契約書に収入印紙が不要な場合は?要注意のケースとよくあるQ&A
目次[非表示]
- 1.契約書に収入印紙が不要なケース
- 1.1.契約金額が1万円未満の場合
- 1.2.電子契約の場合
- 1.3.不課税文書の場合
- 1.4.契約書のコピーの場合
- 1.5.納付印がある場合
- 2.契約書の収入印紙の要否に注意が必要なケース
- 3.契約書の収入印紙に関するよくある質問
- 4.電子契約なら収入印紙は不要
契約書を取り交わす際、印紙税を納めるために収入印紙の貼付を求められるケースがあります。印紙税法により、課税文書に当たる契約書を作成した場合は印紙税が発生すると決められているためです。例えば、請負契約書や不動産売買契約書などは課税文書に含まれます。
ただし、契約書によっては課税対象とならず、収入印紙が不要とされることがあります。どのような種類の契約書であれば収入印紙を貼り付けなくても良いのでしょうか。この記事では、契約書に収入印紙が不要なケースや、注意しておきたいパターン、よくあるQ&Aについてご紹介します。
契約書に収入印紙が不要なケース
どういった契約書であれば収入印紙が不要とされるのでしょうか。ここでは、収入印紙が要らない主なケースを解説します。
契約金額が1万円未満の場合
課税文書に該当する契約書であっても、契約で交わす金額が1万円未満であれば、印紙税は非課税となります。
また、領収書のような「金銭又は有価証券の受取書」にも印紙が必要になることがありますが、5万円未満なら非課税文書となり、印紙税がかかりません。前出のケースと金額が異なるため混同しないように気をつけましょう。
電子契約の場合
印紙税は課税文書を作成した場合に発生するものとされています。電子契約であれば、契約書はPDFファイルのような電子データとなり、「文書」を作成したとはみなされず、印紙税が不要となります。
印紙税額は契約金額によって変動し、場合によっては高額な印紙税が必要になることもあります。電子契約なら印紙税が一切不要となり、大幅なコストカットを実現できるのがメリットです。
不課税文書の場合
印紙税法上の課税文書に含まれていない書類は不課税文書とされ、印紙税が生じません。不課税文書の例は以下の通りです。
商品の販売契約書(請負契約に該当しない場合)
既存の商品の販売契約書については印紙税がかかりません。ただし、既製品を購入するのではなく発注して作ってもらう場合、請負契約とみなされ課税対象となります。また、既製品であっても加工した際は物品加工契約に当たり、契約書に印紙を貼らなければいけません。
動産のリース契約書
自動車やコピー機などのリース契約では、収入印紙が必要ありません。リース契約は動産の賃貸借契約に当たるもので、印紙税不課税となります。
ただし、リース契約と併せて保守契約を結んだ場合は注意が必要です。保守契約書については印紙税が発生するため、忘れずに収入印紙を貼りましょう。
建物の賃貸借契約書
マンションやアパートといった、建物の賃貸借契約を交わす際にも印紙税は生じません。土地の賃貸借契約書については課税文書となるため気をつけましょう。
雇用契約書
従業員を雇い入れる際には雇用契約書を交わします。基本的に労働契約に関する文書には印紙税がかかりません。
準委任契約書
準委任契約とは、法律行為以外の特定の業務を行うために締結する契約です。準委任契約書を作成した場合も印紙税は不要とされます。
派遣契約書
「派遣契約は請負契約と似ているので印紙税が必要」と考える方もいるかもしれません。ただし、労働者派遣では派遣先の指揮命令に従って業務に従事しますが、請負契約では発注者からの指揮命令はありません。両者は異なるものであり、労働者派遣契約書には印紙税は不要となります。
契約書のコピーの場合
契約書のコピーについては、収入印紙が必要になる場合と不要な場合に分かれます。基本的に、ただの契約書の写しであれば印紙税はかかりません。例えば、社内で整理・保管するために印刷したケースであれば収入印紙を貼らずに済みます。
