業務提携契約書とは?業務委託契約との違いや記載項目、作成時の注意点
目次[非表示]
- 1.業務提携契約書の概要
- 1.1.業務提携契約書とは?
- 1.2.業務提携契約と業務委託契約の違い
- 1.3.業務提携契約書を締結する目的
- 2.業務提携契約の主な種類
- 3.業務提携契約書に記載すべき項目
- 3.1.業務提携の目的
- 3.2.定義(業務内容、役割分担、責任範囲)
- 3.3.成果物や権利の取り扱い(知的財産権の帰属)
- 3.4.秘密保持義務(秘密保持条項)
- 3.5.有効期限(契約期間)
- 3.6.協議事項
- 3.7.収益分配と費用負担
- 3.8.支配権の変更
- 3.9.損害賠償義務
- 3.10.反社会的勢力排除条項
- 4.業務提携契約書を作成する際の注意点
- 4.1.契約書の内容は具体的に項目別に明記する
- 4.2.テンプレートを利用する場合も専門家のリーガルチェックを受ける
- 4.3.秘密保持契約書(NDA)を作成してから締結することが多い
- 4.4.業務提携契約書が業務委託の基本契約書の代わりになる場合がある
- 4.5.印紙税や収入印紙について事前に確認しておく
- 5.まとめ
ビジネスシーンで他社と業務提携をする場合は、「業務提携契約書」を締結します。業務提携によってパートナー企業と協力関係を結ぶと、各企業が自社の強みを生かして、互いにメリットを得ながら事業を成長させることが可能です。
この記事では、そんな業務提携契約を締結する際に作成する「業務提携契約書」に関する基礎知識を解説します。契約業務の担当者の方は、書類の記載項目や作成時の注意点など実務で必要な情報を理解しておきましょう。
業務提携契約書の概要
初めに、「業務提携契約書」に関する基礎知識を解説します。似ている契約書との違いや、契約締結の目的を改めて確認してみましょう。
業務提携契約書とは?
業務提携契約書とは、企業間の業務提携を円滑に進めるための契約内容を記載した書類のことです。パートナー企業と取り決めたルールや条件を明文化して契約を締結します。
業務提携契約と業務委託契約の違い
業務提携契約は、対等な立場にあるパートナー企業との協力関係に関する契約です。それに対して、業務委託契約は発注企業が受注企業へ業務を外部委託するための契約である点で異なります。業務委託契約では発注側が受注側よりも立場が強くなりやすい傾向にあります。
業務提携契約書を締結する目的
業務提携契約書を締結する目的は、業務提携に際してパートナー企業と認識を共有し、トラブルを防止することです。そのためにも、契約書では業務提携における役割分担や責任範囲のほか、事前に詳細なルールを定めます。
業務提携契約の主な種類
企業間の業務提携契約には、主に「生産提携」「技術提携」「販売提携」の種類があります。ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。
生産提携
生産提携では、パートナー企業に生産・製造工程の一部または全部を委託します。委託企業側は、設備投資や人材の確保を行わずに生産能力を高められることがメリットです。受託企業側は、設備の稼働率を上げられるメリットがあります。
技術提携
技術提携では、パートナー企業と共同で技術開発を行ったり、両者の技術を提供し合ったりします。これにより、パートナー企業同士は技術開発に必要な時間を短縮したり、コストやリスクを抑えたりすることが可能です。開発のスピードアップや負担軽減につながります。
販売提携
販売提携では、パートナー企業と商品・販売チャネル・ブランド力などを提供し合います。パートナー企業同士は、提携によって販売力を向上させて、新たな市場や地域へ参入したり、売上機会を増やしたりできることがメリットです。
業務提携契約書に記載すべき項目
業務提携契約書を締結する際は、一般的に以下の項目を盛り込みます。契約業務の担当者の方は、改めて必要な項目や内容を押さえておきましょう。
業務提携の目的
業務提携のパートナー企業が協力関係を結ぶ目的を盛り込みます。目的を設定する際は、企業間のコミュニケーションを充実させて、互いの認識に齟齬がないようにあらかじめ確認しておくことが重要です。
定義(業務内容、役割分担、責任範囲)
業務提携を行う際の基本となる、業務提携の範囲、パートナー企業の役割分担や責任範囲などの情報を盛り込みます。各社が独自に行う業務と、業務提携との境界を明確にしておくことが望ましいといえます。
成果物や権利の取り扱い(知的財産権の帰属)
業務提携において発生した成果物や権利に関して、トラブル防止の観点から帰属先や権利の範囲などについて盛り込みます。また、業務提携で発生した知的財産権に関しても同様に、事前に取り決めて契約書に盛り込んでおくと良いでしょう。
秘密保持義務(秘密保持条項)
