書類の電子化とは?注目される背景とメリット、電子化の方法


目次[非表示]

  1. 1.書類の電子化が注目されている背景
    1. 1.1.電子帳簿保存法の改正
    2. 1.2.コロナ禍に伴う働き方の変化
    3. 1.3.環境保護への意識向上
  2. 2.書類を電子化するメリット・デメリット
    1. 2.1.書類を電子化する主なメリット
    2. 2.2.書類を電子化する主なデメリット
  3. 3.書類を電子化する方法
    1. 3.1.スキャナや複合機などを使って電子化する
    2. 3.2.スマートフォンやタブレットのカメラで撮影する
    3. 3.3.電子化サービスを行っている業者に依頼する
  4. 4.書類を電子化する際のポイント
    1. 4.1.電子化する対象を精査する
    2. 4.2.原本の取り扱いに注意する
    3. 4.3.関連法律を確認する
    4. 4.4.社内でルールを決める
    5. 4.5.自社に合う適切なシステムを選定する
  5. 5.書類の電子化に対応しましょう



書類の電子化とは、紙の書類をPDFなどに変換し、PCで扱えるデータにすることです。コロナ禍を経験し、多くの企業ではリモートワークが導入され、従来は書類で行っていたやり取りをオンライン上ですることが増えました。ここでは、書類の電子が注目される背景に加え、そのメリットや電子化の方法について解説します。ペーパーレス化を検討している経営者や担当者の方は是非参考にしてください。


書類の電子化が注目されている背景

まず書類籍の電子化が注目されている背景について解説します。主に、電子帳簿保存法の改正、コロナ禍に伴う働き方の変化、環境保護への意識向上の3点があります。


電子帳簿保存法の改正

改正電子帳簿保存法は、2022年1月1日に施行されました。改正電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存する際の取り扱いについて定めた法律です。事業の規模に関わりなく、すべての事業者・個人事業主が対応しなければならず、2024年1月1日以降、電子取引データのデータによる保存が完全義務化されました。

電子帳簿保存法により、電子取引における電子データの保存が義務化され、それには電子メールに添付された請求書のPDFファイル、ECサイトで購入した物品の領収書をダウンロードした場合の電子ファイル、請求書発行システムを経由してやりとりした請求書や発注書、自社が取引先に送付した請求書のPDFファイルなどが含まれます。

電子取引の電子データ保存は義務であり、違反すれば重加算税が10%加重されるため、書類の電子化はもはや不可避といえるでしょう。


コロナ禍に伴う働き方の変化

コロナ禍においては、業務の生産性を下げずにいかに接触を避けるかが求められました。その結果、多くの企業が導入したのがテレワークです。

前述したように、テレワークでは従来のような紙ベースでのやり取りが難しくなったため、多くの企業で一気にオンラインでもやり取りできるようにペーパーレス化が進んだのです。


環境保護への意識向上

書類の電子化が注目されている3つ目の理由として、環境保護への意識向上が挙げられます。環境保護が倫理的に大切なのはもちろんなのですが、2015年の国連サミットで定められたSDGs(持続可能な開発目標)とも関係しています。

例えば、「つくる責任 つかう責任」(目標12)や「気候変動に具体的な対策を」(目標13)、「陸の豊かさを守ろう」(目標15)などと、ペーパーレス化の推進は密接な関係があります。

また、投資家も環境保護に配慮している企業に注目しており、企業価値向上のためにも今後ペーパーレス化は必要です。



書類を電子化するメリット・デメリット

さまざまな理由でペーパーレス化が不可欠であることが分かっていても、自社としての対応に迷っている担当者の方も多いでしょう。ここでは、書類を電子化するメリットとデメリットについてそれぞれ5つずつ挙げます。ペーパーレス化に舵を切るかどうか迷っている方は是非ご検討ください。


書類を電子化する主なメリット

・保管スペースなどアナログなコストの削減につながる

例えば、契約書や請求書などの書類を紙ベースでやりとりすると、プリント代、郵送代がかかります。さらに書類を保管するためにはファイリングするための人的・経済的コストがかかりますし、保管スペースも確保しなければなりません。ペーパーレス化によってこうした膨大なコストの大幅削減を期待できます。


・業務効率化に役立つ

多くの企業が紙ベースでのやりとりを脱却できない一つの理由は、日本企業の「ハンコ文化」です。そして、ハンコ文化に基づいて上長の承認や稟議を続けている限り、業務効率の向上は難しいでしょう。書類を電子化すれば、従来から続いてきたカルチャーの変革につながり、業務の効率化を実現できます。


