秘密保持契約とは?記載項目と締結のメリット、よくある質問を解説
目次[非表示]
- 1.秘密保持契約とは?
- 1.1.秘密保持契約の基礎知識
- 1.2.秘密保持契約書に記載すべき項目
- 2.秘密保持契約を締結する主なメリット
- 3.秘密保持契約に関するよくある質問
- 3.1.NDAと秘密保持契約の違いは?
- 3.2.秘密保持契約を締結するデメリットは?
- 3.3.秘密保持契約は永久に有効?
- 3.4.秘密保持契約に違反した場合はどうなる?
- 3.5.秘密保持契約は誰が作成する?
- 4.まとめ
企業が保有する情報の量が増え、機密性が高まる一方で、情報通信技術の飛躍的な発展により、情報のやりとりはかつてなく容易になっています。そのため、企業は個人情報などの秘密情報の取り扱いに細心の注意を払わなければなりません。その一つの方法が秘密保持契約の締結です。
ここでは、秘密保持契約とは何か、締結するメリットや秘密保持契約書に記載すべき項目について解説します。
秘密保持契約とは?
「秘密保持契約」とは、自社がもつ秘密情報を他社に開示する場合、その情報の機密性を担保するために締結する契約です。ここでは、秘密保持契約の基礎知識や、秘密保持契約書に記載すべき項目について説明します。
秘密保持契約の基礎知識
そもそも秘密保持契約とは?
秘密保持契約とは、相手方と業務委託などの契約を締結する際に開示する機密情報を第三者に漏洩しないように締結する契約です。英語では「Non-Disclosure Agreement」で、「NDA」と省略されることもあります。また、「機密保持契約」と呼ばれることもあります。呼び方は異なっても、契約の目的は同じです。
秘密保持契約を締結するタイミング
秘密保持契約は、秘密を開示する前に取引相手と締結すべきです。
ビジネスではスピードが求められるため、業務委託などの際にまず自社の秘密を相手に提供して業務を開始してもらい、同時並行で、あるいはそのあとに秘密保持契約を締結せざるを得ないと思うことがあるかもしれません。
しかし、秘密情報を開示したあとに取引が成立しない可能性もあり、その場合、すでに相手に提供した秘密を利用されても、法的措置を取ることは困難です。相手が信頼できる取引先であるとしても、必ず秘密情報のやり取りが発生する前に秘密保持契約を締結しましょう。
秘密保持契約と機密保持契約の違い
一般的に「機密」とは、企業にとって重大な秘密情報を指します。ただ、「秘密保持契約」と「機密保持契約」を使い分けることで、保護すべき情報の重要度に違いを設けているわけではなく、その目的は同じです。
秘密保持契約書に記載すべき項目
秘密保持契約書に記載すべき項目には以下のような規定が含まれます。
秘密情報の定義や範囲
秘密保持の対象となる情報の定義や範囲を確定します。曖昧な表現を避け、明確かつ具体的に記載しましょう。一般的には条文の項目を「秘密情報の定義」として、「本契約において秘密情報とは」で始まる文章の後に示します。
適用外となる情報
秘密情報の定義や範囲を明確にするためには、「適用外となる情報」について具体的に示すことも不可欠です。特に情報の開示を受ける側は適用外となる情報を具体的に列挙しておかなければなりません。
例えば、「本契約の履行上、相手方から開示された一切の情報」などと抽象的に範囲を定めると、すでに自社が保持していた情報も相手から提供された情報が類似しているとして、秘密情報とみなされる可能性があるからです。
こうした事態を避けるためには、「受領者が独自の開発により得た情報」「受領者がすでに了知していた情報」などは「秘密情報に含まれない」と明記しておくべきです。
秘密情報の取り扱い方法
第三者に開示しないことはもちろん、契約目的以外の使用を防止するため、秘密情報の取り扱い方法について定めます。
例えば、「秘密情報取扱管理者を定める」ことや、「漏えい、盗難、紛失の事態が発生した、またはそのおそれがあるときは、直ちにその旨を相手方に通知する」ことなどの文章を記載します。
禁止事項
すべての行為を列挙することはできませんが、できるだけ具体的に禁止事項を定めておくと良いでしょう。
秘密情報の返還、破棄
適切に秘密情報を保管している場合でも、一定期間経過後には秘密情報の返還・破棄を求めることできるよう明記しておきます。
損害賠償、差し止め
秘密保持義務に違反した場合に発生する効果について記載します。「差し止め」とは、まだ発生していない損害を防ぐ事前の救済措置を指します。
有効期間
秘密保持契約の有効期間を明確にします。有効期間の起算点についても確認しておきましょう。
秘密保持契約を締結する主なメリット
秘密保持契約の締結には以下の3つのメリットがあります。
- 秘密情報の流出リスクの抑止
- 情報漏えいが起こった場合の損害賠償請求
- 秘密情報の範囲の明確化
以下、一つずつ解説します。
秘密情報の流出リスクを抑えられる
継続的に取引している相手であっても、毎回きちんと秘密保持契約を結ぶことで当事者の意識を高め、秘密情報の流出リスクを抑えられます。
契約締結先が情報を漏えいさせた場合に損害賠償請求できる
秘密保持契約を締結しているため、情報漏えいさせた場合は債務不履行となり、契約内容にしたがって損害賠償を請求できます。また、仮に情報漏えいが発生しても、契約違反に備えて対策をとっていたことでステークホルダーの信頼失墜も防止できます。
秘密情報の範囲を明確化できる
一定要件を満たす営業秘密は不正競争防止法によっても保護されますが、秘密保持契約を締結することでより広範囲に企業の秘密を確定できます。
秘密保持契約に関するよくある質問
ここでは、秘密保持契約に関するよくある質問について解説します。
NDAと秘密保持契約の違いは?
上述したように、NDAと秘密保持契約は呼び方こそ異なりますが、同じ契約です。締結の目的も同じであり、企業にとっての秘密情報の漏えいの防止です。
秘密保持契約を締結するデメリットは?
秘密保持契約を締結するデメリットは、契約で定められた方法で秘密情報を管理することが当事者にとって負担になる場合があることです。もっとも情報漏えいを防止するために必要な対策であり、多少の負担は避けられないでしょう。
秘密保持契約は永久に有効?
秘密保持契約を永久に有効とすることは法的には可能です。しかし、契約期間を永久に有効とするのは現実的ではありません。なぜなら、契約の対象である情報の価値は時間の経過とともに変化するからです。また、秘密情報を受け取る側はずっと管理コストを負担しなければなりませんし、漏えい時のリスクにさらされることにもなります。
秘密保持契約に違反した場合はどうなる?
秘密保持条項に違反した場合は、契約内容に基づき損害賠償を請求されることになります。また、差し止め請求では、情報の受領側によって秘密情報を利用できないように求めることができます。
秘密保持契約は誰が作成する?
秘密保持契約は一般的に秘密情報の開示者が作成します。秘密情報が漏えいした場合、リスクを負うのは情報提供側だからです。
まとめ
秘密保持契約により、企業が保有する秘密情報の漏えいを防ぐことができ、万が一のときのためのリスクヘッジにもなります。秘密保持契約を作成する際には、秘密情報の範囲を明確にし、機密情報の取り扱い方法や有効期間なども漏れなくチェックしておきましょう。
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