建設業でも電子契約は利用可能?必須要件と導入のメリット
(更新日:2024年6月21日)
目次[非表示]
- 1.建設業で電子契約は利用できる?
- 1.1.基本的に電子契約は利用可能
- 1.2.建設業における電子契約の扱いの変遷
- 2.建設業の電子契約に必須の要件
- 3.建設業で電子契約を利用するメリット
- 3.1.業務効率と契約スピードを向上できる
- 3.2.コストを削減できる
- 3.3.コンプライアンスの強化につながる
- 3.4.リモートワークに対応しやすい
- 4.建設業の電子契約サービスには『WAN-Sign』がおすすめ
- 5.まとめ
近年は建設業界でも業務の電子化が進んでいます。例えば、契約業務はその一つです。電子契約サービスを導入すると、業務効率化やコスト削減などのメリットが期待できます。一方で、電子契約に切り替えるには法対応などの準備が必要となるため、疑問を抱えている担当者の方もいらっしゃるでしょう。この記事では、建築業に電子契約を導入するにあたり必要な要件や導入メリットを解説します。おすすめの電子契約サービスもご紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
建設業で電子契約は利用できる?
初めに、建設業に電子契約を導入する際に押さえておきたい基礎知識をお伝えします。近年の建設業法の法改正について改めて確認してみましょう。
基本的に電子契約は利用可能
建設業界の契約手続きにおいても電子契約を利用できます。具体的には、以下のような建設業のビジネスに関する契約は、いずれも電子契約に対応可能です。
【建設業に関する電子契約ができる契約】
・工事請負契約
・発注書
・売買契約
・保証契約
・賃貸借契約
なお、公正証書を用いる一部の契約書は電子化が不可能とされています(2024年4月現在)。建設業界のビジネスで締結する機会が少ない場合も、一般的な知識として押さえておきましょう。
【電子契約ができない契約】
・任意後見契約書
・事業用定期借地契約
・企業担保権の設定又は変更を目的とする契約
建設業における電子契約の扱いの変遷
・建設業法の改正
2001年の「IT書面一括法」の改正にともない、2001年4月に「建設業法」が改正されました。従来の紙ベースでの業務を電子化することが主な目的です。電子化する際は、「事前に相手方の承諾を得ること」「導入する電子契約サービスを技術的基準に適合させること」という条件が設けられました。
・グレーゾーン解消制度による国土交通省の回答
グレーゾーン解消制度とは、電子契約サービスのような新たに登場した画期的なサービスが既存の法律や規制などに抵触していないか、いわゆる「グレーゾーン」と照会し、措置を講じるための制度です。電子契約サービスのベンダーが建設業法について照会を求め、国土交通省から回答を得ることで徐々に環境を整備しました。
【参考】「新事業特例制度及びグレーゾーン解消制度」(国土交通省)
・建設業法施行規則の改正
2020年10月1日に「建設業法施行規則」が改正されました。これにより電子契約サービスの技術的基準が見直されることになります。以降は、それまで技術的基準とされていた「見読性」と「原本性」に加えて、新たに「本人性」も確保が求められるようになりました。
・デジタル改革関連法の施行
2021年9月に「デジタル改革関連法」が施行されました。これにより、工事請負契約に加えて見積書も電子化が可能となり、電子化の推進に貢献しています。ここまでの背景のように、建設業界における手続きの電子化は今後も進んでいく見込みです。
建設業の電子契約に必須の要件
建設業界の電子契約では、「見読性」「原本性」「本人性」の3点が必須の要件とされています。それぞれの要件について確認してみましょう。
見読性
見読性とは、契約書の電子データを出力できる状態であることを指します。具体的には、電子データをディスプレイに表示したり、印刷したりして閲覧できる環境を整える必要があります。
原本性
原本性とは、契約書の電子データに改ざんがないと確認できることを指します。契約内容の改ざんを防ぐために、「公開鍵暗号方式」と呼ばれる暗号技術で電子署名を行います。
