契約書の種類を総まとめ!13種の典型契約と主な非典型契約の内容を解説
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- 1.契約書を作る前に押さえたい契約の種類
- 2.民法で定められている典型契約【13種類】
- 2.1.贈与契約
- 2.2.売買契約
- 2.3.交換契約
- 2.4.消費貸借契約
- 2.5.使用貸借契約
- 2.6.賃貸借契約
- 2.7.雇用契約
- 2.8.請負契約
- 2.9.委任契約・準委任契約
- 2.10.寄託契約
- 2.11.組合契約
- 2.12.終身定期金契約
- 2.13.和解契約
- 3.ビジネスで利用される主な非典型契約
- 3.1.取引基本契約
- 3.2.秘密保持契約(NDA)
- 3.3.業務委託契約、システム開発委託契約
- 3.4.労働者派遣契約(派遣契約)
- 3.5.リース契約
- 3.6.ライセンス契約
- 3.7.ソフトウェア使用許諾契約
- 3.8.代理店契約(販売店契約を含む)
- 3.9.フランチャイズ契約
- 3.10.OEM契約
- 4.契約書の種類に関するよくある質問
- 4.1.Q.契約書・覚書・合意書・協定書の違いは?
- 4.2.Q.どの契約書を選べばいいか、判断基準は?
- 4.3.Q.契約書がなくても契約は成立する?
- 4.4.Q.諾成契約および要物契約とは?
- 4.5.Q.要式契約と不要式契約の違いは?
- 5.まとめ

売買や雇用、業務委託、秘密保持など、ビジネスシーンでは取引形態に応じてさまざまな契約書が取り交わされています。契約書は当事者間の約束事を書面に残し、万が一のトラブルを防ぐ役割を果たす文書です。
ただ、種類が多いぶん「自社にはどの契約書が必要か」と迷う場面も出てきます。書式の選定を誤れば、法的リスクを抱えることにもなりかねません。
本記事では、民法で定められた13種類の典型契約と、実務で使われる主な非典型契約の内容を整理しました。契約書の作成や見直しの際にお役立てください。
>> 契約書作成の基本とは?具体的な基本項目や注意点、よくある質問
契約書を作る前に押さえたい契約の種類
契約の種類を整理する枠組みを「契約類型」といいます。そして契約類型は、民法が定める「典型契約」と、それ以外の「非典型契約」に大別されます。それぞれの特徴を押さえたうえで契約書の作成に進みましょう。
典型契約
典型契約とは、民法でルールが定められている契約類型のことです。贈与・売買・交換・消費貸借・使用貸借・賃貸借・雇用・請負・委任・寄託・組合・終身定期金・和解の13種類が該当します。
典型契約の大きな特徴は、契約書に取り決めのない事態が生じても、民法の規定が補充的に適用されることです。たとえば、売買契約で品質に関する条項を設けていなくても、契約不適合責任の規定によって買主は保護されます。
当事者間で細かな条件をすべて定めなくても、一定の法的保護が受けられる仕組みです。
非典型契約
非典型契約は、民法の13種類の典型契約に当てはまらない契約です。取引基本契約や秘密保持契約(NDA)、リース契約、フランチャイズ契約など、取引の場では非典型契約に該当する契約書が数多く使われています。
典型契約のように個別の契約類型ごとの詳細な規定は設けられていないため、当事者間で取引の実態に合わせた条項を設計する必要があります。自由度が高い反面、取り決めが不十分なまま締結すると紛争時に拠りどころを欠くおそれがあるため、条項の把握および網羅が欠かせません。
民法で定められている典型契約【13種類】
契約書を作る前に確認しておきたいのが、民法で定められた13種類の典型契約です。売買や賃貸借のように日常的なものから、終身定期金のようになじみの薄いものまで幅広く、それぞれルールや注意点が異なります。
贈与契約
贈与契約は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与え、相手方が受諾することで成立します(民法第549条)。対価のやり取りがない点が特徴で、書面によらない贈与は履行が終わっていない部分について解除が認められています(民法第550条)。
売買契約
商品の仕入れや不動産の購入など、商取引で身近な契約類型が売買契約です。当事者の一方が財産権を相手方に移転し、相手方がその代金を支払うことで成立します(民法第555条)。引渡し条件や代金の支払時期を契約書に明記しておくのが一般的です。
