電子署名と電子サインの違いを知ろう!4つの項目で事業への適性を判断
【この記事でわかること】
- 電子署名と電子サインは、いずれも署名者を示す技術だが、本人性・非改ざん性の担保方法と法的効力に明確な違いがある。
- 電子署名は電子証明書と公開鍵暗号方式により本人性を厳格に担保し、電子署名法第3条の推定効により高い法的証拠力を持つ。
- 電子サインは簡易な方法で本人性を確認するため導入コストが低いが、法律上の明確な定義がなく法的効力が及ばない場合がある。
- 2024年1月の電子署名法第3条関係Q&Aにより、立会人型の電子署名も十分な認証・セキュリティの水準を備えていれば、推定効が認められる。
- 契約の機密性や重要度に応じて、電子署名と電子サインを適切に使い分けることが重要である。
(公開日:2023年7月26日)
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電子契約でよく使われる「電子署名」と「電子サイン」は、いずれも署名者が誰かを示すための技術ですが、本人性・非改ざん性を担保する方法や法的効力に明確な違いがあります。
両者の違いを理解しないまま電子契約サービスを選ぶと、想定していたよりも法的な証拠力が弱い契約を締結してしまうおそれがあります。特に、契約金額が大きい取引や、後日の紛争リスクが高い契約では、どちらの方式を採用すべきかの判断が重要です。
この記事では、電子署名と電子サインの違いを「役割」「本人性」「非改ざん性」「法的効力」の4項目で比較しながら、契約の重要度に応じた選定ポイントを解説します。
電子署名と電子サインの明確な違い
電子署名と電子サインは、署名者の本人性や非改ざん性を担保する方法や、法的効力などに明確な違いがあります。
どちらにも共通している点は、電子文書で署名者が誰かを示し、文書を保護するために使用される技術であることです。
電子署名は、電子化された文書に対して、デジタル形式で行われる署名のことです。公開鍵暗号方式というセキュリティを用いて、電子文書の内容を保護します。
電子サインは、公開鍵暗号方式を採用せずに、他の技術で電子文書の内容を保護する技術の総称を指すものです。電子署名ほど複雑な仕様でないため、比較的利用コストが低い傾向にあります。
サービス事業者によっては、当事者型署名を電子署名タイプ、立会人型署名を電子サインタイプと呼ぶこともあります。しかし、現在は主務官庁から立会人型署名も電子署名として有効であると認められているため、この記事では、当事者型署名と立会人型署名を含めて電子署名として扱います。
電子署名と電子サインの要点を比較
電子署名と電子サインの違いは、「役割」「本人性」「非改ざん性」「法的効力」の4つの観点で整理できます。
比較項目 | 電子署名 | 電子サイン |
|---|---|---|
役割 | 契約書の真正性と完全性を証明する | 契約書への同意や承認を示す |
本人性 | 公開鍵暗号技術を使用した署名者の身元の確認 | 本人の意思表示を示すため、署名者の身元確認は必須ではない |
非改ざん性 | ハッシュ値や暗号技術の使用 | 公開鍵暗号技術以外の方法 |
法的効力 | 電子署名法の第2章第3条で定義 | 法律で明示的に規定されていない |
その他 | 原則、第三者機関(認証局)が関与する | 第三者機関の関与は必須ではない |
契約書における役割
電子署名は、紙の契約書における実印と印鑑証明の役割を果たします。電子サインは、署名・捺印・押印と同じような役割を果たします。したがって、より厳格な契約には電子署名が採用されることが多いです。
本人性を担保する方法
電子署名は、第三者機関である認証局が発行する電子証明書により、署名者の厳格な本人性の確認を行います。電子証明書は、自治体が発行する印鑑登録証明書のような役割を果たすものです。
電子サインは、電子証明書を発行せず、メール認証やSMS認証、手書きサイン、同意チェックなどの手段で本人認証を行います。本人認証のフローは電子サインの方が簡略的です。
また、2024年1月の電子署名法第3条関係Q&Aの改定により、事業者型(立会人型)の電子契約サービスであっても、二要素認証や十分な暗号強度、利用者ごとの個別性を担保する仕組みを備えている場合には、電子署名法第3条の推定効が認められる場合があることが明確化されています。そのため、本人性の確認レベルは「電子署名か電子サインか」という区分だけでなく、サービスが実際に備える認証方式によっても左右されます。
電子文書の本人性の担保は、円滑なビジネスと信頼関係の構築につながるため、取引先や締結レベルに応じて選択することが大事です。
