サービスレベルアグリーメントとは?メリットや種類、記載内容は?
目次[非表示]
- 1.サービスレベルアグリーメント(SLA)の概要
- 2.サービスレベルアグリーメント(SLA)のメリット
- 2.1.サービス内容や提供範囲を明確化できる
- 2.2.サービス品質のレベルを定量的に測定できる
- 2.3.サービスレベルを維持するための運営ルールを定められる
- 2.4.カスタマーエクスペリエンスの向上につながる
- 2.5.従業員エクスペリエンスの向上につながる
- 2.6.生産性やパフォーマンスの向上に役立つ
- 3.サービスレベルアグリーメントの種類
- 4.サービスレベルアグリーメントに記載すべき主な内容
- 4.1.契約の概要
- 4.2.サービスの説明
- 4.3.サービスレベル目標(SLO)
- 4.4.セキュリティ
- 4.5.連絡先
- 4.6.未達成の目標に対する補償
- 4.7.キャンセル条件
- 5.サービスレベルアグリーメントにより測定する主な指標
- 6.まとめ

IT・通信業界のビジネスでは、利用者と「サービスレベルアグリーメント(SLA)」を締結するケースが多くなっています。提供するサービスの内容や提供範囲をSLAで明文化して、利用者と合意することによって、両者の信頼関係を構築することが可能です。
この記事では、そんなSLAの基礎知識を解説します。SLAを締結するメリットや記載内容についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
サービスレベルアグリーメント(SLA)の概要
初めに、「サービスレベルアグリーメント(SLA)」について基本から解説します。概要や似ている指標との違いを確認してみましょう。
サービスレベルアグリーメントとは?
「サービスレベルアグリーメント(Service Level Agreement)」とは、サービス提供会社と利用者の間で、提供されるサービスの品質や水準を明確にして合意する契約です。主に通信サービスやクラウドサービスをはじめとした、IT・通信業界のビジネスで用いられています。
SLAの規定には「サービスの可用性」「応答時間」「エラー率」などの指標が含まれます。サービス提供会社はSLAで提示した指標の基準を満たす必要があります。もし基準を下回った場合は、SLAの定めに従い、料金の減額や返金等の対応を行うことがあります。ただし、減額や返金等の詳細は契約内容によります。
サービスレベル目標(SLO)との違い
「サービスレベル目標(SLO)」とは、サービスに期待されるパフォーマンス目標値のことです。基準を満たすことが前提となっているSLAとは異なり、SLOは一般的にサービス提供会社側の目標として扱われるケースが多くなっています。
重要業績評価指標(KPI)との違い
「重要業績評価指標(KPI)」とは、組織の目標達成の進捗状況を把握するために、重要な業績の評価を管理する指標です。利用者との間で合意するSLOとは異なり、KPIは組織内の経営戦略の場面で用いられます。
サービスレベルアグリーメント(SLA)のメリット
サービスレベルアグリーメント(SLA)を締結すると、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。ここでは、サービス提供者側の視点でメリットを解説します。
サービス内容や提供範囲を明確化できる
SLAの締結によって、サービス内容やサービスの提供範囲が明確になり、利用者側と認識を一致させることが可能です。サービス提供後のトラブル防止につながります。
サービス品質のレベルを定量的に測定できる
SLAではサービス品質を定量的に測定する指標が用いられます。自社のサービス品質を数値化し、客観的なデータに基づいて詳細にモニタリングすることが可能です。
サービスレベルを維持するための運営ルールを定められる
サービス提供会社は、SLAで設定したサービスレベルを維持するために、運営ルールを整備する必要があります。これにより業務改善を推進することが可能です。
カスタマーエクスペリエンスの向上につながる
SLAは利用者が期待するサービスを受けるための保証としての役割を果たします。利用者のニーズを満たすサービスの提供により、カスタマーエクスペリエンスの向上に貢献します。
従業員エクスペリエンスの向上につながる
従業員はSLAを通じて業務で求められるパフォーマンスを明確に把握できるようになります。評価の透明性が高まることで納得感につながり、従業員エクスペリエンスの向上が期待できるでしょう。
生産性やパフォーマンスの向上に役立つ
SLAの指標に基づいた運用により、ユーザーニーズに即した効率的なサービス提供を実現できるようになります。業務プロセスが最適化され、組織の生産性やパフォーマンスの向上につながります。
