電子契約の電子証明書とは?電子署名との違いや仕組み、発行の流れ
目次[非表示]
- 1.電子契約における電子証明書とは?
- 1.1.電子証明書とは?
- 1.2.電子証明書が利用される主な場面
- 1.3.電子署名と電子証明書の違い
- 1.4.電子証明書を使った電子署名の仕組み
- 2.電子証明書が発行される流れ
- 3.電子証明書に関するよくある疑問
- 3.1.電子証明書のない電子契約は有効?
- 3.2.認証局から発行される電子証明書はなぜ信頼できる?
- 3.3.複数の電子証明書を発行できる?
- 3.4.電子証明書の発行にはいくら必要?
- 3.5.電子証明書の種類は?
- 4.まとめ
企業同士が電子契約を結ぶ際、重要な契約には電子証明書を利用した電子署名が推奨されます。電子証明書は、契約の正当性や信頼性を確保するという役割があります。電子証明書の仕組みや取得方法を知っておくことで、いざ契約となったときにも円滑に業務を進めやすくなるでしょう。本記事では、電子証明書の重要な役割やその信頼性について詳しく解説し、ビジネスシーンにおけるその必要性を明らかにします。また、電子証明書の発行方法や更新手続きなども詳しく紹介します。
電子契約における電子証明書とは?
電子契約における電子証明書は、安全で信頼性の高い取引を実現する重要な要素です。この記事では、電子証明書の基本的な役割や仕組みについて詳しく解説します。
電子証明書とは?
電子証明書とは、電子ファイルを使用した電子契約などの手続きにおいて、確実に本人であることを証明するための技術です。これは、紙の書類において印鑑を押した際に、本人のものであることを証明する印鑑証明書の役割に該当します。電子証明書は、デジタル社会において重要な役割を果たしており、オンライン取引や電子政府サービスの普及とともに、その需要が急増しています。近年、クラウド型電子契約サービスなども利用されています。
電子証明書は、その信頼性を確保するために、第三者機関である「認証局(CA:Certificate Authorities)」によって発行されます。認証局は、電子証明書の発行に際して厳格な審査を行い、証明書の正当性を保証します。特に、法人が商業登記やその他様々な書類の取得でオンライン上の手続きを行うために使用する証明書は商業登記電子証明書と呼ばれ、これは法務局が発行します。商業登記電子証明書は、企業が法的に有効な手続きを行う際に不可欠であり、その信頼性は非常に高いといえます。
電子証明書が利用される主な場面
ここでは、電子証明書がどのような場面で利用されているのか、具体的な例をいくつか紹介します。
まず、電子証明書は、電子契約において本人が作成した契約書であることを証明する重要な役割を担っています。これにより、契約書に法的効力を持たせることができます。例えば、企業間での取引契約や雇用契約など、紙の契約書と同様に効力を持つ電子契約書の作成に広く使用されています。
また、国が法人に対して発行する「商業登記電子証明書」も重要な電子証明書の一つです。これを使用することで、e-Taxによる納税手続きや、登記・供託オンライン申請システムによる印鑑証明書のオンライン請求が可能となります。この場合、商業登記電子証明書は、申請する法人の正当性を電子的に証明するために使用され、迅速かつ確実な手続きを実現します。
さらに、個人に対しては、マイナンバーカード(個人番号カード)にも電子証明書が保存されています。このカードには、署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書の二種類があり、それぞれ異なる用途で使用されます。例えば、e-Govやマイナポータルを利用した電子申請では、署名用電子証明書が本人確認と申請内容の正当性を証明します。また、コンビニエンスストアで住民票を取得する際には、利用者証明用電子証明書が使用され、個人の認証を迅速かつ安全に行うことができます。
電子署名と電子証明書の違い
電子署名と電子証明書は名称が似ているため混同されやすいですが、それぞれ全く異なる性質を持っています。簡単に言えば、電子署名と電子証明書の役割は、紙の契約時における「押印」と「印鑑証明書」の関係に例えられます。以下で詳しく説明します。
(※今回は、「電子署名」を「サインを行う(押印)」という広義の意味で記載しています。)
役割の違い
電子署名と電子証明書では、証明している役割が異なります。
電子署名
電子ファイルの正当性を証明します。紙の契約書で押印が契約書の作成者が本人であることを証明するのと同様に、電子ファイルに対する電子署名は、その文書が契約者本人によって作成されたことを示します。例えば、PDF契約書に電子署名を使用することで、契約者本人がその内容に同意していることを示せます。
電子証明書
