土地売買契約書とは?記載項目と締結時に確認・注意すべきポイント
目次[非表示]
- 1.土地売買契約書とは
- 2.土地売買契約書の主な記載項目
- 2.1.売買物件の情報
- 2.2.売買代金や手付金の金額及び支払日
- 2.3.所有権の移転と引き渡し条件
- 2.4.土地の実測及び土地代金の精算
- 2.5.契約不適合責任
- 2.6.危険負担
- 2.7.費用の負担
- 2.8.税金(公租公課)の分担
- 2.9.契約違反による解除
- 2.10.ローンなどの特約
- 2.11.反社会的勢力の排除
- 2.12.合意管轄
- 3.土地売買契約書で特に確認すべき事項
- 4.土地売買契約書を締結する際の注意点
- 5.まとめ
土地や建物などの不動産売買は、高額な取引になることが一般的です。事前の取り決めが曖昧なまま契約を結ぶと、トラブルの原因になることもあります。そのため、土地の売買を行う際は、契約内容を明確に示した土地売買契約書を作成することになります。契約書の作成にあたって、どのようなポイントに気をつけたら良いのでしょうか。本記事では、土地売買契約書の基本や主な記載項目、契約時のチェックポイントなどをご紹介します。
土地売買契約書とは
土地売買契約書とは、土地の売買を目的とする取引において、売主・買主の間で交わす契約書のことです。売買代金のほか、代金支払いの方法や支払い時期など、契約に必要な事項を明確に記載します。主に、不動産仲介業者が作成する場合と、個人が作成する場合の2パターンがあります。
土地売買契約書の主な記載項目
土地売買契約書には、以下のような内容を記載します。売主・買主で事前にしっかりと協議し、必要な条項を盛り込みましょう。
売買物件の情報
売買される土地の情報を記載します。所在・地番・地目・面積などを表示します。
売買代金や手付金の金額及び支払日
土地の売買代金や手付金などの金額を明示します。それぞれの支払日や振込先口座の情報なども記載します。
所有権の移転と引き渡し条件
土地の所有権を移転する時期や期日、引渡し条件などを記します。加えて、登記手続きに関することも記載します。
土地の実測及び土地代金の精算
登記簿上の土地の面積と実際に測量した際の数値が異なっている場合があります。このような場合、どのように売買代金を精算するかを決めて記載します。
契約不適合責任
実際の土地の状況が契約内容と異なっていた場合、買主は売主に対して契約不適合責任を追及できます。追及できる期間や請求可能な内容を明示しておきます。
危険負担
自然災害などにより土地が滅失し、引き渡しが不可能になった場合の取り決めを記載します。契約解除や手付金の返還などが行われることがあります。
費用の負担
契約に伴って生じる費用は、誰が負担するのかを決めて記載します。主な費用は印紙代や登録免許税、登記申請費用などです。
税金(公租公課)の分担
固定資産税のように、土地の所有で生じる税金の負担について取り決めて記載します。一般的に、引渡し前日までは売主、引渡し当日からは買主負担となります。
契約違反による解除
契約違反が発生した場合、契約を解除できる条件を定めて記載します。状況に応じた違約金の取り決めも明示しておきます。
ローンなどの特約
特別な事項についての項目を設けておきます。不動産売買においては、住宅ローン審査に通らなかった場合の売買契約解除について記載されるケースが多く見られます。
反社会的勢力の排除
契約書を作成する際は、反社会的勢力の排除についての条項も盛り込みます。売主・買主の双方が反社会的勢力ではないことを保証する目的があります。
合意管轄
取引上でトラブルがあった際、どこの裁判所で争うかを記しておきます。両者の合意のもとで決定した管轄を記載します。
土地売買契約書で特に確認すべき事項
土地売買契約書の内容はいずれも重要なものばかりですが、なかでも以下の項目は丁寧に確認しておくことがおすすめです。主な項目や、確認したほうが良い理由を解説します。
売買代金の算出方法
