売買契約書に収入印紙は必要?印紙額や貼り方・消印の仕方、よくある質問
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売買契約書とは、売主と買主の間で売買条件を取り決め、双方が合意した内容を書面にまとめた文書です。売買代金や引き渡し条件、契約解除の取り扱いなど、取引に関する重要事項が記載されます。
売買契約書を作成する際に迷いやすいのが、収入印紙の要否と金額です。貼り忘れると過怠税のリスクがあり、不要な文書への貼付は無駄なコストにもつながります。
本記事では、収入印紙が必要なケースと不要なケース、印紙税額の一覧、正しい貼り方や消印の方法まで、契約前に押さえたいポイントを解説します。
売買契約書に収入印紙は必要?
売買契約書に収入印紙が必要かどうかは、その文書が印紙税法上の課税文書に該当するかによって判断できます。まずは、基礎知識をおさらいします。
売買契約書に収入印紙が必要なケース
課税文書に該当する売買契約書には、収入印紙の貼付が必要です。ただ、すべてが対象になるわけではなく、契約書の区分によって判断が変わります。
たとえば、不動産売買契約書や土地建物の譲渡に関する契約書は「第1号文書」にあたり、記載金額に応じた印紙税がかかります。継続的な売買取引の基本となる契約書(売買取引基本契約書など)は「第7号文書」に分類され、金額にかかわらず一律4,000円の課税となります。
まずは、自社の契約書がどの文書区分に該当するかを確認しておきましょう。区分を正しく把握しておけば、貼り忘れや過剰貼付といったミスを防ぎやすくなります。
売買契約書に収入印紙が不要なケース
物品の単発売買、いわゆる物品売買契約書は課税文書に該当しないため、印紙税はかかりません。さらに記載金額が1万円未満の第1号文書も非課税です。
ただし、第1号文書と第3号〜第17号文書に重複して該当し、第1号文書に分類される場合は、1万円未満でも非課税にはなりません。判断に迷うときは、国税庁の印紙税額一覧表を確認するか、税務署に問い合わせるのが確実です。
売買契約書に貼る印紙の金額
印紙の金額は、文書の種類によって「一律」と「契約金額に応じた段階制」の2パターンに分かれます。
第7号文書の場合
第7号文書にあたる契約書の印紙税額は、記載金額にかかわらず一律4,000円です。売買取引基本契約書のように、継続的取引の基本となる契約書が該当します。
仮に2通作成して売主・買主が各1通を保管する場合は、それぞれの原本に4,000円ずつ貼付が必要です。ただし、契約期間が3か月以内かつ更新の定めがない契約書は第7号文書から除外されます。この場合、印紙税はかかりませんが念のため税務署等に確認するのが良いでしょう。
第1号文書の場合
契約金額 | 収入印紙の金額 |
1万円未満 | 非課税(※) |
1万円以上~10万円以下 | 200円 |
10万円超 〜 50万円以下 | 400円 |
50万円超 〜 100万円以下 | 1,000円 |
100万円超 〜 500万円以下 | 2,000円 |
500万円超 〜 1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超 〜 5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超 〜 1億円以下 | 6万円 |
1億円超 〜 5億円以下 | 10万円 |
5億円超 〜 10億円以下 | 20万円 |
10億円超 〜 50億円以下 | 40万円 |
50億円超 | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
※第1号文書と第3号文書から第17号文書とに該当する文書で第1号文書に所属が決定されるものは、記載された契約金額が1万円未満であっても非課税文書となりません。
不動産売買契約書をはじめ、第1号文書に該当する契約書は、記載金額に応じて印紙税額が段階的に変わります。上記表から分かるとおり、契約金額の区分ごとに印紙税額が段階的に定められており、高額な取引になるほど印紙代も大きくなります。
なお、1万円未満は原則非課税ですが、第1号文書と第3号〜第17号文書の両方に該当し、第1号文書に分類される場合は例外となります。
税額を確認する際にもう一点押さえておきたいのが、軽減措置の存在です。2014年4月1日から2027年3月31日までに作成した不動産売買契約書は軽減措置の対象となります。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
