契約書作成の基本とは?具体的な基本項目や注意点、よくある質問


目次[非表示]

  1. 1.契約書作成の基礎知識
    1. 1.1.契約書作成とは
    2. 1.2.契約方法の種類
    3. 1.3.契約書の種類
    4. 1.4.契約書の必要性とは?
  2. 2.契約書に盛り込む6つの基本項目
    1. 2.1.タイトル
    2. 2.2.前文
    3. 2.3.契約条項
    4. 2.4.契約書の頻出条項
    5. 2.5.後文
    6. 2.6.日付欄と署名欄
  3. 3.契約書作成の流れ
    1. 3.1.STEP1.内容の確認
    2. 3.2.STEP2.ドラフト作成・修正
    3. 3.3.STEP3.契約書の確定・製本
    4. 3.4.STEP4.署名・押印
    5. 3.5.STEP5.契約書の郵送・保管
  4. 4.契約書作成の心構え
    1. 4.1.簡潔で明確な文書作成を心がける
    2. 4.2.合意形成のプロセスを明確にする
    3. 4.3.円滑なコミュニケーションを心がける
    4. 4.4.合意事項は明確に文章化して書面上で行う
  5. 5.契約書作成時の具体的な注意点
    1. 5.1.法的要件を確認する
    2. 5.2.印紙の貼り忘れに気を付ける
    3. 5.3.サインは代表取締役の名義で行う
    4. 5.4.原本と写しの取り扱いに注意する
  6. 6.契約書テンプレート(ひな形)の活用法
    1. 6.1.契約書テンプレート(ひな形)Wordのメリットとデメリット
    2. 6.2.契約書テンプレート(ひな形)Wordを活用した契約書自動作成サービス
    3. 6.3.契約書カスタマイズ(編集)のコツ
    4. 6.4.法務専門家(士業)の意見を取り入れる方法
    5. 6.5.法務専門家(士業)に依頼して独自のカスタム契約書を作成する方法
  7. 7.契約書の見直しと更新
    1. 7.1.定期的な見直しの重要性
    2. 7.2.更新時に注意すべきポイント
    3. 7.3.過去の契約履歴の管理方法
  8. 8.電子契約書の導入と利用法
    1. 8.1.電子契約書のメリットとデメリット
    2. 8.2.電子署名の重要性
    3. 8.3.セキュリティ対策の基本
  9. 9.契約書の保管と管理
    1. 9.1.紙ベースと電子ベースの保管方法
    2. 9.2.契約書の安全な保存とアクセス管理
    3. 9.3.管理システムの導入方法
  10. 10.契約書作成に関するよくある質問
    1. 10.1.法人契約と個人契約の違いは?
    2. 10.2.覚書は契約書としてみなされる?
    3. 10.3.契約書は誰が作成するべき?
    4. 10.4.法律に違反した内容の契約書は有効?
    5. 10.5.約款や規約は契約書と同じ扱いか?
  11. 11.まとめ


契約書作成の基本とは?具体的な基本項目や注意点、よくある質問


企業間の取引で起こり得るトラブルを避けるためには、取引内容や条件などの情報を詳しくまとめた契約書を作成し、契約を締結する必要があります。近年は国際取引の増加や契約条件の複雑化、法務人材が不足している中での契約担当者の負担を軽減する目的で、Webオンラインで利用できる便利な契約書作成代行サービスも登場しています。この記事では、契約書作成の基礎知識や、書面に盛り込む基本項目、注意点を解説します。企業の契約に携わる担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。


契約書作成の基礎知識

初めに、契約書作成の基礎知識を解説します。契約方法や契約書の種類のほか、契約書の必要性を改めて確認してみましょう。


契約書作成とは

契約書作成とは、契約の成立を証明する目的で契約書を作成することです。たとえ契約書を作成していなかったとしても、口約束が成立していれば、その時点で法的効力が生じます。ただし、契約の成立を証明することでトラブル防止につながるという理由から、ビジネスシーンでは契約書を作成することが一般的です。

なお、契約締結前に見積書やメールでやり取りが行われるケースもありますが、これらの文書はあくまでも契約を促す役割です。正式に契約の成立を証明する必要がある場合は、契約書を作成しましょう。

様々な取引条件や複雑なビジネス要件が含まれている場合など契約書へ盛り込んでおくことでお互いに契約内容を把握し合意することができるため安心してビジネスを行うことができます。


