契約書に収入印紙が必要な場合・不要な場合は?要注意のケースと貼付方法を解説
(公開日:2024年11月28日)
目次[非表示]
- 1.収入印紙の基礎知識
- 2.契約書に収入印紙が必要なケース
- 2.1.第1号文書の場合
- 2.2.第2号文書の場合
- 2.3.第5号文書の場合
- 2.4.第7号文書の場合
- 2.5.第12号文書の場合
- 2.6.第13号文書の場合
- 2.7.第14号文書の場合
- 2.8.第15号文書の場合
- 3.契約書に収入印紙が不要なケース
- 3.1.非課税文書の場合
- 3.2.電子契約の場合
- 3.3.不課税文書の場合
- 3.4.契約書のコピーの場合
- 3.5.納付印がある場合
- 4.契約書の収入印紙の要否に注意が必要なケース
- 4.1.自然災害などで被害を受けた人が契約書を作成する場合
- 4.2.継続的取引の基本となる契約書で、契約期間が3カ月以内かつ更新の定めのない場合
- 4.3.注文書・申込書でも契約が成立する場合
- 4.4.準委任契約・委任契約の認識であっても、契約内容が課税文書に当たる場合
- 5.収入印紙の印紙税額表の見方
- 6.収入印紙の貼付と消印の方法、負担の決め方
- 6.1.収入印紙を貼付する方法
- 6.2.収入印紙を負担する人の決め方
- 6.3.消印の方法
- 6.4.消印する人の決め方
- 7.収入印紙でミスしたときのペナルティと対処法
- 7.1.収入印紙を貼付し忘れた場合
- 7.2.消印を忘れた場合
- 7.3.収入印紙の金額を間違えた場合
- 7.4.収入印紙を汚損した場合
- 8.契約書の収入印紙に関するよくある質問
- 8.1.収入印紙を貼っていない契約書の有効性は?
- 8.2.収入印紙の要否を判断するチェックポイントは?
- 8.3.収入印紙が必要になる契約書の「控え(写し)」と、不要な「コピー」の違いは?
- 8.4.電子契約で収入印紙が不要になる理由は?
- 8.5.電子契約を印刷したら収入印紙は必要になる?
- 9.まとめ

契約書を紙で作成するとき、「この契約書に収入印紙は必要なのか」「いくらの印紙を貼ればよいのか」と迷うことがあります。売買契約書や請負契約書、業務委託契約書などはもちろん、同じ名称の契約書でも記載内容によって印紙税の扱いが変わるため、判断に悩みやすいポイントです。
収入印紙が必要な契約書に貼付しなければ過怠税の対象となる一方で、本来不要な契約書に貼ってしまうと余計なコストが発生します。電子契約を利用している場合でも、紙の契約書を併用しているなら、収入印紙の要否を事前に確認しておく必要があります。
この記事では、収入印紙と課税文書の基礎知識をはじめ、契約書に収入印紙が必要なケース・不要なケース、判断に迷いやすいケースについて解説します。
収入印紙の基礎知識
収入印紙は、印紙税を納付するために使う証票です。まずは、課税文書に当たる文書の考え方を解説します。
収入印紙とは?
収入印紙とは、印紙税のほか、国に納付する手数料などの支払いに使われる証票です。契約書や領収書など、印紙税法上の課税文書を紙で作成したときは、文書に収入印紙を貼付し、消印することで印紙税を納付します。
課税文書とは?