10万円超 〜 50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超 〜 100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超 〜 500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超 〜 1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超 〜 5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超 〜 1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超 〜 5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円超 〜 10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円超 〜 50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円超 | 60万円 | 48万円 |
2014年4月1日から2027年3月31日までに作成した不動産売買契約書は、記載金額が10万円を超えるものに限り軽減措置が適用されます。たとえば、契約金額3,000万円の場合、本則では2万円の印紙税がかかりますが、軽減措置により1万円で済みます。
変更契約書や補充契約書も対象のため、都度、軽減後の税額で確認しましょう。
売買契約書の印紙の貼り方と消印の方法
印紙税の納付は、収入印紙の貼付と消印の両方が揃って完了とみなされます。以下、実務での基本手順を押さえておきましょう。
売買契約書の印紙の貼り方
印紙税法上、収入印紙の貼付位置に厳密な定めはありません。契約書に貼付欄があればそこに、なければ表紙や余白など見やすい場所に貼るのが一般的です。
2通作成してそれぞれ保管する場合は、各原本への貼付が必要です。コピーは原則不要ですが、署名(サイン)・押印を加えて原本と同等の効力を持たせたときは課税対象となります。
売買契約書の消印の方法
収入印紙を貼付しただけでは納付完了にはなりません。印紙と文書にまたがるよう消印することで、はじめて納付したとみなされます。
消印は、文書の作成者のほか、代理人・使用人・その他の従業者の印章または署名でも認められます。たとえば、契約書への押印は営業担当者、消印は経理担当者といった対応も認められています。
印鑑は契約書に使用したものと同じである必要はなく、氏名や社名が入った日付印やゴム印で構いません。売主・買主のどちらか一方が消印すれば足ります。
ただし、斜線を引いたり「印」と表示したりするだけでは消印とみなされないため、誰が押したか一見してわかるよう、はっきりと押しましょう。
売買契約書の印紙に関するよくある質問
売買契約書に貼付する印紙や印紙税について、実務でよく寄せられる疑問をまとめました。
売買契約書に貼る印紙税を負担するのは買い手と売り手のどちら?
売買契約書の印紙税は、当事者である売主・買主の双方が連帯して納税義務を負います。実務上は各自が保管する原本分を自己負担するケースが一般的ですが、法律上の定めはないため、事前に取り決めておくと安心です。
売買契約書に貼る印紙税の金額を間違えたらどうする?
管轄の税務署に還付請求すれば差額が返金されます。手続きには契約書の原本が必要なため、詳細は国税庁の窓口で確認しましょう。不足していた場合は、差額分の印紙を追加で貼付し、消印します。状況によっては過怠税が課されることがあるため、税務署へ確認することをおすすめします。
売買契約書に印紙がないとどうなる?
印紙税は、貼付を怠ると過怠税の対象となります。税額は本来納付すべき額の3倍ですが、税務調査前に自ら申し出た場合は1.1倍に軽減されます。
契約書自体の効力は印紙の有無に関わらず有効です。税金の納付義務は残るため、気づいた時点で速やかに対応しましょう。
電子契約の場合、収入印紙は不要?
電子データとして締結した契約書は課税文書の「作成」に該当せず、収入印紙は不要です。印紙代が高額になりやすい不動産売買契約書などでは、電子契約への切り替えがコスト削減につながります。
まとめ
売買契約書への収入印紙の貼付が必要かどうかは、課税文書に該当するかどうかで決まります。不動産売買契約書は第1号文書、売買取引基本契約書は第7号文書に分類され、文書の種類と記載金額に応じた印紙税の納付が必要です。貼り方や消印の方法を正しく押さえ、過怠税のリスクを防ぎましょう。
取引件数が増えるほど、印紙代の負担は無視できなくなります。そこでおすすめしたいのが、電子契約への切り替えです。
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