取引基本契約書とは?主な記載事項と作成時の注意点、よくある質問を解説

目次[非表示]

  1. 1.取引基本契約書に関する基礎知識
    1. 1.1.取引基本契約書とは?
    2. 1.2.取引基本契約書が必要になる場面
    3. 1.3.取引基本契約書と他の契約書の違い
    4. 1.4.取引基本契約書を作成するメリット
  2. 2.取引基本契約書の主な記載項目
  3. 3.取引基本契約書を作成するにあたっての注意点
    1. 3.1.取引内容を事前に協議してから作成する
    2. 3.2.トラブルを防ぐため契約書の記載内容を明確化する
    3. 3.3.2020年の民法改正に伴う変更点を確認する
    4. 3.4.ダウンロードしたテンプレートをそのまま使用しない
    5. 3.5.契約書が2部以上ある場合は割印を行う
  4. 4.取引基本契約書に関するよくある質問
    1. 4.1.取引基本契約書は必ず作成しなければならない?
    2. 4.2.取引基本契約書は買い手と売り手のどちらが作成する?
    3. 4.3.取引基本契約書と個別契約書ではどちらが優先される?
    4. 4.4.取引基本契約書の作成日はいつになる?
    5. 4.5.取引基本契約書における契約不適合責任の期間は?
    6. 4.6.取引基本契約書には収入印紙を貼付する?
  5. 5.まとめ

ビジネスシーンでは、企業間で継続的に取引が行われる場面が多くあります。こうした場合には「取引基本契約書」を締結すると、個別の取引ごとに契約を締結する手間を省いて効率化しながら、取引先とのトラブルのリスクを避けることが可能です。

この記事では、取引基本契約書に関する基礎知識、主な記載事項、作成時の注意点などを解説します。企業法務のご担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。

取引基本契約書に関する基礎知識

初めに、「取引基本契約書」に関する基礎知識を解説します。取引基本契約書の締結が必要なケースや、他の契約書との違いについてチェックしておきましょう。

取引基本契約書とは?

「取引基本契約書」とは、企業間の継続的な取引における条件やルールを定めた契約書のことです。個別の取引に共通する条件やルールに関する双方の合意を事前に取りまとめ、一連の取引をスムーズに行う目的があります。

取引基本契約書が必要になる場面

継続的な取引を行う場合

取引基本契約書は、BtoBのような特定の企業と長期的に継続的取引を行う場面で用いられます。これにより個別の取引における契約締結を効率化することが可能です。

複数の契約を複合的にまとめる場合

取引基本契約書は、特定の企業と複数の契約を締結する場面で用いられます。各契約に共通する条件やルールを一元管理することで、契約管理の手間を抑えられます。

取引基本契約書と他の契約書の違い

個別契約書との違い

「個別契約書」とは、個別の取引ごとの詳細な条件やルールを定めた契約書のことです。「取引基本契約書」とは補完関係にあり、一つひとつの案件ごとに締結されます。

売買契約書や業務委託契約書との違い

「売買契約書」は、買主・売主が特定の商品・サービスを売買する際、取引ごとに締結されます。「業務委託契約書」は、委託者・受託者が特定の業務を委託する際、案件ごとに締結されます。それに対して、「取引基本契約書」は一連の取引全体に関して締結される点が主な違いです。

取引基本契約書を作成するメリット

取引基本契約書を作成すると、契約書作成や契約管理といった契約業務の工数を削減できることがメリットです。また、取引全体に統一の条件やルールを定めることで、効率化とリスク回避を両立できるようになります。

取引基本契約書の主な記載項目

ここでは、取引基本契約書の主な記載項目をご紹介します。各項目の内容を確認してみましょう。

記載項目

概要

基本合意(契約の目的)

取引において当事者が合意した取引の目的や基本的な条件について記載します。

適用範囲

契約の適用対象となる取引・商品・サービスなどの範囲を記載します。

個別契約の成立

個別契約を成立させるための手続きの流れを記載します。

納品

納品の時期・場所・方法を記載します。

受入検査

納品後に実施する受入検査の方法や、検査する基準を記載します。

代金の支払い

代金の支払条件・支払期日・支払方法を記載します。

所有権の移転

目的物の所有権が移転するタイミングを記載します。

危険負担

目的物の破損や消失による損失を当事者のどちらが負担するかを記載します。

品質管理

目的物の品質基準や、管理方法を記載します。

契約不適合責任

契約不適合が発生した際の売主の責任について記載します。

第三者の権利侵害(知的財産権)

目的物によって第三者の知的財産権を侵害しない旨を明記します。

再委託

再委託の可否や条件を記載します。

秘密保持

対象となる機密情報の定義や、機密情報の保護について記載します。

有効期間(契約期間)

