ライセンス契約とは?ロイヤリティの決め方と相場、契約の種類を解説
目次[非表示]
- 1.ライセンス契約の基礎知識
- 1.1.ライセンス契約とは?
- 1.2.ライセンス契約の目的
- 1.3.OEM契約とライセンス契約の違い
- 1.4.ライセンス契約のメリット・デメリット
- 2.ライセンス契約におけるロイヤリティの決め方と相場
- 2.1.ロイヤリティの決め方
- 2.2.ロイヤリティの相場
- 3.ライセンス契約の種類
- 4.ライセンス契約で定めておくべき事項
- 5.ライセンス契約は知的財産を守るために不可欠な契約
著作物や意匠など、さまざまな知的財産を利用する際に取り交わすのが「ライセンス契約」です。一般的に、ライセンス契約を結ぶ際は対価となる「ロイヤリティ」についても決めることになります。ロイヤリティがどの程度の金額になるのかイメージがつかないという方も多いのではないでしょうか。本記事では、ライセンス契約の基礎知識やロイヤリティの相場、主な契約の種類、契約書で定めておきたい事項などをご紹介します。
ライセンス契約の基礎知識
ライセンス契約とは、具体的にどのような契約を指すのでしょうか。ここでは、ライセンス契約の概要や目的、メリットや注意点などを解説します。
ライセンス契約とは?
ライセンス契約とは、知的財産の権利者(ライセンサー)が第三者(ライセンシー)に対し、知的財産権によって保護されているものの使用を許諾する契約のことです。契約締結後、ライセンシーは知的財産を活用して製品やサービスを提供できます。
ライセンス契約の目的
ライセンサーの目的
ライセンサーは、知的財産の使用や実施を許可することにより対価を得られます。対価は「ロイヤリティ(ライセンス料)」と呼ばれ、契約によって金額が異なります。
ライセンシーの目的
ライセンシーは、契約を結ぶことでライセンサーの著作物や商標、意匠、特許などを利用できます。自社にはない知的財産を活用することで、さらなる利益獲得を目指します。
OEM契約とライセンス契約の違い
OEMは「Original Equipment Manufacturing」の略称です。自社ブランドの製品を他社に委託し、製造してもらうための契約となります。OEM契約は製品の製造がメインであり、ライセンス契約は知的財産の使用・実施が軸となる点が異なります。
ライセンス契約のメリット・デメリット
ライセンサーのメリット・デメリット
ライセンサーはロイヤリティによる収益を得られるほか、ライセンシーによる商品・サービス展開で自社ブランドの評価がより高まる効果が期待できます。一方で、ライセンス利用のたびに確認が必要で手間が多い点や、ライセンシーとの調整ミスでブランドイメージが損なわれてしまうリスクなどが主なデメリットとなります。
ライセンシーのメリット・デメリット
ライセンス利用により、自社のビジネスをより効率よく進められるのが大きなメリットです。主なデメリットはロイヤリティの支払いが生じることです。支払った対価に見合わない売上となる事態を想定しておかなければいけません。
ライセンス契約におけるロイヤリティの決め方と相場
ご紹介した通り、ロイヤリティとはライセンスの利用時に支払われる料金のことです。ロイヤリティの決定方法や、基本的な相場について確かめてみましょう。
ロイヤリティの決め方
ロイヤリティの決定に際して、厳密に定められたルールはありません。一般的には、ライセンサーとライセンシーが話し合い、権利の種類や予想される収益、関連する商品・サービスのロイヤリティ相場など、多角的な視点から条件を考慮して金額を算出します。
ロイヤリティの相場
ロイヤリティの金額についても決まりはなく、一概にいくらと言い切ることはできません。例えば、一般的なロイヤリティ相場は売上の2~6%前後といわれていますが、知名度の高いブランドや専門性の高い領域などの場合は10%程度の対価が必要になることがあります。契約によっては売上金額に関係なく、「年間○○万円支払う」といった形式が採用されているケースも見られます。
ライセンス契約の種類
ライセンス契約には複数の種類があります。以下では、許諾方法別・対象となる権利別に、主なライセンス契約の種類をご紹介します。
【許諾方法別】ライセンス契約の主な種類
通常実施権設定契約
複数のライセンシーに対して、知的財産の使用・実施を許可できる契約です。ライセンサーを含め、複数人が重複して知的財産を利用しても問題ありません。
専用実施権設定契約
特定のライセンシーのみが、知的財産を独占的に利用できる契約です。この契約を結ぶと、ライセンサー自身も知的財産を使用・実施できなくなります。
サブライセンス契約
許諾を得たライセンシーが、第三者に対して権利を許諾できる契約です。ただし、通常はライセンサー側が不利にならないよう条件が設けられており、サブライセンスを認める際には許可が必要になるケースが多く見られます。
クロスライセンス契約
