電子契約における代理署名の有効性は?メリットとリスクを回避する方法
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目次[非表示]
- 1.電子契約の代理署名は有効?
- 1.1.電子契約の代理署名の法的根拠
- 1.2.電子契約の代理署名が有効になるケース
- 2.電子契約で代理署名が行われる理由
- 3.代表者以外の社員が押印・署名する方法
- 4.電子契約で代理署名を行うメリット
- 4.1.業務の効率化につながる
- 4.2.メールで履歴を確認できる
- 4.3.ログイン履歴で契約者を特定できる
- 5.代表者以外の社員が代理で押印・署名するリスク
- 5.1.無断で契約が締結されるリスク
- 5.2.なりすましのリスク
- 5.3.不正アクセスのリスク
- 6.代表者以外の社員が代理で押印・署名するリスクを回避する方法
- 6.1.社内規定を整備する
- 6.2.契約の承認履歴を残す
- 6.3.電子契約システムを利用する
- 7.相手が代理署名を行う権限を持っているかを確認する方法
- 8.まとめ

電子契約は非対面かつペーパーレスで契約締結できることから、従来の書面契約と比べて利便性に優れ、業務効率化につながるというメリットがあります。ただ、実務上の理由から代理署名を必要とする企業では「電子契約でも代理署名の有効性はある?」と心配している担当者の方も多いでしょう。
そこでこの記事では、電子契約における代理署名の有効性や、電子契約で代理署名を行うメリット、リスクを回避する方法などを解説します。
電子契約の代理署名は有効?
そもそも電子契約の代理署名は有効なのでしょうか。契約業務の電子化へ向けて、まずは法的効力について確認してみましょう。
電子契約の代理署名の法的根拠
代理署名とは、契約者本人の意思に基づいて、代理権を与えられた代理人が本人の代わりに署名を行うことです。代表者以外の従業員(=代理人)による代表者名義の署名(=代理署名)は、実務上多くの企業で行われています。
なお、「民事訴訟法」の第228条第4項では、文書の成立について以下のように定められています。
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
本人または代理人の署名か押印があるときには、契約が真正に成立したものとみなされます。これは、以下のような「二段の推定」という考え方によるものです。
一段目の推定:契約者本人の署名または押印があれば、本人の意思に基づくものと推定する
二段目の推定:契約者本人の意思に基づく署名または押印があれば、その契約は真正に成立したものと推定する
【引用】「民事訴訟法(平成八年法律第百九号)」(e-Gov法令検索)
電子契約の代理署名が有効になるケース
電子契約のケースを含め、代理署名が有効と認められるためには、一般的に以下のような要件を満たす必要があります。
本人が代理人へ代理権を与えて、委任状を作成していること
代理人が、代理権の範囲の契約内容に対して署名を行っていること
署名欄に代理署名である事実を明記していること
代理人が本人の意思に沿って署名を行っていること
電子契約の代理署名が有効と認められるのか、具体的なケースについて判断が必要なときは、弁護士など法律の専門家へ相談することをおすすめします。
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電子契約で代理署名が行われる理由
基本的には電子契約においても、代表者が自ら押印・署名して契約を締結することが望ましいとされています。しかし、実務上は以下のような問題から代表者による押印・署名が難しく、代理署名が行われるケースが少なくありません。
- 代表者に押印・署名業務を行う時間がない
- 取引量が多く、代表者がすべての契約書を確認・承認できない
- 押印・署名を代理する担当者を設ける方が効率的 など
特に、規模が大きい企業や取引量が多い企業では、代表者がすべての契約書に目を通し承認を行うことは現実的ではないでしょう。ただし、代理署名を行う場合、押印・署名を行う社員は代表者から権限を付与されていなければ無権代理となるおそれがあることに注意が必要です。
代表者以外の社員が押印・署名する方法
ここでは、代表者以外の社員が押印・署名する方法を2つ紹介します。どのようなプロセスで代理署名を行うか検討してみましょう。
代表者が社員へ契約を締結する権限を委譲する
代表者以外の社員が押印・署名する場合、代表者本人が他の社員に契約を締結する権利を委譲し、権限を受けた社員が名義人となって押印・署名をする方法があります。権限を付与された社員は、自身の印鑑を押すことで契約が締結されます。
この方法で契約を行う場合、権限を委譲したことを証明するため、代表者本人による押印・署名入りの委任状の作成が必要です。委任状があることで、代表者の意思に基づいて締結された契約であると明確化し、契約における法的リスクを軽減できます。
社員が代表者の代わりに押印・署名する
「二段の推定」によって、代表者が名義人のまま他の社員が代理で押印・署名してもその契約は成立したことになります。実務上、委任状の有無を確認するケースは非常に少なく、名義人が代表者のままでも契約を成立させることは可能です。
しかし、この方法に関しては前例となる判例がないこともあり、法的に曖昧な部分があります。契約後のトラブルを未然に防ぐためにも、委任状を作成し、契約の名義人や代理権限を明確にしておくことをおすすめします。
電子契約で代理署名を行うメリット
電子契約への移行によって、従来の契約業務を効率化できる可能性があります。ここでは、電子契約で代理署名を行うメリットをご紹介します。
業務の効率化につながる