交換契約
交換契約は、当事者双方が金銭以外の財産権を互いに移転する契約です(民法第586条)。不動産の等価交換などで利用され、売買契約の規定が準用される場面で使われます。
消費貸借契約
お金の貸し借りでよく使われるのが消費貸借契約です。代表的なのは「金銭消費貸借契約」で、借主が貸主から金銭などを受け取り、同じ種類・品質・数量のものを返還する義務を負います(民法第587条)。
使用貸借契約
使用貸借契約は、借主が無償で目的物を使用・収益し、契約終了時に返還する契約です(民法第593条)。賃貸借契約と異なり対価の支払いが発生しないため、親族間での不動産の無償利用などで用いられます。
賃貸借契約
オフィスの入居や店舗の確保、設備のレンタルなど、事業運営のさまざまな場面で登場するのが賃貸借契約です。貸主が目的物の使用・収益を借主に許し、借主が賃料を支払う形で成立します(民法第601条)。
雇用契約
従業員を雇い入れる際に締結するのが雇用契約です。当事者の一方が労働に従事し、相手方がその報酬を支払うことで成立します(民法第623条)。実務上は労働基準法第15条により労働条件の明示が義務付けられており、労働条件通知書や雇用契約書を書面(または電子的方法)で交付するのが通例です。
請負契約
建設工事やシステム開発、デザイン制作など、成果物の完成をともなう取引で利用されます。請負人がある仕事の完成を約束し、注文者がその結果に対して報酬を支払います(民法第632条)。
委任契約・準委任契約
法律行為の処理を他者に任せるための契約です(民法第643条)。弁護士への訴訟委任などが代表例に該当します。法律行為以外の事務処理を委託する場合は準委任契約(民法第656条)となり、現代ではコンサルティングやシステム保守などで用いられます。
寄託契約
物の保管を他者に委託する仕組みが寄託契約です(民法第657条)。倉庫業者への商品預託や、金融機関への預け入れなどが該当します。
組合契約
組合契約は、複数の当事者が出資して共同の事業を営むことを約する契約です(民法第667条)。会社と異なり法人格を持たないため、組合員全員が事業の損益を直接負担します。そして各組合員は出資義務を負い、利益・損失も持分に応じて分配されます。
終身定期金契約
終身定期金契約は、当事者の一方が自己・相手方・第三者いずれかの死亡まで、定期的に金銭等を給付する契約です(民法第689条)。年金に近い仕組みですが、実務上の利用頻度は高くありません。
和解契約
当事者間の争いを、互いに譲歩することで解決へ導くのが和解契約です(民法第695条)。訴訟上の和解のほか、示談書として書面にまとめるケースも多く見られます。
ビジネスで利用される主な非典型契約
実務では、民法の典型契約にあてはまらない「非典型契約」が数多く使われています。取引基本契約やNDA、業務委託契約など、企業活動に欠かせない契約の多くがこれに該当します。
取引基本契約
企業間で継続的に商品・サービスをやり取りする場合、個々の取引ごとに契約を結ぶのは非効率です。取引基本契約を締結しておけば、目的物の種類や単価、支払方法、損害賠償の範囲といった共通条件をあらかじめ定められます。
秘密保持契約(NDA)
秘密保持契約(NDA)は、取引や共同事業に際して開示される秘密情報の取扱いルールを定める契約です。どこまでを秘密情報とするか、誰に開示できるか、契約終了後に情報をどう処分するかなど、トラブルを防ぐうえで重要な条項が含まれます。
業務委託契約、システム開発委託契約
業務委託契約は、自社の業務やシステム開発を外部パートナーに任せる際に締結する契約です。ただし「業務委託契約」という名称は民法上の分類ではなく、委託する内容によって典型契約の「請負契約」「委任契約」「準委任契約」のいずれかに該当します。
成果物の納品が目的なら請負、法律行為の処理なら委任、それ以外の事務処理なら準委任に該当することが一般的です。どれに分類されるかで報酬の発生条件や責任範囲が変わるため、契約書には委託内容を具体的に記載しましょう。
労働者派遣契約(派遣契約)
雇用契約や業務委託契約と混同されやすいのが労働者派遣契約です。派遣元が雇用する労働者を派遣先の指揮命令のもとで働かせる点に特徴があり、契約は派遣元と派遣先の間で締結されます。