サービスレベルアグリーメントの種類
サービスレベルアグリーメント(SLA)には、主に「顧客SLA」「内部SLA」「マルチレベルSLA」の種類があります。ここではそれぞれの特徴をお伝えします。
顧客SLA
顧客SLAとは、サービス提供会社とエンドユーザーが締結するSLAのことです。提供されるサービスの内容、サービス提供会社の責任範囲、契約解除の条件などが含まれます。
内部SLA
内部SLAとは、企業内の部門やチームが、同じ組織内でサービスを提供する際に合意するSLAのことです。異なる部門やチームが連携する上での、目標や期待値を取り決めます。
マルチレベルSLA
マルチレベルSLAとは、利用者や提供するサービス内容に応じて、複数の階層に分けて設定したSLAのことです。階層分けすることで、利用者の特性や優先度に応じて柔軟にサービスレベルを調整できます。
サービスレベルアグリーメントに記載すべき主な内容
サービスレベルアグリーメント(SLA)の文書には、主に以下の項目が盛り込まれます。契約書類を作成する際は、記載内容を確認しておきましょう。
契約の概要
サービスレベルアグリーメント(SLA)の契約の概要を記載します。提供するサービスの概要や、SLAの目的などを盛り込みましょう。
サービスの説明
提供するサービスに関する詳細な説明を記載します。例えば、サービスの利用時間や利用環境などの情報を盛り込みましょう。
サービスレベル目標(SLO)
場合によっては、サービスに期待されるパフォーマンス目標値を記載することがあります。SLOを公表することで、利用者に信頼感を与えやすくなります。
セキュリティ
サービスに対して実施されるセキュリティ対策について記載します。通信の暗号化・不正侵入の監視・バックアップ体制など、具体的なセキュリティ対策方法を盛り込みましょう。
連絡先
サービス提供会社の連絡先を記載します。利用者が速やかに問い合わせできるよう、責任範囲に応じて適切な連絡先を記載しましょう。
未達成の目標に対する補償
SLAの目標を達成できなかった場合の、サービス提供会社の責任と対応(例:減額・返金、損害賠償等)について記載します。
キャンセル条件
サービス提供会社・利用者の一方または双方のキャンセル条件を記載します。SLAを破棄したり、変更したりする場合の詳しい条件を盛り込みましょう。
サービスレベルアグリーメントにより測定する主な指標
サービスレベルアグリーメント(SLA)では、主に以下の指標を測定します。最後に、それぞれの指標の概要をご紹介します。
サービスの可用性
サービスが停止することなく稼働できる能力を示す指標です。可用性が高くなるほど利用者が安定的にサービスを利用できます。
応答時間
システムに指示を行ってから応答するまでの時間を示す指標です。応答時間が短くなるほど利用者の待ち時間が少なくなります。
エラー率
システムにエラーが発生する割合を示す指標です。エラー率が低いということは障害や不具合の発生件数が少ないことを意味しており、利用者がスムーズにサービスを利用できているといえます。
セキュリティ
セキュリティリスクに備えた対策や、セキュリティインシデント発生時の対応方法などを示す指標です。利用者が安全にサービスを利用するための判断基準となります。
一次解決率
問い合わせした利用者の問題を初回の対応のみで解決できた割合を示す指標です。一次解決率が高くなるほど、利用者は問題への的確な対応が期待できます。
放棄率
問い合わせした利用者が回答を得る前に離脱した割合を示す指標です。放棄率が低くなるほど、カスタマーサポート体制が適切に機能している状態となります。
生産性
コールセンターのSLAでは、生産性を示す指標が用いられる場合があります。例として「CPH(=1時間あたりに対応したコール数)」「ATT(=平均通話時間)」「AHT(=平均処理時間)」などが挙げられます。
コスト
コールセンターのSLAでは、コストを示す指標として「CPC(=平均コール価格)」が用いられる場合があります。CPCが低ければ、コールセンターのコスト効率は高い状態といえます。
ビジネス成果
SLAには、サービス利用企業のビジネス成果に関する指標が含まれる場合があります。ただし、その際はサービス提供会社が利用企業の成果へ直接的に貢献できる範囲で、適切な指標を設定する必要があります。
まとめ
ここまで、サービスレベルアグリーメント(SLA)について解説しました。IT・通信業界のビジネスでは、SLAの締結が重要な役割を担っています。今回ご紹介したポイントに注意して、適切なSLAを作成しましょう。
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