電子契約では、非対面かつペーパーレスで効率的に契約を締結することが可能です。従来の契約業務のように、紙の書面を印刷したり、郵送したりする作業を削減できます。また、当事者が同じ場所に集合して押印・署名を行う必要がないこともメリットです。
メールで履歴を確認できる
電子契約の場合、認証で利用するメールアドレス宛てに契約関連のやり取りが蓄積されるケースが多いため、容易に契約の履歴を確認できます。契約締結のプロセスがメールフォルダに残ることで、事実関係が正確に記録されることもメリットです。
ログイン履歴で契約者を特定できる
専用の電子契約システムを利用するケースでは、サービスへのログインや契約締結で行った作業など、ユーザーの操作と日時が全て記録に残ります。これらのログを確認することで、技術的に署名者を特定したり、改ざんを防止したりできるようになります。
代表者以外の社員が代理で押印・署名するリスク
代表者以外の社員が代理で押印・署名する場合は、どのようなことに配慮して手続きを進めれば良いのでしょうか。ここでは、注意すべきリスクについて解説します。
無断で契約が締結されるリスク
契約を締結する権限を持たない社員が無断で契約を締結する行為は無効になるのが基本ですが、場合によっては有効性が認められる可能性もあります。
このような事態を防止する対策としては、契約を締結する際にその権限を明確にする委任状の提出が有効です。
また、電子契約システムを導入して承認者を複数設定することも有効であり、一人の社員が無断で契約を締結するのを防止できます。
なりすましのリスク
対面で行われるケースが少ない電子契約では、契約を締結する権限者と偽り、契約を承認する「なりすまし」が行われるリスクがあります。
電子契約で起こり得るなりすましは、電子契約システムを導入して認証機能を活用することで回避できます。
メール・SMSを利用して認証する方法や本人確認書類をアップロードして認証する方法など、さまざまな認証方法があるため、システムを検討する際は自社のニーズやワークフローに合うものを選ぶことが大切です。
代表者以外の社員が代理で押印・署名を行うことは法的リスクを伴うため、リスクを考慮した対応が必要です。
不正アクセスのリスク
電子契約で代理署名を行う際に、代表者アカウントのID・パスワードを複数人で共有する運用を行うと、不正アクセスのリスクが高まってしまいます。
実務上で代理署名が必要であれば、詳細な権限設定に対応したシステムを導入し、代理承認機能などを活用するとリスクを低減することが可能です。
重要なアカウントのID・パスワードの流出を避けるためにも、安全な運用体制を整備しなければなりません。
代表者以外の社員が代理で押印・署名するリスクを回避する方法
代表者以外の社員が代理で押印・署名する際には、さまざまなリスクが存在します。これらのリスクを回避するためにも、以下の方法を検討すると良いでしょう。
社内規定を整備する
実務上、代理人による押印・署名が必要な場合は、まず社内規定を整備して適切に契約締結できる体制を確保すると良いでしょう。例えば、特定の社員に代理権を与えるにあたり、委任状を作成することが重要です。また、その際は代理権の範囲についても明確に定めておく必要があります。
契約の承認履歴を残す
リスク対策の観点から、電子契約のプロセスにおいて承認履歴を記録に残す運用を検討しましょう。承認フローの過程が明確になることで、「どの担当者が」「いつ」「どの契約内容を」承認して締結に至ったのか、全体の流れを把握できるようになります。トラブル防止の観点からも、契約ごとに履歴を残しておくと良いでしょう。
電子契約システムを利用する
電子契約へ移行して適切な契約締結体制を構築するためにも、専用の電子契約システムを導入することをおすすめします。専用システムには詳細な権限設定の機能やセキュリティ機能など、電子契約を安全に締結するための仕組みが充実しています。また、文書管理や検索などの機能も充実していることから、契約業務の効率化にも効果的です。
相手が代理署名を行う権限を持っているかを確認する方法
契約相手が代理署名を行う権限を持っているか確認するには、どのような方法があるのでしょうか。契約を進める前に、以下の方法で確認しておくことをおすすめします。
相手方の委任状を確認する
相手方の担当者に委任状の提出を求めることで、代理権の有無を文書によって確認できます。特に、担当者が会社の代表権を持つ「代表取締役」や「取締役」以外の場合は、締結権限を書面で証明できるよう事前に相談しておくと安心です。
相手方の契約メールアドレスが代表者のものかを確認する
電子契約の場合は、相手方のメールアドレスを認証の手段として用いることがあります。その際は、相手方から提示されたメールアドレスが代表者のものであるかをあらかじめ確認しておくと良いでしょう。ただし、メール認証のみでは詳細な権限の確認が難しいことに留意が必要です。
相手方の代表者にメールを共有する
電子契約を締結する段階では、相手方の代表者にもメールで内容を共有すると、トラブルのリスクを軽減することにつながります。担当者間のみでやり取りを完結させるのではなく、代表者が契約締結の事実を把握できるようやり取りの透明性を高めましょう。
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まとめ
ここまで、電子契約の代理署名に関する基礎知識をお伝えしました。規模が大きい企業や取引量が多い企業では、実務上の理由から代理による押印・署名が行われる場合があります。代理署名は業務効率化のメリットがある一方で、無断で契約が締結されるリスク、なりすましのリスク、不正アクセスのリスクが懸念されます。こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、適切なセキュリティ機能を備えた電子契約システムを利用することが大切です。
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