・共有・検索しやすくなる

契約書をPDF化したり、請求書発行システムで請求書を発行したりすれば、部署を超えたやりとりが簡単です。サーバーは基本的に社内でのやりとりが中心ですが、クラウドではユーザーIDを取引先にも発行し、権限設定をしておければ、電子メールで送信することも不要で、専用フォルダにファイルを入れておくだけで済みます。


・テレワークに対応できる

テレワークは場所や時間を問わない働き方のため、オフィスでの書類のやりとりが前提になってしまうと、業務は滞りがちになります。書類を電子化すれば、電子メールやクラウド、チャットでのやりとりが可能になり、どこにいても書類の共有、共同作業できるためテレワークに対応できます。


・劣化・紛失の防止対策になる

紙の書類には劣化や紛失のリスクがありますが、書類をデータ化しておければ、データそのものを消去しない限り、紛失することはありません。


書類を電子化する主なデメリット

・情報漏洩のリスクがある

書類を電子化してメールやクラウドで共有する限り、必ずインターネットを経由することになります。インターネットを経由するため、どれだけ対策を講じたとしても、情報漏洩のリスクはゼロにはなり得ません。


・バックアップが必要になる

一定のセキュリティリスクがある以上、データのバックアップは常に必要となり、作業の手間がかかります。


・導入・運用に一定のコストがかかる

書類を保存するためのストレージの確保やシステム導入、バックアップなどを行うためには一定の初期費用がかかります。また、システムの運用、メンテナンスなどの維持費用もかかります。


・オペレーションが変更になる

書類を電子化すると、社内のオペレーション全体を見直さなければならなくなります。長年に渡り紙ベースでのやり取りに慣れてきた従業員にとってはかなりの負担を強いる可能性があります。


・資料の閲覧性が下がる

紙の書類は電子データのファイルよりも一覧性が高いのが特徴です。電子化することで資料が目に止まりにくくなり、特にITリテラシーが低い従業員にとっては電子ファイルの閲覧性は下がるといえます。



書類を電子化する方法

書類を電子化するためには主に以下の3つの方法があります。


スキャナや複合機などを使って電子化する

スキャナや複合機などのスキャン機能を使って書類をPDFなどのファイルに変換する方法です。オフィスのスキャナや複合機などを使用するためコストを最小限に抑えられます。ただ、膨大な書類を処理する場合、多くの人的リソースを割かなければならず、通常業務に支障が出ます。


スマートフォンやタブレットのカメラで撮影する

スマートフォンやタブレットのカメラで書類を撮影し画像データ化する方法です。すでにスマートフォンやタブレットがあれば、追加でコストはかかりませんが、法律文書など一定の形式が求められるものには向いていません。


電子化サービスを行っている業者に依頼する

書類の電子化の作業を外注することにより、コストはかかりますが自社で行う手間を減らすことができます。また、管理しやすいように電子ファイルを整理してくれるため、今後の活用がしやすくなる特徴もあります。



書類を電子化する際のポイント

ここでは、書類を電子化する際の5つのポイントについて紹介します。


電子化する対象を精査する

すべての書類を一気に電子化する作業には大きな負担がかかります。そのため、電子化することで業務効率が向上すると思われる書類や、重要度の高い書類など、まずは電子化の対象書類を絞ることから始めていきましょう。


原本の取り扱いに注意する

書類の中には、電子化すれば原本を破棄して良いものと、電子化しても原本の保管が求められるものがあるため、取り扱いに注意する必要があります。


関連法律を確認する

国税に関わる書類は電子帳簿保存法、他の書類で法律により保管を義務づけられたものはe-文書法が適用されます。電子化するにあたって関連法律を確認しましょう。


社内でルールを決める

担当する従業員の負担を減らすため、解像度やデータ形式などに関して、社内でルールを決めておくと良いでしょう。


自社に合う適切なシステムを選定する

クラウドストレージや請求書システムなど、書類を電子化し、どのように管理、共有、活用するかを見極め、適切なシステムを選びましょう。



書類の電子化に対応しましょう

書類の電子化は今後ますます加速することが予測されます。ただ、やみくもに社内文書を電子化すれば良いわけではありません。関連法律を精査し、原本の扱いにも注意しながら、電子化を進めましょう。

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