支払誓約書とは?法的効力と主な記載項目、作成時の注意点は?
目次[非表示]
- 1.支払誓約書の基礎知識
- 1.1.支払誓約書とは?
- 1.2.支払誓約書が必要な理由
- 1.3.支払誓約書の法的効力
- 2.支払誓約書の主な記載項目
- 3.支払誓約書を作成する際の注意点
- 3.1.公序良俗・強行法規に違反しない内容にする
- 3.2.金額や期限、支払義務があることを明記する
- 3.3.署名・押印を行う
- 3.4.「無理やり書かされた」と言われないよう録音しておく
- 3.5.分割払いの場合、期限の利益喪失条項を記載する
- 4.支払誓約書が守られなかった場合の対処法・請求内容
- 5.まとめ
金銭の貸し借りが行われた際、トラブル防止のために「支払誓約書」を作成するケースがあります。書類作成によって支払側へ金銭の支払いの履行を促す効力が期待でき、金額や期限などの事実関係を整理しやすくなります。
この記事では、支払誓約書の重要性や法的効力などの基礎知識や、記載項目の書き方、作成時の注意点などを解説します。ビジネスシーンの書類作成でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
支払誓約書の基礎知識
支払誓約書とは、どのような役割を持つ書類なのでしょうか。初めに、支払誓約書が必要な理由や法的効力などの基礎知識を解説します。
支払誓約書とは?
支払誓約書とは、金銭の支払いの意思があることを証明するための書類です。金銭の貸し借りがあった事実や、貸し借りした金額、返済方法などの約束を証明する証拠となります。このほかに「債務確認書」「借用書」「念書」といった呼び方をするケースもあります。
支払誓約書が必要な理由
支払誓約書には、支払側へ金銭の支払いの履行を強く促す役割があります。金銭の支払いが滞っている場面や、貸し借りの事実を証拠として残す必要がある場面で作成されることが一般的です。また、書類を作成すると、金銭の受取側は消滅時効(=一定期間の経過で債務が消滅すること)の更新が可能となります。
さらに、強制執行認諾文言(=債務不履行の場合に強制執行を受け入れる旨)を盛り込んで公正証書によって支払誓約書を作成すると、受取側は債務不履行が発生した際に、訴訟を提起せずに強制執行を申し立てることができるため、支払いの強制力を高められます。
支払誓約書の法的効力
法律に則って適切に作成された支払誓約書は、基本的に支払いの義務を負う支払側に対して法的効力を持つとされます。ただし、公序良俗に違反する支払誓約書は無効となるおそれがあることを押さえておきましょう。詳しくは後述する注意点の見出しでお伝えします。
支払誓約書の主な記載項目
ここでは、支払誓約書の主な記載項目をご紹介します。受取側が支払誓約書のテンプレートを作成する際は、必要に応じて以下の項目を盛り込むとよいでしょう。
支払内容
対象の支払誓約書における金銭の支払いが生じた要因を記載します。「金銭の借入」「購入した商品代金の支払い」などと具体化しておくことが重要です。
【記載イメージ】
私は〇〇年〇〇月〇〇日時点において、金銭の借入を行い、現在貴殿に対して金〇〇円の支払義務があることを認めます。 |
支払金額
支払金額の全額を記載します。これにより、支払側が債務の存在を認めることになり、債務の消滅時効の防止につながります。
【記載イメージ】
私は現在貴殿に対して金〇〇円の支払義務があることを認めます。 |
支払方法
支払は分割または一括で行うか、現金または銀行振込で行うかを記載します。銀行振込の場合は、併せて振込先を記載しておくことが望ましいと言えます。
【記載イメージ】
私は貴殿に対する債務全額を、以下の通り分割で支払うことを誓約します。
〇〇年〇〇月〇〇日から毎月末日限り 金〇〇円ずつ
支払いは、下記に指定する銀行口座に振込の方法で行います。
<振込先>
〇〇銀行〇〇支店 普通預金
口座番号:〇〇〇〇 口座名義:〇〇〇〇
|
支払期限
支払期限の日付や、期限の利益(=代金の支払いを待ってもらえる利益のこと)について記載します。支払いを怠るといった契約違反があった場合、支払側が期限の利益を喪失するため、債務全額をただちに支払う義務を発生させることが可能です。
【記載イメージ】
