電子契約で変更になる社内規程|新たに必要な電子署名管理規程とは?
目次[非表示]
- 1.電子契約の導入で社内規程はどう変わる?
- 1.1.社内規程が変更になる理由
- 1.2.変更・修正を行う社内規程
- 1.3.新規作成する社内規程
- 2.電子契約導入に伴う電子署名管理規程で定める主な項目
- 3.電子署名管理規程を作成する際のポイント
- 4.まとめ
電子契約システムの導入に伴い、これまでの書面契約における契約書の作成や管理のための業務フローが大きく変わります。そのため社内規程を新しく設けることで、社内認識の統一や、リスク回避などが必要不可欠です。そこで従来の社内規程への追記や、新しく「電子署名管理規程」を作成する必要があるでしょう。今回は、変更・修正すべき社内規程、電子署名管理規程を作成すべき理由や規程に含めるべき項目について解説します。
電子契約の導入で社内規程はどう変わる?
電子契約を導入すると、新しいシステムの操作や作成した電子データの保管方法など、大きな変化が起こります。そこで社内の認識に統一性を持たせるため、電子契約についての規程を設ける必要があります。
社内規程が変更になる理由
電子契約を導入することは、単純にこれまで行われていた書面契約から置き換えればよいわけではありません。電子契約を行うにはシステムの導入や、保管方法の変更など大きな変化が複数存在します。そのため下記の理由から、社内規程の変更は必須であるといえるでしょう。
- 新しくシステムを導入するため
- 契約書を含む書類作成のフローが変わるため
- システムにより作成された、契約書を含む書類の保存方法が変わるため
- 人員の入れ替わりが起こっても共通の認識やルールを把握できるようにするため
- トラブルを起こしたり違反を犯したりした人員に処分を下すための根拠となるため
複数の人員が業務に携わる場合は、共通の認識やルールがなければ統一性がなくなり管理が煩雑になります。そのため電子契約導入時には、社内規程の変更が必須とされるのです。
変更・修正を行う社内規程
変更・修正を行うべき社内規程には「印章管理規程」「文書管理規程」「契約書」の3つがあり、ほとんどの企業にもともと存在する規程です。もし存在していなければ、今回を機に作成しておきましょう。
印章管理規程
書面における契約書作成に欠かせない、印章(ハンコ)についての規程です。使用できる印章の種類や定義、管理方法などを記載します。あらかじめ作成した「印章管理規程」があれば、電子契約に関する規程やルールを追記する方法もあります。
文書管理規程
企業が所持している文書の保管方法や作成する文書の形式にばらつきが出ないよう、ルールを定めて記載したものです。ルールや規程を設けることで、書類の管理が容易になります。
これまでは書面における書類のルールを記載していました。しかし電子契約の場合は、作成された書類はデータ上にあるため実体がなく、企業の棚に保管することができません。また2024年1月1日から義務化された「電子帳簿保存法」により、電子取引により授受した書類の保管方法が定められています。
そのため文書管理規程において、電子契約が行われた際のルールも新しく追加する必要があります。
契約書
クライアントや従業員と交わす契約書の文言や内容にも変更が必要です。なぜなら電子契約では、従来の文言のままでは相違が生じる場合があるためです。例えば「事前の書面による承諾がない限り」など、書面による契約書の取り交わしが前提となっている文章では、電子契約において成立しなくなるため、今後はフォーマットの変更が必要になります。
新規作成する社内規程
前述した「印章管理規程」「文書管理規程」「契約書」を用意していない場合は、新しく作成しましょう。特に印章管理規程は書面契約における規程が中心ですが、完全に電子取引のみ行うとは限りません。クライアントによっては書面契約が行われたり、用紙により作成された書類を保管したりする可能性があるため必要といえます。
電子契約の導入により新たに作成が必要になるのが「電子署名管理規程」です。
電子署名管理規程
パソコンなどのデジタル機器を用いて行われる電子契約に関する規程やルールなどについて定めた文書です。電子署名の定義や文書の保管方法、利用するシステムの規程について記載します。ただし、印章管理規程にこれらの内容を含める場合は、必ずしも作成する必要はありません。
電子契約導入に伴う電子署名管理規程で定める主な項目
