不動産売買契約書とは?主な記載事項と注意点、よくある質問を解説

目次[非表示]

  1. 1.不動産売買契約書の基礎知識
    1. 1.1.不動産売買契約書とは?
    2. 1.2.不動産売買契約書が必要な理由
    3. 1.3.不動産売買契約書の作成者
  2. 2.不動産売買契約書の主な記載事項
  3. 3.不動産売買契約書の作成・締結時の注意点
    1. 3.1.売主と買主が互いに内容を理解しているか確認する
    2. 3.2.契約内容が詳細に記載されているかチェックする
    3. 3.3.記載内容に無理がないか確認する
    4. 3.4.記載内容に誤りがないかチェックする
  4. 4.不動産売買契約書に関するよくある質問
    1. 4.1.売買契約書は自分で作れる?
    2. 4.2.売買契約書の作成は専門家に作成を依頼したほうが良い?
    3. 4.3.不動産売買契約書がもらえなかった場合どうすれば良い?
  5. 5.まとめ

不動産売買契約書とは?主な記載事項と注意点、よくある質問を解説

建物や土地を売買するときは、売主と買主が「不動産売買契約書」を締結します。不動産の売買は重要な取引であるため、トラブル防止の観点からも契約書を作成し、両者の合意内容を明確に示すことが大切です。自社の取引に適した不動産売買契約書を作成しましょう。

この記事では、不動産売買契約書に関する基礎知識や、主な記載事項、注意点などを解説します。よくある質問にもお答えしているため、ぜひ参考にしてみてください。

不動産売買契約書の基礎知識

土地や建物などの不動産を売買する取引では、売主・買主が「不動産売買契約書」を締結します。初めに、不動産売買契約書に関する基礎知識を解説します。

不動産売買契約書とは?

不動産売買契約書とは、売主・買主が不動産の売買をする際に合意した内容を証明する契約書です。具体的には、「売買の当事者」「売買する不動産」「売買代金」などの詳細な情報を明文化します。契約書の記載事項について、詳しくは後の見出しでご紹介します。

不動産売買契約書が必要な理由

不動産売買契約に限らず、契約は口頭の合意でも成立します。ただし、不動産売却・不動産購入のような高額な取引では、契約後のトラブル防止の観点から書類を作成し、両者の合意内容を証明することが一般的です。

不動産売買契約書の作成者

個人間で売買するケース

個人間売買の場合、売主と買主が相談して不動産売買契約書を作成します。ただし、契約書作成では不動産や法律の専門知識が必須となるため、基本的には弁護士や司法書士といった専門家に作成を依頼するのが望ましいでしょう。

不動産会社が仲介するケース

不動産会社の仲介で売買する場合は、一般的に不動産会社が不動産売買契約書を作成します。なお、不動産会社が仲介する取引では「宅地建物取引業法」に基づいて、宅地建物取引士による「重要事項説明書」の交付と説明が必須です。そのため、契約書と併せて必要書類である重要事項説明書が発行されます。

「宅地建物取引業法」の第35条において、重要事項説明について以下のように定められています。

(重要事項の説明等)
第三十五条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

【引用】「宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)」(e-Gov法令検索)

不動産売買契約書の主な記載事項

不動産売買契約書には、主に以下の事項を記載します。ここでは、各項目の特徴についてそれぞれ解説します。

売買の当事者
売主・買主の氏名など当事者の情報を記載します。

売買する不動産
売買する対象である物件・土地の所在地などの詳細な情報を明記します。

売買代金
対象の不動産を売買する際の契約金額や、具体的な支払方法などを記載します。

手付金の有無と金額、手付解除の期限
売買代金の一部を手付金として支払う場合に、手付金の金額のほか、手付解除による契約解除の期日などを記載します。

支払期日
売買代金の支払期日や支払いスケジュールなどを記載します。

融資特約(ローン特約)
買主側が住宅ローンを利用して不動産を購入する際、融資審査に通過できなかった場合に備えて契約解除の条件を明記します。

所有権移転の時期、引き渡しの時期
不動産の所有権を売主から買主へ移転させる時期や、引き渡しの時期について記載します。一般的には、所有権移転と引き渡しは同日に行われます。

