業務委託契約書に収入印紙は必要?ケース別の印紙代と金額を抑えるポイント
【この記事でわかること】
- 業務委託契約書は、請負契約(2号文書)や継続的取引(7号文書)に該当する場合は課税文書となり、契約内容により収入印紙が必要となる。
- 委任契約や準委任契約、契約金額が1万円未満の請負契約、電子契約で締結する場合は、原則として収入印紙の貼付が不要である。
- 業務委託契約書に必要な収入印紙の金額は、2号文書では記載された契約金額に応じて異なり、7号文書では1通につき4,000円となる。
- 消費税額の明確な区分記載や原本部数の削減、電子契約化などを工夫すれば印紙代を抑えられることがある。
- 印紙代の負担軽減や契約業務の効率化には、収入印紙が不要な電子契約サービス『WAN-Sign』の活用が有効である。
(公開日:2025年9月19日)
目次[非表示]
- 1.業務委託契約書に収入印紙が必要なケース
- 2.業務委託契約書に収入印紙が不要なケース
- 3.業務委託契約書に必要な収入印紙の金額
- 4.業務委託契約書の収入印紙の金額を抑えるポイント
- 4.1.2号文書に該当する場合は契約金額を税抜きで記載する
- 4.2.原本の枚数を減らす
- 4.3.電子契約で締結する
- 5.業務委託契約書の収入印紙の使用方法
- 5.1.業務委託契約書の収入印紙の貼り方
- 5.2.業務委託契約書の消印の押し方
- 6.業務委託契約書の収入印紙について知っておくべきポイント
- 6.1.印紙税の負担割合について当事者間で相談しておく
- 6.2.収入印紙を貼り忘れるとペナルティが課せられることがある
- 6.3.電子契約の場合は契約書・覚書ともに収入印紙が不要
- 6.4.写し・副本・謄本は原則として収入印紙が不要
- 7.業務委託契約書の収入印紙に関するよくある質問
- 8.まとめ

自社の業務を外注する場面では「業務委託契約書」を作成し、契約を締結します。その際、契約内容によっては契約書が課税文書に該当し、収入印紙の貼付が必要となることがあります。そのため、業務委託契約書に収入印紙が必要かどうかを適切に判断し、正確に契約手続きを進めることが大切です。
この記事では、業務委託契約書が課税文書に該当するケースや、必要な印紙税額について解説します。印紙代を抑えるポイント、収入印紙の貼り方・消印の押し方もご紹介するので、契約業務の参考にしてください。
業務委託契約書に収入印紙が必要なケース
業務委託契約書が「請負に関する契約書」または「継続的取引の基本となる契約書」に該当する場合は、収入印紙が必要です。ここでは、それぞれの契約書の特徴や該当する具体例を解説します。
請負に関する契約書(2号文書)
請負契約とは、仕事の完成や成果物に対して報酬を支払う契約です。「請負に関する契約書(2号文書)」は課税文書であるため、収入印紙が必要となります。具体的には、「工事請負契約書」「広告契約書」「会計監査契約書」などが該当します。
【参考】「No.7102 請負に関する契約書」(国税庁)
継続的取引の基本となる契約書(7号文書)
「継続的取引の基本となる契約書(7号文書)」は課税文書であるため、収入印紙が必要です。特定の取引先と継続的に取引をする場合に用いられます。具体的には、「売買取引基本契約書」「下請基本契約書」「代理店契約書」などが該当します。
【参考】「No.7104 継続的取引の基本となる契約書」(国税庁)
業務委託契約書に収入印紙が不要なケース
業務委託契約書であっても、契約内容や契約金額、締結方法によっては収入印紙が不要です。
- 委任契約や準委任契約を締結するケース
- 「請負に関する契約書(2号文書)」の契約金額が1万円未満のケース
- 電子契約で締結するケース
委任契約書・準委任契約書は課税文書に該当しないケースが一般的です。ただし、契約内容によっては収入印紙が必要となる場合もあるため、個別の状況に応じて判断しましょう。また、課税文書である2号文書の中でも、契約金額が1万円未満なら非課税となります。電子契約書の場合は課税文書に該当しないとされるため、収入印紙は不要です。
業務委託契約書に必要な収入印紙の金額
業務委託契約書に必要な印紙税額は、2号文書と7号文書で異なります。ここでは、それぞれの金額をご紹介します。
請負に関する契約書(2号文書)の場合
「請負に関する契約書(2号文書)」の印紙代(印紙税額)は、書面に記載された契約金額に応じて変わります。また、契約金額が1万円未満の契約書は非課税となります。金額ごとの印紙代は、以下の通りです。
記載された契約金額 | 税額 |
1万円未満のもの | 非課税 |
1万円以上100万円以下のもの | 200円 |
100万円を超え200万円以下のもの | 400円 |
200万円を超え300万円以下のもの | 1,000円 |
300万円を超え500万円以下のもの | 2,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 20万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
※建設工事の請負契約書のうち、一定の要件を満たすものについては、令和9年3月31日まで、印紙税の軽減措置が適用されます。
【出典】国税庁「No.7102 請負に関する契約書」
【参考】国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
継続的取引の基本となる契約書(7号文書)の場合
「継続的取引の基本となる契約書(7号文書)」の印紙代は、1通につき4,000円となっています。なお、契約期間が3カ月以内で、かつ更新の定めのない契約書は、7号文書に該当しません。
業務委託契約書の収入印紙の金額を抑えるポイント
業務委託契約書にかかる印紙代は、契約金額の記載方法や契約書の作成部数、締結方法を見直すことで抑えられる可能性があります。ここでは、印紙代を抑える3つのポイントをご紹介します。
