契約書の保管期間はいつまで?主な書類別の保存期間一覧と保管方法
目次[非表示]
- 1.契約書の保管期間は何年か?
- 1.1.契約書の保管期間を定める主な法律
- 1.2.主な契約書・文書の保管期間
- 2.契約書の保管方法
- 2.1.紙で保管する
- 2.2.電子データ化して保管する
- 2.3.マイクロフィルムに記録して保管する
- 2.4.外部機関に保管を委託する
- 3.契約書の保管期間に関してよくある質問
- 3.1.保管期間を過ぎた契約書の処理方法は?
- 3.2.永久に保管すべき契約書はある?
- 3.3.保管期間内に契約書を誤って破棄してしまった場合どうする?
- 3.3.1.①契約を再締結し、新たに契約書を発行する
- 3.3.2.②契約書の「正本」「認証のある謄本」を作成する
- 3.4.保管期間を過ぎても契約書を破棄しなかった際に罰則はある?
- 3.5.契約書は当事者のどちらが保管すべき?
- 4.会社のさらなる成長には、書類作成・保管サイクルの効率化が必須
保管スペースを整理するために過去の契約書を処分したいけれど、なんとなく捨てるのは気が引けて、結局ずっと保管しているというケースも現場では少なくありません。過去の契約書は、いつ頃から廃棄しても良いのでしょうか。
契約書の保管期間は法律で決まっています。しかし、委託契約や雇用契約など種類によって根拠となる法律が異なるため、保管期間もそれぞれ異なっているのが実情です。この記事では、法律の規定を紹介しながら、契約書などの書類別の保存期間や保管方法について解説します。
契約書の保管期間は何年か?
会社が締結する契約書の保管期間は法定されています。ここでは契約書の保管期間を規定している法律と、それに基づいた各書類の保管期間について紹介します。
契約書の保管期間を定める主な法律
契約書の保管期間については、主に次の3つの法律が関係しています。
・会社法
「会社法」とは、会社の設立、組織、運営及び管理について定めた法律で、2006年に施行されました。会社が事業活動するにあたって守らなければならないルールを規定しています。
会社法では、「会計帳簿及びその事業に関する重要な資料」の保管期間は10年と規定されています(会社法第432条)。事業に関する重要な資料については、具体的に法定されていませんが、関連する重要な契約書などは、実務上、10年保管が望ましいとされています。
・法人税法施行規則
「法人税法」とは、株式会社、合同会社などの法人の所得に課される法人税について定めた法律です。
法人税法施行のためのルールである「法人税法施行規則」では、関連する契約書などの保管期間は7年です(法人税法施行規則第59条)。ただし、保管の起算日には、少し注意が必要です。契約書の締結日ではなく、契約書の作成または受領した日の属する事業年度の確定申告書提出期限の翌日となっています。例えば、9月30日決算の会社で、2024年4月1日に契約書を作成した場合、契約書の保管期間は、申告書提出期限の2024年11月30日の翌日、2024年12月1日から7年後の2031年11月30日になります。
なお、青色申告を選択している会社が、赤字になった事業年度で「欠損金の繰越控除」を行った場合は保管期間が10年(2018年3月31日以前に事業開始した会社は9年間)になります。なお、「欠損金の繰越控除」とは当該事業年度で赤字になった場合、赤字を来期の事業年度以降に繰り越し、来期以降の黒字と相殺することです。
ちなみに個人事業主の場合は、契約書の保管期間は5年になります。
・電子帳簿保存法
「電子帳簿保存法」とは、仕訳帳や総勘定元帳などの税務関係帳簿類、請求書・領収書・契約書などの各種帳簿類や契約書類の電子データ保存を認めるかわりに、保存のルールなどを定めた法律で、1998年に施行されました。
契約書の電子データの保存期間は、法人税法で規定された紙の契約書と同じく7年となっています(電子帳簿保存法施行規則第4条)。
主な契約書・文書の保管期間
それでは、主な契約書・文書の保管期間を確認していきましょう。次の表をご参照ください。
保管期間 |
契約書・文書 |
契約書・文書例と起算日 |
根拠条文 |
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2年 |
健康保険・厚生年金保険に関する書類 |
被保険者資格取得確認通知書
標準報酬決定通知書
|
退職・死亡・解雇の日 |
健康保険法施行規則34条
厚生年金施行規則28条
|
雇用保険に関する書類
※被保険者に関する書類は4年
|
雇用保険事業主事業所各種変更届 |
届出の日 |
雇用保険法施行規則143条 |
|
3年 |
労災保険に関する書類 |
労災保険特別加入申請書 |
委託解除又は脱退の日 |
労働者災害補償保険法施行規則51条 |