契約方法の種類

口頭契約

契約当事者が対面や電話などの口頭で約束を行う契約方法です。通常、当事者双方の意思表示が合致した時点で契約が成立したと見なされます。


契約書

契約当事者が書面に署名押印する契約方法です。当事者双方の意思表示が合致した事実を証明するために契約書が作成されます。


電子契約

前述した契約書を電子データ化したものです。「電子証明書」や「タイムスタンプ」などの技術により、書面への署名押印と同等の法的効力を持たせる仕組みとなっています。


契約書の種類

売買契約書

売主と買主が目的物を売買するための契約書です。例として不動産業界で用いられる「不動産売買契約書」が挙げられます。


業務委託契約書

委託者が受託者へ業務を委託するための契約書です。主に制作や保守運用などの業務をアウトソーシングする業界で用いられます。


秘密保持契約書

当事者間の秘密情報や個人情報を守るための契約書です。「NDA」とも呼ばれます。情報漏えいや情報の目的外利用を防止する役割があります。


賃貸借契約書

貸主が借主に目的物を貸し出し、借主がそれに対して賃料を支払って当該目的物を借りるための契約書です。一定期間にわたり契約を締結するケースが一般的となっています。


請負契約書

発注者が仕事の報酬を支払い、請負者が仕事を完成させるための契約書です。例として建築業界で用いられる「工事請負契約書」などが挙げられます。


委任契約書

委任者が受任者に法律行為を委任するための契約書です。弁護士や司法書士といった専門家に法律行為を委任するケースなどで用いられます。


雇用契約書

労働者が労働に従事し、使用者が対価として報酬を支払うための契約書です。従業員と企業における労働条件に関するトラブルを防止する役割があります。


派遣契約書

人材派遣を受ける企業が、人材派遣会社を利用するための契約書です。主に派遣労働者の人数や業務内容などが記載されます。


保証契約書

債務者による債務の支払いが不可能な場合に保証人による支払いを約束するための契約書です。賃貸借契約を締結するケースや、ローンを組むケースなどで用いられます。


ライセンス契約書

ライセンス所有者の知的財産を利用するための契約書です。知的財産を利用できる範囲や、ライセンス料金などが記載されます。


M&A契約書、事業譲渡契約書
経営継承の課題などで利用頻度が増えている契約書になります。M&A契約書類の中にはNDA・アドバイザリー契約書・意向表明書・基本契約書・最終契約書など段階に分けて契約書を用意することもあります。


契約書の必要性とは?

契約書は、取引や協力関係を明確にし、双方の権利と義務を定めるために欠かせない書類です。契約書があると、具体的な条項や条件が明文化されて合意内容を確認しやすくなるので、後々のトラブルや誤解を避けられます。また、法的な証拠としての役割も果たすため、万一の際には裁判でも有効となります。さらに、契約書はビジネスの信頼性を向上させます。取引先や顧客に対して、誠実で信頼性のある対応を示すことで、ビジネスの円滑な運営にも寄与します。



契約書に盛り込む6つの基本項目

契約書には、以下の6つの基本項目を盛り込むのが一般的です。ここでは、項目ごとに主な記載内容や記載例を解説します。


タイトル

契約書の冒頭に記載します。契約書の種類を表題として、具体的な契約内容を示すのが一般的です。


前文

契約書の最初の段落に記載します。契約当事者名を含めて、「●●●(以下「甲」という)と、●●●(以下「乙」という)とは、以下のとおり契約する。」といった形式の書き方が一般的です。


契約条項

契約の条件を詳しく記載します。契約当事者の権利や義務について、抜け漏れなく記載することが重要です。


契約書の頻出条項

前述した契約条項に関して、一般的には以下の条項を盛り込むケースが多いです。これらの一般条項は、契約書の種類を問わず、多くの契約書に共通して盛り込まれます。


【一般条項の例】

  • 契約期間
  • 守秘義務
  • 契約解除・解約事由
  • 期限の利益喪失
  • 損害賠償
  • 反社会的勢力の排除(反社条項)
  • 権利義務の譲渡禁止
  • 準拠法と合意管轄
  • 協議条項


後文

契約書の保管方法を記載します。例文として「本契約の成立を証するため、原本2通を作成し、甲乙署名又は記名押印のうえ、各自1通を保有する。」といった形式の書き方が一般的です。