2号文書に該当する場合は契約金額を税抜きで記載する
「請負に関する契約書(2号文書)」に税抜き・税込みの価格をそれぞれ記載し、消費税額が明確にわかる場合は、消費税分を含めない金額を基に印紙税額を算定できます。場合によっては、印紙代を抑えられる可能性があるでしょう。
【参考】「No.7124 消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額」(国税庁)
原本の枚数を減らす
収入印紙は、当事者が署名押印を行った契約書の原本に貼付する必要があります。一方、原本をそのままコピーしただけの写しには、原則として収入印紙を貼付する必要がありません。そのため、原本を1部のみ作成し、その他はコピーで対応することで、印紙代を抑えられます。ただし、原本を紛失するリスクには十分に注意しましょう。
電子契約で締結する
電子契約書は紙の契約書と異なり、課税文書には該当しないとされています。そのため、電子契約で締結した業務委託契約書には、収入印紙を貼付する必要がありません。契約業務を電子化し、印紙代を抑える方法も有効です。
業務委託契約書の収入印紙の使用方法
収入印紙が必要な業務委託契約書では、収入印紙を適切な位置に貼り付けたうえで、消印を行う必要があります。ここでは、収入印紙の貼り方と消印の押し方をそれぞれ解説します。
業務委託契約書の収入印紙の貼り方
収入印紙を貼る位置に法的な決まりはありませんが、一般的には書類の左上のスペースに貼付します。また、署名欄の横に貼付する場合もあります。収入印紙の裏面に糊をつけて、はがれないようにしっかりと貼り付けましょう。
業務委託契約書の消印の押し方
書類に収入印紙を貼付した後は、必ず「消印」を行う必要があります。書類と収入印紙の両方にまたがるように、印鑑をはっきりと押しましょう。また、本人や代理人が、書類と収入印紙の両方にまたがるように署名する方法でも対応可能です。
業務委託契約書の収入印紙について知っておくべきポイント
業務委託契約書の収入印紙については、印紙税の負担割合や貼り忘れた場合の扱い、電子契約書や写しなどに収入印紙が必要かどうかを確認しておくことが大切です。ここでは、契約業務を進めるうえで知っておきたいポイントを解説します。
印紙税の負担割合について当事者間で相談しておく
契約書の印紙税は、当事者が折半して負担するケースが一般的です。あらかじめ負担割合について相手先と相談しておきましょう。なお、「印紙税法」の第3条においては、課税文書の作成者に印紙税を納める義務があることや、課税文書を共同で作成した場合は連帯して印紙税を納める義務があることが記載されています。
(納税義務者)第三条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。2 一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には、当該二以上の者は、その作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務がある。
【引用】「印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)」(e-Gov 法令検索)
収入印紙を貼り忘れるとペナルティが課せられることがある
課税文書に収入印紙を貼付しない場合は、本来納めるべき印紙税を納付していない状態となります。場合によっては過怠税(税務上の義務違反に対して課される税金)を徴収されるなど、ペナルティが課される可能性があるため注意が必要です。
電子契約の場合は契約書・覚書ともに収入印紙が不要
業務委託契約を電子契約で締結する場合、収入印紙は不要です。また、契約書の内容を一部変更するために覚書を作成する場合も、電子契約であれば収入印紙が不要となります。電子化することで印紙代の負担がなくなり、契約業務のコスト削減が期待できます。
写し・副本・謄本は原則として収入印紙が不要
基本的に、契約書の写し・副本・謄本は課税文書には当たらないため、収入印紙は不要です。ただし、対象の書類に当事者が署名押印を行った場合や、原本と相違ない旨を証明した場合は、契約の成立を証明する課税文書と見なされる可能性があるため注意しましょう。
業務委託契約書の収入印紙に関するよくある質問
最後に、業務委託契約書の収入印紙に関して、よくある疑問を以下にまとめます。
業務委託契約書に収入印紙を貼らないと契約は無効になる?
業務委託契約書に収入印紙を貼っていなくても、契約が無効になることはありません。収入印紙の有無は契約の有効性ではなく、印紙税上の問題です。ただし、契約書が課税文書に該当するにもかかわらず必要な収入印紙を貼っていない場合は、過怠税が課される可能性があります。
電子契約の業務委託契約書にも収入印紙は必要?
電子契約で作成された業務委託契約書には、原則として収入印紙は必要ありません。印紙税は紙で作成された課税文書を対象とする税金であり、電子データは印紙税法上の課税文書に該当しないためです。ただし、電子契約の内容を変更する契約書を紙で作成した場合は、その紙の契約書が課税対象になる可能性があります。
契約書が2部ある場合、どちらに印紙を貼る必要がある?
契約書が課税文書に該当し、原本を2部作成する場合は、原則として両方に収入印紙を貼る必要があります。印紙税は契約書1通ごとに課されます。印紙代は、それぞれが自分の保管する契約書分を負担するのが一般的です。
まとめ
ここまで、業務委託契約書における収入印紙の取り扱いについて解説しました。電子契約を導入すれば、業務委託契約書をはじめとした契約を締結する際の印紙代を抑えることが可能です。
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