契約書の原本とは?写しや謄本との違いや作成部数、紛失時の対応

【この記事でわかること】

  • 契約書の「原本」は直接署名・押印された法的証拠力の高い文書であり、証明力を持たない「写し(コピー)」とは異なる。
  • 紙の契約書原本は契約当事者の数だけ作成して契印(割印)を押し、課税文書への収入印紙の貼付を行う。
  • 紙の契約書原本は、7年から最長で10年など、書類区分に応じた保管が必要となる。
  • 電子契約には印紙税がかからないためコスト削減が可能である。
  • 2024年改正の電子帳簿保存法により、電子取引の契約データはデータのまま保存する義務がある。
  • 電子契約を導入するなら、法改正にも安全に対応できる電子契約・契約管理システム『WAN-Sign』の導入が推奨される。

(公開日:2024年7月19日)

目次[非表示]

  1. 1.契約書の「原本」とは
    1. 1.1.契約書原本の定義と法的効力
    2. 1.2.【比較表】原本・写し・謄本・正本・抄本・副本の違い
  2. 2.紙の契約書における原本の扱い方ルール
  3. 3.電子契約における原本の考え方
    1. 3.1.【比較表】紙の契約書と電子契約の違い
    2. 3.2.電子署名とタイムスタンプによる原本性の担保
    3. 3.3.電子契約における印紙税の扱い
  4. 4.電子帳簿保存法に基づく「契約書の原本」データの保存方法
    1. 4.1.真実性の確保(改ざん防止)
    2. 4.2.可視性の確保(マニュアルの完備)
    3. 4.3.検索要件の確保
  5. 5.契約書の原本に関するよくある質問
    1. 5.1.PDFを印刷したものは「原本」になる?
    2. 5.2.提出した原本は後で返却してもらえる?
    3. 5.3.原本を紛失してしまった場合はどうすればよい?
    4. 5.4.裁判になった際、コピーでも証拠になる?
  6. 6.まとめ

電子契約の原本とは?条件や書面契約との違い、保存時の注意点

契約書を作成・締結する際、「どれが正式な原本になるのか」「コピーは不可か」「何部作成すべきか」など、実務上の取り扱いに迷うケースは少なくありません。

「原本」というと紙の書類をイメージしがちですが、契約の媒体が「紙」か「電子」かによって、原本が指す対象や取り扱いのルールは大きく異なります。

取引先への配慮や、後日の法的トラブルを防ぐ観点からも、契約書類の管理には正確な知識と慎重な対応が求められます。

本記事では、まず「紙の契約書」における原本の取り扱いや基本的なルールを解説し、続いて「電子契約」における原本の考え方について詳しく解説します。

契約書の「原本」とは

契約書の原本とは、当事者が合意内容を確認し、直接署名や押印をした「一番最初に作成されたオリジナル文書(各当事者保管分を含む)」を指します。紙の契約書であれば「直接押印された用紙」、電子契約であれば「電子データそのもの」が原本となります。裁判や税務調査において最も強い法的証拠力を持つ文書です。ここでは、原本の定義や、間違えやすい写し・謄本などとの違いについて解説します。

契約書原本の定義と法的効力

原本は、契約内容を証明する大元となる文書です。企業を対象とした税務調査のほか、トラブルによる裁判などの極めて重要な場面では、コピーではなく証明力の高い「原本」の提出が求められます。

【比較表】原本・写し・謄本・正本・抄本・副本の違い

実務で混同しやすい書類区分を一覧表で整理しました。各書類区分の違いを理解し、提出を求められた際に適切な書類を用意できるようにしておきましょう。

原本と謄本、正本、副本、抄本、写しの違い

書類区分

意味・定義

具体例

効力(証明力)

原本

一番初めに作成されたオリジナルの文書。直接の署名・押印があるもの。

契約書、領収書など

最も強い法的証拠力を持つ。(当事者の数だけ複数存在し得る)

写し(コピー)

原本の内容において一切の改変や変更を行わず、そのままコピーや写しを行った文書全般。

社内での回覧用、内容確認のための控えなど

原本としての証明力は持たない。(あくまで確認用)