労働保険料の徴収・納付に関する書類 |
労働保険概算・確定保険料・一般拠出金申告書 |
会計年度終了後 |
労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則72条 |
|
派遣元管理台帳・派遣先管理台帳 |
派遣契約終了の日 |
労働者派遣法37条・42条 |
||
4年 |
雇用保険の被保険者に関する書類 |
雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)・雇用保険被保険者離職証明書(事業主控) |
資格喪失日 |
雇用保険法施行規則143条 |
5年 |
会計監査報告
※会計監査人設置会社の場合
|
- |
定時株主総会の1週間前の日
(取締役会設置会社は2週間前の日)
|
会社法442条 |
事業報告
※本店保管の場合。支店保管は謄本を3年間
|
- |
定時株主総会の1週間前の日
(取締役会設置会社は2週間前の日)
|
会社法442条 |
|
有価証券届出書等の写し |
- |
提出日 |
金融商品取引法25条 |
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雇入れ、退職に関する書類
※当面は3年保管
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労働契約書・労働条件通知書・労働者名簿・解雇通知書 |
退職・死亡・解雇の日と賃金支払期日、どちらか遅いほうの日 |
労働基準法109条・附則143条・労働基準法施行規則56条 |
|
賃金その他労働関係に関する重要書類
※当面は3年保管
|
賃金台帳・タイムカード |
最後の記入日と賃金支払期日、どちらか遅いほうの日 |
労働基準法109条・附則143条・労働基準法施行規則56条 |
|
年次有給休暇管理簿
※当面は3年保管
|
- |
該当の休暇を付与した期間の満了日と賃金支払期日、どちらか遅いほうの日 |
労働基準法施行規則・24条の7条・56条 |
|
従業員の身元保証書・誓約書
※期間の定めのない身元保証契約は原則3年間、期間の定めのある身元保証契約は5年間有効だが、運用上は5年保管が合理的
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- |
作成日 |
身元保証法1条・2条 |
|
産業廃棄物処理の委託契約書 |
- |
契約終了日 |
廃棄物処理法施行規則8条の4の3 |
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7年 |
取引に関する帳簿類 |
現金出納帳・固定資産台帳・仕訳帳 |
帳簿閉鎖日及び書類作成日・受領日の属する事業年度の申告書提出期限(事業年度終了日の翌日から2か月経過日の翌日) |
法人税法施行規則59条・67条 |
取引証憑書類 |
請求書・契約書・見積書 |
帳簿閉鎖日及び書類作成日・受領日の属する事業年度の申告書提出期限(事業年度終了日の翌日から2か月経過日の翌日) |
法人税法施行規則59条・67条 |
|
現金の収受・払出し等に際して作成された取引証憑書類 |
領収書・預金通帳・小切手・振込通知書・借用書 |
帳簿閉鎖日及び書類作成日・受領日の属する事業年度の申告書提出期限(事業年度終了日の翌日から2か月経過日の翌日) |
法人税法施行規則59条・67条 |
|
有価証券取引の際に作成された証憑書類 |
有価証券受渡計算書・売買報告書 |
帳簿閉鎖日及び書類作成日・受領日の属する事業年度の申告書提出期限(事業年度終了日の翌日から2か月経過日の翌日) |
法人税法施行規則59条・67条 |
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電子取引の取引情報データ |
契約書・送り状・見積書・領収書 |
帳簿閉鎖日及び書類作成日・受領日の属する事業年度の申告書提出期限(事業年度終了日の翌日から2か月経過日の翌日) |
電子帳簿保存法施行規則4条 |
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源泉徴収簿
※賃金台帳と兼ねている場合は賃金台帳
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- |
所得税の法定申告期限(3月15日)の翌日 |
国税通則法70条~73条 |
|
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書・給与所得者の配偶者控除等申告書 |
- |
申告書の提出期限の属する年の翌年1/10の翌日 |
所得税法施行規則76条の3 |
|
10年 |
会計帳簿・事業に関する重要な資料 |
