電子契約の立会人型と当事者型の違い|メリット・デメリットを比較


(更新日:2024年7月22日)

目次[非表示]

  1. 1.電子署名(電子契約)には複数の種類がある
  2. 2.立会人型の電子契約とは?
  3. 3.当事者型の電子契約とは?
  4. 4.立会人型署名のメリット・デメリット
    1. 4.1.立会人型署名のメリット
    2. 4.2.立会人型署名のデメリット
  5. 5.当事者型署名のメリット・デメリット
    1. 5.1.当事者型署名のメリット
    2. 5.2.当事者型署名のデメリット
  6. 6.立会人型vs当事者型、電子契約の形態を選ぶ基準は?
    1. 6.1.手軽さで選ぶなら「立会人型」
    2. 6.2.法的効力や確実性の高さで選ぶなら「当事者型」
  7. 7.立会人型・当事者型の電子契約でよくある疑問
    1. 7.1.両方を選べるハイブリッド型も存在する?
    2. 7.2.立会人型の電子契約は当事者型と比べて法的効力に違いはない?
    3. 7.3.普及しているのはどっち?
    4. 7.4.立会人型の電子契約にはどんなリスクがある?
  8. 8.電子署名を利用できる主なツールやサービス
  9. 9.まとめ


電子契約の立会人型と当事者型の違い|メリット・デメリットを比較


電子文書や電子契約書に対して使用する電子署名は、種類によって本人性や法的効力の高さが異なります。ビジネスにおいて電子契約を導入する際は、文書の種類や取引先に応じて適切な電子署名の方法を選択することが大事です。

電子署名の導入を検討されている方には、「サービスごとの違いや選び方がわからない」という方も多いのではないでしょうか。この記事では、電子署名の種類に応じた選び方の基準や、メリット・デメリットを徹底解説します。


電子署名(電子契約)には複数の種類がある

電子署名とは、電子データで作成された文書や契約書に対し、デジタル形式で行う署名のことです。

電子署名には、当事者型署名や立会人型署名など、さまざまな種類があり、それぞれ署名に必要な手順が異なります。

似たような仕組みの電子印鑑や電子サインとは役割や法的効力が異なり、電子署名は電子証明書やタイムスタンプの発行によって、法的効力を高めることが可能です。

厳格な契約や機密性の高い文書に対して電子署名が用いられており、企業では種類に応じて適切な電子署名の種類や形式を選ぶ必要があります。

なお、電子署名の法的有効性に関して、政府の見解として2020年に「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子契約サービスに関するQ&A)」が公表されています。これにより、電子署名を行うことで書面と同等の効力を発揮できるようになり、契約書の電子化が推進されています。


電子印鑑とは?電子署名・電子サインとの違いやメリットを徹底比較


立会人型の電子契約とは?

立会人型署名(事業者型署名)とは、契約を行う当事者ではない第三者が当該第三者の電子証明書に基づいて処理を行うことにより、電子署名を行う電子契約方法です。この第三者には、基本的に電子署名・電子契約サービスを提供する事業者(ベンダー)が該当します。

立会人型署名の場合、本人確認には、クラウドサービスへのログインやメール認証を使用する必要があるため、なりすましなどの犯罪行為を防ぐことができます。また、電子認証局からの電子証明書の発行は、サービス提供事業者に対してのみ行われ、契約当事者の電子証明書は発行されません。

サービス事業者によっては、立会人型署名を電子サインタイプと呼ぶこともありますが、現在は主務官庁から電子署名と認められています。

立会人型署名では、契約締結用のURLを記載したメールを受領者に送信し、そのメールにて本人認証が行われるのが一般的です。他にも、SMSで本人認証を行う方法があります。



当事者型の電子契約とは?

当事者型署名とは、契約当事者が電子認証局から電子証明書の発行を受け、本人性が担保された電子署名を使用する方法です。書面契約における実印等と同等の扱いをされているため、サービス事業者によっては「実印タイプ」と呼ぶこともあり、電子署名の中でも、当事者型署名は電子署名法に準拠した証拠力が極めて高いタイプです。

ただし、電子証明書の発行手続きは当事者が自ら行うため、身元確認書類の準備など手間とコストが発生します。立会人型署名と比べると、契約者本人の負担がやや増えますが、その分契約書の証拠力を担保できる契約方法です。