出典:「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法第3条関係)」(デジタル庁・法務省)
非改ざん性を担保する方法
電子署名では、公開鍵暗号・公開鍵基盤(PKI)・ハッシュ関数で署名の正当性を検証します。これらは非常に複雑なセキュリティであり、電子署名を付与した時点で電子文書が改ざんされていないことを証明するものです。
電子サインの場合、公開鍵暗号やハッシュ関数は使用せず、手書きの署名のスキャンや電子印鑑の画像取り込みなどで非改ざん性を高めます。そのため、電子サインを選ぶ際には、どのような技術を採用して文書の内容を保証・保護しているのかに注目しましょう。
なお、電子署名・電子サインの非改ざん性も、タイムスタンプによって保証を強化できます。タイムスタンプは第三者機関から付与されるものであり、非改ざん性を高めるとともに、最長10年まで電子文書の有効性を示す技術です。
法的効力の違い
『電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)』の第2章第3条では、電子文書の真正な成立が推定されるものが電子署名であると定義されています。
第二章 電磁的記録の真正な成立の推定
第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
電子サインについては、法律上での定義が明確化されていないため、法的効力を持たない場合があることに注意してください。
また、海外においても電子署名が多くの国の法律で認められている一方、電子サインに関しては法整備が整っていないことが多いです。
電子署名と電子サインどちらを選ぶべきか?
電子署名と電子サインは、電子文書の機密性や電子契約書の締結レベルに応じて、適切な方を選ぶことが大事です。
例えば、重大な機密情報が記された電子文書および電子契約書では、本人性と非改ざん性をより厳格に担保する電子署名の利用が適切です。
電子サインの場合、低コストで利用できるメリットがありますが、電子署名よりも法的効力が低いため、適用する文書や締結レベルを選ぶことが重要です。ただし、電子サインでも採用している技術によっては、高い本人性や非改ざん性を有する場合があります。
より信頼性の高い契約締結を求める場合には、電子署名とタイムスタンプで真正性・完全性を保証できる電子契約サービスを利用することをおすすめします。
電子契約サービスを選定する際は、各法律に準拠した署名方法を採用しており、なおかつ万全なセキュリティが整っているかどうかに注目しましょう。
電子署名と電子サインの違いに関するよくある質問
Q.電子署名と電子サインの最も大きな違いは何?
A.最も大きな違いは、本人性・非改ざん性を担保する方法です。電子署名は公開鍵暗号方式と第三者機関(認証局)が発行する電子証明書により、署名者の本人性を厳格に確認します。電子サインは公開鍵暗号方式を採用せず、メールやSMSなど簡易な方法で本人性を確認します。この違いが、法的効力や契約書における役割の違いにもつながっています。
Q.電子サインに法的効力はある?
A.電子サインも当事者間の合意を示す手段としては有効ですが、電子署名法第3条が定める「真正に成立したものと推定する」という推定効は、電子サインには明確に及びません。電子サインは法律上の定義が明確化されていないため、電子署名に比べて証拠力・真正性が弱いとされています。契約の重要度が低い書類であれば実務上問題なく運用できますが、機密性の高い契約や高額な取引には、より法的効力の強い電子署名の利用が推奨されます。
Q.立会人型(事業者型)電子契約サービスは、電子署名と電子サインのどちらに該当する?
A.現在は主務官庁により、立会人型署名も電子署名として有効であると認められています。かつては「電子サインタイプ」と呼ばれることもありましたが、本記事では当事者型署名・立会人型署名をあわせて電子署名として扱っています。
まとめ
この記事では、電子署名と電子サインについて以下の内容で解説しました。
- 電子署名と電子サインの明確な違い
- 電子署名と電子サインの本人性や非改ざん性を担保する方法
- 電子署名と電子サインどちらを選ぶべきか
電子署名は、電子証明書の発行や公開鍵暗号技術で本人性と非改ざん性を担保しています。また、2024年1月の電子署名法第3条関係Q&Aにより、事業者型(立会人型)の電子署名も、十分な認証・セキュリティの水準を備えていれば、電子署名法第3条の推定効が認められています。
電子サインは、公開鍵暗号技術以外の方法で署名者が本人であることを示しており、場合によっては法的効力を持たないことがあります。
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