取締役会議事録とは?重要な2つの役割や電子化に関するQ&A


目次[非表示]

  1. 1.取締役会議事録とは
  2. 2.取締役会議事録の重要な2つの役割
    1. 2.1.取締役会での意思決定を明確化する
    2. 2.2.取締役会での意思決定の証拠化をする
  3. 3.取締役会議事録の2つの形式
    1. 3.1.書面の取締役会議事録
    2. 3.2.電磁的記録の取締役会議事録
  4. 4.取締役会議事録を電子化しやすくなった背景
  5. 5.取締役会議事録の電子化に関するQ&A
    1. 5.1.Q. 電子署名は誰が行なうのか?
    2. 5.2.Q.記名押印は電子署名で代用可能か?
    3. 5.3.Q.取締役会議事録の電子化でおすすめのサービスは?
  6. 6.まとめ


取締役会議事録とは?重要な2つの役割や電子化に関するQ&A


取締役会を行う際、取締役会議事録を作成して意思決定の明確化や証拠化をする必要があります。

取締役会議事録はかつて書面で作成するのが一般的でしたが、物理的な署名や記名押印にかかる手間を削減できる電子文書でも対応可能となりました。

この記事では、取締役会議事録の重要な役割や形式、電子化に関するQ&Aなどを紹介します。


取締役会議事録とは

取締役会議事録とは、取締役会の際に会社法で作成が義務付けられている法定文書のことです。

通常の議事録とは異なり、『会社法371条1項 会社法施行規則101条2項』で記載する内容が定められており、書面または電磁的記録(電子データ)で作成します。

監査の際に企業の意思決定記録として提出するケースもあるため、正しい方法で作成と保管を行うことが重要です。

不適切な方法で取り扱っている場合、取締役が民事・刑事それぞれの責任を負う可能性があるため、取締役会議事録の役割や重要事項を押さえておきましょう。



取締役会議事録の重要な2つの役割

取締役会議事録を作成するうえで、特に重要とされているのが意思決定の明確化と証拠化です。

具体的に、どのような記載が必要になるのかを解説します。


取締役会での意思決定を明確化する

取締役会議事録では、『会社法371条1項 会社法施行規則101条3項』に基づいて議事の経過とその結果を記録します。

これは、参加者の認識の齟齬をなくすためです。具体的には、以下のような事項を記載する必要があります。


  1. 取締役会の標題
  2. 取締役会の開催日時
  3. 取締役会の開催場所
  4. 取締役会の出席者
  5. 議長の氏名
  6. 議長による開会宣言と閉会宣言
  7. 取締役会への報告事項
  8. 取締役会での決議事項の採決結果


これらの事項を記録しておくことで、取締役会での意思決定の内容を明確化できます。


取締役会での意思決定の証拠化をする

取締役会議事録における意思決定の証拠化は、書面で作成した場合と電磁的記録で作成した場合で方法が異なります。

書面の場合、出席取締役全員の署名または記名押印で行い、電磁的記録の場合、電子署名などで対応することが必要です。

取締役会議事録の内容に対して、取締役会に参加した取締役が異議をとどめていない場合、決議に賛成したことが推定されます。

したがって、決議が問題となった場合、『会社法423条1項 第11節 役員等の損害賠償責任』に基づいて当該意思決定に関与した取締役に対する責任追及の証拠になります。


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取締役会議事録の2つの形式

取締役会議事録の作成方法は、書面または電磁的記録の2種類です。ここでは、それぞれの形式での作成方法や注意点を紹介します。


書面の取締役会議事録

取締役会議事録を紙媒体で作成する場合、使用する紙について明確な決まりはありません。

一般的には、A4サイズのコピー用紙で作成して10年間保管します。

長期的な保管になるため、劣化や紛失のリスクを避けられる保管方法を選ぶことが重要です。


電磁的記録の取締役会議事録

電磁的記録とは、WordやExcel、PDF編集ソフト、電子契約システムなどで作成した電子文書のことです。

書面のように直筆の署名や印鑑による押印、物理的な保管などが不要なため、管理を効率化できます。

電子文書に対して法的効力を持たせる場合、電子署名の付与が必要です。


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取締役会議事録を電子化しやすくなった背景

2021年1月29日に公布された『会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する 法律の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて』で、商業・法人登記のオンライン申請に必要な添付書面情報の電子化の要件が緩和されました。

これにより、取締役会議事録の作成および意思決定の証拠化が、クラウド型の電子署名サービスだけでも可能となりました。

民間の電子契約事業者による電子署名の有効性も認められるようになったため、以前よりも取締役会議事録の電子化をしやすくなっています。

ただし、全ての電子署名サービスが取締役会議事録の電子化に対応しているわけではありません。そのため、法的要件に基づいて取締役会議事録の電子化をサポートしているサービス事業者を選定することが重要です。

また、登記申請の際は、印鑑証明書の添付が必要な書面もあるため、事前の確認が必要です。



取締役会議事録の電子化に関するQ&A

ここからは、取締役会議事録の電子化に関してよくある質問と回答を紹介します。


Q. 電子署名は誰が行なうのか?

A.  電磁的記録で取締役会議事録を作成した場合、『会社法施行規則 第225条』に基づき、出席者である取締役と監査役全員の署名が必要です。書面の場合も同様です。


Q.記名押印は電子署名で代用可能か?

A.代用可能です。署名および記名押印を電子署名で代用した場合、リモートでの取締役会で印鑑を押す手間が省けるため、業務効率化できます。


Q.取締役会議事録の電子化でおすすめのサービスは?

A.電子契約サービスです。電子文書や電子契約書の作成から電子署名法に遵守した電子署名まで包括的に提供しているサービス形態です。さらに、電子文書の管理機能も搭載したサービスもあります。


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まとめ

この記事では、取締役会議事録について以下の内容で解説しました。


  • 取締役会議事録の重要な役割
  • 取締役会議事録の形式
  • 取締役会議事録を電子化しやすくなった背景


取締役会議事録は、取締役会における意思決定の明確化や証拠化などをするための法定文書であり、書面または電磁的記録で作成します。

電子文書と電子署名で行う電磁的記録は、直筆の署名や記名押印の手間を省くことができるため、企業によって業務効率化を図れる手段となります。

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