日付欄と署名欄

契約当事者が、契約締結日と署名を書き入れます。契約当事者の人数に応じて、日付欄・署名欄・押印欄を設置する必要があります。


契約書作成の流れ

契約書作成は、基本的に以下の流れで行われます。ここでは作成方法の流れを5つのステップに分けて解説します。


STEP1.内容の確認

まずは契約書に盛り込む内容を当事者全員で確認します。特に、取引内容・条件・金額などは当事者間の認識に齟齬が生じないよう明確にして、事前にすり合わせておきましょう。


STEP2.ドラフト作成・修正

当事者双方で確認し承諾した内容に基づいて、契約書のドラフト(草稿)を作成します。作成したドラフトは全員で確認を行い、必要に応じて意見を反映させながら修正を行いましょう。


STEP3.契約書の確定・製本

契約書の内容を確定させた上で、書面の製本作業を行います。紙の契約書の場合は、複数枚を印刷してから製本テープを使って本の形にまとめるのが一般的です。一方、電子契約の場合は専用システムを活用した契約締結が行われます。


STEP4.署名・押印

契約当事者全員による署名・押印を行います。紙の契約書の場合は、一般的に当事者の手書きによるサインと、実印や会社印による割印・契印などが求められます。電子契約の場合は、当事者が電子署名を付与します。


STEP5.契約書の郵送・保管

作成した契約書を当事者全員に送付し、適切に保管します。電子契約の場合は、専用システムから送信された電子データをクラウド上で保管することが可能です。


契約書作成の心構え

ここでは、契約書作成の心構えを解説します。契約書作成の業務を正確かつ効率的に進めるために、ぜひ参考にしてみてください。


簡潔で明確な文書作成を心がける

契約書を作成する際には、契約当事者間の誤解を減らして円滑な取引を実現するために、簡潔で端的な言葉を使用することが求められます。曖昧な表現、主観的な言葉、冗長な文章などは避けましょう。また、専門用語や法律用語を分かりやすく説明することも大切です。箇条書きや段落を適切に使うと、読みやすい文書に仕上げることが可能です。これにより契約内容を理解しやすくなり、トラブル予防につながります。


合意形成のプロセスを明確にする

契約書を作成する流れの中で、合意形成のプロセスを明確にすることが大切です。合意形成へ向けて、お互いの立場や希望する条件を明らかにしながら、双方の意見を尊重しつつ互いに納得できる妥協点を見つけましょう。その際は、口頭での合意に留まらず、明確に文書化するのが望ましいといえます。具体的な数字や期限など、詳細な条件までしっかりと取り決めることで、将来的なトラブルを防ぎやすくなります。


円滑なコミュニケーションを心がける

契約後に発生するトラブルを防ぐためには、円滑なコミュニケーションが欠かせません。その際は、両者が相手の意見をしっかりと聞くとともに、自分の意見を明確に伝えることが基本です。また、疑問点や不明点をその場で確認することで、トラブルを未然に防げます。目線を合わせたりうなずいたりする非言語コミュニケーションによって、相手に安心感を与えて信頼関係を深める工夫も有効です


合意事項は明確に文章化して書面上で行う

契約は口約束でも成立するものの、訴訟などのトラブルを想定して、基本的には文書で契約を行いましょう。契約書によって双方が記載事項に合意している事実を証明できるようになります。そのためにも、契約書の内容には、細かな条件や期限、責任の範囲などを詳細に記載することが求められます。また、何か問題が発生した際にすぐに内容を確認できるよう、書類の保管場所を明確にしておきましょう。


契約書作成時の具体的な注意点

契約書を作成する際にどのような点に注意すれば良いのでしょうか。ここでは、契約書作成時の具体的な注意点を解説します。


法的要件を確認する

契約書を作成する際は、法的要件を満たしているかチェックする必要があります。具体的には、「契約内容は法令に則っているか?」「公序良俗に反する内容が含まれていないか?」などが挙げられます。法的要件を満たしていない契約書は無効となる可能性が高く、紛争やトラブルを引き起こすことがあります。契約書レビューの段階で弁護士などの専門家によるアドバイスを受けることで、安心して契約書を作成できるでしょう。