私は貴殿に対する債務全額を、〇〇年〇〇月〇〇日までに支払うことを誓約します。支払いを怠った場合は、期限の利益を喪失し、一括で請求されても異議を申しません。 |
また、遅延損害金(=債務者が遅延で生じた損害を賠償するために支払う金銭)について記載して支払いの強制力を高める方法もあります。
【記載イメージ】
期日までに支払わなかった場合、支払期日の翌日から年利〇〇%による遅延損害金を支払うことを誓約します。 |
支払誓約書を作成する際の注意点
金銭の受取側が支払誓約書を作成する際は、以下のポイントに注意しておきましょう。トラブル防止のために押さえておきたい注意点を解説します。
公序良俗・強行法規に違反しない内容にする
強行法規とは、公の秩序に関する法規のことです。契約書や誓約書の内容が公序良俗に違反する場合は、強行法規が強制的に適用され、条項が無効になる可能性があります。そのため、受取側が支払誓約書を作成する場合は法令を遵守し、公序良俗に違反しない内容とすることが重要です。
金額や期限、支払義務があることを明記する
支払誓約書の記載事項の中でも、「支払金額」「支払期限」の項目や、「支払義務があることを認めます」といった内容を明記することが大切です。トラブル防止のためにも漏れなく記載して、事実関係を整理しましょう。
署名・押印を行う
支払誓約書の証明力を高めるために、支払側が署名・押印を行いましょう。その際は、支払いの義務を負う当事者のみが署名・押印を行い、書類の提出先である受取側は行わないのが一般的です。
「無理やり書かされた」と言われないよう録音しておく
支払誓約書は、相手方が納得していないにもかかわらず作成させたりサインさせたりすると、脅迫や詐欺と疑われて法的効力が失われるおそれがあります。場合によっては支払側の意思を証明するために、サインをする際に録音するといった対応を検討しましょう。
分割払いの場合、期限の利益喪失条項を記載する
「期限の利益喪失条項」は、契約違反の発生時に期限の利益を損失させる条項のことです。万が一支払いが滞ったとき、支払側は代金の支払いを待ってもらえる利益を失い、ただちに全額を支払う義務が発生します。支払方法が分割払いの場合も、受取側がこの条項を盛り込むことで裁判を起こす時点で全額を請求できるようになるため、必ず記載しましょう。
支払誓約書が守られなかった場合の対処法・請求内容
万が一、受取側が作成した支払誓約書の約束が守られず履行されなかった場合は、状況に応じて相手方への対処を行いましょう。最後に、支払誓約書の作成後の対処法をご紹介します。
支払誓約書が守られなかった場合の対処法
レベル1:支払側と話し合い交渉する
支払いが滞って契約違反が発生したら、まずは支払側と連絡を取り、話し合いによる交渉を試みます。相手方の事情を確認し、必要に応じて法的手続きへ向けた証拠を集め始めます。
レベル2:弁護士に相談する
話し合いや交渉で問題の解決が難しい場合には、弁護士に相談して和解を目指すのが望ましいでしょう。法律の専門家が現状を整理し、問題解決へ向けたアドバイスやサポートを実施します。
レベル3:裁判を起こす
どうしても相手方との和解が難しい場合は、裁判を行って法的に争うことになります。弁護士の支援を受けながら証拠提出の準備や手続きを行い、解決を目指しましょう。
支払誓約書が守られなかった場合に請求できる内容
支払誓約書が守られなかった場合、受取側は損害賠償請求が可能です。また、損害賠償に加えて違約金を請求できるほか、裁判を行った場合の裁判費用・弁護士費用も請求できることを押さえておきましょう。
まとめ
ここまで支払誓約書の基礎知識や、記載項目の書き方、作成時の注意点などをお伝えしました。支払誓約書をはじめとした誓約書は、電子化することが可能です。ビジネスシーンの契約業務で用いる書類を電子化すると、業務効率化やコスト削減の効果が期待できます。その際は、最高水準のセキュリティを低コストで実現する電子契約・契約管理サービス「WAN-Sign」をおすすめします。無料オプションの範囲が広く、初期費用0円で始めやすいのが魅力です。4,600社以上の情報資産を管理した実績を有するNXワンビシアーカイブズが提供するサービスで、支払誓約書や契約書を電子化してはいかがでしょうか。サービスについて詳しくは、製品ページやダウンロード資料をご覧ください。