本人性
本人性とは、契約書の電子データが当事者自身によって作成されたものだと確認できることを指します。電子証明書の添付などの方法で、本人確認を行います。
建設業で電子契約を利用するメリット
建設工事は、施主・元請け・下請けといった工事関係者の間で数多くの受発注が行われるのが特徴です。そのため、電子契約による業務効率化やコスト削減などのメリットが特に注目されています。ここでは、建設業で電子契約を利用するメリットを解説します。
業務効率と契約スピードを向上できる
電子契約に移行することで、契約業務の効率化と契約スピード向上を実現できます。
書面契約の場合、まずは紙の請求書を作成し、その後も印刷・押印・封入・郵送といった手作業の手間がかかります。また、書類の送付後は相手方の返送作業を待たなければなりません。工事のために複数社間で契約が必要となったり、内容変更にともない契約手続きがやり直しになったりすると、非常に多くの時間がかかります。契約締結までに半年近くかかってしまうといった事例も少なくありません。
それに対して電子契約では、契約書を印刷したり、印鑑を押したり、書類を三つ折りにして封筒に入れたりする作業を削減できます。また、電子契約書はオンラインで相手方へ送付できるので、PCやスマートフォンなどの機器とインターネットに接続できる環境があれば、いつでもどこでも契約が可能です。
【関連記事】電子契約とは?4つのメリットを解説
コストを削減できる
電子契約に切り替えると、印刷や郵送に関わる費用や、印紙税などの経費削減につながります。契約件数が多いケースでは、長期的に見ると大きなコスト削減の効果が期待できるでしょう。
紙の契約書で手続きを行う場合は、印刷に必要な紙代やインク代、郵送に必要な封筒代や郵便料金などの費用が発生します。また、これらの作業を行うために人件費がかかり、紙の請求書を保管するスペースも必要です。電子契約では上記の費用負担を削減でき、さらには電子文書の発行では収入印紙が不要となるので、印紙税が課税されません。
>>電子契約を印刷した場合はどうなる?印紙税の有無や適切な保存方法を紹介
コンプライアンスの強化につながる
電子契約では、電子署名によって不正や改ざんを防止できるため、契約業務のコンプライアンス強化にも効果的です。契約書に電子署名を行うと、電子証明書とタイムスタンプによる証明がなされ、書類が本人によって作成されたことや、改ざんされていないことを確認できます。「電子署名法」では、こうした電子署名の技術によって電子契約の法的効力が認められています。法律上、電子署名のある文書は、紙に手書きでサインをしてハンコを押した文書と同じように証拠力が認められているのです。
このほかに、紙の書類は紛失したり、破損により修復不可能な状態になったりするリスクがあります。電子データの場合、システム上で保管するため、物理的な紛失や破損の心配がないのもメリットだといえるでしょう。
リモートワークに対応しやすい
電子契約はインターネットを介して契約手続きを行うため、リモートワーク(テレワーク)に対応できます。近年は建設業界でも、現場と事務所がオンラインで連携するケースが多くなってきました。電子契約を導入すると、いつでもどこでも契約手続きを行えます。手書きのサインやハンコのために担当者が移動せずに済むのがメリットです。
建設業界には、現場での作業が必須となるため、リモートワーク対応できない業務が数多くあります。その一方で、契約業務をはじめとした事務作業の取り組み方が見直されつつあり、電子化が進んでいる状況です。リモートワークに対応可能な契約業務は、電子契約への移行を検討してはいかがでしょうか。
建設業の電子契約サービスには『WAN-Sign』がおすすめ
建設業に電子契約を導入するなら、電子契約サービス「WAN-Sign」がおすすめです。ここでは、建設業界のビジネスに適した「WAN-Sign」の特長をご紹介します。
「見読性」「原本性」「本人性」の確保に対応
建設業法施行規則第13条の4第2項では、請負契約を電子化する場合の技術的な基準について、「見読性の確保」「原本性の確保」「本人性の確保」が必要だとされています。「WAN-Sign」では、以下の対応により技術的基準の要件を満たしています。
