覚書で契約変更するには?変更契約書との違いや書き方、流れ、注意点を解説
目次[非表示]
- 1.覚書と契約変更の関係
- 1.1.覚書とは?
- 1.2.覚書と変更契約書の違い
- 1.3.契約変更の方法
- 2.覚書の書き方
- 3.覚書で契約変更する流れ
- 4.覚書で契約変更する際の注意点
- 4.1.原契約を特定する
- 4.2.変更内容・変更時期を明確に記載する
- 4.3.原契約の扱いについて記載しておく
- 4.4.効力の発生時期(遡及適用)に留意する
- 4.5.契約書には契約変更に関する条項をあらかじめ定めておくとよい
- 5.覚書と契約変更に関するよくある質問
- 5.1.訂正印だけでも契約変更はできる?
- 5.2.覚書で契約変更するメリットは?
- 5.3.覚書に収入印紙が必要で貼付しなかった場合、契約変更は無効になる?
- 5.4.覚書を電子契約にすると収入印紙は不要になる?
- 6.まとめ

契約を結んだあとに、契約期間、契約金額、業務範囲、支払条件などを見直すことがあります。既存の契約書を一から作り直さず、変更内容を当事者間で合意して残すときに使われる文書が「覚書」です。
覚書は、社内メモのように簡単な文書として扱われることもありますが、内容によっては原契約を補充・変更する文書として機能します。ただし、どの契約書のどの条項を、いつからどのように変更するのかが曖昧になっていると、請求・納品・契約更新のタイミングで相手方との認識違いを招くため、注意が必要です。
本記事では、覚書で契約内容を変更する際の考え方、変更契約書との違い、作成・締結時の確認事項、締結後の管理を詳しく解説します。
覚書と契約変更の関係
まずは、覚書の定義と変更契約書の違い、契約変更の方法に関する基礎知識について整理します。
覚書とは?
覚書とは、当事者間で合意した変更・補足内容を、原契約と照合できる形で残す文書です。契約条件の一部変更、契約期間の延長、締結済み契約に足りない事項の補足などに使われます。
たとえば、支払条件を変える、契約期間を延ばす、業務範囲を一部見直すといったケースでは、原契約をすべて作り直すのではなく、変更部分を覚書として残すことがあります。原契約のどの条項を、いつから、どの内容に変えるのかを明記しておけば、契約担当者や関係部門が後から内容を照合しやすくなります。
注意したいのは、文書名が「覚書」であっても、契約内容の変更や補充を証明するものは「契約書」として扱われることです。印紙税を確認するときは、表題に加えて記載内容や変更事項の中身まで、漏れなく確認しましょう。
覚書と変更契約書の違い
変更契約書は、契約期間や契約金額、業務範囲、支払条件など、原契約の内容を変更することを目的に作成する文書です。覚書も契約内容の変更に使われますが、変更事項に加えて補足事項や運用上の取り決めを残すことも多く、変更契約書とは扱う範囲に違いがあります。文書に何が書かれているか、その内容が原契約のどの条項に影響するかを見て判断してください。
契約変更の方法
契約内容を変更するときは、まず変更の範囲を切り分けます。軽微な修正であれば訂正履歴を残す対応、一部変更であれば覚書や変更契約書の作成、全面的な変更であれば新しい契約書の作成を検討します。
軽微な変更
誤字脱字や住所表記など、契約内容に実質的な影響がない修正であれば、訂正印や修正履歴で対応できます。ただし、修正後の文書だけを差し替えると、誰が・いつ・どこを直したのかが見えにくくなるため、修正前後の内容と当事者間で確認した記録を残しておきましょう。
契約内容の一部変更
契約期間・契約金額・業務範囲・支払条件・納期などを変更するときは、覚書または変更契約書を作成します。変更箇所は条項単位で特定し、「第○条を次のとおり変更する」と記載すると、原契約のどこを変更したのかを確認しやすくなります。
契約の全面的な変更
取引の前提や契約内容が大きく変わるなら、新しい契約書を作成するとよいでしょう。旧契約と新契約の内容が混在しないよう、原契約を失効させるのか、一部の条項を残すのかを本文で明確にします。
覚書の書き方
覚書の本文を書き始める前に「どの原契約を・どの条項について・いつから変更するのか」を整理します。テンプレートやAIツールで作成したひな形を使う際も、当事者名や変更内容など自社の原契約と合っているかを照合してから修正します。
覚書に入れる主な項目は、次のとおりです。