双方の権利を交換し、お互いの知的財産を利用できる契約です。両者ともにライセンサー・ライセンシーの立場となります。
【対象となる権利別】ライセンス契約の主な種類
著作権ライセンス契約
著作権の生じる著作物に対して実施するライセンス契約です。ソフトウェアの権利者が使用を許諾する「ソフトウェアライセンス契約」や、キャラクターの権利者が使用許諾する「キャラクターライセンス契約」などの種類があります。
特許ライセンス契約
特許権によって保護された発明や技術などを実施できる契約です。登録済の特許のほか、出願中の特許も契約対象になることがあります。
意匠ライセンス契約
意匠権によって保護されたデザインを利用できる契約です。物品・画像・建築物などのデザインが権利保護の対象となります。
商標ライセンス契約
商標権によって保護された登録商標を利用できる契約です。製品のロゴや名前、音声などの商標を利用できるようになります。
フランチャイズ契約
特定のブランド・企業の事業モデルやノウハウなどを利用し、ビジネスを展開できる契約です。ライセンシーはライセンサーによる経営指導を受けながら、著名な企業の看板を利用して安定した運営を行えます。
ライセンス契約で定めておくべき事項
契約の内容によって、ライセンス契約書に盛り込むべき事項は異なります。以下では、ライセンス契約に際して定めておきたい主な事項をご紹介します。
ライセンスの内容・範囲・期間
ライセンス許諾の対象範囲を明確化すると同時に、適切なライセンス許諾の期間を決めておきます。また、独占的な専用実施権設定契約となるか、非独占的な通常実施権設定契約になるかも明示しましょう。ライセンスを許諾する地域の範囲を定めておくこともポイントです。
ロイヤリティに関する事項
ロイヤリティは高額になるケースも珍しくありません。詳細な金額、ロイヤリティの定め方、不返還条項など、相手方としっかり話し合って決めましょう。
ライセンシーの遵守事項
知的財産の利用に際し、ライセンシーが守らなければならない事項を定めます。例えば、「利用時には権利者の名称を表示する」「デザインを許可なく変更することを禁ずる」といった内容を盛り込みます。
実施(使用)状況の報告
ライセンシーが契約内容を守っていることを確認するため、定期報告を義務づけることがあります。使用実態を把握し、透明性を確保するために必要です。
帳簿の保管・閲覧
売上に応じたロイヤリティを支払う場合などは、帳簿の保管・閲覧を契約内容に記載することがあります。必要に応じてすぐに情報を閲覧できる仕組みを整えましょう。
秘密保持
契約時に知り得た情報を、第三者に公開するのを禁止する項目です。お互いの信頼関係維持のためにも必須となります。
第三者との紛争
ライセンスに関することで第三者とトラブルになった際の対応策を定めておきます。責任分担や解決手段を明確にしておくことが大切です。
損害賠償
契約違反やトラブルが起こった際、損害が発生した場合の補償内容について規定します。予期せぬ事態に備え、損害賠償の範囲を決めておきましょう。
契約解除
契約解除を行える条件を定めておきます。例えば、相手方が何らかの契約違反を起こした場合、一方的にライセンス契約を終了できるような規定を設けられます。
製品における特許の表示義務・方法
製品にライセンスを利用していることがわかるように、表示義務を定めることも可能です。表示する方法や文言などについても細かく決めることができます。
改良技術・改良発明の取り扱い
特許ライセンス契約において、ライセンシーが改良発明を行った場合の取り決めをしておきます。権利の帰属について細かく話し合い、両者の意思をすり合わせておくことが重要です。
譲渡の禁止
権利の譲渡を禁止する項目です。ライセンシーから第三者への権利譲渡を防ぐために盛り込んでおきます。
反社会的勢力
契約当事者が反社会的勢力ではないことを明記します。反社会的勢力との関係が発覚した場合、契約解除できるように定めます。
合意管轄・準拠法
紛争解決時に利用する裁判所を記載しておきます。法的トラブルに迅速に対応するためにも必要です。海外企業との取引の場合、準拠法も明確にしておきます。
ライセンス契約は知的財産を守るために不可欠な契約
ライセンス契約は、発明やデザイン、創作物といった知的財産を守るために必要な契約です。適切な運用を実現できれば、ライセンサー・ライセンシーともに大きな利益を得られる可能性もあります。ただし、トラブルに備えて契約書の内容を慎重に決めることが重要です。
また、ご紹介したようにライセンス契約では定めておくべき事項が多く、契約書を取り交わすまでに綿密な協議が求められます。契約書の手直しを複数回行うこともあるでしょう。契約締結までのリードタイムを短縮し、効率化を目指すなら、電子契約サービスの利用がおすすめです。
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