電子署名の正当性を証明します。紙の契約における印鑑証明書が押印は本人によるものであることを証明するのと同様に、電子証明書は、電子署名が本人によるものであることを確認します。電子証明書には署名者の身元情報が含まれ、署名が正当であることを保証します。
証明者の違い
電子署名と電子証明書では、それぞれの正当性を証明する証明者が異なります。
電子署名
契約者本人が証明者です。電子ファイルに署名する行為自体が、契約者がその内容に同意していることを証明します。
電子証明書
第三者機関である「認証局」が証明者です。認証局は、特定の電子署名が特定の利用者によって施されたものであることを証明する役割を担います。認証局は利用者本人やその相手方など第三者からの要求に応じて、署名の正当性を保証するサービスを提供します。
電子証明書を使った電子署名の仕組み
インターネットの利用は便利ですが、セキュリティ上のリスクも潜んでいます。悪意を持つ者がメールを盗み見たり、重要書類を改ざんしたりする可能性があります。その対策として注目されるのが「電子署名」です。これはデータの正当性を証明するための手法で、公開鍵と秘密鍵を使って署名を行い、改ざんやなりすましがないことを確認します。しかし、電子署名だけでは本人確認ができません。そのため、電子証明書が重要です。電子証明書には公開鍵や認証局の情報が含まれており、認証局が発行することで署名者の身元が確認されます。ビジネスでは、企業が発行する契約書に電子署名を行う際に、その正当性を確保するために電子証明書が使用されます。これにより、契約の信頼性が向上し、安心して取引を行うことができます。
電子証明書が発行される流れ
電子証明書の発行手続きは、セキュリティを確保するために以下の手順で進行します。
Step1.電子証明書の発行を申請する
まず、利用者は信頼できる認証局に電子証明書の発行を申請します。申請には、個人情報や法人情報、証明書の利用目的などの詳細を提供する必要があります。オンライン申請が一般的であり、認証局のウェブサイトから必要な書類を提出します。
Step2.本人確認後に電子証明書が発行される
申請が受理されると、認証局は申請者の本人確認を行います。これは、提出された情報が正しいことを確認するための重要なプロセスです。本人確認が完了すると、認証局は電子証明書を発行します。発行された電子証明書は、申請者に電子的に提供され、ダウンロードやインストールが可能です。
Step3.必要に応じて更新手続きを行う
電子証明書には有効期限が設定されており、期限が近づくと更新手続きを行う必要があります。更新手続きは、新しい証明書を発行するプロセスと似ています。利用者は認証局に更新を申請し、再度本人確認を経て新しい電子証明書が発行されます。定期的な更新により、セキュリティの維持が確保されます。
電子証明書に関するよくある疑問
電子証明書については、利用者が抱えるさまざまな疑問があります。ここでは、その中でも特によくある疑問にお答えします。
電子証明書のない電子契約は有効?
電子証明書がない電子契約も法的に有効とされる場合がありますが、信頼性や証拠力においては劣ることが多いです。電子証明書は、契約者の身元を確実に証明し、改ざん防止の役割を果たすため、信頼性の高い契約を結ぶためには必要とされます。
認証局から発行される電子証明書はなぜ信頼できる?
認証局は、厳格なセキュリティ基準とプロトコルに従って電子証明書を発行します。認証局は第三者機関として、申請者の本人確認を徹底し、正当性を保証する役割を担っています。このため、認証局から発行される電子証明書は高い信頼性を持ちます。
複数の電子証明書を発行できる?
複数の電子証明書を発行することは可能です。例えば、異なる用途やシステムでの利用を目的として、個人や法人が複数の電子証明書を取得することがあります。こうすることで、利用シーンに応じたセキュリティ管理が可能になります。
電子証明書の発行にはいくら必要?
電子証明書の発行費用は、認証局や証明書の種類によって異なります。一般的に、個人用の電子証明書は数千円から、法人用のものは数万円から数十万円になることがあります。具体的な料金は、各認証局のウェブサイトで確認できます。
電子証明書の種類は?
電子証明書にはいくつかの種類があります。代表的なものには、個人用の「個人認証証明書」、法人向けの「商業登記電子証明書」、特定の取引や通信に使用される「サーバ証明書」などがあります。それぞれ用途や対象によって選ばれる証明書が異なります。
まとめ
電子契約の進化は、ビジネスの世界に革命をもたらしています。電子証明書と電子署名の適切な利用は、安全で信頼性の高い契約締結を可能にし、ビジネスプロセスの効率化に貢献します。今後も、技術の発展に伴い、電子契約の利用はさらに拡大していくことが期待されます。
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