印紙の貼り忘れに気を付ける

一部の契約書は、印紙税法において課税対象となります。例えば、「不動産売買契約書」「土地賃貸借契約書」「工事請負契約書」「金銭消費貸借契約書」などの契約書は課税文書であり、収入印紙の貼付が必要となるため、貼り忘れに注意しましょう。具体的な契約書の種類と印紙税額については、国税庁のホームページでご確認ください。

【参考】「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」(国税庁)

URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm


サインは代表取締役の名義で行う

契約当事者が法人である場合、契約書の署名は原則として代表権を持つ人物(代表取締役など)が行う必要があります。ただし、事情があって代表権を持つ人物本人による対応が難しい場合は、代表者から特定の従業員に権限を委譲する方法で対応するケースもあります。


原本と写しの取り扱いに注意する

契約書には署名・押印した「原本」と、原本をコピーした「写し」があります。契約書が課税文書に該当する場合、その原本には印紙の貼付が必須ですが、写しには必要ないため、取り扱いの違いに注意しておきましょう。契約書の原本は、「契約当事者の人数に応じて交付する方法」と「1部のみ交付して、必要な枚数の写しを作成する方法」があります。


契約書テンプレート(ひな形)の活用法

契約書テンプレート(ひな形)を活用することで、契約書作成の業務の効率化が期待できます。ここでは、テンプレートを活用した書き方と独自のカスタム契約書の作成をご紹介します。


契約書テンプレート(ひな形)Wordのメリットとデメリット

テンプレートのメリットとして、コスト削減が挙げられます。契約書を一から作る手間が省けるため、時間と費用を抑えられます。弁護士監修など法律に基づいたフォーマットを活用すれば、法的リスクの軽減につながります。インターネット上にある無料テンプレート(ひな形)Wordの中には、一部ですが弁護士監修で提供されているテンプレートもあります。ただし、テンプレートにはデメリットも存在します。独自性の高い事業やビジネスの場合、画一的な内容の契約だと標準的なテンプレート(ひな形)では完全に対応ができず、個別の契約に対応できない場合があるでしょう。結果として、契約内容に不備が生じるリスクが高まります。また、形式面や細かい部分の修正に法律の専門知識や判断が求められることも、利用のハードルとなるでしょう。


契約書テンプレート(ひな形)Wordを活用した契約書自動作成サービス

上記テンプレートのメリットと同じく、コスト削減や契約書を一から作る手間・時間と費用を抑えられ、法的リスクの軽減にもつながります。テンプレート(ひな形)ではWordフォーマットの提供のみになっており、Wordから自由に修正等を行い契約書作成となりますが、契約書自動作成サービスを利用するとWebサービス上で質問などに答えていくだけで、契約書内で抑えるべき項目や条件を変動的に埋めて作成することができます。弁護士監修のテンプレートを活用したまま誰でも簡単に要点を抑えた契約書を自動作成できます。この便利な契約書自動作成サービスとしてバーチャル法律事務所「クラウドリーガル」などがあります。


契約書カスタマイズ(編集)のコツ

テンプレートの利便性を最大限に引き出すためには、カスタマイズが欠かせません。まず、テンプレートを自社または事業別のニーズに合わせてカスタム調整します。契約相手の要望や商習慣を反映させることがポイントです。不足している項目を追加し、条件を調整することで、契約書の精度を高められます。最終的には専門家(士業)の意見を取り入れて、法的に問題のない契約書を作成しましょう。トラブルを未然に防ぎつつ、安心して業務を進められるようになります。法令改正や新法適用の流れもあるためテンプレートは都度見直しを行うことも重要です。


法務専門家(士業)の意見を取り入れる方法

法律や契約に詳しい法務専門家の意見を取り入れることで、契約書の品質を高められます。まず、法務専門家に相談するための準備を行い、自社の契約内容や不明点を整理します。具体的な質問を用意したうえで法務専門家に相談しましょう。法的リスクを最小限に抑えるための具体的なアドバイスを受けられます。当該契約書に適したその時の法令を反映させた正確で安全な契約書作成が可能です。

法務専門家の意見をもとに契約書を見直し、必要な修正を行います。このとき、自社判断で修正せずに法務専門家(士業)に作業を依頼することにより、さらに確実な契約書を作成することも可能です。法務専門家(士業)と綿密にコミュニケーションを取りながら、契約書を完成させましょう。これにより信頼性の高い契約書を作成できます。