項目 | 記載する内容 | 確認するポイント |
表題 | 覚書 | 原契約の変更・補足に関する文書であることがわかる名称にする |
当事者の表示 | 会社名 | 原契約と同じ当事者名・呼び方にそろえる |
原契約の特定 | 契約書名 | 複数の契約がある取引でも対象契約を一意に特定できるようにする |
変更条項 | 条項番号 | どの条項を、いつから、どのように変更するかを示す |
その他条項の扱い | 覚書で変更しない条項の効力 | 原契約のどの部分が引き続き有効なのかを明確にする |
締結情報 | 作成日 | 誰が合意した文書なのかを後から確認できるようにする |
ここで注意したいのは、原契約の特定と変更条項の書き方です。契約書名や締結日が曖昧な場合、同じ相手方と複数の契約を結んでいるときに、どの契約を変更したのかわかりにくくなります。契約番号や案件名がある場合は、あわせて記載しておくと後日の照合が進めやすくなります。
また、変更条項では、「第○条を次のとおり変更する」のように、原契約の条項番号を示したうえで、変更前と変更後の内容を並べます。契約金額、契約期間、業務範囲、支払条件などを変更する場合は、法務・経理・管理部門が同じ条件を確認できるよう効力発生日を本文中に明記します。
文面例としては、次のような形が考えられます。
甲および乙は、下記の原契約について、本覚書に定める範囲で契約内容を変更することに合意した。
本覚書に記載のない事項については、原契約の定めを引き続き適用する。 甲および乙は、本覚書の内容を確認し、署名または記名押印のうえ、それぞれ保管する。 | |
このように、対象となる原契約、変更する条項、効力発生日、変更しない条項の扱いを分けて書くと、原契約と照合したときに変更箇所を確認しやすくなります。締結後は覚書と原契約を紐付けて管理し、更新期限や支払条件を後から追える状態にしておくことが大切です。
覚書で契約変更する流れ
覚書で契約変更する際は、原契約の確認、変更文書の作成、印紙税の確認、締結後の管理を順に進めます。
Step1. 原契約の内容を確認し、変更内容について当事者間で合意する
最初に、変更対象となる原契約を特定します。契約書名・締結日・当事者・契約期間・契約番号などを確認し、今回の変更がどの条項に関係するのかを整理します。
続いて相手方と変更内容を合意します。契約金額・納期・業務範囲・支払条件の変更は取引条件に直接関わるため、変更前の条件と変更後の条件、適用開始日を分けて残すと覚書に反映しやすいです。
メールや口頭で調整した内容をそのままにすると、後から最終合意と途中経過を見分けにくくなります。覚書を作成する前に、双方が確認した議事録やメール、合意メモなどを残し、「どの内容を正式な変更内容とするのか」を整理しておきます。
Step2. 覚書または変更契約書を作成する
変更内容が固まったら、契約担当者は変更範囲に応じて覚書で差分を残すか、変更契約書として作成するかを整理します。一部の条項や運用内容だけを変更する場合は、覚書で変更箇所と効力発生日を示すとよいでしょう。
複数の条項を見直すときや、契約金額・支払条件・業務範囲など取引条件の中心を変更するときは、変更契約書としてまとめるのが有効です。どちらの形式でも、原契約のどの条項をどう変更したのかを後から追える形で作成します。
Step3. 課税文書となる場合は収入印紙を貼付する
紙の覚書を作成する場合は、収入印紙の要否、貼付する金額、負担者を分けて整理します。印紙税の扱いは、文書名だけでなく、原契約の種類や変更内容、記載金額の書き方によって変わるためです。
覚書での契約変更で収入印紙が必要なケース
収入印紙の要否は、原契約の文書類型と、覚書で変更する内容をもとに判断します。次のような変更を行う場合は、契約担当者だけで判断せず、経理・税務担当者にも照会しておきましょう。
支払方法や支払期日を変更する
契約期間、納期、履行期限を変更する
業務範囲、請負内容、作業範囲を変更する
月額単価、委託料、保守料金などの金額条件を変更する
これらの変更は、原契約の条項や取引条件に影響するため、文書名だけで印紙税の要否を判断しないことが大切です。契約担当者は、原契約、変更する条項、変更前後の内容を対比して、経理・税務担当者が確認できる状態にしておきます。
収入印紙の金額