謄本

写しの一種。
文字や符号含めて原本の内容すべてをそのままコピーまたは写した文書。

戸籍謄本、履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)など

原本の内容を完全に証明する効力がある。

正本

写しの一種。
あくまで権限を持つ者(公証人など)が、原本に基づいて作成した文書。

公正証書遺言など

原本と同等の効力を持つ。

抄本

写しの一種。
原本の一部を抜粋し、コピーまたは写して作成した文書。

戸籍抄本など

抜粋された部分について、原本の内容を証明する効力がある。

副本

正本の控えとして作成される写し文書。

正本提出時の自社控え、訴状の副本など

正本・原本と同等の効力が認められる場合が多い。

「写し」と「謄本や正本」の決定的な違い

自社でコピーする単なる「写し」に対し、それ以外は強い証明力を持つ公式な文書である点が異なります。

  • 謄本・正本・抄本: 役所や公証人など「権限を持った人」が作成する公的な書類です。証明文や公印があり、原本の代わりとなる強い効力を持ちます。
  • 副本: 提出用の正本などと一緒に作成される「公式な控え(バックアップ用)」です。こちらも正本に準ずる効力が認められます。

紙の契約書における原本の扱い方ルール

紙の契約書の原本は、「当事者の数だけ作成して契印を押し、対象書類には収入印紙を貼付したうえで、法律に基づき7〜10年間厳重に保管する」のが基本ルールです。

この後の「電子契約のメリット」を理解するためにも、紙特有の手間とコストを改めて整理しておきましょう。

  • 作成部数: 契約当事者の数だけ作成し、各自1部ずつ原本を保管するのが基本です。
  • 契印(割印): 改ざんやページの差し替えを防ぐため、複数ページにわたる場合は継ぎ目や見開きに両者の印鑑を押します。
  • 収入印紙の貼付: 課税文書に該当する場合、規定額の収入印紙を貼って消印をする義務があります。
  • 7年〜10年の厳重保管: 会社法(原則10年)や法人税法(原則7年)などの法律に基づき、紛失しないよう鍵付き棚や金庫などで保管します。

電子契約における原本の考え方

電子契約には「紙の原本」が存在せず、クラウドなどで授受した「電子データそのもの」が原本となります。紙特有の手間(契印や印紙の貼付など)が一切不要になるのが最大のメリットです。ここでは電子契約と紙の契約書の違いや、法改正に対応した保存ルールについて解説します。

関連記事:電子契約とは?メリット、書面契約との比較とともに解説 

【比較表】紙の契約書と電子契約の違い

書面(紙)で作成する場合と、電子契約システムを利用する場合の違いを一覧表で整理しました。

電子契約

書面契約

契約書の媒体

電子データ

用紙

保管方法

電子契約サービス会社の

サーバー上など

自社の棚、金庫など

法的効力

電子署名

印鑑(直接の押印)

本人性の証明

電子証明書

印鑑証明書

改ざん防止

タイムスタンプ

契印・割印

送付方法

メール・インターネット

郵送・持参

収入印紙

不要(非課税)

必要

関連記事:電子契約を印刷した場合はどうなる?印紙税の有無や適切な保存方法を紹介

電子署名とタイムスタンプによる原本性の担保

電子データは複製・改ざんが容易なため、紙の印鑑に代わる証明が必要です。電子契約サービスでは、「電子署名」(誰が作成したか)と「タイムスタンプ」(いつ作成され、改ざんされていないか)を付与することで、法的証拠力を担保しています。

なお、電子帳簿保存法にのっとって保存し、クラウドサービス側で「訂正・削除の履歴が残る(または改ざんできない)」要件を満たしている場合、タイムスタンプの付与要件に代えることができるとされています。

関連記事:電子契約における電子署名の基礎知識|実行の方法とよくある質問

電子契約における印紙税の扱い

印紙税法は「用紙に作成された文書」を課税対象としているため、電子データで完結する電子契約は課税対象外(非課税)となります。これによりコスト削減が可能です。

関連記事:電子契約でメール認証を行う流れ|導入するメリットとリスク・注意点

電子帳簿保存法に基づく「契約書の原本」データの保存方法

2024年1月1日から「電子帳簿保存法」により、電子取引において授受した契約書や書類全般は、電子データのまま保存することが義務付けられました。税務調査などにおいて、電子データを用紙で出力して(紙に印刷して)、原本として保存・提示することは認められません。 電子データを「原本」として適法に保存するためには、以下の要件を満たす必要があります。