法務専門家(士業)に依頼して独自のカスタム契約書を作成する方法

先程の契約書テンプレート(ひな形)をベースにするのではなく、ゼロベースで法務専門家(士業)とコミュニケーションを取り自社ビジネスに則したカスタム契約書のドラフト作成をしてもらうことで精度と安全性は格段に向上します。コスト面では既存テンプレートではなく自社オリジナルのカスタム契約書となるためテンプレート活用に劣りますが、大型取引や特殊性のある契約内容では法務専門家(士業)に依頼するカスタム契約書が最も確実な方法となります。



契約書の見直しと更新

契約締結後は、定期的な見直しや更新に取り組むことが大切です。ここでは、企業法務で実施すべき契約書の見直しと更新について解説します。


定期的な見直しの重要性

契約書の見直しと更新は、取引先との信頼関係を維持し、事業を円滑に運営するために不可欠です。時間が経過することで法律や取引条件が変わる可能性があるため、定期的に契約書を確認し、最新の情報を反映させましょう。内容の不備を発見し対処することで、法的リスクを低減できます。その際は、契約管理サービスの活用により更新漏れを無くせます。


更新時に注意すべきポイント

更新時に契約内容が現状に適しているかを確認する作業は、企業のリスクマネジメントの一環として非常に重要です。頻繁に起こる法律の改正や経済状況の変化に備えて、契約書を最新の状態に保つ必要があります。古い契約書には無効となる条項が含まれている場合があり、法的リスクにつながります。見直しを怠ると突然のトラブルに対応できない状況に陥る可能性があるでしょう。


過去の契約履歴の管理方法

過去の契約履歴の管理では、電子ファイルや紙ベースでの保存方法を決めて、一定期間にわたり保存します。書類のアクセス権を明確にしたうえで、重要な契約書には特別な保護対策を施すのが望ましいでしょう。その際は、契約履歴を一元管理するシステムを導入すると、必要な契約書に迅速にアクセスできます。また、定期的に契約履歴を見直し、不要な書類を適切に廃棄することで、管理コストの削減につながります。


電子契約書の導入と利用法

近年は当事者双方がクラウド上で契約を行う電子契約書を導入する企業が多くなってきました。ここでは、電子契約書の導入と利用法について解説します。


電子契約書のメリットとデメリット

電子契約書のメリットは、ペーパーレス化によるコスト削減です。紙が不要なため印刷、郵送の費用や、印紙税がかかりません。また、契約管理が一元化されるため、検索や更新が簡単にできます。その一方でデメリットもあります。高齢者やITに不慣れな人にとってはハードルが高く、デジタル・ディバイドが懸念されます。また、電子データのセキュリティ対策が不十分だと情報漏えいのリスクがあるため、適切な対策が不可欠です。


電子署名の重要性

電子署名は、電子契約書の信頼性を高めるために欠かせない技術です。電子署名があることで、契約が本物であることを確認でき、内容が改ざんされていないかチェックできます。法的効力が確保されるため、トラブルが発生した際にも安心です。電子契約書の信頼性を担保するために、適切な電子署名の採用が求められます。


セキュリティ対策の基本

電子契約書を安全に利用するためには、基本的なセキュリティ対策が必要です。まず強固なパスワードを設定することが重要です。定期的にパスワードを変更してセキュリティを維持しましょう。さらに、アクセス制限を設けると関係者以外のアクセスを防ぐことが可能です。これらの対策を徹底することが、情報漏えいや不正アクセスを防ぐ鍵となります。


契約書の保管と管理

契約書は法律上のルールに従って適切に保存しなければなりません。会社の法務担当者は、以下の保管方法と管理方法を押さえておきましょう。


紙ベースと電子ベースの保管方法

契約書の保管方法として、「紙ベース」と「電子ベース」の種類があります。どちらの方法にもメリット・デメリットがあるため、それぞれの特性を理解して適切に運用しましょう。

紙ベースの場合、物理的な損傷や紛失のリスクに備えて保管しなければなりません。専用のファイルやバインダーで整理し、防水性のあるキャビネットや、機密文書を保管する専用倉庫に保管することが推奨されます。契約書の重要度や内容によっては、外部の専用サービスを活用するのも有効な手段になります。