契約書を作成する際は、土地の価格の算出方法を決めた上で売買代金を定める必要があります。契約書にも算出方法が記載されることがあるため、問題がないか確認しましょう。
支払条件
支払いに関連する条件も、しっかりと確認しておきましょう。支払期日は詳細な年月日をチェックします。支払方法が銀行振込の場合、指定された金融機関や支店名、口座番号なども確認しましょう。加えて、振込手数料は誰が負担するかも決めておくことが大切です。
所有権移転の時期
土地の所有権移転のタイミングをチェックします。基本的に、買主が売買代金をすべて支払い終えたのと同日に所有権移転登記が実施されます。引渡しが遅くなる場合の説明も記載されていると安心です。
印紙の負担
契約する金額によっては、収入印紙の貼付による印紙税の納付が求められます。印紙税が必要となる契約金額は1万円以上です。土地売買契約書の場合、売買代金が1万円以上の契約書には、金額に応じた印紙を貼ります。一般的に、印紙代は買主・売主が半額ずつ負担します。
ただ、2014年4月1日~2027年3月31日までの期間は軽減措置が設けられており、10万円を超える不動産売買契約書の印紙税負担は軽減されます。事前に国税庁のホームページを確認しておきましょう。
また、取引金額が上がるほど印紙税額は上がる点に留意が必要です。例えば、売買金額が「1千万円を超え5千万円以下」となる場合、印紙税額は2万円(軽減税率適用で1万円)です。「5千万円を超え1億円以下」の場合、印紙税額は6万円(軽減税率適用で3万円)となります。
なお、電子契約の場合は印紙税が発生しません。印紙税の課税対象となるのは紙の契約書のみです。特に、土地売買契約書を作成する機会の多い不動産会社などは、電子契約を導入することで費用負担を軽減できるでしょう。
土地売買契約書を締結する際の注意点
土地売買契約書を交わす際は、以下のポイントに気をつけましょう。ここでは、買主・売主それぞれの注意点を解説します。
買主側の注意点
物件状況の告知事項を確認する
不動産売却の際、売主は「告知書(物件状況等報告書)」を作成して買主に渡します。買主側は、物件状況の告知事項について細かい部分まで目を通しておくことが重要です。告知書に記載のある事項に関しては売主の説明責任が果たされているとみなされ、トラブルが生じた際も契約不適合責任を追及できないケースがあります。
手付解除や融資特約解除の期限を確認する
売買契約書に記された手付解除や融資特約解除の期限を過ぎると、該当する事由での契約解除はできなくなります。その場合、違約金や損害賠償などが発生することもあるため、期限をしっかりと確かめておきましょう。
売主側の注意点
必要書類を揃えておく
売主は売買契約書のほか、必要書類を揃えて契約に臨みましょう。「固定資産税評価証明書」「印鑑登録証明書」などは、市区町村役場の窓口にて取得できます。その他、抵当権抹消のために必要とされる「登記済証または登記識別情報通知」などは、抵当権者である金融機関等から交付を受けましょう。
抵当権の抹消などを行う
土地を売却した際は、抵当権抹消手続きなどを実施します。買主へ所有権が移転するまでに済ませましょう。法務局へ登記申請書などを提出してから審査を待つ必要があるため、余裕を持ったスケジュールで行うことがおすすめです。
まとめ
土地売買契約書には、売主・買主のリスクを回避するために必要な内容を盛り込むことが重要です。契約を結ぶ前には書面の内容をよく確認して、納得のいく取引になることを目指しましょう。
また、土地売買契約書を作成する際は、諸費用についても確かめておくことが求められます。思わぬ部分で費用がかかり、想定よりも支払いが多くなるケースもあるため注意が必要です。ただ、印紙代のように工夫次第で節約できる料金もあります。電子契約を利用することで、売主・買主双方の負担を軽減できるでしょう。
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