文書管理とは?目的とスムーズに行うポイント、効率的な方法は?
目次[非表示]
- 1.文書管理について
- 1.1.文書管理とは?
- 1.2.文書管理が重要な理由
- 1.3.文書管理を行う目的
- 1.3.1.業務の効率化
- 1.3.2.コンプライアンスの強化
- 1.3.3.品質と顧客満足度の向上
- 2.文書管理をスムーズに行う際のポイント
- 3.文書管理を効率的に行う方法
- 3.1.ファイリングシステムを活用する
- 3.2.電子データ化して、文書管理システムを導入する
- 3.2.1.文書管理システムとは?
- 3.2.2.文書管理システムを導入するメリット
- 3.2.3.文書管理システムを導入する際の注意点
- 4.まとめ
企業にとって情報は重要な資産であり、高い経済的価値を持ちます。そのため、業種にかかわらず、企業は情報が記載された文書をいかに管理するかに留意する必要があります。また、文書管理は業務効率の観点からもとても重要です。
ここでは、文書管理が重要な理由、文書管理をスムーズに行う際のポイントや効率的に行う方法について解説します。
文書管理について
最初に文書管理とは何か、文書管理が企業にとって重要な理由について解説します。
文書管理とは?
文書管理とは、社内のさまざまな文書の作成から廃棄まで適切に管理することを指します。文書の中には紙媒体だけでなく、電子ファイルも含まれます。
製品・サービスの品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001において、文書管理はシステムの運用に必要とされています。「文書を必要なときに必要なところで入手できること」「利用に適した状態であること」「文書に記載されている情報が十分に保護されているべきこと」などが定められています。
文書管理が重要な理由
文書管理は、単に文書を保管しておくことではありません。「管理」とは「良い状態であるように気を配り、組織的に必要な手段を使ってとりさばくこと」です。
紙媒体や電子ファイルにかかわらず、何らかの目的で使うことを前提に文書を保管するものの、管理が疎かになってしまうことがあります。適切に管理できていないと、必要なときに欲しいファイルを見つけられなかったり、文書を紛失してしまったりすることもあります。
文書が適切に管理されていない主な原因は、仕組みや制度がきちんと構築されていないことによります。文書管理の担当を決めていても、従業員一人ひとりの文書を管理する意識が低いままでは、管理業務は属人的になりがちです。結果として、どこにどのような文書があるかが周知されず、必要なときに必要な文書が見つからない事態が生まれてしまうのです。
文書管理を行う目的
文書管理を行う主な目的は以下の通りです。
業務の効率化
コクヨ株式会社が週に書類を5日以上検索する有職者1,031名を対象に2017年に行った調査によると、1日のうち紙の書類を探す行為はおよそ20分であることが分かりました。これを1年間に換算すると、約80時間に相当します。逆にいえば、適切な文書管理がなされていれば、書類を探す約80時間をより生産的に活用できることになります。
上記調査は主に紙の書類を対象にしていましたが、多くの企業は紙の書類に加えて電子的なデータも管理していています。社内サーバーやクラウド上にアップロードされたファイルが適切に管理されていなければ、探すのに手間がかかります。せっかくデータが共有されており、従業員がアクセスしやすい環境があったとしても、欲しいデータが手に入らなければ業務の効率化は図れません。
出典:コクヨ株式会社「書類を探す時間は“1年で約80時間”」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000107.000023621.html
コンプライアンスの強化
文書管理が重要な別の理由として、さまざまな法律が一定期間書類の保管を義務付けていることが挙げられます。コンプライアンスの観点からも企業は保管期間を遵守しなければなりません。
法律で定められている、主な文書の保管期間は以下の通りです。
保存期間 |
書類の種類 |
2年 |
健康保険に関する書類、厚生年金保険に関する書類、雇用保険に関する書類 など |
3年 |
労働者名簿、賃金台帳、労災に関する書類、労働保険料の徴収に関する書類 など |
4年 |
雇用保険の被保険者に関する書類 など |
5年 |
一般健康診断個人票 |
7年 |
総勘定元帳、貸借対照表、損益計算書、見積書、請求書、固定資産台帳 など |
10年 |
商法により定められている商業帳簿、営業に関する重要な書類 など |
品質と顧客満足度の向上
