電子契約と紙の契約書は何が違う?原本の考え方や導入メリットを紹介


目次[非表示]

  1. 1.電子契約とは
    1. 1.1.①立会人型
    2. 1.2.②当事者型
  2. 2.電子契約と紙の契約書の違い
  3. 3.電子契約における原本とは
  4. 4.電子契約を導入するメリット
    1. 4.1.①業務効率化
    2. 4.2.②コスト削減
    3. 4.3.③コンプライアンス強化
    4. 4.4.④テレワーク対応
    5. 4.5.⑤契約業務の見える化
  5. 5.まとめ


電子契約と紙の契約書は何が違う?原本の考え方や導入メリットを紹介


幅広い企業・業種で導入されている電子契約。

電子契約は非対面で行える契約方法であり、これまでの書面契約に比べてさまざまな違いがあります。

これから電子契約を導入しようと考えているのであれば、電子契約と書面契約の違いを把握しておくことが重要です。

この記事では、電子契約の概要や書面契約との違い、電子契約を導入するメリットについて詳しく解説します。


電子契約とは

電子契約とは、インターネットをはじめとした情報通信技術を利用して電子データで作成・締結される契約です。

非対面で契約を取り交わせることが特徴であり、これまでの書面契約のように契約書の印刷や郵送などの手間とコストがかからないメリットがあります。

電子契約では、電子署名を用いて契約締結することが一般的ですが、電子署名には、「立会人型」と「当事者型」の2種類があります。


①立会人型

立会人型とは、契約の当事者ではない第三者が当事者の指示・意思に基づいて電子署名を施して契約を締結させる方法です。

電子契約サービスにて、登録したメールアドレスに届く認証メールを受信することで本人確認を行います。

認証メールを受信できるメールアドレスさえあれば利用できるため、契約当事者の負担を減らせることがメリットです。

立会人型は利便性に優れるため、電子契約を導入している半数以上の企業が利用しているといわれています。


②当事者型

当事者型とは、電子証明書を利用した本人確認を用いる契約方法であり、信頼性が高いことが特徴です。

電子証明書は、第三者機関である認証局より厳格な本人確認が行われたうえで発行されるため、なりすましや無断契約の防止に役立ちます。

立会人型に比べて契約当事者の負担や手間は増えますが、法的効力が期待できることがメリットです。



電子契約と紙の契約書の違い

電子契約と紙の契約書は本質・目的は同じですが、細かな違いがあります。電子契約と紙の契約書の違いは以下のとおりです。



電子契約

書面契約

形式・媒体

電子データ

押印・署名方法

電子署名

印鑑

本人性の担保

電子証明書

印鑑証明書

完全性の担保

タイムスタンプ

契印・割印

送付方法

インターネット通信

郵送・持参

保管方法

サーバー

書棚・書庫

収入印紙

不要

必要


このように、電子契約と書面契約にはさまざまな違いがあります。

最も大きな違いは形式・媒体であり、書面契約は紙を使用するのに対して電子契約は電子データを使用します。

電子データには直接押印したり署名したりすることはできないため、電子署名を施して契約を締結させるのが一般的です。

電子証明書が付与された電子署名であれば、書面契約で用いられる印鑑証明書と遜色ない法的効力を持たせられるため、電子契約に伴う法的リスクを回避できます。

書面契約では収入印紙が必要でしたが、電子契約では必要ありません。

取引量が多い企業であれば、収入印紙が不要になることでコスト削減につながることも想定されるため、電子契約を導入するメリットがあります。

また、電子契約であれば契約書を送付したり持参したりなどの手間もかからないため、契約業務の効率化を図ることも可能です。



電子契約における原本とは

電子契約における原本とは、電子契約システムで作成・保存され、電子署名やタイムスタンプが施されたデータのことをいいます。

電子署名やタイムスタンプが施されることで本人性や完全性が担保され、改ざんの有無が容易に確認できるため、電子契約は書面契約のように原本・謄本・正本・写しという区別がありません。

データをコピーした場合でも内容に変更がなければ原本として扱われるため、相手方に電子データを送付したりダウンロードしたりすることが可能です。



電子契約を導入するメリット

電子契約を導入することで、企業にさまざまなメリットをもたらす可能性があります。ここでは、電子契約を導入するメリットを5つ紹介します。


①業務効率化

書面契約では契約書の印刷や郵送など、契約が締結するまでの過程でさまざまな手間が発生します。

しかし、電子契約であれば電子データで契約書を作成でき、契約の締結もインターネット上で完結することが可能です。

契約書の製本作業や印紙を貼りつける作業、相手方に契約書を郵送するための準備などの手間が省けるため、業務の効率化が図れます。


②コスト削減

書面契約では契約の印刷に伴う紙代やインク代、収入印紙代などさまざまなコストがかかりますが、電子契約であればそのようなコストはかかりません。

電子契約は電子データで作成されるため紙やインクは不要であり、収入印紙を貼りつける必要もないため、書面契約に比べてかかるコストは少ないです。

また、契約締結後に契約書を保管するためのスペースを確保する必要がないため、全体的なコストの削減が見込めます。


③コンプライアンス強化

書面契約は契約書が物理的に存在することや直接押印・署名が行われることから、本人性や完全性を担保しやすいです。

しかし、だからといって偽造や改ざんなどのリスクがないわけではありません。

電子契約システムを活用すれば、契約書の作成から締結までの過程ごとに細かくアクセス制限や承認権限の設定ができるため、偽造や改ざん、なりすましなどのリスクを低減できます。

電子契約システムでは電子署名やタイムスタンプの付与により、誰がいつ署名したかの記録や、何らかの手が加えられると記録として残るため、コンプライアンス強化を図ることが可能です。



④テレワーク対応

これまでの書面契約では、代表者や担当者による直接の押印・署名が必要であり、場合によってはそれだけのためにオフィスに足を運ぶというケースも見受けられます。

電子契約はインターネットを通して電子署名によって締結されるため、担当者が会社や取引先に足を運んで押印・署名をする必要がありません。

インターネット環境さえあれば契約を締結する時間や場所が問われないため、テレワークでの対応がしやすくなります。


⑤契約業務の見える化

書面契約では、契約書を郵送した後は相手方が確認しているのか、返送したのかなどの途中過程が確認できません。

しかし、電子契約システムを活用すれば、契約書の作成から締結までのすべての過程を可視化することが可能です。

どの担当者で止まっているのか、誰の承認待ちなのかなど、現在の状況が一目で確認できるため、認識の相違や漏れなどのトラブルを回避できます。



まとめ

この記事では、電子契約について以下の内容で解説しました。


  • 電子契約とは
  • 電子契約と紙の契約書の違い
  • 電子契約における原本とは
  • 電子契約を導入するメリット


電子契約と書面契約は、契約を締結するという意味では同じです。しかし、作成する形式や締結方法、保管方法など細かな違いがあります。

これまでの書面契約に比べて電子契約には利便性に優れる点が多く、取引量が多い企業や契約業務が多い企業などで役立ちます。

電子契約は業務の効率化はもちろん、コスト削減やコンプライアンスの強化など、さまざまなメリットがあるため導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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