課税文書とは、印紙税法別表第1に掲げられた20種類の文書のうち、印紙税の対象となる文書です。国税庁は、課税文書に該当する文書について、次の3点を満たすものとしています。
- 印紙税法別表第1の課税事項が記載されている
- 当事者間で課税事項を証明する目的で作成されている
- 非課税文書に当たらない
契約書の収入印紙を判断するときは、文書名よりも「何を証明するための文書か」を確認します。売買、請負、金銭消費貸借、継続的取引の基本契約などに当たる内容が記載されていれば、印紙税額表で該当する号文書を特定します。
出典:国税庁「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断」
契約書に収入印紙が必要なケース
収入印紙が必要な課税文書に該当する契約書について、主な号文書を順に整理します。
第1号文書の場合
第1号文書には、不動産や鉱業権、無体財産権、船舶などの譲渡に関する契約書が含まれます。地上権や土地の賃借権の設定・譲渡に関する契約書、金銭消費貸借契約書、運送に関する契約書も第1号文書に該当します。
第2号文書の場合
請負に関する契約書です。工事請負契約書、システム開発契約書、広告制作契約書のほか、成果物の完成を目的とする業務委託契約書などが該当します。
第5号文書の場合
合併契約書、吸収分割契約書、新設分割計画書など、会社組織の再編に関する一定の文書です。日常的な取引契約に比べると作成頻度は高くありませんが、企業法務や組織再編の場面では印紙税の対象になります。
第7号文書の場合
第7号文書は、継続的取引の基本となる契約書です。売買取引基本契約書、代理店契約書、業務委託基本契約書、銀行取引約定書などが該当する場合があります。その印紙税額は、原則として1通につき4,000円です。
第12号文書の場合
信託行為に関する契約書です。信託財産の管理や処分に関する契約を紙で作成する場合は、印紙税の対象となるかを確認します。
第13号文書の場合
第13号文書は、債務の保証に関する契約書です。保証契約書や連帯保証に関する契約書を紙で作成するときは、印紙税の対象になります。
第14号文書の場合
第14号文書は、金銭または有価証券の寄託に関する契約書です。受寄者が寄託者のために金銭や有価証券を預かる契約内容が、文書上で明らかな場合に該当します。
第15号文書の場合
債権譲渡または債務引受けに関する契約書です。売掛債権を譲渡する契約書や、ローン債務などを第三者が引き受ける契約書を紙で作成するときに該当するかを確認します。
契約書に収入印紙が不要なケース
どのような契約書であれば収入印紙が不要とされるのでしょうか。ここでは、収入印紙が要らない主なケースを解説します。
非課税文書の場合
非課税文書とは、課税文書に該当していても、印紙税法上、非課税とされる文書です。第1号・第2号・第15号文書など一部の課税文書では、記載金額が1万円未満の場合は非課税となります。
ただし、第1号・第2号文書には、他の号文書にも該当する場合などの例外があります。収入印紙の要否は、課税文書に該当するかを確認したうえで、非課税条件の有無を税額表と記載内容に照らして判断しましょう。
電子契約の場合
印紙税は課税文書を作成した場合に発生するものとされています。電子契約であれば、契約書はPDFファイルのような電子データとなり、紙での「文書」を作成したとはみなされず、印紙税が不要となります。
印紙税額は契約金額によって変動し、場合によっては高額な印紙税が必要になることもあります。電子契約なら印紙税が原則不要となり、大幅なコスト削減を実現できるのがメリットです。
不課税文書の場合
印紙税法上の課税文書に含まれていない書類は不課税文書とされ、印紙税が生じません。不課税文書の例は以下の通りです。
商品の販売契約書(請負契約に該当しない場合)
既存の商品の販売契約書については印紙税がかかりません。ただし、既製品を購入するのではなく発注して作ってもらう場合、請負契約とみなされ課税対象となります。また、既製品であっても加工した際は物品加工契約に当たり、契約書に印紙を貼付する必要があります。
動産のリース契約書
自動車やコピー機などのリース契約では、収入印紙が必要ありません。リース契約は動産の賃貸借契約に当たるもので、印紙税は不課税となります。
ただし、リース契約と併せて保守契約を結んだ場合は注意が必要です。保守契約書は、機械保守など仕事の完成・役務の結果を目的とする請負に該当する場合や、継続的取引の基本契約に該当する場合に、課税対象となることがあります。
建物の賃貸借契約書
マンションやアパートといった、建物の賃貸借契約を交わす際にも印紙税は生じません。土地の賃貸借契約書については課税文書となるため気をつけましょう。
雇用契約書
従業員を雇い入れる際には雇用契約書を交わします。基本的に労働契約に関する文書には印紙税がかかりません。
準委任契約書
準委任契約とは、法律行為以外の特定の業務を行うために締結する契約です。準委任契約書を作成した場合も印紙税は不要とされます。
派遣契約書
