電子契約における権限とは?代理署名の有効性とリスクについて解説

目次[非表示]

  1. 1.契約における押印・署名の実態
    1. 1.1.①契約では代理で押印・署名が行われるケースが多い
    2. 1.2.②代理による署名は法律で認められている
  2. 2.代表者以外の社員が押印・署名する方法
    1. 2.1.①代表者が社員へ契約を締結する権限を委譲する
    2. 2.2.②社員が代表者の代わりに押印・署名する
  3. 3.代表者以外の社員が代理で押印・署名するリスクと対策
    1. 3.1.①無断で契約が締結されるリスク
    2. 3.2.②なりすましのリスク
  4. 4.まとめ


電子契約における権限とは?代理署名の有効性とリスクについて解説


近年のペーパーレス化を推進する動きに伴い、書面契約から電子契約に移行する企業が増えています。

電子契約は非対面で行うことが可能であり、これまでの書面契約に比べて利便性に優れるメリットがあります。

しかし、電子契約を導入したいと検討していても、締結権限の所在や法的リスクの不安から導入に踏み切れないという方もいるのではないでしょうか。

この記事では、契約における押印・署名の実態をはじめ、代表以外の社員が代理で押印・署名を行う方法とリスクについて詳しく解説します。


契約における押印・署名の実態

契約を取り交わす際は、当事者や代表者によって行われるのが原則です。

しかし、さまざまな理由から代表者以外の社員が代理で押印・署名するケースも少なくありません。

ここでは、契約における押印・署名の実態を紹介します。


①契約では代理で押印・署名が行われるケースが多い

契約では、代表者自らが押印・署名して契約を締結させるのが理想的で、これは電子契約においても同じです。

しかし、以下のような実務上の問題から代表者による押印・署名が現実的に難しいケースがあり、代表者以外の社員が代理で行う場面が一般化しています。

  • 代表者に押印・署名業務を行う時間がない
  • 取引量が多いことから、すべての契約書を代表者が確認、承認を行うことができない
  • 押印・署名を代理する担当者を設ける方が効率的 など


このように、規模が大きい企業や日頃から取引量が多い企業では、代表者がすべての契約書に目を通し承認を行うことは現実的ではなく、代理で押印・署名を行う担当者を設けなければ業務が進まないケースがあります。

ただし、押印・署名を行う社員はその権限を代表者より付与されていなければ無権代理になるため、注意が必要です。


②代理による署名は法律で認められている

前項で契約は代表者本人によって行われることが原則と述べましたが、代表者以外の社員が代理で行う押印・署名は、『民事訴訟法』の「二段の推定」によって認められています。

「二段の推定」とは、契約者本人の印鑑が本人の意思に基づいて押印された場合、契約が成立したものとみなす考え方であり、書面契約への押印の場合に適用されます。

一段目、二段目の推定の概要は以下のとおりです。

  • 一段目の推定:契約者本人の印鑑が押されていれば、本人の意思に基づくものと推定する
  • 二段目の推定:契約者本人の意思に基づく押印があれば、その契約は真正に成立したものと推定する


この「二段の推定」の考え方に基づき、企業では代表者以外の社員によって押印・署名が行われているケースが多く見受けられます。


代表者以外の社員が押印・署名する方法

ここでは、代表者以外の社員が押印・署名する方法を2つ紹介します。


①代表者が社員へ契約を締結する権限を委譲する

代表者以外の社員が押印・署名する場合、代表者本人が他の社員に契約を締結する権利を委譲し、権限を受けた社員が名義人となって押印・署名をする方法があります。

権限を付与された社員は、自身の印鑑を押すことで契約が締結されます。

この方法で契約を行う場合、権限を委譲したことを証明するために代表者本人によって押印・署名された委任状の作成が必要です。

委任状があることで、代表者の意思に基づいて締結された契約であると明確化し、契約における法的リスクを軽減できます。


②社員が代表者の代わりに押印・署名する

「二段の推定」によって、代表者が名義人のまま他の社員が代理で押印・署名してもその契約は成立したことになります。

実務上、委任状の有無を確認するケースは非常に少なく、名義人が代表者のままでも契約を成立させることは可能です。

しかし、この方法に関しては前例となる判例がないこともあり、法的に曖昧な部分があります。

契約後のトラブルを未然に防ぐためにも、委任状を作成し、契約の名義人や権限を明確にしておくことをおすすめします。


代表者以外の社員が代理で押印・署名するリスクと対策

代表者以外の社員が代理で押印・署名することは、代表者の負担軽減や業務効率の向上に役立ちます。

しかし、代理による押印・署名はリスクを伴うため、事前に対策を講じておくことが大切です。

ここでは、代表者以外の社員が代理で押印・署名するリスクと対策を紹介します。


①無断で契約が締結されるリスク

契約を締結する権限を持たない社員が無断で契約を締結した場合は、無効になるのが基本ですが、場合によっては有効性が認められるケースもあります。

このような事態を防止する対策としては、契約を締結する際にその権限を明確にする委任状の提出が有効です。

また、電子契約システムを導入して承認者を複数設定することも有効であり、一人の社員が無断で契約を締結するのを防止できます。


②なりすましのリスク

対面で行われるケースが少ない電子契約では、契約を締結する権限者と偽り、契約を承認するなりすましが行われるリスクがあります。

電子契約で起こり得るなりすましは、電子契約システムを導入して認証機能を活用することで回避できます。

メール・SMSを利用して認証する方法や本人確認書類をアップロードして認証する方法など、さまざまな認証方法があるため、システムを検討する際は自社のニーズやワークフローに合うものを選ぶことが大切です。

代表者以外の社員が代理で押印・署名を行うことは法的リスクを伴うため、リスクを考慮した対応が必要です。


まとめ

この記事では、電子契約の権限について以下の内容で解説しました。

  • 契約における押印・署名の実態
  • 代表者以外の社員が押印・署名する方法
  • 代表者以外の社員が代理で押印・署名するリスクと対策


企業で行われる契約業務では、代表者以外の社員が押印・署名を行うケースが多いです。

これは電子契約であっても同様であり、特に規模が大きい企業や取引量が多い企業で行われています。

代理による押印・署名は法的にも認められている行為ですが、代表者の意思や締結権限がなければ真正に成立した契約とはいえません。

しかし、状況次第では代表者の意思や締結権限を持たない社員による無断、なりすましによる契約でも認められるケースもあります。

こういったリスクを回避するためにも、法的リスクを考慮し、契約を締結させる前に意思と権限を明確にしておくことが重要です。

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