委任契約書とは?他の契約との違いと記載事項、収入印紙の取り扱いは?
目次[非表示]
- 1.委任契約の概要
- 1.1.委任契約とは?
- 1.2.委任契約の例
- 1.3.準委任契約・請負契約・雇用契約・派遣契約との違い
- 2.委任契約書の記載事項
- 2.1.委任契約の当事者
- 2.2.契約締結日
- 2.3.委任業務の内容
- 2.4.契約期間
- 2.5.報酬金額と支払方法
- 2.6.契約解除に関する取り決め
- 2.7.損害賠償に関する取り決め
- 2.8.知的財産権の帰属
- 2.9.諸経費の負担
- 2.10.秘密保持
- 3.委任契約書の収入印紙の取り扱い
- 3.1.委任契約書は原則として収入印紙が不要
- 3.2.印紙税の課税対象となるケース
- 4.委任契約を締結する際の注意点・ポイント
- 5.まとめ
弁護士などの専門家へ法律行為を委託する際は、「委任契約書」を作成して契約を締結します。契約書には委任業務の内容や契約に関する詳細をもれなく記載して、適切に契約手続きを進めましょう。
この記事では、委任契約書に関する基礎知識を解説します。委任契約書の記載事項や、契約締結の注意点にも触れますので、契約業務の担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
委任契約の概要
初めに、委任契約に関する基礎知識を解説します。委任契約に該当する具体例や、他の契約方法との違いを確認してみましょう。
委任契約とは?
委任契約とは、法律行為を委託する際に締結する契約のことです。なお、「民法」の第643条では、委任について以下のように定義されています。
(委任)第六百四十三条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
【引用】「民法(明治二十九年法律第八十九号)」(e-Gov法令検索)
委任契約の例
委任契約は、一般的に弁護士などの専門家へ法律に関わる専門的な仕事を依頼する際に発生します。具体的には、以下のような業務内容が委任契約に該当します。
- 弁護士に民事訴訟の代理人として訴訟を依頼する
- 税理士に法人税の申告業務を依頼する
- 司法書士に不動産登記の代理申請を依頼する
準委任契約・請負契約・雇用契約・派遣契約との違い
委任契約と準委任契約の違い
「準委任契約」とは、専門的な業務を委託する際に締結する契約のことです。委任契約は法律行為が対象となるのに対して、準委任契約では法律行為以外の専門的な委託業務が対象となる点に違いがあります。
委任契約と請負契約の違い
「請負契約」とは、仕事の完成や成果物に対して報酬を支払う契約のことです。一方、委任契約では仕事の遂行に対して報酬が支払われる点が大きく異なります。
委任契約と雇用契約の違い
「雇用契約」とは、使用者が労働者へ、労働に対する賃金を支払う契約のことです。雇用関係にある使用者・労働者が締結する点で、事業者間で締結する委任契約とは異なります。
委任契約と派遣契約の違い
「派遣契約」とは、派遣会社・派遣社員・派遣先企業が締結する契約のことです。派遣先企業に指揮命令権がある働き方であり、業務を委託する委任契約と働き方が異なります。
委任契約書の記載事項
委任契約書には、以下の記載事項を盛り込むことが一般的です。ここでは、記載事項の例や各項目の概要をご紹介します。
委任契約の当事者
契約当事者である自社と受任者(弁護士など)の名称を記載します。当事者が委任契約を締結する旨を示しましょう。
契約締結日
委任契約を締結する日付を記載します。
委任業務の内容
委任業務の具体的な内容を記載します。トラブル防止のためにも、事前に双方の認識を擦り合わせた上で、業務内容を明確かつ抜け漏れなく盛り込みましょう。
契約期間
委任契約の契約期間を記載します。必要に応じて、自動更新の条件について盛り込む場合もあります。
報酬金額と支払方法
委任契約の報酬金額や支払方法を記載します。支払いのタイミングや、振込先の銀行口座情報などを盛り込む場合もあります。
契約解除に関する取り決め
解約に関する規定を記載します。その際は、契約解除となる条件を具体的に盛り込むようにしましょう。