総勘定元帳・株式申込簿・配当簿 |
帳簿を閉鎖した日 |
会社法432条 |
計算書類・附属明細書 |
貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書 |
作成日 |
会社法435条 |
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製品の製造・加工・出荷・販売記録 |
- |
製品の引渡日 |
製造物責任法(PL法)5条・6条 |
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建設業の営業に関する図書
※住宅新築工事に関わるもの
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完成図・発注者との打合せ記録・契約書・帳簿 |
目的物の引渡日 |
建設業法施行規則28条 |
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株主総会議事録
※本店の場合、支店は謄本を5年間
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- |
株主総会の日 |
会社法318条 |
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取締役会議事録・監査役会議事録
※本店のみ保管
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- |
取締役会・監査役会の日 |
会社法371条・394条 |
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15年 |
建築士事務所の業務に関する図書 |
契約書・設計図書 |
図書などを閉鎖した日の翌日 |
建築士法施行規則21条の3 |
このように、会社が作成する契約書・文書の保管期間は、短い期間なら2年、長い場合は15年とかなり幅があります。また、保管期間の起算日も書類ごとに違うため注意が必要です。ちなみに電子契約データの保管期間については、紙の契約書と同様になります。
出典:e-Gov法令検索「会社法」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086
出典:e-Gov法令検索「法人税法施行規則」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340M50000040012
出典:国税庁「法人税法」
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kohon/houjin/pdf/all.pdf
出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5930.htm
出典:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_2.htm
出典:国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/index.htm
出典:e-Gov法令検索「電子帳簿保存法施行規則」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410M50000040043_20240101_505M60000040022
契約書の保管方法
契約書の保管期間がわかった後は、具体的な保管方法を見ていきましょう。
現在、経費削減、業務効率化の一環として、電子契約を利用する会社も増えてきています。ここでは、紙での保管方法のほかに、電子データでの保管方法、他の保管方法も解説します。
紙で保管する
紙で保管する場合は、「集中管理」と「分散管理」の2つの方法があります。
「集中管理」は、総務部や法務部など、契約書管理の専門の部署に社内の契約書を集め、一元管理する方法です。メリットは、契約書の保管場所が1か所にまとまっているため、社内を探し回ることなく、見たい契約書をすぐに取り出せることです。また、管理方法の統一ルールを決めやすいなどのメリットもあります。その反面、契約書の数が集中するため、保管場所の確保が難しく、また、契約書管理の専門部署に各部署からの問い合わせが殺到するため、担当者が業務過多になるおそれがあるなどのデメリットがあります。
一方、「分散管理」は、契約書を各部署で保管する方法です。こちらのメリットは、新しく部署を作ったり、社内の統一ルールを策定したりする必要がないため、中小企業でも導入しやすい点です。デメリットは、管理ルールが部署ごとに異なる場合に、書類探しに手間がかかって業務効率が悪くなる点です。また、管理状況も各部署で異なることが想定されるため、紛失や漏洩などセキュリティ上のリスクが高くなるおそれもあります。
