契約書の収入印紙に押す割印とは?電子契約書の場合の方法
目次[非表示]
- 1.契約書の収入印紙に必要な割印(消印)とは
- 1.1.そもそも割印とは?
- 1.1.1.割印の概要
- 1.1.2.割印を押す目的
- 1.1.3.割印と契印、捨印の違い
- 1.2.契約書の印紙に割印が必要な理由
- 2.契約書の収入印紙に割印を押す方法
- 2.1.収入印紙と割印の位置
- 2.2.割印で使う印章の種類やサイズ
- 2.3.割印の訂正方法
- 3.契約書の収入印紙の割印に関するよくある質問
- 3.1.収入印紙の割印は誰が押す?
- 3.2.契約当事者全員の印鑑がなくてもOK?
- 3.3.契約時の印鑑でなくてもOK?
- 3.4.印鑑ではなく署名でもOK?
- 4.電子契約の場合、収入印紙の割印はどうなる?
- 4.1.電子契約には割印も収入印紙も不要
- 4.2.電子契約の真正性は電子署名で担保する
- 5.電子契約書なら割印や収入印紙を貼る手間とコストを省ける!
紙の契約書を発行した際、書類の種類や契約金額によっては、課税対象となる場合があります。課税文書に対して印紙税を納めるときは、収入印紙の貼付によって納付することが印紙税法で定められています。このとき、貼付した収入印紙には割印(消印)が必要です。
この記事では、契約書の収入印紙に押す割印に関する情報をご紹介します。また、電子契約書の場合の対応方法についてもお伝えしますので、ご担当者様はぜひ参考にしてみてください。
契約書の収入印紙に必要な割印(消印)とは
紙の契約書の種類や記載された契約金額によっては、収入印紙を貼付する場合があります。収入印紙を貼った際は、割印(消印)が必要です。まずは、契約書の収入印紙と割印に関する基礎知識から解説します。
そもそも割印とは?
割印の概要
割印とは、複数の文書の重ね合わせた部分に押印することを指します。これにより、複数枚にまたがる形で印影が残るのが特徴です。
割印を押す目的
割印には、複数の文書に関連性や同一性があることを示し、改ざんなどの不正を防ぐ目的があります。ただし、不正防止目的の割印に関しては、法律で定められているわけではありません。たとえ割印がなかったとしても、契約書などの文書の法的効力は認められます。ただし、商習慣として割印が用いられることが一般的です。
一方、紙の契約書の収入印紙に割印を押す場合は、課税文書に貼付した収入印紙を消す(=消印)という意味合いで行われ、印紙税法において必須とされています。印紙税法では「消印」と呼ばれていますが、一般的には割印と呼ばれることが多いため、以降の本文では、このような収入印紙に押す消印も含めて「割印」と表記します。
割印と契印、捨印の違い
「契印」は、契約書などで用いる通常の割印と同様に複数の文書にまたがる形で押印することを指します。文書の隣り合うページ同士を並べて、2つのページの間に押すのが契印の特徴です。これにより、複数の文書に連続性があることを示すという目的があります。
「捨印」とは、文書内の余白部分に押印することを指します。万が一作成した文書に不備が生じた際は、相手方が捨印を訂正印として用いることが可能です。一般的に、相手方の判断で文書を訂正しても問題がないケースで用いられます。
契約書の印紙に割印が必要な理由
印紙税法において、契約書に収入印紙を貼付した場合は、文書と収入印紙にまたがる形での割印または署名が必須とされています。その理由は、収入印紙の再使用などの不正を防止するためです。具体的な割印や署名の方法については、以降の見出しで解説します。
【参考】「印紙の消印の方法」(国税庁)
URL:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/06/03.htm
契約書の収入印紙に割印を押す方法
紙の契約書の収入印紙に割印を押すときは、以下の方法で対応するのが一般的です。収入印紙と割印の位置、印章の種類やサイズ、訂正方法などを解説します。
収入印紙と割印の位置
収入印紙の位置
紙の契約書の場合、収入印紙は文書の左上に貼るのが一般的です。ただし、収入印紙を貼る位置は法律で定められているわけではありません。商習慣に沿って文書の左上に貼るか、あるいは貼付する欄がある場合はそちらに貼っても良いでしょう。
割印の位置
