契約書管理とは?重要性と主な管理方法、システムの機能・選び方


目次[非表示]

  1. 1.契約書管理の基礎知識
    1. 1.1.契約書管理とは?
    2. 1.2.契約書管理が重要な理由
    3. 1.3.契約書管理を行う主な方法
      1. 1.3.1.紙を使用した管理台帳
      2. 1.3.2.Excelを使用した管理台帳
    4. 1.4.契約書管理システム
  2. 2.契約書管理システムの主な機能
    1. 2.1.契約書の電子データ化
    2. 2.2.契約書の検索
    3. 2.3.管理台帳の作成
    4. 2.4.契約書の更新期限管理
    5. 2.5.契約書のバージョン管理
    6. 2.6.契約書のアクセス権限管理
    7. 2.7.関連する契約書の紐づけ
  3. 3.契約書管理システムを選ぶポイント
    1. 3.1.使いやすさ
    2. 3.2.セキュリティ
    3. 3.3.サポート体制
    4. 3.4.費用
    5. 3.5.電子契約機能の有無
    6. 3.6.紙の管理・電子化代行機能の有無
  4. 4.まとめ


契約書管理とは?重要性と主な管理方法、システムの機能・選び方


契約書には、自社の機密情報や社員の個人情報などが記載されていることから、慎重に管理する必要があります。そのため、契約書管理は企業にとって重要なテーマです。ところが、全社共通の管理方法が定まっておらず、独自のルールで保管しているケースもあるのではないでしょうか。

この記事では、契約書管理の重要性と主な管理方法、さらに、契約管理システムの機能や選び方を解説します。


契約書管理の基礎知識

さっそく契約書管理が重要な理由や主な管理方法など、契約書管理の基礎知識を確認していきましょう。

まずは、契約書管理の定義から解説します。


契約書管理とは?

契約書管理とは、契約書原本と契約書の情報(契約内容、有効期限、更新の時期など)を管理することを指します。


契約書管理が重要な理由

契約書は会社にとって重要な機密情報です。管理が行き届かないことによる更新漏れ、紛失や破損などがあれば、会社に重大な損害を与えます。このようなリスクを未然に回避するには、適切な方法で管理を行う必要があり、リスクマネジメントの観点から、契約書管理は重要です。

また、契約書の種類は多岐に渡ることから、部署を問わず、契約書を確認する場面は頻繁に起こります。例えば「取引先との契約書の期限はいつまでだったか、新しい契約を結ぶ際に参考にしたい」といった「すぐに確認したい」時、データ検索をするだけで、欲しい情報が得られるとしたら、業務効率は飛躍的にアップすることでしょう。このように、業務効率化の面でも、契約書管理は重要です。

次に、契約書管理を行う主な方法について紹介します。


契約書管理を行う主な方法

一般的に、契約書管理は、契約書の情報を項目ごとに記録した契約書管理台帳を作成して行います。管理台帳の基本的な項目は、次のとおりです。


項目
記載事項
契約書番号
契約書に付した整理番号
契約書名
契約書の名称
契約書の種類
売買契約書・業務委託契約書・機密保持契約書など契約書の種類
契約締結日
契約を締結した日
契約相手
契約相手の名前
契約内容
契約書の内容の要約
有効期限
契約書の有効期限
更新時期
契約書の更新時期 ※自動更新の有無があるなら。合わせて記載する
契約金額
契約の金額
担当部署・担当者
契約の担当者の部署と名前


また、契約書管理台帳を作成するには、主に次の3つの方法があります。


紙を使用した管理台帳

まず、最も簡単にできる方法が、紙を使用した管理台帳です。コストもほとんどかからず、特別なスキルも必要ありません。

しかし、紙の管理台帳は検索機能がなく、情報の更新作業にも手間がかかります。さらにバックアップが取れず、リモートアクセスできないというデメリットもあります。加えて、アクセス制限をかけることが難しいため、セキュリティリスクが高くなります。


紙を使用した管理台帳
メリット
デメリット
  • コストがほとんどかからない
  • 特別なスキルは不要
  • 検索機能がない
  • 情報の更新作業に手間がかかる
  • バックアップが取れない
  • リモートアクセスができない
  • アクセス制限をかけるのが困難


現在は、紙ならではのデメリットの解消を目指して、多くの企業で管理台帳のデータ化が進んでいます。データ化の方法として考えられるのが、Excelの使用と契約書管理システムの導入です。