電子データ化して保管する
こちらは、紙で保管していた契約書や文書を電子化して保管する方法です。大きく2通りの方法があります。
・電子契約として保管する
電子帳簿保存法では、契約書をメールでやり取りした場合や、電子契約を結んだ場合などには、各種書面の電子データ保存が2024年1月から義務づけられています。
なお、データ保存については詳細なルールが定められています。主なルールは次のとおりです。
①可視性の確保
- PCのモニターやソフトの操作説明書などを備え付ける
- 電子取引データを日付・金額・取引先で検索できるようにする など
②真実性の確保
- 取引データにタイムスタンプを付与する
- 訂正・削除の履歴が残るシステムでデータの授受と保存をする など
・スキャンしてPDFで保管する
電子帳簿保存法では、紙の契約書を、スキャナやスマートフォンなどで読み取り、PDF化して保存することを認めています。PDFデータで保存することで、書類のファイリング作業、そして保管場所も不要になります。
スキャナ保存の主な要件として、以下が挙げられます。
- 契約書の作成または受領後、最長2か月プラス7営業日以内にPDF化して保存する
- PDFデータについて、訂正・削除の事実やその内容を確認することのできるシステム、または訂正・削除のできないシステムを導入する
マイクロフィルムに記録して保管する
最初から一貫してPCで作成した契約書は、マイクロフィルムで保存することも認められています(電子帳簿保存法第5条)。マイクロフィルムとは、書類や図面などを小さいサイズに縮小して専用のフィルムに撮影したものです。紙と比較して保管スペースを取らないことはもちろん、耐用年数が基本的に100年以上あり、適切な方法で保存すれば500年も可能とされることから、長期保存に適している媒体です。また、微細なサイズで記録されるため、契約書の改ざんがされにくいというメリットもあります。一方、読み取りや閲覧には別途専用の機器が必要なので初期費用がかかりますし、定期メンテナンスも必須なため、導入後もコンスタントにコストがかかってしまうというデメリットもあります。
外部機関に保管を委託する
人員不足等の理由で、社内での保管対応が難しい場合は、機密文書の保管サービスなど、外部機関に保管を委託するという方法もあります。専門機関に外注することで、保存や管理の手間を省くことができ、安全性の面でも安心できます。しかし、その分、一定のコストの増加は否めません。
出典:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm
出典:国税庁「電子取引関係」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/01.htm
出典:国税庁「電子取引データの保存方法をご確認ください」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_01.pdf
出典:国税庁「電子取引データの保存方法」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023011-012.pdf
出典:国税庁「はじめませんか、書類のスキャナ保存」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_03.pdf
契約書の保管期間に関してよくある質問
契約書の保管期間については実際に作業する中で、まだ悩んだり迷ったりすることもあるかもしれません。契約書の保管期間に関してよくある質問をピックアップしてみました。ぜひ参考にしてください。
保管期間を過ぎた契約書の処理方法は?
保管期間を過ぎた契約書は、できるだけ早く処分しましょう。なんとなく捨てにくいからといって残していると、情報漏洩や紛失の危険が高まるからです。
処理方法としては、社内で対応する場合は、シュレッダーが一般的です。もしくは、文書の溶解処理(専用の機械で水と一緒に攪拌することで紙を繊維状になるまでほぐす方法)を専門に行っている廃棄物処理業者に委託するという手もあります。
永久に保管すべき契約書はある?
失効していない契約書は、万が一トラブルになった場合の裁判資料や証拠となる可能性があるため、法的効力が存続している間は永久に保管すべきです。
そのほか、会社の定款や株主名簿、特許や商標といった知的財産権関連書類、製品の開発・設計関連の重要書類、権利の失効していない登記関連書類などは、保管期間は法定されていませんが、書類の重要性を鑑み、永久保管をおすすめします。
保管期間内に契約書を誤って破棄してしまった場合どうする?