損害賠償に関する取り決め
万が一の事態に備えて、事前に損害賠償について取り決めておきます。条件や金額の算出方法などを盛り込みましょう。
知的財産権の帰属
委任業務の範囲に成果物の作成が含まれる場合は、成果物の知的財産権の帰属について記載します。知的財産権の利用や、著作者人格権の行使に関して盛り込みます。
諸経費の負担
委任業務の遂行で発生する諸経費を委任者・受任者のどちらが負担するかを記載します。また、対象となる諸経費の範囲も盛り込むと良いでしょう。
秘密保持
委任業務の遂行で使用する機密情報の取り扱いについて記載します。情報漏えいを防止する観点から重要な項目です。
委任契約書の収入印紙の取り扱い
一般的な委任契約書には、収入印紙を貼付する必要はありません。ただし、内容によって課税文書と見なされる一部のケースでは、印紙の貼付が必要となる可能性があります。ここでは、収入印紙の取り扱いについて解説します。
委任契約書は原則として収入印紙が不要
原則として、委任契約書には収入印紙の貼付が不要です。一般的な内容の委任契約書であれば、印紙税額の一覧表における課税文書には該当しないと判断されるため、基本的に印紙税を納める必要はありません。また、電子契約で締結する場合も、収入印紙は不要となります。
【参考】「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」(国税庁)
【参考】「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」(国税庁)
印紙税の課税対象となるケース
委任契約書には基本的に収入印紙が不要ですが、契約書の内容によっては、課税文書と見なされる可能性があります。課税文書に該当するかは、書類の名称ではなく、記載内容に基づいて判断されます。例えば、継続的な取引に関する記載が含まれる場合、第7号文書「継続的取引の基本となる契約書」と見なされる可能性があります。個別のケースについての判断は、弁護士などの法律の専門家へご相談ください。
【参考】「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断」(国税庁)
【参考】「No.7104 継続的取引の基本となる契約書」(国税庁)
委任契約を締結する際の注意点・ポイント
委任契約の締結では、相手方とのトラブルを避けるために、以下の点に注意しておきましょう。最後に、委任契約を締結する際の注意点やポイントをお伝えします。
締結前に条件を細かく決定し、認識の齟齬を防ぐ
委任契約書を作成する際は、委任業務の具体的かつ詳細な条件を取り決めて、委任者・受任者の認識を統一しておくことが重要です。トラブル防止の観点から、テンプレートを使用して作成した場合でも、契約書は法律の専門家によるレビューを受けると良いでしょう。
委任者が望む結果が得られなくとも支払義務は生じる
委任契約では、法律行為の遂行そのものに報酬が発生します。そのため、法律行為の遂行による結果にかかわらず、仕事の遂行に対して報酬を支払う必要があります。依頼前にこうした仕組みを理解しておきましょう。
印紙税の取り扱いを確認しておく
契約書が課税文書に該当するケースでは、一般的に印紙税は書類の作成者が負担します。また、課税文書に該当する書類に収入印紙を貼付しないと、場合によっては過怠税(税務上の義務違反に対して課される税金)を徴収される可能性があるため注意しましょう。
電子契約なら収入印紙が不要になる
電子契約の締結では、書類に収入印紙を貼付する必要がありません。その際、契約業務に特化したサービスを活用すれば、手続きの時間と手間を大幅に効率化できます。印紙代のコスト削減や契約業務の効率化のために、専用の電子契約サービスの導入を検討すると良いでしょう。
まとめ
ここまで、委任契約書に関する基礎知識や、委任契約書の記載事項、契約締結の注意点などをお伝えしました。委任契約をはじめとした契約締結は、専用サービスで電子化することで、業務効率化やコスト削減が期待できます。
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