業務提携で自社のノウハウ・知的財産・機密情報を開示する場合に備えて、秘密保持義務(秘密保持条項)について盛り込みます。秘密情報の定義や範囲を定めるとともに、秘密情報を許可なく第三者へ開示したり、目的外に利用したりすることを禁止します。
有効期限(契約期間)
業務提携契約の有効期限(契約期間)や、契約を延長する場合の更新条件について盛り込みます。有効期限は「本契約の有効期限は契約締結日より〇年間とする」といった形で記載しましょう。また、自動更新の場合は「期間満了の〇カ月前までに甲または乙のいずれからも解約の意思表示がない場合は、同一条件でさらに〇年間継続するものとし、以後も同様とする」といった形で記載するのが一般的です。
協議事項
業務提携契約書の協議事項とは、書面では契約内容として確定させずにおき、業務提携のパートナー企業が協議を行って柔軟に決定することを定める条項です。契約書に記載する際は、「○○については協議のうえ決定するものとする」といった形で盛り込みます。
収益分配と費用負担
業務提携において発生した収益をどのように分配するか、また発生した費用をどのように負担するかを明確に定めます。基本的には事業への寄与度に基づいて設定されることが一般的です。トラブル防止のために、事前にルールを決めて契約書に盛り込みます。
支配権の変更
業務提携後にパートナー企業の支配権が変わった場合に備えて、変更後の対応について盛り込みます。基本的には、パートナー企業が他社に買収されたケースを想定して、支配権の変更にともない業務提携を解除できるようにしておくのが一般的です。
損害賠償義務
相手方の行為で損害が発生した場合に備えて、損害賠償義務について盛り込みます。契約書に損害賠償義務の記載がなくても損害賠償請求は行えますが、リスクマネジメントの観点から、あらかじめ書面に条件を記載して明確にしておくことが一般的です。
反社会的勢力排除条項
業務提携のパートナー企業が反社会的勢力でないことを互いに保証する目的で盛り込む条項です。契約書に反社会的勢力排除条項を盛り込むと、万が一パートナー企業が反社会的勢力であった場合に、契約解除や損害賠償請求がしやすくなります。
業務提携契約書を作成する際の注意点
業務提携契約書を作成する際は、以下のポイントに注意が必要です。適切な契約書を作成して、企業間の業務提携を円滑に進めましょう。
契約書の内容は具体的に項目別に明記する
契約書の構成や記載方法には一定のルールがあります。契約内容は本文(条文)に記載するとともに、項目ごとに分けて具体的な内容を記載しましょう。業務提携契約書を一から作成する場合は、既存のテンプレート(ひな形)を活用するのも一つの方法です。
テンプレートを利用する場合も専門家のリーガルチェックを受ける
既存の業務提携契約書のテンプレート(ひな形)を利用すると、ルールに則って効率的に契約書を作成しやすくなります。ただし、テンプレートを利用する際も、弁護士など法律の専門家に相談し、リーガルチェックを受けるのが望ましいでしょう。
秘密保持契約書(NDA)を作成してから締結することが多い
前の見出しでは、業務提携契約書の項目として「秘密保持義務(秘密保持条項)」をご紹介しましたが、業務提携の交渉時に秘密情報をやり取りすることになるため、実務上は事前に「秘密保持契約書(NDA)」を締結してから、業務契約を締結するケースが多くあります。企業間で適切な対応方法を検討しましょう。
業務提携契約書が業務委託の基本契約書の代わりになる場合がある
業務委託を行う場合は、基本的に「業務委託基本契約書」を作成します。ただ、「業務提携契約書」の中に業務委託に必要な契約内容が含まれているケースでは、別途「業務委託基本契約書」を作成せずに、「業務提携契約書」のみで対応する場合があります。
印紙税や収入印紙について事前に確認しておく
業務提携契約書に収入印紙を貼付する必要があるかどうかは、契約内容によって異なります。課税文書に該当するかの判断は個別のケースによって異なるため、詳しくは弁護士など法律の専門家へご相談ください。なお、電子契約の場合は、契約書への収入印紙の貼付は不要です。
まとめ
ここまで、「業務提携契約書」に関する基礎知識をお伝えしました。業務提携契約は、電子契約で締結することも可能です。NXワンビシアーカイブズの「WAN-Sign」なら、業界最高水準のセキュリティを標準搭載した電子契約・契約管理サービスを、低コストでご利用いただけます。初めて電子契約を導入する企業様にもおすすめです。業務提携契約をはじめとした各種契約締結をオンラインで実現し、業務効率化に貢献します。ご担当者の方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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