保管期間内の契約書の破棄が税務調査等で発覚すると、脱税目的で取引内容を隠蔽したとみなされ、追徴課税されることがあります。そのため、くれぐれも破棄や紛失をしないように気をつける必要があります。
万が一破棄してしまった場合は、すぐに上司や責任者に報告したうえで、次のような方法が考えられます。
①契約を再締結し、新たに契約書を発行する
社内に契約書のコピーやスキャンデータが残っていない場合などに、当時の契約内容に沿って契約書を作成し、取引先に確認のうえ、書面に署名・捺印をしてもらいます。
注意点は、
a 再発行であっても契約書にはあらためて収入印紙を貼らなければならない
b こちらの過失のため、取引先から新たな条件を打診されるおそれがある
c 契約締結の日付は当初の契約日に遡ること(バックデート)を避ける
です。ちなみに、cについてですが、元々合意していた契約内容のため、締結日付も当初の日にちに遡りたいところです。しかし、同じ内容であっても、新たに契約を交わすため、契約日をバックデートすることは事実と異なる記載だと解釈され、トラブルに発展する危険があります。もし契約日を過去に遡りたい場合は、契約書の条文に、「本契約は、契約締結日に関わらず、〇〇年△月□日より遡及的に効力を有するものとする」といった遡及条項を追加しておきましょう。
②契約書の「正本」「認証のある謄本」を作成する
こちらは自社で残していた契約書のコピーもしくは、取引先が持っている「原本」をコピーさせてもらって「謄本」を作成する方法です。
文書には、原本と謄本があり、謄本には「正本」「認証のある謄本」「写し(認証のない謄本」の3種類があります。それぞれの違いは下記の通りです。
- 原本:最初に作成したオリジナル文書
- 謄本:原本の内容を完全に写したもの
(1) 正本:権限のある者が作成した文書(原本と同一の効力が認められている)
(2) 認証のある謄本:権限のある者が、原本と相違ない旨の認証をした文書
(3) 写し(認証のない謄本):原本を単にコピーしたもの
謄本を作成する際は、トラブル回避のため、可能であれば、取引先に認証をしてもらった「認証のある謄本」を保管しておくことが望ましいです。ただし、謄本は、どうしても原本に比べ証拠能力が劣るとされています。裁判で正本や認証のある謄本を証拠として提出しても、原本の提出を求められることもあります。十分注意しておきましょう。
①②の方法を解説してきましたが、実際は、取引先の署名・捺印などを得られないケースもあるでしょう。その場合でも、裁判になったときの証拠能力は弱いと把握したうえで、契約書の「写し」は保管しておくほうが無難です。
保管期間を過ぎても契約書を破棄しなかった際に罰則はある?
保管期間を過ぎた契約書を破棄しなかったとしても、法律に処分期限が設けられていない以上、基本的に罰則が科されることはないといえます。
ただし、文書にマイナンバーが記載されていた場合は、注意が必要です。政府のガイドラインでは、保管期間が経過後、できるだけ速やかに廃棄または削除しなければならないとしています。会社で破棄のルールを策定する場合は、例えば毎年度末に行うなど、覚えておきやすい区切りの時期などに設定しておくと、処理洩れが起こりにくくなるかもしれません。
契約書は当事者のどちらが保管すべき?
契約書は原本を2通作成し、契約の当事者が1通ずつ保管するケースが一般的ですが、原本が1通しかないときは、どちらが保管すべきでしょうか。
この場合は、トラブルになったときのリスクの大きさで判断し、よりリスクの大きい当事者が原本を保管することが多いです。保管に関して双方の合意を示すため、契約書には原本保管当事者を記載しておきます。また、保管当事者は、セキュリティ対策を万全にし、契約書の紛失や情報漏洩に十分気をつけましょう。
出典:特許庁「(参考)別紙 文書の原本・写しについて」
https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/shubetu-tokkyo-igi/document/syoko_setsumeisyo/03.pdf
出典:個人情報保護委員会事務局「はじめてのマイナンバーガイドライン」
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/chusho_my_number_guideline.pdf
会社のさらなる成長には、書類作成・保管サイクルの効率化が必須
契約書には種類によって異なる保管期間の定めがあり、数年ですむものもあれば、十数年にのぼるものもあります。さらに紙の契約書は漫然と保管しているだけでは、保管場所を圧迫し、紛失や情報漏洩のリスクも高まります。業務効率をアップさせ、自社をさらなる成長に導くには、効率的で安全な書類作成・保管サイクルの確立が急務だといえるでしょう。
そのための選択肢の1つとして、電子契約の採用があります。電子契約は、電子データで契約書を作成するので、面倒なファイリング作業が不要です。さらにメール等でやりとりして電子署名を頂くので、契約書の郵送によるタイムロスもなくせます。郵送代・印紙税もかからないので、コストカットに繋がります。
「WAN-Sign」は、創業以来、4,000社以上の情報資産の管理実績を持つNXワンビシアーカイブズの提供する電子契約・契約管理サービスです。専属の担当者が、電子契約へのスムーズな移行に向け、導入前のご相談から導入後のサポートまで無料で対応します。また、金融機関や官公庁などが求めるレベルに対応した業界最高水準のセキュリティ体制も構築しています。
また、NXワンビシアーカイブズでは、書類の保管や機密抹消も取り扱っています。少しでも気になった方は、一度チェックしてみてください。