真実性の確保(改ざん防止)

保存されたデータが、後から不正に改ざんされていないことを証明するためのルールです。

具体的には以下の4つのうち、いずれかの措置を行う必要があります。

  • 送信者側でタイムスタンプが付与されたデータを送信する
  • データを受領後、おおむね7営業日以内に受領側でタイムスタンプを付与する
  • データの訂正・削除の履歴が残る(または訂正・削除できない)システムを利用する
  • 正当な理由がない訂正・削除を防止する「事務処理規程」を定め、運用する

先述した「タイムスタンプ」や「訂正・削除の履歴が残るシステム(または改ざんできないシステム)」を利用することは、まさにこの要件を満たすためのものです。

可視性の確保(マニュアルの完備)

保存した電子データを、必要なときに誰もが速やかに確認できる状態にしておくためのルールです。

具体的には、以下の措置が求められます。

  • 電子データを作成・保存するために使用するパソコンやクラウドサービスなどのマニュアル(システム概要書)を備え付ける
  • 電子データを速やかに画面や書面に出力し、閲覧できる状態にしておく

検索要件の確保

税務調査などの際に、目的の契約データを速やかに探し出せるよう、保存システムに持たせるべき検索機能のルールです。

以下の要件を満たす必要があります。

  • 「取引年月日」「取引金額」「取引先」の主要項目で検索できる
  • 日付や金額を「範囲指定」して検索できる
  • 2つ以上の任意の項目を組み合わせて検索できる

また、税務職員の求めに応じて速やかにデータをダウンロードできる状態であれば、「範囲指定」と「組み合わせ検索」の要件は不要です。

契約書の原本に関するよくある質問

ここでは、契約書原本に関する実務上のよくある疑問として、紛失時の対処法やPDFの原本性、裁判におけるコピーの証明力について解説します。

PDFを印刷したものは「原本」になる?

紙の契約書をスキャンしたPDFデータを、再度プリンターで印刷したものは「原本」にはなりません。「写し(コピー)」としての扱いになります。

紙の契約書において原本と認められるには、あくまで直接の署名・押印がされていることが条件です。

提出した原本は後で返却してもらえる?

行政機関や金融機関に原本を提出する場合、手続き完了後に返却(原本還付)してもらえるケースがほとんどです。提出時に「確認後は返却してほしい」旨を伝え、コピーも一緒に提出して照合してもらうのが一般的です。

原本を紛失してしまった場合はどうすればよい?

社外と契約を交わしたときの契約書の原本を、こちらの不手際でなくしてしまった際は、社内と契約相手に状況を確認し、見つからない場合は事情を説明して謝罪します。

その後、相手方が保管している原本をコピーさせてもらい、原本と相違ない旨の署名(原本証明)をもらうか、必要に応じて覚書を交わす、あるいは再契約を締結することで対処します。

裁判になった際、コピーでも証拠になる?

民事訴訟規則(第143条)により、文書の提出は「原本、正本又は認証のある謄本」で行うのが原則です。コピーはあくまで「写し」であり証拠力が低いため、相手方に「そのコピーは偽造だ」と主張された場合、正当性の証明が困難になり、こちらの主張や反論が不利になります。

関連記事:PDFの電子契約は有効?契約締結の流れとメリット・デメリット

まとめ

電子契約は書面契約とは異なり、実体のないインターネット上でやり取りが行われるため、契約書の正当性や本人性の担保に疑問が生じます。しかし容易に内容の変更が行われない、また行われたとしても改ざん検知機能があるシステムを用いれば、法的効力を持った原本として保存できます。2024年1月1日から電子データの保存が義務化された「電子帳簿保存法」にのっとり、正しく保存しましょう。

また、紙で原本を作成・管理する場合、収入印紙のコストやファイリングの手間がかかります。業務効率化やコスト削減の観点から、現在は印紙代が非課税となる電子契約への移行が強く推奨されています。

はじめて電子契約システムを導入するなら、『WAN-Sign(ワンサイン)』がおすすめです。

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