リース契約書とは?記載内容と作成時の注意点、新リース会計基準の変更点
目次[非表示]
- 1.リース契約書に関する基礎知識
- 1.1.リース契約書とは
- 1.2.リース契約の仕組み
- 1.3.リース契約の種類
- 1.4.「新リース会計基準」による主な変更点
- 1.5.リース契約とレンタル契約、割賦販売契約の違い
- 2.リース契約書の主な記載内容
- 2.1.リース契約書の基本条項
- 2.2.物件に関する条項
- 2.3.契約運用・終了に関する条項
- 3.リース契約書を作成する際の注意点
- 3.1.リース物件の所有権はリース会社に帰属する
- 3.2.物件の品質責任はリース会社ではなくユーザーが負う
- 3.3.リース物件の保守や修繕・保険の費用はユーザーが負担する
- 3.4.リース契約は原則中途解約できない
- 3.5.ユーザーが契約違反した場合は契約解除が起こり得る
- 3.6.リース契約書に収入印紙は原則不要
- 4.まとめ

事業活動に必要なOA機器や自動車などを導入する際、機器・設備を購入するのではなく、リース契約を締結して利用するケースもあるでしょう。リース契約にはレンタル契約や割賦販売契約とは異なる特徴があります。トラブル防止のために契約内容をよく確認しておくことが大切です。
この記事では、リース契約書に関する基礎知識や、主な記載内容、契約書作成の注意点などを解説します。契約業務のご担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。
リース契約書に関する基礎知識
初めに、リース契約書の特徴や、リース契約の仕組み、似ている契約方法との違いといった基礎知識を解説します。リース契約について基本から確認してみましょう。
リース契約書とは
「リース契約書」は、リース契約の締結時に用いられる契約書です。リースとは、高額の機器・設備を導入する際、ユーザーがリース会社から一定期間にわたって対象物を借りて利用するサービスのことです。リース契約は、以下のような機器・設備の導入時に利用されます。
【リース契約の具体例】
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リース契約の仕組み
一般的なリースの取引では、対象物を借りる「ユーザー」、ユーザーに対象物を貸し出す「リース会社」、リース会社に対象物を販売する「販売業者」の3者が関わります。このうち、ユーザーとリース会社は「リース契約」を締結し、リース会社と販売業者は「売買契約」を締結します。
リース契約の種類
リース契約には、「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の種類があります。
ファイナンス・リースとは、リース会社がユーザーの代わりに販売業者から対象物を購入した上で、ユーザーに貸し出す取引のことです。一般的な分割払いに近い仕組みで、ユーザーはリース会社へ月々のリース料を支払いながら対象物を利用します。原則として中途解約はできません。
一方、オペレーティング・リースとは、契約内容がファイナンス・リースに該当しない取引のことです。例えば、リース会社がすでに所有している対象物をユーザーに貸し出す取引などが該当します。一般的なレンタルに近い仕組みで、ユーザーは契約期間が終了したらリース会社へ対象物を返却します。
なお、次の見出しで解説する「新リース会計基準」の導入にともない、これらのリースの区分が廃止となる点に留意しておきましょう。
「新リース会計基準」による主な変更点
2024年9月に企業会計基準委員会によって「新リース会計基準」が公表されました。「新リース会計基準」では、主に以下の点が変更となります。
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新リース会計基準は、2027年4月1日以後に開始する事業年度の期首から適用されますが、2025年4月1日以後からの早期適用も認められています。
【出典】「令和7年度法人税関係法令の改正の概要」1 新リース会計基準に対応する改正(国税庁)
リース契約とレンタル契約、割賦販売契約の違い
「レンタル契約」とは、数日~数カ月程度の短期間にわたって対象物を賃貸借する際に締結する契約のことです。一方、リース契約は数年単位の長期間にわたる契約を前提としている点でレンタル契約と異なります。また、レンタル契約では原則として事前通知による中途解約が可能なのに対して、リース契約では原則として中途解約ができません。
「割賦販売契約」とは、対象物を分割払いで販売する際に締結する契約のことです。割賦販売契約では原則として完済時に対象物の所有権がユーザーへ移転します。一方、リース契約ではリース会社が所有権を持つ点が主な違いです。契約終了後、ユーザーは再度リース契約を締結して対象物を利用するか、リース会社に対象物を返却することになります。