社内規程は、基本的には企業ごとに書式や項目内容を定めても問題ありません。しかし、電子署名管理規程を作成する際には、必ず含めるべき項目があります。ここでは主な記載項目をご紹介します。
目的
電子署名管理規程(社内規程)を作成した目的を記載します。目的には社内ルールの統一化やリスク回避のために必要な内容を記載することが挙げられます。
定義
電子署名管理規程における用語が示す範囲を定義します。たとえば電子文書、電子署名、電子取引、指定のシステムなど、示している範囲が曖昧な用語に関して、すべて初めに定義しておきます。
電子署名の制定の手続き
電子契約システム上で定めるルールについて記載します。例えば「制定する際には管理者の許可を得る」などが挙げられます。
電子署名の改廃の手続き
改廃とは、改正または廃止することをいいます。「すでに定めた内容の改廃を行う際は管理者の許可を得る」などのルールを記載します。
利用する電子署名の種類
企業にて利用する電子署名の種類をすべて記載します。たとえば契約書を作成する際に、代表取締役と事業部ごとの管理者の電子署名を使用する場合は、必要な電子署名の種類として「代表取締役および契約に関わりのある事業部の管理者とする」旨を記載します。
保管方法
電子署名の管理方法を記載します。電子帳簿保存法に則り、指定システムのマニュアルに沿って適切に保存することや、保存する際はパスワード認証を施すこと、2つの認証を用いた二要素認証設定を設けること、などが挙げられます。
管理責任者(管理代行者)
管理責任者を指定して、電子署名管理規程に記載します。また、管理責任者が病気や休暇などでやむを得ず対応できない場合に備えて、管理代行者もあらかじめ指定して記載します。
紛失・盗難・毀損・事故などの発生時の対応
電子署名が、何らかのトラブルにより紛失、または盗難などに遭った場合に備えて、対策や対応フローを記載します。発覚後は速やかに管理責任者へ報告すること、などを記載します。
電子署名管理規程を作成する際のポイント
電子署名管理規程を作成する際は、前述した項目を含めることが大切です。しかし明記しなければならないことや規定すべきことなど、各項目を記載する際のポイントがあります。
秘密鍵、パスワード、二要素認証用端末を安全に管理する
書面契約では、契約時に必要なハンコは金庫に入れて保管すること、など印章の管理方法について記載できました。しかし電子契約の電子署名は物理的に管理ができないため、秘密鍵・パスワード・二要素認証用端末などで安全性を確保する必要があります。
電子署名を利用するために必要な認証方法、および電子署名と認証方法を管理する責任者についても規定しましょう。
管理代行者となるサービス事業者の役割を明記する
使用するシステムによっては、電子契約のサービス事業者が用意した秘密鍵を利用し、クラウドサーバ上で管理することもあります。その場合は、サービス事業者と自社の管理責任者において、それぞれの役割と責任について明確にしておく必要があるでしょう。
商業登記用の電子署名を規定しておく
商業登記電子証明書とは、企業が自社名義でオンライン申請を行うための電子署名で、行政手続きを行う際に求められる場合があります。
商業登記電子証明書を利用するには、登記所である法務局から企業の代表者へ、商業登記電子証明書を発行してもらう必要があります。
商業登記電子証明書の提示が求められた場合に備え、パスワードを含めた管理者の指定および記載が必要です。
テンプレートを利用する
電子署名管理規程の作成において、含むべき項目や記載内容に悩んだ際は、すでにインターネット上で公開されているテンプレートを用いる方法がおすすめです。ダウンロードしてテンプレートに沿って内容を記載するだけで、電子署名管理規程が完成します。また、他社が公開している電子署名管理規程のサンプルを参考にするのもよいでしょう。
ただし、自社の規程や業務に支障がないか、および矛盾する箇所がないか、など注意が必要です。
まとめ
「電子署名管理規程」は社内規程の一つで、電子契約の導入時に作成が必要です。なぜなら電子契約が導入されることで契約書の作成や管理のフローが変わるうえ、印鑑ではなく電子署名が必要など大きな変化があるためです。
大きな変化に伴い社内規程で統一性を図ることで、業務内の混乱が避けられ、トラブル時の対応もスムーズに行えます。
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