収入印紙の金額は、課税文書の種類や記載金額によって変わります。契約金額を変更する覚書では、変更後の金額だけを書くのか、変更前後の差額を書くのか、増額なのか減額なのかを分けて整理します。
収入印紙の負担者
収入印紙の負担者は、当事者間で事前に決めておきます。あわせて、誰が消印するのか、貼付額の根拠をどこに残すのかも整理しておくと、締結後の確認を進めやすくなります。
覚書で契約変更する際の注意点
覚書を作成するときは、原契約との関係・変更内容・効力発生日をそろえて記載します。担当者として把握したい注意点を以下にまとめました。
原契約を特定する
まず、どの契約書を変更するのかを明確にします。契約書名や締結日、当事者名に加え、契約番号や案件名を記載しておくと、契約管理システムや台帳で原契約を探しやすくなります。
同じ相手方と複数の契約を結んでいる場合は、契約書名・締結日・契約番号をそろえて記載します。管理を引き継いだ担当者でも、対象の契約を判別できるのが理想です。
変更内容・変更時期を明確に記載する
変更する条項・変更後の内容・効力発生日は具体的に記載します。「一部を変更する」「条件を見直す」といった書き方では、変更後の契約条件を読み取りにくく、当事者間の認識違いを招くおそれがあります。
たとえば、「原契約第○条第○項を次のとおり変更する」「本覚書の効力は20XX年○月○日から発生する」と記載すれば、変更箇所と適用時期が明確になります。契約期間や契約金額を変更するときは、変更前と変更後を併記し、関係部門が同じ条件を見られる形にしておきましょう。
原契約の扱いについて記載しておく
覚書で変更しない条項については、原契約の内容が引き続き有効であることを記載します。この一文がないと、覚書で触れていない条項まで変更されたのか、従来どおり残るのかを読み分けにくくなります。
効力の発生時期(遡及適用)に留意する
覚書では、締結日と効力発生日を分けて考えます。たとえば、単価や業務範囲の変更を先に運用しているときは、締結日より前の日付を効力発生日として定めるケースがあります。このような運用を「遡及適用」と呼びます。
遡及適用を入れる場合、対象期間・変更内容・過去日付を使う理由を本文で示します。過去の取引などに影響が出るおそれがあるため、法務・経理などで影響範囲を整理してから、覚書へ反映すると安心です。
契約書には契約変更に関する条項をあらかじめ定めておくとよい
原契約に契約変更の方法を定めておくと、変更時の手続きを統一しやすくなります。たとえば、「本契約の変更は、当事者が署名または記名押印した書面によって行う」と定めておけば、書面合意を前提に変更手続きを進められます。
ただし、条項を置くだけで変更時の争いを完全に防げるわけではありません。契約担当者は、覚書や変更契約書、議事録、メール、社内稟議をまとめて保管し、合意の経緯を後から照会できる状態にしておきましょう。
覚書と契約変更に関するよくある質問
訂正印だけでも契約変更はできる?
訂正印で対応するのは、誤字脱字や住所表記の修正など、契約内容に「実質的な変更がない修正」が中心です。一方で、契約金額・契約期間・業務範囲・支払条件などを変更するなら、覚書や変更契約書として残します。
覚書で契約変更するメリットは?
原契約全体を作り直さずに、必要な変更箇所や補足事項を文書として残せるのがメリットです。原契約とひも付けて保管すれば、変更後の契約金額や効力発生日、更新期限を後から追いやすくなります。
覚書に収入印紙が必要で貼付しなかった場合、契約変更は無効になる?
収入印紙の貼付は印紙税の問題であり、印紙を貼っていないことだけで契約変更の効力が直ちに否定されるわけではありません。また、紙の覚書が課税文書にあたる場合、印紙税の納付漏れは過怠税の対象です。
覚書を電子契約にすると収入印紙は不要になる?
電子契約で覚書を締結し、紙の契約書を作成しないなら収入印紙は不要です。ただし、電子データを印刷して紙の正本として保管する運用があるときは、印紙税の扱いを別途確認してください。
まとめ
覚書を作成するときは、原契約・変更条項・効力発生日・変更しない条項の扱いを本文で明確にします。締結後に文書が別々の場所へ保管されると、最新版の契約条件や更新期限を追いにくくなるため、原契約と変更文書を紐付けて管理しましょう。
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