割印は、まず収入印紙を紙の契約書に貼付した上で、文書と収入印紙にまたがる位置に押す必要があります。その際、はっきりとした印影によって収入印紙を消すように割印を押すことが重要です。こうした割印の位置や割印の仕方については、印紙税法第8条第2項によって定められています。
(印紙による納付等)
第八条
2 課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。
【引用】「印紙税法」(e-Gov 法令検索)
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000023
割印で使う印章の種類やサイズ
契約書の収入印紙への割印で使う場合、印章の種類やサイズなどに指定はありません。国税庁の見解によると「氏名や名称などを表示した日付印」や「役職名や名称などを表示したゴム印」などでも対応可能だとされています。ただし、その際は誰が対応したかが明らかにわかるようにする必要がある点に留意しておきましょう。
消印は印紙の再使用を防止するためのものですから、それに使用する印章は通常印判といわれているもののほか、氏名、名称などを表示した日付印、役職名、名称などを表示したゴム印のようなものでも差し支えありません(基通第65条)。
※基通=印紙税法基本通達
【引用】「印紙の消印の方法」(国税庁)
URL:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/06/03.htm
割印の訂正方法
万が一、収入印紙への割印を失敗してしまった場合は、訂正を行います。訂正するときは、誤った印影とは別の場所に再度割印を行いましょう。その際、訂正印による対応は不要となります。なお、誤った印影に重ねて同じ場所に押してしまうと、割印が無効となるおそれがあるのが注意点です。
契約書の収入印紙の割印に関するよくある質問
紙の契約書の収入印紙と割印に関して、よくある質問とその回答をご紹介します。契約業務では以下のポイントを確認しておきましょう。
収入印紙の割印は誰が押す?
契約書の収入印紙に割印を押すのは、文書の作成者や代理人などです。必ずしも文書の作成者本人でなくても、代理の依頼を受けた人も割印に対応できるとされています。
契約当事者全員の印鑑がなくてもOK?
たとえ複数名で契約する場合でも、文書の作成者などのうち1人が収入印紙に割印を行えば、再使用を防止できます。そのため、全員の印鑑がなくても問題ないとされています。同様の理由から、複数人で割印を行っても問題ありません。
契約時の印鑑でなくてもOK?
契約書の収入印紙への割印は、必ずしも契約時の実印などである必要はありません。前述した通り、誰が対応したかが明らかにわかる印影であれば、日付印やゴム印などでも対応可能だとされています。
印鑑ではなく署名でもOK?
契約書の収入印紙を消す場合、割印だけでなく署名によっても対応できます。文書の作成者や代理人などが署名を行って、収入印紙を消せば問題ありません。ただし、手書きのサインを記入する際、鉛筆などの容易に消せる筆記用具での署名は認められていないことに注意しましょう。
電子契約の場合、収入印紙の割印はどうなる?
電子契約書の場合、収入印紙の貼付が不要とされているため、割印がなくても問題ありません。電子契約における対応方法を解説します。
電子契約には割印も収入印紙も不要
紙の契約書とは異なり、電子契約では収入印紙を貼付する必要がなく、収入印紙の割印も不要となります。そもそも印紙税は紙の文書が対象となることから、電子契約は課税文書に該当しないと考えられているためです。電子契約では収入印紙を貼り付けたり押印したりする手間を省けるほか、印紙代を削減できます。
電子契約の真正性は電子署名で担保する
電子契約では、書面契約のように印鑑が用いられません。その代わりとして、契約の真正性を担保する際には「電子署名」が用いられます。電子署名は、紙の書類における印鑑に該当するもので、発行に際して第三者機関による審査が実施されます。電子的に信用性が認められることから、電子署名を行った文書は、本人により作成されたと見なされるのです。
電子契約書なら割印や収入印紙を貼る手間とコストを省ける!
紙の契約書の収入印紙に割印を押す方法や、電子契約での対応方法を解説しました。紙の契約書の場合、収入印紙を貼付したら割印が必須です。その一方で、電子契約では収入印紙自体が不要となるので、割印も必要ありません。
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