【出典】「建設業法施行規則第13条の2第2項に規定する「技術的基準」に係るガイドライン」(国土交通省)
(建設工事の請負契約に係る情報通信の技術を利用する方法)
2 前項各号に掲げる措置は、次に掲げる技術的基準に適合するものでなければならない。
一 当該契約の相手方がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものであること。
二 ファイルに記録された契約事項等について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること。
三 当該契約の相手方が本人であることを確認することができる措置を講じていること。
【出典】「昭和二十四年建設省令第十四号 建設業法施行規則」(e-Gov法令検索)
・見読性の確保
「WAN-Sign」には文書原本保管機能が搭載されています。インターネットに接続できる環境から、Webブラウザ経由で「WAN-Sign」にアクセスすることで、建設工事請負契約書のPDFファイルを閲覧・印刷・ダウンロードすることが可能です。
・原本性の確保
「WAN-Sign」には公開鍵暗号方式による電子署名およびタイムスタンプを実行する機能が搭載されています。証明には、認証局であるGMOグローバルサイン株式会社の審査に合格した、信頼性のある電子証明書を利用します。電子証明書は発注者(甲)・受注者(乙)にそれぞれ発行され、甲乙の両者が電子署名を行う仕組みです。
【機能のポイント】
・契約書のPDFデータには、署名済みである事実、署名者情報、タイムスタンプが記載され、コピーしても原本性が担保されます。
・万が一不正な処理が行われた場合、PDFの原本性が無効であることを検知できます。証拠力を維持するため、改ざん防止の措置が取られています。
・本人性の確保
「WAN-Sign」では当事者型および立会人型・事業者署名型の署名タイプでの締結が可能です。立会人型・事業者署名型では、メールから契約締結を行う際に独自のパスコード(アクセスコード)を付与する機能が搭載されており、当事者型ではアカウントを保有する当事者同士が実印相当の電子署名を行う機能が搭載されています。当事者型、立会人型・事業者署名型の両方の電子契約において、本人確認を行うことが可能です。
経営事項審査の提出書類の電子契約に対応
「経営事項審査」とは、国や地方公共団体が発注する公共工事を直接請け負う際に必須とされている審査のことです。公共工事の競争入札に参加する場合、資格審査が実施されます。
【参考】「経営事項審査について」(国土交通省関東地方整備局)
この経営事項審査では、「工事請負契約書」の書類提出が必要です。「WAN-Sign」で締結した契約書は、印刷して審査のために提出していただけます。なお、書類提出では以下の2点が重要となります。
・経営事項審査に関する内容が記載されていること
・契約者が双方合意した事実を確認できること
「WAN-Sign」の機能では、PDF形式の契約書に両者の印影画像を記載できるため、印刷した場合でも契約者が双方合意した事実を確認できます。本件に関して、国土交通省関東地方整備局に照会し、対応の確認が取れているためご安心ください。
また、「WAN-Sign」の締結証明書挿入機能を活用すれば、電子契約書を印刷する際に、契約書と併せて締結証明書を出力することが可能です。締結証明書を添付して提出することで、署名情報を簡単に検証でき、双方が合意した事実をスムーズに確認できます。
>>お問い合わせ
>>資料ダウンロード
まとめ
ここまで、建設業のビジネスにおける電子契約についてお伝えしました。請負工事の際に締結する「工事請負契約」をはじめとして、大部分の契約業務を電子化することが可能です。電子契約では、見読性・原本性・本人性の要件を満たすためにも、法律に準拠した電子契約サービスを選びましょう。建設業へ電子契約を導入するなら、建設業法に準拠した「WAN-Sign」にお任せください。
>>電子署名とは?導入のメリット・デメリットと必ず知るべき注意点