Excelを使用した管理台帳

管理台帳をデータ化する場合、Excelは、比較的取り組みやすい方法だといえるでしょう。日々の業務で使用しているケースが多いことから、導入コストも低く抑えることができ、社内に浸透させやすいというメリットがあります。

さらに、製品が汎用的なパッケージとして型化されている契約管理システムと違って、カスタマイズしやすいという特徴があります。Excelの操作に精通した社員がいる場合、自社の取引のやり方などに合わせた、オーダーメイドに近い台帳データの作成も可能でしょう。

その半面、Excel操作に詳しい社員がいない場合は、台帳データとしての完成度は一気に下がってしまいます。関数の利用やプルダウン機能のない、ほぼすべてが手入力というようなデータでは、作業が煩雑でミスも起こりやすく、業務効率も逆に下がりかねません。

また、Excelには、基本的にアラート機能がないため、契約書の期限管理はカレンダーに印をつけるなど、アナログな方法に頼らざるをえません。セキュリティ面においても、サイバー攻撃による情報漏洩事件が頻発している現状を鑑みると、パスワード設定によるアクセス制限だけでは不安が残ります。

さらに、契約書本体と契約内容の一元管理が難しいというデメリットもあります。契約書の数が多くなればなるほど、入力に時間がかかり、データ量の増加によって処理速度も遅くなるという点も問題です。


Excelを使用した管理台帳
メリット
デメリット
  • 導入コストが低い
  • 社内に浸透しやすい
  • カスタマイズしやすい
  • 台帳の完成度が、作成担当社員のExcelスキルに左右される
  • アラート機能がなく期限管理が難しい
  • セキュリティ面では不十分なケースがある
  • 一元管理が難しい
  • 契約書の数が多いと入力作業が煩雑
  • データ量の増加によって処理速度が下がる


次に、契約書管理システムについて解説します。



契約書管理システム

契約書管理システムとは、検索や自動入力、契約期限通知など、契約書管理のための機能を搭載した専用のシステムのことです。電子契約の普及、電子帳簿保存法の改正による電子取引データの保存義務化などで、市場のニーズも高く、契約書の作成から管理までを一括管理できるシステムもあります。

契約書管理システムでは、紙の契約書をデータ化し、管理台帳に紐づけることによって、契約書の一元管理、データベース管理が可能になります。また、複数人が同時に管理台帳にアクセスできるので、契約書内容などの共有漏れを防止でき、契約書の有効期限・更新期限も、アラート機能で一目瞭然です。さらに、検索機能により、欲しい情報がすぐ手に入るため、紙のファイルや膨大なExcelデータを探し回る手間も減り、業務効率の大幅アップも期待できます。その他にも、アクセス制限や通信の暗号化など、セキュリティ対策も充実しています。

一方、システムによっては操作が難しく、覚えるのに時間がかかる場合があります。さらに、カスタマイズの面では難しい部分もあることから、自社が求める機能が不足していたり、自社の取引方法と合わず、せっかく導入したシステムが十分機能していない状況に陥ったりする可能性もあります。


契約管理システム
メリット
デメリット
  • 契約書の一元管理・データベース管理が可能
  • データ共有がしやすい
  • アラート機能で契約書の更新漏れなどを防止できる
  • 検索機能などで業務効率が大幅アップ
  • セキュリティ対策が充実
  • 操作を覚えるのに時間がかかる場合がある
  • 自社に合わないシステムだと、十分機能しないこともある


紙、Excel、契約書管理システム、それぞれにメリットとデメリットがあります。自社の状況や課題に応じて、契約書の管理方法を検討しましょう。




契約書管理システムの主な機能

契約書管理システムは業務効率がアップし、入力作業の簡易化などで、人件費コストの軽減も見込めます。そのため、効率的な契約書管理にはシステムの導入がおすすめです。

では、契約書管理システムにはどのような機能があるのでしょうか。以下、主な機能を解説します。


契約書の電子データ化

スキャニングやPDFデータのアップロードなどで、紙の契約書を電子データ化できます。なお、紙の契約書のデータ化代行サービスがあるシステムもあります。


契約書の検索

電子データ化された契約書はデータベースに保存されているため、契約者名・相手方・締結日・署名完了日・有効期限などの契約情報ごとに、素早く検索できます。


管理台帳の作成

契約書データから、文書名・相手方・締結日などの情報をピックアップし、管理台帳を作成できます。


契約書の更新期限管理

契約書の更新期限もシステム上で管理でき、リマインド通知メールなどで更新の時期を知らせます。


契約書のバージョン管理

契約書データの一部を変更・削除した場合にも、バージョンごとに保存管理しているため、変更・削除履歴を確認したり、「だれが」「いつ」「どの文書に」変更を加えたかなど、操作ログをチェックしたりすることもできます。