リース契約書の主な記載内容
ここでは、リース契約書の主な記載内容をご紹介します。なお、リース契約書では、契約当事者を次のように表記するのが一般的です。書き方を押さえておきましょう。
契約当事者 | 契約書における表記 |
リース会社 | 賃貸人(甲) |
ユーザー | 賃借人(乙) |
販売業者・売主 | そのまま「販売業者」や「売主」と表記 |
リース契約書の基本条項
リース契約書には、契約の基本的な条件として以下の条項を盛り込みます。
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リース契約では原則として中途解約できないため、「リース期間」を明確に記載することが重要です。必要に応じて契約更新の条件も盛り込むと良いでしょう。
物件に関する条項
リース契約の対象物(物件)に関する条項を盛り込みます。
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リース契約では、リース会社が対象物の所有権を持ちます。そのため、「物件の所有権」の項目でリース会社の所有権について明確に記載するとともに、ユーザーによる所有権の侵害を禁止する必要があります。
また、対象物の品質不良があった場合や、対象物の使用によって損害が発生した場合に備えて、「危険負担と免責事項」の項目で責任の所在を明記します。一般的に、対象物の使用による損害の責任はユーザー側の責任となるケースが多いです。
契約運用・終了に関する条項
リース契約の運用・終了に関する条項を記載します。
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なかでも重要なのは「中途解約」の項目です。リース契約の場合、原則として中途解約が不可能である旨を必ず契約書に明記しましょう。具体的には「契約期間中、特段の定めのない限り、本契約を解約することができない」といった形で記載します。
また、リース契約では契約終了後にリース会社へ対象物を返却する必要があります。返却の際に引渡し前の状態に戻す義務があることなどを明記しましょう。
リース契約書を作成する際の注意点
最後に、リース契約書を作成する際の注意点を解説します。適切に契約を締結しトラブルを防止するために、以下のポイントに注意しましょう。
リース物件の所有権はリース会社に帰属する
一般的なリース契約では、契約期間中から終了後まで対象物の所有権はリース会社にあります。ただし、「所有権移転ファイナンス・リース」のように、契約期間中または終了時に対象物の所有権がユーザーへ移転するサービス形態も存在します。
物件の品質責任はリース会社ではなくユーザーが負う
リース契約において、対象物の品質責任は基本的にユーザーが負います。賃貸借契約では、一般的に賃貸人が品質責任を負いますが、リース契約の場合はリース会社ではなくユーザーが責任者となる点に注意が必要です。
リース物件の保守や修繕・保険の費用はユーザーが負担する
基本的に、リースで利用する対象物の保守や修繕にかかる費用や保険料はユーザーが負担します。ただし、なかにはリース料の中にメンテナンス費用が含まれるサービス形態も存在します。
リース契約は原則中途解約できない
リース契約は原則として中途解約ができない「ノンキャンセラブル(解約不能)」の契約です。たとえ解約が可能な契約内容であっても、多額の違約金を支払う義務がある場合は実質的にノンキャンセラブルの扱いとなります。
ユーザーが契約違反した場合は契約解除が起こり得る
リース契約は原則として中途解約できないものの、ユーザー側がリース料の支払い遅延などの契約違反をした場合は、契約解除が起こり得ます。その際、ユーザーはリース会社へ対象物を返還し、契約条項に基づき、違約金の支払いや損害賠償責任などを負う場合があります。
リース契約書に収入印紙は原則不要
一般的なリース契約書は印紙税法における課税文書に該当しないため、収入印紙の貼付は不要となります。ただし、売買契約を含むリース契約のように、一部の例外的なケースでは課税文書に該当する可能性があります。個別の事例については弁護士や税理士などの専門家へご相談ください。
まとめ
ここまでリース契約書に関する基礎知識、主な記載内容、契約書作成の注意点などをお伝えしました。リース契約にはユーザー・リース会社・販売業者の3者が関わり、ユーザーとリース会社がリース契約を締結します。契約締結の際は、リース物件の所有権や契約解除などのポイントに注意しながら契約書を作成しましょう。NXワンビシアーカイブズの電子契約・契約管理サービス「WAN-Sign」は、リース契約をはじめとした各種契約締結に対応可能です。高機能で安心・安全な電子契約を実現いたします。契約業務の効率化は「WAN-Sign」にお任せください。