一方、電子ベースの場合は、クラウドストレージや専用のデータベースを使用することで、高い保管容量と検索機能を実現できます。必要な契約書をすぐに確認できる利便性が魅力です。近年は、紙と電子データの契約書類を一元的に管理できるサービスも登場しています。


契約書の安全な保存とアクセス管理

紙の契約書を物理的に保存する際は、防火や防水の措置を講じ、セキュリティ対策を徹底しましょう。また、電子データの保存では、暗号化技術を活用した不正アクセス対策を講じましょう。権限設定を明確にすることで必要な人だけが閲覧できる状態となり、内部からの不正アクセスによる情報漏えいを未然に防げます。このほかに、定期的なバックアップを行い、データの消失リスクに備えることも大切です。


管理システムの導入方法

契約書の管理システムを導入する前に、紙の書類と電子データの保管状況を把握し、問題点を洗い出すことから始めます。コストや運用しやすさを考慮して、自社に適したシステムを選定しましょう。導入後は担当者への研修やマニュアル作成を行い、システムを適切に稼働させるためのフォローを行いましょう。導入後は定期的な見直しと改善を行い、最適な状態で契約管理システムを運用することで、効率的で安全な契約書管理を実現できます。


契約書作成に関するよくある質問

最後に、契約書作成に関するよくある質問と回答をご紹介します。


法人契約と個人契約の違いは?

法人契約と個人契約は、契約当事者の名義に違いがあります。法人契約は法人名義での契約となり、個人契約は個人名義での契約となります。


覚書は契約書としてみなされる?

覚書とは、当事者間で合意した内容を記載した書類です。一般的には契約書を補完するための書類として用いられているものの、契約書と基本的に同等の法的効力を持つ点に留意しておきましょう。


契約書は誰が作成するべき?

契約当事者のうち誰が契約書を作成するかは、法律において特に決まりはありません。そのため、当事者のいずれかが契約書を作成した上で、双方が確認を行うケースが多いです。


法律に違反した内容の契約書は有効?

法律に違反した内容の契約書は無効となる可能性があるため、契約書を作成する際は違反が生じないよう入念にチェックする必要があります。万が一、法律に違反した内容の契約を締結してしまうと、法令における「強行規定」によって契約内容が無効となったり、「取締規定」によって禁止や制限を受けたりする可能性があります。


約款や規約は契約書と同じ扱いか?

約款も規約も契約書と同じく契約として効力を発揮します。双方の合意方法や同意の意思表示が異なっているだけで契約として成立することになります。よって契約書と同等の作成手順やレビューになる点に注意が必要です。


まとめ

ここまで、契約書作成の基礎知識や、書面に盛り込む基本項目、注意点などを解説しました。法律上のルールに則って適切な契約書を作成するには、法律の専門家によるカスタム契約書の作成や契約書レビュー・リーガルチェックは欠かせません。そんなときは、生成AI×弁護士が融合した企業法務アウトソース・サービス(ALSP)の「クラウドリーガル」がおすすめです。弁護士監修の契約書テンプレート(ひな形)の用意から、質問に答えるだけで誰でも簡単に契約書が作成できる契約書自動作成機能を搭載、標準的な契約書テンプレート(ひな形)では対応が難しい独自のカスタム契約書を弁護士がヒヤリングをかけドラフト作成から、弁護士による契約書レビュー・リーガルチェックや法務相談、社内規程整備、新規会社設立、商標等知的財産の登録など、幅広い法律事務のサービスをWebオンラインでご利用いただけます。契約書作成・レビューや企業法務の業務効率化でお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。


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監修:弁護士 崎地 康文
監修:弁護士 崎地 康文
(第二東京弁護士会・米国ニューヨーク州) 所属:なゆた国際法律事務所 代表弁護士 慶應義塾大学オープンイノベーション推進本部 特任講師 東京薬科大学 特命教授 アンダーソン・毛利・友常法律事務所にて弁護士として企業法務に従事、米国University of California Berkeley Law School.(UC Berkeley LL.M.)留学後、AI 医療機器スタートアップの執行役員プロダクトマネージャー、慶應大学発ヘルスケアスタートアップ共同創業者兼取締役COOを経て、日本初の企業法務アウトソース・サービスALSP(代替法務サービスプロバイダー)であるバーチャル法律事務所「クラウドリーガル」を開発・提供しているa23s株式会社の代表取締役を務める。

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