電子契約における立会人型と当事者型とは?それぞれのメリットとデメリットを紹介


立会人型署名のメリット・デメリット

立会人型署名では契約時の手軽さが魅力ですが、なりすましのリスクなどデメリットもあります。法的効力も含めて、以下で詳しくご紹介します。


立会人型署名のメリット

電子署名で立会人型署名を選ぶメリットは以下のとおりです。


  • 電子証明書発行の手間とコストを削減できる
  • メールアドレスがあれば電子契約に対応できる
  • メールでの本人認証のため取引先の手間が省略される


当事者型署名と比較して、立会人型署名は導入における敷居とコストの低さが大きなメリットです。

取引相手が自社と同様の電子契約システムを導入していなくとも、メールにて契約締結ができます。


立会人型署名のデメリット

立会人型署名を採用する際は、以下のようなデメリットがあることも理解しておきましょう。


  • 当事者型署名よりもなりすましのリスクが高い
  • 当事者型署名よりも法的効力を得にくい
  • 契約書の締結レベルによって採用しづらくなる


本人認証をメールで行うため、取引先の環境次第によってはなりすましの被害に遭うリスクが高まります。ただし、二段階認証の利用でセキュリティリスクを低減する対策も可能です。また、法的効力に違いはありますが、立会人型でも電子契約の法的効力は認められています。

当事者型署名と立会人型署名は、それぞれメリット・デメリットがあります。そのため、双方の署名に対応した電子契約サービスを選定し、文書によって使い分けることでビジネスの幅が広がります。



当事者型署名のメリット・デメリット

当事者型署名の大きなメリットは、本人確認による電子証明書によって得られる高い信頼性です。一方で、導入ハードルが高いことも挙げられます。以下、メリット・デメリットをそれぞれ詳しくご紹介します。


当事者型署名のメリット

電子署名で当事者型署名を選ぶメリットは以下のとおりです。


  • 当事者の電子証明書により証拠力を高められる
  • 本人性が高いため、なりすましのリスクが低い
  • 厳格な商取引や法的文書にも有効である


当事者型署名は、メールやSMSで本人認証を行う立会人型署名よりも本人性が高い署名形式です。

本人性の担保力が求められる厳格な契約であっても、当事者型署名は安心して採用できます。


当事者型署名のデメリット

当事者型署名を採用する際は、以下のようなデメリットがあることも理解しておきましょう。


  • 契約当事者に電子証明書発行のための手間とコストがかかる
  • 取引先でも電子署名システムの利用が必要である
  • 定期的に電子証明書の有効期限を更新する必要がある


当事者型署名は、自社だけではなく取引先にも手間がかかる方法です。

そのため、導入前の通知や理解を促す際にコミュニケーションコストが発生することもデメリットとなります。



立会人型vs当事者型、電子契約の形態を選ぶ基準は?

実際に電子ファイルで契約を締結する際には、どのように契約形態を選択すればよいでしょうか。ここからは、契約形態の選び方とポイントをお伝えしていきます。


手軽さで選ぶなら「立会人型」

契約の手軽さを重視するのであれば、立会人型のサービスを使用すると良いでしょう。

立会人型はクラウドサービスで提供されていることが多く、メールアドレスさえあれば締結できます。当事者型のように、事前に身元確認書類を準備する必要がないため、最短1日で契約を進めることも可能です。

これまでに何度も取引があり、信頼関係が構築できている顧客であれば、厳格な契約を重視しないこともあり、立会人型に向いているといえます。

また、電子契約を導入する際にハードルとなるのが、取引先も電子契約に対応する必要があることです。立会人型であればサービスの契約やソフトのインストールが必要ないため、導入のハードルを大きく下げることができます。

実際にその手軽さが評価されており、多くの調査では立会人型の導入社数が多くなる傾向にあります。


法的効力や確実性の高さで選ぶなら「当事者型」

契約の法的効力や確実性の高さを重視するなら、当事者型の電子契約を選びましょう。

立会人型では不正にパスワードを取得されてなりすましの被害にあう可能性を排除できません。認証局により発行される本人の電子証明書により、高い法的効力を発揮することができます。

官公庁や金融機関、医療機関などセキュリティが厳しい企業と契約を行う場合は、当事者型の電子契約を打診するのが良いでしょう。また、取引の期間が浅くて信頼関係の構築が十分でない企業や取引の金額が大きくなる契約の場合にも向いています。



立会人型・当事者型の電子契約でよくある疑問

立会人型・当事者型の電子契約について、よくある疑問にお答えしていきます。ぜひ今後、契約形態や電子契約システムを選ぶ際の参考にしてみてください。


両方を選べるハイブリッド型も存在する?