「派遣契約は請負契約と似ているので印紙税が必要」と考える方もいるかもしれません。ただし、労働者派遣では派遣先の指揮命令に従って業務に従事しますが、請負契約では発注者からの指揮命令はありません。両者は異なるものであり、労働者派遣契約書には印紙税は不要となります。
契約書のコピーの場合
契約書のコピーについては、収入印紙が必要になる場合と不要な場合に分かれます。基本的に、ただの契約書の写しであれば印紙税はかかりません。例えば、社内で整理・保管するために印刷したケースであれば収入印紙を貼らずに済みます。
印紙税がかかるのは、契約の成立を証明するために作られた書類です。例えば、「契約書の写しであっても当事者の署名押印がある」など原本と相違ない旨が記載されている場合は課税対象とみなされます。
納付印がある場合
納付印とは、印紙税額が記載されたスタンプのことです。「印紙税納付計器」と呼ばれる機器で押すことができます。使用の際には管轄の税務署長からの承認が必要です。
納付印を利用すれば収入印紙を貼らずに済むため、課税文書を多く取り扱う企業に向いています。ただし、貼付の手間がなくなるだけで、印紙税自体は納付しなければいけません。
契約書の収入印紙の要否に注意が必要なケース
収入印紙の要否は、契約書の名称ではなく契約内容と作成目的で判断します。ここでは、実務で迷いやすいケースをご紹介します。
自然災害などで被害を受けた人が契約書を作成する場合
自然災害によって被害を受けた場合、特例として印紙税の非課税措置を受けられることがあります。対象となるのは2016年4月1日以降に起こった災害です。また、東日本大震災による被害を受けた方も、印紙税の非課税措置が適用されるケースがあります。被災者自身が作成する「不動産の譲渡に関する契約書」や、特別貸付けに係る「消費貸借に関する契約書」などは非課税になる場合があるため、確認しましょう。
継続的取引の基本となる契約書で、契約期間が3カ月以内かつ更新の定めのない場合
「継続的取引の基本となる契約書」は、国税庁の「印紙税額の一覧表」において第7号文書として掲載されています。具体的には、売買取引基本契約書や代理店契約書などが該当します。
継続的取引の基本となる契約を締結する場合、基本的には4,000円の印紙税が課されます。ただし、契約期間が3カ月以内かつ更新の定めがない契約に関しては、原則として課税されません。判断に迷う場合は専門家へ相談しましょう。
国税庁「No.7104 継続的取引の基本となる契約書」
国税庁「契約期間が3か月を超えるものの判断」
注文書・申込書でも契約が成立する場合
注文書・申込書という名称であっても、その文書が「契約成立を証明する目的で作成」されている場合は、課税文書に該当することがあります。たとえば、相手方の承諾欄が設けられており、署名・押印によって契約内容が確定する注文請書は、課税文書に当たる可能性があります。
準委任契約・委任契約の認識であっても、契約内容が課税文書に当たる場合
準委任契約や委任契約は、一般的には請負契約と区別されます。ただし、契約書の実質が成果物の完成を目的としている場合や、継続的取引の基本となる契約書に該当する場合は、課税文書となる可能性があります。
収入印紙の印紙税額表の見方
印紙税額は、文書の種類や記載金額によって決まります。一律額の文書もあるため、税額表を読む順番を押さえましょう。
Step1. 文書の種類(号)を特定して税額表を選ぶ
最初に、契約書がどの号文書に該当するかを特定します。第1号文書から第4号文書までは国税庁のNo.7140、第5号文書から第20号文書まではNo.7141で照合します。
その際、契約書名ではなく、文書に記載された課税事項を基準に号文書を判断しましょう。同じ契約書名でも記載内容によって分類が異なり、一つの契約書に複数の課税事項が含まれる場合もあるためです。
国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」
Step2. 記載金額から税額を読み取る
第1号文書や第2号文書など、記載金額によって税額が変わる文書では、契約金額や請負金額を税額表に当てはめます。消費税額が明確に区分されているかどうかで、記載金額の扱いが変わることもあります。
Step3. 軽減措置の適用可否と期限を確認する
不動産の譲渡に関する契約書、建設工事の請負に関する契約書には、一定の要件を満たす場合に印紙税の軽減措置が適用されます。軽減措置は、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成される契約書のうち、不動産譲渡契約書は記載金額10万円超、建設工事請負契約書は記載金額100万円超など、対象文書と記載金額の要件を満たすものに適用されます。
そのため、契約金額が大きい取引では、通常税額だけでなく軽減措置の適用有無と期限も確認しましょう。軽減措置の有無によって納付する印紙税額が変わります。
国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
収入印紙の貼付と消印の方法、負担の決め方