印紙税がかかるのは、契約の成立を証明するために作られた書類です。例えば、「契約書の写しであっても当事者の署名押印がある」など原本と相違ない旨が記載されている場合は課税対象とみなされます。
納付印がある場合
納付印とは、印紙税額が記載されたスタンプのことです。「印紙税納付計器」と呼ばれる機器で押すことができます。使用の際には管轄の税務署長からの承認が必要です。
納付印を利用すれば収入印紙を貼らずに済むため、課税文書を多く取り扱う企業に向いています。ただし、貼付の手間がなくなるだけで、印紙税自体は納付しなければいけません。
契約書の収入印紙の要否に注意が必要なケース
契約書の作成者や契約期間などによって、収入印紙が不要になることがあります。主にどのようなケースが該当するのかを確かめておきましょう。
自然災害などで被害を受けた人が契約書を作成する場合
自然災害によって被害を受けた場合、特例として印紙税の非課税措置を受けられることがあります。対象となるのは2016年4月1日以降に起こった災害です。また、東日本大震災による被害を受けた方も、印紙税の非課税措置が適用されるケースがあります。被災者自身が作成する「不動産の譲渡に関する契約書」や、特別貸付けに係る「消費貸借に関する契約書」などは非課税になる場合があるため調べてみましょう。
継続的取引の基本となる契約書で、契約期間が3カ月以内かつ更新の定めのない場合
「継続的取引の基本となる契約書」は、国税庁の「印紙税額の一覧表」において第7号文書として掲載されています。具体的には、売買取引基本契約書や代理店契約書などが該当します。
継続的取引を交わす場合、基本的には4,000円の印紙税が課されます。ただし、契約期間が3カ月以内かつ更新の定めがない契約に関しては、課税の必要がないとされています。判断に迷う場合は専門家へ相談しましょう。
契約書の収入印紙に関するよくある質問
最後に、契約書の収入印紙についてよくある疑問・回答をご紹介します。気になる疑問を解消しましょう。
貼る必要があるのに収入印紙を貼り忘れた場合はどうなる?
印紙が必要であるにもかかわらず貼り付けずにいると、印紙税法によって過怠税を徴収されます。過怠税の金額は、本来納付すべきだった印紙税額の3倍です。ただし、調査の前に所轄の税務署長へ申し出ておくと、過怠税を減額してもらえることがあります。また、印紙を貼っていても、消印がなければ納税したことにならず、過怠税を納めることになるため注意が必要です。
収入印紙を貼っていない契約書の有効性は?
収入印紙を貼り忘れた契約書は収入税法に違反していますが、だからといって契約そのものが無効になるわけではありません。収入印紙の有無と、契約内容自体に関連性はないためです。過怠税を納付することになりますが、契約書の有効性に影響はないと考えて良いでしょう。
収入印紙の金額を誤って貼り付けてしまった場合はどうなる?
納付した収入印紙の金額が多すぎた場合、還付を受けられる可能性があります。税務署で手続きを行いましょう。ただし、条件によっては還付が認められないことがあります。例えば、印紙を貼り付けて文書を作成してから5年経過している場合は印紙税の還付を受けることができません。過誤納が判明したら、できるだけ早めに対処しましょう。
電子契約なら収入印紙は不要
契約書の種類や契約金額など、さまざまな条件によって収入印紙の要否は変わります。判断が難しいものもあるため、顧問税理士などへ相談して正しく納税できるように努めましょう。
また、紙の契約書ではなく電子契約であれば収入印紙は必要ありません。印紙税を節約するためにも、電子契約を導入することがおすすめです。その際は、電子契約・契約管理サービスの「WAN-Sign」をご検討ください。「WAN-Sign」は低コストで運用可能で、多彩な種類の契約書に対応しています。電子契約締結機能はもちろん、契約管理機能やセキュリティ・内部統制機能など、さまざまな機能が充実していることも魅力です。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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