電子契約に関連する法律と要件を紹介


目次[非表示]

  1. 1.電子契約に関連する法律
    1. 1.1.①電子帳簿保存法
    2. 1.2.②電子署名法
    3. 1.3.③e-文書法
    4. 1.4.④IT書面一括法
    5. 1.5.⑤民法
  2. 2.電子契約の要件
    1. 2.1.①電子帳簿保存法の要件
    2. 2.2.②電子署名法の要件
    3. 2.3.③e-文書法の要件
  3. 3.電子契約導入時の注意点
    1. 3.1.①顧客・取引先との合意が必要
    2. 3.2.②電子契約に対応していない契約がある
    3. 3.3.③業務フローの見直しが必要
  4. 4.まとめ



電子データでやりとりを行い、オンライン上で締結業務ができる電子契約。

従来の書面による契約とは異なり、印刷するためのコストや書類をやりとりするための時間や手間がかからないという特徴があります。

電子契約は企業にとってメリットとなり得ますが、適切に導入するためには関連する法律を遵守することが大切です。

担当者のなかには、「電子契約の導入を検討している」「電子契約に関連する法律や要件について知りたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、電子契約に関連する法律や要件、導入時の注意点について詳しく解説します。


>>電子契約における契約書の文言とは?変更箇所や注意点を紹介


電子契約に関連する法律

電子契約には、さまざまな法律が関わっています。適切に導入するためには、それぞれの法律の内容を把握し、遵守することが大切です。

ここでは、電子契約に関連する法律を5つ紹介します。


①電子帳簿保存法

電子帳簿保存法とは、従来の紙の契約書およびデータで作成された契約書の電子的保存を認める法律です。

国税に関わる書類が対象であり、仕訳帳や総勘定元帳、契約書などが含まれます。保存方法やタイムスタンプの付与など、細かい要件が定められています。


②電子署名法

電子署名法とは、電子契約で用いられる電子署名の法的効力を定義する法律です。

電子署名の使用者が本人であること、改ざんされていないことを証明できる書類に限り、有効性が認められます。


③e-文書法

e-文書法とは、契約書や領収書などの書類を電子的に保存する際のルールを定めた法律です。

電子帳簿保存法より対象が広く、税法や商法などで保存が義務づけられている書類の電子的保存を認めています。


④IT書面一括法

IT書面一括法とは、顧客や取引先が承諾した場合に限り、書面ではなく電子データでの交付を認めた法律です。 

メールやインターネットを通して電子データを交付することが可能ですが、これはあくまで交付を認める法律であり、保存に関する定めは設けられていません。


⑤民法

民法とは、日常生活における契約関係のルールを定めた法律です。

契約が成立するための明確な形式が定められていないため、書面がない場合でも契約を成立させることができると考えられます。

原則として、当事者同士が合意した段階で契約は成立するため、電子契約でも問題はないといえます。

ただし、法令によって書面での作成が求められている契約もあります。


>>電子署名とは?導入のメリット・デメリットと必ず知るべき注意点



電子契約の要件

電子契約を適切に導入するためには、要件を満たす必要があります。

関連する法律によって要件が異なるため、内容を確認したうえで導入することが大切です。

ここでは、電子契約の要件を紹介します。


①電子帳簿保存法の要件

電子帳簿保存法では、3つの保存方法(電子帳簿保存、スキャナ保存、電子取引保存)が定められています。  

電子契約が該当する電子取引保存については、電子保存のみが認められており、印刷して保管することはできません。(※印刷しての保管については、2023年5月現在宥恕期間が設けられているため、常に最新の情報を確認する必要があります。)

また、電子取引の保存要件として、真実性の確保、可視性の確保などが必要です。


②電子署名法の要件

電子署名法では、「本人性」と「非改ざん性」の担保を有効な電子署名の要件としており、署名した本人によって作成された文書であると証明できなければなりません。

電子証明書の利用やタイムスタンプの付与で本人性や非改ざん性を確保できます。


③e-文書法の要件

e-文書法が定める要件は主に4つ(見読性、完全性、機密性、検索性)です。  

各府省の主務省令によってはすべての要件を満たさなくてもよい場合があるため、事前に確認することをおすすめします。


>>電子契約における電子署名とは?電子サインとの違いを紹介


電子契約導入時の注意点

電子契約は企業にとってメリットとなり得ますが、単に導入するだけでは適切に運用できない可能性があります。

ここでは、電子契約導入時の注意点を3つ紹介します。


①顧客・取引先との合意が必要

電子契約は、自社と取引先で同じシステムを使用しなければ締結できない場合があります。

電子契約を導入する際は、具体的な仕組みや業務の流れなどを説明したうえで、取引先の協力・合意を得ることが大切です。


②電子契約に対応していない契約がある

契約書のなかには、書面化や書面での交付が義務づけられているものがあります。

電子契約に対応していない契約書を電子化した場合、契約の有効性を確保できないため、注意が必要です。 

電子化ができない契約でも、今後の法改正によって電子契約が認められる可能性はあります。


③業務フローの見直しが必要

電子契約は、従来の書面で行う契約と業務の流れが異なります。

適切に電子契約を導入するためには、電子契約用の業務フローを用意する必要があるため、事前に見直しておくことが大切です。


>>電子契約関連の法律まとめ


まとめ

この記事では、電子契約に関連する法律と要件について以下の内容で解説しました。


  • 電子契約に関連する法律
  • 電子契約の要件
  • 電子契約導入時の注意点


電子契約は単に導入すればよいというものではなく、関連する法律を遵守して運用する必要があります。

電子契約に法的効力を持たせるためには要件を満たすことが重要であり、本人性や非改ざん性の担保が欠かせません。

また、導入の際は顧客や取引先との合意や業務フローの見直しなどが必要になるため、検討段階で自社に合った取り組みか見極めることが大切です。

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厳格な本人確認のもと行われる本人電子署名(当事者型)に加え、取引先との同意を取りつけやすくするために負担が少ないメール認証(立会型・事業者署名型)による締結も利用可能です。

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