電子契約システムの中には、当事者型にも、立会人型にも対応できる「ハイブリッド型」も存在します。

「立会人型のシステムを導入したものの、取引先から当事者型での契約を依頼された」など、途中で契約方法が変わる場合もあります。

電子契約システムの切り替えや書類の移行には手間がかかるため、どちらの方法を適用するか絞り切れない場合は、ハイブリッド型に対応できる電子契約システムを導入しましょう。

また、A社では当事者型・B社では立会人型といったように、企業ごとに使い分けたい場合も、ハイブリッド型であれば柔軟に対応できます。


立会人型の電子契約は当事者型と比べて法的効力に違いはない?

立会人型・当事者型のどちらの契約形態を選択しても、契約上の法的効力は認められていますのでご安心ください。

電子署名法3条によって、有効な電子署名が使用された電子文書は真正に成立したと推定されます。また、電子署名の定義については電子署名法2条で、本人性を証明できることと、非改ざん性を証明できることとされています。これらに準じたサービスを導入しましょう。

なお、認証局が本人確認をする電子証明書のある当事者型の方が、本人性が担保されているため、一般的な信頼性は高いといえます。


普及しているのはどっち?

契約の手軽さから、立会人型の電子契約の方が普及は進んでいるとする調査結果が多くあります。

ただし、一般財団法人日本情報経済社会推進協会とITRが実施した『企業IT利活用動向調査2023』では、当事者型の方が立会人型を上回っており、一概に当事者型の普及が進んでいないとはいえません。


立会人型の電子契約にはどんなリスクがある?

立会人型の電子契約は、手軽であるがゆえに、なりすましの発生を排除できないなど、セキュリティ面のリスクがあります。二段階認証を利用することで、パスワードが流出した際のリスクを低減することはできるものの、完全に排除することはできません。セキュリティ面を重視したいのであれば、当事者型の契約形態を選ぶことをおすすめします。



電子署名を利用できる主なツールやサービス

電子契約の普及とともに、電子署名を利用できるツールやサービスは増加中です。

代表的なサービスとその特徴を以下にまとめましたので、導入時の参考にしましょう。


種類

特徴

PDF編集ツール

PDFファイルに対して、簡単な操作で電子署名を行うことができる。
採用する場合は万全なセキュリティ対策が必須。

Excel、Word

ExcelやWordなどのオフィスツールで作成したドキュメントに対して、電子署名を行える。
採用する場合は万全なセキュリティ対策が必須。

電子署名サービス

PDFを含むさまざまな形式のファイルに対して、電子署名を行えるサービス。
事業者によって対応しているファイル形式や署名の種類が異なる。

電子契約・
契約管理サービス

電子署名の実行に加えて、電子契約書の作成から文書管理まで網羅的にサポートしているサービス。


あらゆる形式の署名、締結レベルに対応したい場合は、当事者型と立会人型双方に対応した電子契約・契約管理サービスがおすすめです。

電子契約・契約管理サービスを選定する際は、セキュリティやサポート体制の充実度も比較し、自社に最適な1社に絞りましょう。


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まとめ

この記事では、電子署名の種類や形式について、立会人型署名のメリットやデメリットを中心に、当事者型やサービスの種類についても紹介しました。

電子署名は、種類に応じて本人性や法的効力の高さなどが異なります。

当事者型は、立会人型よりも本人性や信頼性が高い一方、契約当事者に手間とコストが発生します。立会人型署名は、メールアドレスがあれば契約締結できるなど手間がかからない方法ですが、なりすましのリスクも高まります。

本人性と非改ざん性、法的効力を担保した安心の電子契約を実現したい方は、各法律に準拠し、高度なセキュリティを標準装備した『WAN-Sign』がおすすめです。

当事者型と立会人型双方の署名に対応している、ハイブリッド型の電子契約システムであるため、あらゆる締結レベルに対して適切な署名の種類を選択することができます。

さらに、電子契約の締結・契約管理・セキュリティ・内部統制・ユーザー管理などの機能を、初期費用0円で利用できるため、業界最高水準のセキュリティを保持した電子契約システムを手軽に導入できる点も魅力といえます。

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