契約の有効期間、更新の有無や条件について記載します。

契約の解除

契約が解除となる条件や手続きについて記載します。

期限の利益の喪失

債権回収のため債権者がただちに債務の履行を要求できる条件について記載します。

損害賠償の範囲

取引における損害発生時の賠償範囲や条件を記載します。

反社会的勢力の排除

当事者が反社会的勢力でない旨を明記します。

合意管轄

紛争が発生した際に管轄する裁判所を記載します。

取引基本契約書を作成するにあたっての注意点

取引基本契約書を作成する際は、相手方とのトラブルを防止するために、以下の点に注意が必要です。場合によっては弁護士など法律の専門家へご相談いただくことをおすすめします。

取引内容を事前に協議してから作成する

取引基本契約書は、当事者間で事前に協議した内容に基づいて作成するのが望ましいです。契約内容について協議した上でドラフトを作成し、交渉や調整により加筆修正をしながら完成を目指します。

トラブルを防ぐため契約書の記載内容を明確化する

取引基本契約書の内容は、具体的な数値や基準を用いてわかりやすく記載し、曖昧な表現による両者の認識の齟齬が生じないよう注意しましょう。また、必要に応じて優先順位条項を設けて、取引基本契約書と個別契約書のどちらが優先されるか、明確にしておきましょう。

2020年の民法改正に伴う変更点を確認する

2020年4月1日から施行された改正民法には、以下のような契約に関する変更点があります。契約業務のご担当者様は、変更されたポイントを確認しておきましょう。

  • 「瑕疵担保責任」が廃止され「契約不適合責任」が新設された
  • 契約の解除に関する要件が変更された
  • 賃貸借契約で個人が連帯保証人になる場合の極度額の明記が義務化された

ダウンロードしたテンプレートをそのまま使用しない

オンラインで配布されている取引基本契約書のテンプレートを使用する際は、自社の取引内容に合わせて内容を調整する必要があります。ダウンロードしたテンプレートをそのまま使用することは避け、ひな形の作成後は弁護士など法律の専門家による確認を受けることをおすすめします。

契約書が2部以上ある場合は割印を行う

「割印」は2部以上の文書にまたがって押し、改ざんや不正なコピーを防止する役割があります。紙の取引基本契約書を2部以上発行する際は、書面へ割印を押し、複数の契約書が同一内容であることを証明しましょう。

取引基本契約書に関するよくある質問

最後に、取引基本契約書に関するよくある質問と回答をご紹介します。企業間のやり取りにおけるルールやリスクを改めて確認して、安心して取引を進められるようにしましょう。

取引基本契約書は必ず作成しなければならない?

取引基本契約書の作成は必須ではありません。ただし、取引基本契約書の作成により個別契約書を毎回作成する手間が省けるため、契約業務を効率化することが可能です。

取引基本契約書は買い手と売り手のどちらが作成する?

取引基本契約書の作成者には明確な決まりがなく、買い手と売り手のどちらが作成しても問題ありません。一般的には、取引を主導する側の企業が対応するケースが多く見られます。

取引基本契約書と個別契約書ではどちらが優先される?

取引基本契約書と個別契約書のうち、優先順位条項に記載されたほうの契約書が優先されます。優先順位条項がない場合は、個別の状況に応じて、どちらを優先するか判断されます。

取引基本契約書の作成日はいつになる?

実務においては、契約書の作成日として「契約期間の初日」「最初・最後の当事者が契約書に署名または記名押印した日」「当事者が合意した日」などが採用されることが一般的です。

取引基本契約書における契約不適合責任の期間は?

契約不適合責任の責任期間は、原則として不適合を知ったときから1年以内となっています。「民法」の第566条においては以下のように定められています。

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第五百六十六条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

【出典】「民法(明治二十九年法律第八十九号)」(e-Gov法令検索)

取引基本契約書には収入印紙を貼付する?

一般的な取引基本契約書は、課税文書のうち「第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)」に該当し、印紙税額は1通につき4,000円です。ただし、電子契約で締結する場合は収入印紙の貼付が不要となるため、印紙代を節約できます。

【参考】「No.7104 継続的取引の基本となる契約書」(国税庁)

場合によっては、取引基本契約書が「不動産売買契約書」などの「第1号文書」や、「工事請負契約書」などの「第2号文書」に該当するケースもあるため、具体的な取引の内容に応じて適切な額の収入印紙を貼付しましょう。

【参考】「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」(国税庁)

まとめ

ここまで、「取引基本契約書」に関する基礎知識、主な記載事項、作成時の注意点などをお伝えしました。取引基本契約書の締結は電子化することが可能です。その際は、電子署名の機能を搭載した電子契約サービスを活用することで、締結業務の効率化や内部統制の強化を図れます。NXワンビシアーカイブズの電子契約・契約管理サービス「WAN-Sign」は、低コストで業界最高水準のセキュリティを標準搭載しています。企業法務のご担当者様は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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