付帯設備等の引き継ぎ
戸建てやマンションなどに付帯する設備の引き継ぎに関して、引き継ぐ設備の一覧や、故障・不具合が発生した際の責任の所在について盛り込みます。

抵当権等の抹消
売買する不動産に抵当権が設定されている場合は、売主が抵当権を抹消した上で不動産を引き渡す旨を明記します。

税金の清算
取引した年度の固定資産税を売主・買主がそれぞれどのように負担するかを記載します。一般的には、引き渡しのタイミングに応じて日割り精算が行われるケースが多いです。

契約解除と違約金
万が一、当事者による契約違反が発生した場合に契約解除となる条件や、発生する違約金について記載します。

契約不適合責任
「民法」で定められた契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)について記載し、売主が負担する責任の内容を明らかにします。

なお、「民法」の第562条において、契約不適合責任は以下のように定められています。

(買主の追完請求権)
第五百六十二条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

【引用】「民法(明治二十九年法律第八十九号)」(e-Gov法令検索)

特約事項
その他、売主と買主の間で個別に合意した事項があれば盛り込みます。ただし、公序良俗に反する内容や、いずれか一方に対して著しく不利となる内容は無効となる可能性があります。

不動産売買契約書の作成・締結時の注意点

ここでは、不動産売買契約書に関して注意すべきポイントをお伝えします。契約書を作成・締結する際は、以下の注意点を押さえておきましょう。

売主と買主が互いに内容を理解しているか確認する

契約内容に関して疑問があるときは、締結前に相手方や不動産会社へ問い合わせを行い、不明点をなくしておきましょう。売主側・買主側がお互いに契約内容を十分に理解し、納得した上で契約を締結する必要があります。

契約内容が詳細に記載されているかチェックする

一般的に不動産の取引は高額となることから、契約内容や条件は具体的に取り決めるとともに、合意した事項をもれなく契約書に明記しましょう。特に、「売買代金」「手付金の有無と金額」「手付解除の期限」「支払期日」などお金に関わる条項は重要となります。

記載内容に無理がないか確認する

不動産売買契約書に記載する「支払期日」や「引き渡しの時期」などの項目に関して、実務上で不可能なスケジュールとなっていないかを十分に確認しておきましょう。売主・買主の双方にとって無理がない日程を設定することが大切です。

記載内容に誤りがないかチェックする

契約書の記載内容に誤りが含まれていると、契約違反をはじめとしたトラブルに発展するリスクがあります。特に個人間売買の場合は、法律に則って適切な契約書を作成するために、必要に応じて弁護士など法律の専門家へ相談すると安心です。

不動産売買契約書に関するよくある質問

最後に、不動産売買契約書に関するよくある質問と、その回答をご紹介します。

売買契約書は自分で作れる?

不動産売買契約書は自分で作ることも可能ですが、契約に関するリスクには十分に注意が必要です。同様に、オンラインで配布される契約書のテンプレートを使用する場合も注意しておきましょう。

売買契約書の作成は専門家に作成を依頼したほうが良い?

不動産売買契約書は契約内容を証明する重要な書類であり、かつ作成には不動産や法律に関する専門知識を求められることから、弁護士など法律の専門家に依頼するのが望ましいといえます。

不動産売買契約書がもらえなかった場合どうすれば良い?

不動産売買契約書がもらえなかった場合は、速やかに相手方または不動産会社に依頼して発行してもらいましょう。可能であれば原本は2通作成し、売主・買主の双方がそれぞれ保管するのが望ましいといえます。

まとめ

ここまで、不動産売買契約書に関する基礎知識、主な記載事項、注意点などをお伝えしました。不動産売買契約書は、電子契約サービスを活用すれば電子的に締結することが可能です。近年のビジネスシーンでは、電子契約の導入による効率化やコスト削減を目指す企業が多くなっています。電子契約書には収入印紙の貼付が不要なため、従来よりも印紙税の負担を抑えることが可能です。

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