契約書のアクセス権限管理

個々の社員ごとに、契約書のアクセス権限と、「編集」「承認」などの役割を細かく設定することができ、情報漏洩・不正アクセスなどのリスクを防止します。


関連する契約書の紐づけ

親契約と子契約、個別契約と覚書など、関連する契約書の紐づけ管理もできるため、契約の正確な内容把握に役立ちます。



契約書管理システムを選ぶポイント

契約書管理システムを選ぶ際は、まず、契約書管理に関する自社の課題を整理して、契約書管理システムを活用して、何をやっていきたいかを考えることが肝要です。

その上で、次のようなポイントをチェックして、自社に最適な契約書管理システムを選びましょう。


使いやすさ

まずは使いやすいことが重要です。基本操作が難しすぎて、一部の社員しか使いこなせないようなシステムでは導入の意味がありません。その一方で、検索や自動入力、ワークフローなど充実した管理機能を求めると、操作が複雑になる部分もあるかもしれません。その場合は、わかりやすいマニュアルの有無、問い合わせ窓口やヘルプデスクの利用のしやすさなどもチェックして、困った時はすぐに相談・解決できる体制の整ったシステムを選ぶようにしましょう。


セキュリティ

会社の財産であり重要な機密書類でもある契約書を守るセキュリティ対策も、ぜひチェックしたいポイントです。「アクセス権限管理が装備されているか」「操作ログ管理の精度は高いか」など、システムのセキュリティ体制も確認しましょう。

その際、データの暗号化や不正アクセス防止機能など、サイバー攻撃対策の有無も注目ポイントです。情報漏洩が起こってしまうと、これまで築き上げてきた会社の信用は一瞬で失墜し、損害賠償など訴訟トラブルに発展する可能性もあります。自社のリスクヘッジのためにも、システムのセキュリティ体制のチェックは必須です。


サポート体制

契約管理システムの導入にあたって、「スムーズに移行できるか」「社内に新システムが浸透するのか」など、担当者の不安や心配は尽きないものです。だからこそ、導入から運用まで、手厚いサポート体制が整っているシステムを選ぶと安心です。


費用

システムの導入費用も、選択の重要なポイントです。ここで注意すべき点は、標準装備の機能の有無です。たとえば契約書の検索機能、アクセス権限管理機能、セキュリティ機能などの管理機能がオプションとなっていた場合、機能をひとつプラスするごとに、追加料金がかかってしまいます。欲しい機能が基本のプランに標準装備されているかについて、ぜひ注目してください。


電子契約機能の有無

契約書管理システムの導入は、自社の契約を電子化する良いタイミングだといえるでしょう。契約書管理システムに電子契約機能が搭載されていれば、システム上で契約の締結・管理まで一貫して行えるからです。

契約書の作成から締結・管理までを一元管理できると、契約業務の効率化が実現し、さらに紙媒体で必要だった郵送料や印紙代もかからないため、コスト削減効果もあります。電子契約への移行を検討する場合は、システムに電子契約機能が備わっているか、チェックするようにしましょう。

なお、電子契約を導入済みの場合は、他のシステムと連携ができるかどうかを確認するようにしましょう。


紙の管理・電子化代行機能の有無

システム導入前の紙の契約書への対応も重要な課題です。書面の契約書をシステム上の管理台帳で一括管理するには、PDF化など契約書の電子データ化作業が必要になります。しかし、紙の契約書の数が多いと、その分手間も作業時間も増え、人件費などのコストも増えます。

そのため紙の契約書の量が膨大な場合などは、システムに文書管理機能が装備されており、書面契約の電子化サービスも行っているシステムがおすすめです。面倒でコストもかかる電子化作業を外注できるため、スムーズなシステム導入につながり、ペーパーレス化もさらに推進できるでしょう。



まとめ

紛失や情報漏洩というリスクから会社を守るためにも、契約書管理は重要です。管理方法には、紙やExcelの契約書管理台帳もありますが、契約書本体と契約書の情報の一元管理が可能で、セキュリティ体制も整備された契約管理システムがおすすめです。

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