としないため、社内の保管スペースを削減することが可能です。

電子契約のデメリット

電子契約は便利な一方で、いくつかのデメリットが存在します。社内フローや取引先対応に加え、セキュリティと契約類型ごとの手続きを押さえましょう。

①業務フローの見直しが必要になる

電子契約を導入する際は、契約書の作成から確認、承認、送信、締結、保管までの流れを見直す必要があります。紙の押印フローをそのまま電子化すると、承認者や保管場所が曖昧になり、承認漏れや管理の分散につながります。導入前に、送信権限や承認ルート、締結後の保管先、期限管理の方法を決めておきましょう。

②取引先への事前説明が必要になる

取引先が電子契約に慣れていない場合、署名画面の操作、本人確認、締結後の契約書の取得方法で迷う可能性があります。事前に使用する契約システムや署名手順を共有・説明しておくと、差し戻しや締結遅れを防げます。

③サイバー攻撃のリスクがある

契約書データや取引先情報をオンライン上で扱うため、不正アクセスや情報漏えいへの対策が必要です。アクセス権限、二段階認証または多要素認証、ログ管理、通信やデータの暗号化などを確認しておきましょう。

④電子化できない契約類型や、書面が求められる契約類型が法律で定められている

電子契約を導入しても、法律上、書面での契約が求められる契約類型は電子化できない場合があります。例えば、農地の賃貸借契約は農地法第21条により、契約内容を明らかにした書面で締結しなければなりません。公正証書の作成手続きはデジタル化が進んでいるため、「電子化できない契約」とひとくくりにせず、対象の契約ごとに必要な手続きを確認しましょう。

⑤電子化する際に、相手方の事前承諾が必要な契約類型が法律で定められている

契約や対象書面によっては、電子化する前に相手方の承諾が必要です。代表例として、建設工事請負契約や、不動産取引における重要事項説明書・契約締結時交付書面などが挙げられます。

電磁的方法で進める際は、相手方へ方法を説明し、承諾を得た記録を残しておきましょう。

⑥紙の契約書を並行して利用する場合、負担になる可能性がある

取引先や契約類型によっては、社内に紙の契約書が残ります。紙原本と電子契約データの保管場所が分かれると、検索や更新期限の管理に手間がかかるでしょう。契約台帳や保管ルールをそろえ、紙と電子を同じ基準で管理できるようにしておきます。

電子契約の印鑑についてよくある質問

Q. 電子契約に電子印鑑は必要?

電子契約に、電子印鑑の印影画像は必須ではありません。印影画像は見た目として紙のハンコに近い役割を持ちますが、それだけで契約の証拠力を十分に支えるものではありません。

Q. 電子契約では割印は必要?

電子契約では、紙契約書のように複数の原本をまたぐ割印は通常不要です。電子契約書は電子文書として扱われ、電子署名やタイムスタンプなどによって、文書の同一性や非改ざん性を示す仕組みが使われます。

Q. 印鑑なしの電子契約では実印や社印の代わりに何を使う?

印鑑なしの電子契約では、実印や社印とまったく同じものを電子上で置き換えるわけではありません。電子署名、電子証明書、タイムスタンプ、本人確認情報、署名時のアクセスコードなどを使い、本人性や非改ざん性、契約締結の時点を示します。

まとめ

電子契約では、紙の契約書のように物理的な押印は行いません。印影画像を添付することはできますが、画像だけでは本人性や文書の真正性を十分に示せない場合があります。そのため、電子署名、電子証明書、タイムスタンプ、アクセスコードなどを活用し、誰がどの内容に合意したのかを記録として残せる仕組みを用意しましょう。

なお、電子契約を安全に運用するには、締結時の合意記録から、締結後の文書の検索・保管・管理まで一貫して扱える体制が必要です。契約内容や相手方に応じて締結方法を使い分けられるサービスなら、電子化後の契約業務をスムーズに行えます。

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