契約書が必要になる理由と法律との関係、作成する際のポイント
目次[非表示]
- 1.契約書の基礎知識
- 1.1.契約書が必要になる理由
- 1.2.契約書の法的効力
- 1.3.契約書を締結するタイミング
- 1.4.契約の種類と特徴
- 2.契約書と法律の関係
- 2.1.契約書の内容が法律よりも優先される場合
- 2.2.契約書より法律が優先される場合
- 3.契約書を作成する際のポイント
- 3.1.取引の目的と背景をふまえて作成する
- 3.2.双方の権利と義務を洗い出しておく
- 3.3.想定されるトラブルを洗い出し、対策を考える
- 3.4.法律に違反していないかを確認する
- 3.5.取引のパワーバランスをふまえた内容かを確認する
- 3.6.第三者にもわかる言葉で記載する
- 3.7.記載項目に漏れがないかを確認する
- 4.電子契約で効率化
契約書を作成しない場合でも契約は成立します。契約は原則として口頭でも成立するとされているためです。民法第522条では「契約の成立と方式」が定められており、第2項では以下のように規定されています。
(契約の成立と方式)
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
(承諾の期間の定めのある申込み)
【引用】「民法」(e-Gov 法令検索)
ただし、ビジネスシーンでは取引先とのトラブルのリスクを避けるために契約書を作成するのが一般的です。この記事では、契約書が必要になる理由と法律との関係についてお伝えします。また、契約書作成のポイントも解説するため、ぜひ参考にしてみてください。
契約書の基礎知識
ここでは、契約書が必要になる理由などの基礎知識を解説します。まずは契約書の役割を理解しておきましょう。
契約書が必要になる理由
法律関係の明確化
契約書を作成すると、取引における権利義務などの条件を書類として形に残すことが可能です。これにより、口約束よりも法律関係を明確にできます。
合意内容の確定
契約書の記載内容は、原則として契約当事者が合意したものと見なされます。交渉した条件を取りまとめた上で、合意内容を確定させる意味合いがあります。
証拠機能としての目的
万が一、当事者間でトラブルが発生した場合、契約書は証拠としての役割を担います。契約書は紛争の抑止力となり、かつ紛争の解決にも役立てられます。
契約書の法的効力
契約書は、契約を締結した証拠となる文書です。そのため、契約の当事者は原則として契約書の記載内容による拘束を受けることになります。その際、一部の例外があるものの、契約書の内容が法律よりも優先される点に注意しましょう。契約書と法律の関係について詳しくは以降の見出しで解説します。
契約書を締結するタイミング
契約書に契約開始日の指定がない場合、当事者全員の署名・押印が完了したタイミング(=契約締結日)が契約開始日となります。契約開始のタイミングを明確にするためにも、契約書には日付を明記しましょう。一般的には契約開始日よりも前のタイミングで契約締結を行いますが、「遡及適用」の条項を盛り込み、過去の日付を設定することもあります。
契約の種類と特徴
口頭の契約
対面や電話において口頭で契約内容に合意した際に成立する契約です。身近な具体例として、店舗への電話注文などが挙げられます。ただし、口頭の契約では契約内容の証拠が残らないのが注意点です。
書面上の契約
契約書を作成し、当事者全員が署名捺印した際に成立する契約です。企業間でよく用いられる契約書の例として「売買契約書」「業務委託契約書」「秘密保持契約書(NDA)」などが挙げられます。
電子契約
契約書をオンライン上で電子的に作成し、当事者全員が電子署名した際に成立する契約です。一般的には専用の電子契約サービスが用いられます。電子契約は紙の契約書と同等の効力が担保されています。
契約書と法律の関係
契約書を作成すると、基本的には契約書の内容が法律よりも優先されますが、場合によっては契約書より法律が優先される可能性も考えられます。ここでは、契約書と法律の関係についてお伝えします。
契約書の内容が法律よりも優先される場合
原則として、企業間で契約書を作成して契約締結すると、契約書の内容が法律よりも優先されます。そのため、事前に契約書に記載された契約条項を十分に確認し、取引において自社に不利な条項がないかチェックすることが重要です。
契約書より法律が優先される場合
例外として、契約書の内容よりも法律が優先されるケースが存在します。各種法令における「強行法規(強行規定)」によって、公の秩序に反すると見なされる場合は、法律が優先される可能性があるのです。契約書よりも法律が優先される例として、民法の公序良俗の規定に違反するケースや、下請法・消費者契約法・特定商取引法に違反するケースなどが挙げられます。
契約書を作成する際のポイント
最後に、契約書を作成する際に注意したいポイントを解説します。当事者間のトラブルを未然に防ぐためにも、適切な契約締結を実現しましょう。
取引の目的と背景をふまえて作成する
まずは、個別の取引の目的や背景に応じて、契約書に記載すべき内容を検討しましょう。必要な事項を抜け漏れなく盛り込むためにも、書類作成前に取引の概要を整理しておくことが大切です。
双方の権利と義務を洗い出しておく
続いて、取引によって自社と取引先にどのような権利義務が生じるかを明らかにします。契約書の内容の正確性を保つため、権利義務に関して双方の認識に齟齬がない状態にする必要があります。
想定されるトラブルを洗い出し、対策を考える
現時点で想定されるトラブルがあれば、契約締結前に洗い出し、対策を検討しましょう。例えば売主側では「代金を回収できないリスクはないか?」、買主側では「供給を打ち切られるリスクはないか?」などが考えられるでしょう。必要に応じてリスクをカバーする内容を契約に盛り込みます。
法律に違反していないかを確認する
企業法務や社外の弁護士に依頼して、契約書が法律に違反していないか確認します。リーガルチェックを実施することで、契約書への記載が必須な項目の抜け漏れを防ぐとともに、自社や取引先の法令違反を未然に防ぎます。
取引のパワーバランスをふまえた内容かを確認する
契約書が双方にとって不利益のない内容となっているか、パワーバランスを見直しましょう。当事者の一方のみに有利な内容や、一方のみが大きなリスクを抱える内容となっている場合は、契約締結後のトラブルが懸念されます。
第三者にもわかる言葉で記載する
契約書はタイトル・前文・本文・後文の構成で作成し、誰が読んでもわかりやすい書き方をします。その際、定義が曖昧な用語は誤解を招くおそれがあるため、書面では使用を控えるのが望ましいでしょう。あるいは、用語を定義するための「定義条項」を盛り込むのも一つの方法です。
記載項目に漏れがないかを確認する
契約書の作成後、一般公開されている契約書のひな型と比較して、主な記載項目が網羅されているかチェックすると良いでしょう。ただし、取引の目的や背景によっては、一般的な契約書と同様の項目では対応しきれない可能性があるため、ひな型はあくまでもチェックリストとしてご活用ください。
電子契約で効率化
契約書には法律関係を明確化し、自社と取引先の合意内容を確定する役割があります。契約の証拠機能を果たす重要な文書です。近年は契約書管理を効率化する観点から、電子契約を導入する企業が多くなりました。
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