派遣期間や業務内容、派遣料金などを取り決めるほか、労働者派遣法による受入期間の上限や派遣禁止業務といった法令上の制約にも注意が必要です。
リース契約
リース契約は、リース会社が利用者に代わって物件を購入し、長期間にわたって貸し出す契約です。利用者は購入費用を一括で負担する必要がないため、設備投資の初期コストを抑えられます。賃貸借契約と形態は似ていますが、原則として中途解約ができない点や、リース期間終了後の残価の取扱いなど、独自のルールが設けられています。
ライセンス契約
特許権・商標権・著作権などの知的財産権について使用許諾を与える契約です。利用できる範囲や対価(ロイヤルティ)の計算方法、契約期間などを明確に定めておかないと、権利侵害や対価の未回収につながるおそれがあります。
ソフトウェア使用許諾契約
ライセンス契約の一種ですが、ソフトウェア特有の条件を盛り込む点で独立した契約類型として扱われています。利用範囲やコピーの可否、アップデートの提供条件、サポート体制などが主な規定事項です。クラウド型(SaaS)の普及により、利用規約として提示されるケースも増えています。
代理店契約(販売店契約を含む)
自社の商品・サービスを、販売パートナーを通じて広めたいときに結ぶのが代理店契約です。販売手数料の計算方法やテリトリー(販売地域)の設定、競合品の取扱い制限などを取り決めます。代理店が自ら売買するか仲介にとどまるかで、契約内容に大きな違いが出ます。
フランチャイズ契約
本部(フランチャイザー)が加盟店(フランチャイジー)に商標やノウハウを提供し、加盟店がその対価としてロイヤルティを支払う契約です。店舗運営のルールや品質管理の基準、契約解除の条件まで取り決めるため、契約前に各条項の内容を十分に確認しておきましょう。
OEM契約
発注者のブランド名で商品を製造する取引に関する契約です。製造仕様や品質基準、知的財産権の帰属、製造物責任(PL法)の分担などを取り決めておく必要があります。自社工場を持たない企業が商品ラインナップを拡充する手段として知られます。
契約書の種類に関するよくある質問
Q.契約書・覚書・合意書・協定書の違いは?
名称は異なりますが、いずれも当事者間の合意を書面に残した文書です。「契約書」は権利義務の全体像を定める文書で、「覚書」はその内容を補足・変更する目的で使われます。「合意書」は特定の事項について双方の合意を確認する文書、「協定書」は業界団体や行政機関との取り決めに用いられるのが一般的です。
Q.どの契約書を選べばいいか、判断基準は?
取引の目的を「物の売買か」「業務の委託か」「知的財産の利用許諾か」といった観点で整理すると、該当する契約類型を絞り込みやすくなります。目的と内容が明確になれば、適切な契約書の種類も定まります。自社にひな形がなければ、弁護士などの専門家に相談するのも手です。
Q.契約書がなくても契約は成立する?
日本の民法では、当事者の合意があれば口頭でも契約は成立します(諾成契約の原則)。ただし、口頭だけでは合意内容を証明する手段がなく、トラブル発生時に「言った・言わない」の争いになりかねません。ビジネスの場面では、合意内容を書面で残しておくのが原則です。
Q.諾成契約および要物契約とは?
契約が「合意だけで成立するか、物の引渡しまで必要か」という観点から分けたのが、諾成契約と要物契約です。諾成契約は合意のみで効力が発生し、売買や賃貸借などほとんどの契約がこれに含まれます。
要物契約は目的物の引渡しも成立要件となり、かつて消費貸借契約がその代表でした。ただし2020年の民法改正により、書面で行う消費貸借は諾成契約に位置づけられています。
Q.要式契約と不要式契約の違いは?
要式契約は、書面作成など法律が定める方式を満たさないと成立しない契約です。保証契約がその代表で、書面でしなければ効力を生じないと定められています(民法第446条第2項)。
なお、電磁的記録によって作成された場合は書面によるものとみなされます(同条第3項)。不要式契約は方式の制約がなく合意だけで成立する契約で、民法上はこちらが原則です。
まとめ
契約には民法が定める13種類の典型契約と、取引の実態に合わせて設計する非典型契約があり、自社の取引に適した契約類型を選ぶことが大切です。ただし、契約書の種類が増えるほど作成・締結・保管の手間も増えていきます。
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