文書管理が重要なもう一つの理由は、品質および顧客満足度の向上と密接不可分であるからです。BtoBにしろ、BtoCにしろ、顧客から保有している情報に関して問い合わせを受けることがあります。その際、適切に文書管理がなされていれば、顧客を待たせることなく回答できます。逆に、顧客の問い合わせに対する必要な情報が見つからないようであれば、自社のブランド毀損にもつながりかねません。
文書管理をスムーズに行う際のポイント
ここでは、文書管理をスムーズに行うための具体的方法について解説します。
文書管理規程・マニュアルを定め、管理方法を決める
文書管理が属人的になることを回避するために文書管理規程やマニュアルを定め、管理の方向性を決めます。こうした書類を作っておくことで、部署を越えて同じルールを従業員全体で共有できます。
文書管理規定・マニュアルを作成する上で大切なのは、個人で管理する文書と社内文書を分けて管理対象を明確化することです。上述したような文書管理の目的を念頭に置くと、社内で発生するすべての書類を管理しなければならないわけではありません。個人で管理する文書は個人に任せ、文書管理の対象はコンプライアンスの観点から必要な書類や社内全体で共有する必要がある社内文書のみを含めるようにするとよいでしょう。
文書の保存・保管ルールを定める
文書管理を最適化するためには「保存」と「保管」を区別することが大切です。「保存」とは使用頻度の低い文書を管理することで、「保管」とは使用頻度の高い書類をすぐ取り出せるように管理することを指します。
作成したばかりの文書はしばらくの間使用する可能性が高く、たびたび参照するするため、「保管」しておくべきです。しかし、文書のライフサイクルが進むにつれ、徐々に使用頻度が少なくなるため「保存」へと移行します。
文書を探し出しやすいよう適切に分類する
文書を保管する場合、すぐに参照できるような状態を保つためには適切な分類が大切です。その際には種類別・部署別に分類しておくと探し出しやすくなります。
種類別、あるいは「重要」「一般」など情報の重要性に基づいて分類したり、「部署ごと」「顧客ごと」に使用シーンや目的に合わせて整理したりするのも良いでしょう。大切なのは、従業員が使いやすいと感じられるかどうかです。そのため、トップダウンで一方的に分類するのではなく、実際に使用する人のニーズに寄り添うことが重要です。
文書管理を効率的に行う方法
ここでは、すぐに始められる文書管理を効率的に行う方法について紹介します。
ファイリングシステムを活用する
紙の文書はファイリングシステムを活用しましょう。ファイル方式には以下のようなものがあります。
バーティカル方式
バーティカル(垂直)方式とは、書類をフォルダに挟み込んで並べるファイリング方法です。バーティカル方式の特徴は文書を綴じ込まないことで、文書の取り出しや入れ替えがしやすい点です。ただ、綴じ込まないため、書類がバラバラになりやすい点がデメリットといえるでしょう。
バインダー方式
バインダーに文書をしっかりと綴じ込むファイリング方法です。穴を空けてファイリングすることもあれば、クリアファイルに挟み込む方式もあります。紛失のリスクを減らしつつ、検索性を高めることができます。
ボックス方式
ボックス方式では、書類を挟み込んだフォルダをさらにボックスに入れていく方法です。高い検索性が特徴ですが、ボックスとフォルダの両方を使用するため、コストがかかります。
電子データ化して、文書管理システムを導入する
文書管理システムとは?
文書管理システムとは、文書をデータ化して管理、共有して、目的のデータを素早く検索することを可能にするシステムです。
文書管理システムを導入するメリット
文書管理システムを導入すれば、ファイルを保管する場所(倉庫や書架)や保管・保存するための移動作業、アナログな管理コストなどが不要になります。また、文書管理システムの検索機能を利用することで必要なデータをすぐに見つけることができるようになるのも利点です。さらに、近年多くの企業が推進しているペーパーレス化も実現できます。
文書管理システムを導入する際の注意点
データ化したファイルを共有するためには社内サーバーやクラウドサービスなどの用意が必要になります。また、インターネットでつながった環境の場合、社外からのアクセスやサイバー攻撃に注意する必要があります。アクセス権限を適切に設定したり、データのやり取りを暗号化したりして、セキュアな環境を構築しなければなりません。
まとめ
コンプライアンスの強化や、業務効率向上の観点から文書管理には明確なルールを設け、マニュアルを作成するようにしましょう。これから文書管理の方法を検討する方は電子化して文書管理システムによって管理する方法もおすすめです。
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