収入印紙は、貼るだけで納付手続きが完了するわけではありません。貼付位置、負担者、消印者を事前に決めておきます。
収入印紙を貼付する方法
収入印紙は、契約書の貼付欄または余白など、消印しやすい位置に貼ります。貼付欄がない場合は、文書の記載内容を隠さないよう余白に貼付しましょう。
高額な印紙税額を納付する場合は、必要額に応じた額面の収入印紙1枚、または複数枚の組み合わせで対応し、合計額が必要な印紙税額に達しているか確認します。
収入印紙を負担する人の決め方
印紙税は、課税文書を作成した者に納税義務が生じる税金です。契約書を当事者双方で共同作成する場合は、事前に負担方法を決めておきます。あわせて、印紙代の負担者と貼付する部数も確認しておきましょう。
消印の方法
収入印紙を貼ったら、印紙と契約書にまたがる位置で消印します。消印は印紙の再使用を防ぐための手続きで、印章による押印のほか署名でも可能です。印紙の上だけ、または文書の上だけの消印は適切ではないため注意しましょう。
消印する人の決め方
消印は、契約書の作成者のいずれか、または代理人、使用人、従業員などが行います。契約当事者全員が消印する必要はありません。
契約書が複数通あるときは、それぞれの課税文書に印紙の貼付と消印を行います。正本を2通作成して双方が保管する場合は、2通分の印紙税を確認します。
収入印紙でミスしたときのペナルティと対処法
収入印紙のミスは、貼付忘れ、消印忘れ、金額誤りで扱いが変わります。気づいた時点で早めに対応しましょう。
収入印紙を貼付し忘れた場合
ペナルティ
課税文書に収入印紙を貼付しなかったときは、原則として未納付の印紙税額とその2倍相当額の合計、つまり本来の印紙税額の3倍相当の過怠税が徴収されます。調査を予知する前に自主的に申し出た場合など、一定の条件では1.1倍に軽減されることがあります。
対処法
貼付忘れに気づいたら、放置せず税務署へ相談します。契約書の作成日や文書の種類、本来の印紙税額を整理しておくと手続きがスムーズです。
消印を忘れた場合
ペナルティ
所定の方法で消印をしていないと、消印されていない印紙の額面金額に相当する過怠税が徴収されます。
対処法
消印忘れに気づいたときは、契約当事者または社内の権限者が速やかに消印します。契約書を相手方が保管している場合は、相手方と連絡を取り、どの文書に消印漏れがあるかを特定します。
収入印紙の金額を間違えた場合
ペナルティ
本来より少ない金額の収入印紙を貼付したときは、不足分について納付漏れとして扱われ、過怠税の対象になることがあります。
対処法
不足に気づいたら、不足額、文書の種類、作成日を整理したうえで税務署へ相談します。必要に応じて不足分の貼付・消印を行い、調査前であれば印紙税不納付事実申出書の提出可否も確認しましょう。
収入印紙を汚損した場合
ペナルティ
汚損した収入印紙は、納付に使えないことがあります。必要な印紙税額を納付した扱いにならないため、使用前に状態を確認します。
対処法
汚損した印紙を使う前であれば、郵便局や税務署へ扱いを尋ねます。すでに契約書へ貼付した後に汚損が判明したときは、はがさずに税務署へ相談します。
国税庁「印紙を貼り付けなかった場合の過怠税」
契約書の収入印紙に関するよくある質問
収入印紙を貼っていない契約書の有効性は?
収入印紙を貼り忘れた契約書は印紙税法に違反していますが、だからといって契約そのものが無効になるわけではありません。収入印紙の有無と、契約内容自体に関連性はないためです。過怠税を納付することになりますが、契約書の有効性に影響はないと考えてよいでしょう。
収入印紙の要否を判断するチェックポイントは?
収入印紙の要否は、次の順で点検します。
- 文書全体の内容が課税物件表の類型に当たるか
- 課税事項を証明する目的で作成されているか
- 契約金額や記載金額はいくらか
- 非課税文書に当たる条件はないか
- 紙で作成して交付したか、電子データのみで締結したか
- 契約書の正本か、単なる控えやコピーか
なお、第1号・第2号・第15号文書など一部の課税文書では、記載金額1万円未満が非課税となる場合がありますが、文書の種類や記載内容によって例外があります。
収入印紙が必要になる契約書の「控え(写し)」と、不要な「コピー」の違いは?
単なるコピーは、原本を複写しただけの控えです。契約当事者の署名・押印がなく、原本と相違ないことの証明もないものは、課税文書には該当しません。
電子契約で収入印紙が不要になる理由は?
印紙税は紙の課税文書を作成したときに課されるため、電子データのみで締結・保存する電子契約では、原則として収入印紙は不要です。
電子契約を印刷したら収入印紙は必要になる?
電子契約を印刷したものが、単なる確認用のコピーであれば、通常は課税文書として扱いません。
まとめ
電子契約では紙の課税文書を作成しないため、電子データのみで締結・保存する運用であれば、原則として収入印紙は不要です。ただし、紙と電子契約を併用している場合は、紙で作成する契約書について印紙税の要否を個別に確認してください。
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