稟議書とは?メリットや記載項目、承認を得るポイント・事前準備について解説

(公開日:2026年1月27日)

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  1. 1.稟議書とは?
    1. 1.1.稟議および稟議書とは?
    2. 1.2.稟議の一般的な流れ
  2. 2.稟議書と他の書類の違い
    1. 2.1.稟議書と申請書の違い
    2. 2.2.稟議書と報告書の違い
    3. 2.3.稟議書と企画書の違い
    4. 2.4.稟議書と決裁書の違い
    5. 2.5.稟議書と上申書の違い
  3. 3.稟議書の主な種類
    1. 3.1.物品・設備の購入稟議(購買稟議)
    2. 3.2.システム・ITツールの導入稟議
    3. 3.3.新規取引先との契約締結・取引開始の稟議
    4. 3.4.人員の増員・人材の採用稟議
    5. 3.5.出張・旅費交通費の稟議
    6. 3.6.接待・交際費の稟議
  4. 4.企業が稟議書を活用・運用するメリット
    1. 4.1.会議の効率化につながる
    2. 4.2.ミスやトラブルなどが起こりにくくなる
    3. 4.3.書面だけで決裁を完了できる
    4. 4.4.電子化すれば、リモートワークや多拠点展開をしても決裁を進められる
  5. 5.企業における稟議書運用のデメリット
    1. 5.1.最終承認までに時間がかかる
    2. 5.2.書類作成に手間がかかる
    3. 5.3.責任の所在があいまいになりがち
  6. 6.稟議書の主な記載項目
    1. 6.1.作成日
    2. 6.2.起案者名
    3. 6.3.件名
    4. 6.4.稟議の目的
    5. 6.5.稟議の理由
    6. 6.6.金額
  7. 7.承認を得やすい稟議書を作成するポイント
    1. 7.1.必要な情報をできるだけ簡潔にまとめる
    2. 7.2.リスクや注意点などのマイナス面も記載する
    3. 7.3.数値は具体的に記載する
    4. 7.4.関連データや資料を添付する
  8. 8.稟議書の作成前に準備しておくこと
    1. 8.1.事前に決裁権者に情報を共有しておく
    2. 8.2.目的を明確化しておく
    3. 8.3.稟議書の例文や記載項目を確認しておく
  9. 9.稟議書の運用で起こりがちなトラブルと対策
    1. 9.1.不備による差し戻しの多発で決裁が遅れる
    2. 9.2.承認者の出張や不在により回覧が滞る
    3. 9.3.目的や費用対効果が不明瞭で承認が得られない
    4. 9.4.ルールが形骸化し責任の所在があいまいになる
  10. 10.稟議書に関するよくある質問
    1. 10.1.稟議書が差し戻しになった場合の適切な対応は?
    2. 10.2.少額の消耗品費や経費精算でも稟議書を提出する必要はある?
    3. 10.3.稟議書の保存期間は法律で決まっている?
    4. 10.4.稟議書を電子化しても法的効力に問題はない?
  11. 11.まとめ

稟議書とは?メリットや記載項目、承認を得るポイント・事前準備について解説

新しいサービスの導入や備品の購入では、担当者だけで判断できず、上司や関係部署、経営陣の承認が必要になることがあります。こうした事案の目的や費用、必要性をまとめ、関係者へ回覧して承認を得るための文書が「稟議書(りんぎしょ)」です。

稟議書は、担当者だけでは決められない事案について、関係者の承認を経て最終的な決裁を得るための文書です。文書を回覧して承認を進めるため、関係者が集まる会議を開かずに意思決定を進められます。

本記事では、稟議書と他の書類との違い、主な種類、記載項目をご紹介します。承認を得るための書き方や事前準備に加え、差し戻し・決裁の停滞を防ぐ運用上のポイントも解説します。

稟議書とは?

まずは、稟議書の特徴をはじめ、「稟議」と「決裁」の違いや、起案から決裁までの基本的な流れを解説します。

稟議および稟議書とは?

稟議書は、担当者が起案した案件について、関係者の承認と決裁者の最終判断を得るために回覧する社内文書です。これには主に、案件の目的や必要性、費用、実施内容などを記載します。

稟議書の回覧では、稟議・承認・決裁がそれぞれ異なる役割を持ちます。

  • 稟議:起案した案件を関係者へ回覧し、承認を経て決裁を受ける一連の手続き
  • 承認:関係者が起案内容を認め、次の段階へ進めること
  • 決裁:決裁権を持つ人が、案件を実施するか最終的に判断すること

回覧の停滞を防ぐには、誰がどの順番で承認し、最終的に誰が決裁するのかを定めておく必要があります。差し戻しが発生した際の戻し先、修正後の再申請手順なども、社内で統一しておきましょう。

稟議の一般的な流れ

稟議は、起案者が稟議書を作成し、関係者の承認を経て、決裁者が最終判断を下す流れで進みます。一般的な手順は次のとおりです。

  • 起案:起案者が案件内容を稟議書にまとめ、必要資料を添付
  • 承認:上司や関係部署が内容を確認し、問題なければ承認、必要に応じて差し戻す
  • 決裁:承認後、決裁者が実施の可否を最終判断し、決裁で手続きが完了する

実際の承認経路や決裁者は、案件の内容や金額、社内規程によって異なります。起案者は申請前に、誰の承認と決裁が必要かを把握し、各段階で求められる資料もそろえておきましょう。

稟議書と他の書類の違い

稟議書以外にも、社内手続きでは申請書や報告書、企画書などが使われます。名称や使用場面は似ていますが、文書を作成する目的や提出先、承認の要否は異なります。

書類名

主な目的

主な承認者・提出先

特徴

稟議書

特定の事案に関する承認・決裁を得て、合意形成を図る

直属の上長、関係部署の上長、経営陣など(複数の関係者)

起案者が決裁権限を持たない重要な意思決定の場面で用いられる

申請書

経費精算や休暇の取得などを申請・手続きする

主に直属の上長(社内ルート)

定型的な業務手続きの承認を得るために用いられる

報告書

業務上の事柄や進捗を共有し、信頼を構築する

社内外の関係者、上長

決定事項の承認ではなく、情報の共有を目的とする

企画書

新商品開発やイベント等の具体的な計画・アイデアを提案する

経営陣、クライアント、プロジェクトチーム

提案内容を明確にし、起案への第一歩を踏み出す役割を持つ

決裁書

決裁権者に最終判断を求め、決定内容を記録する

決裁権者

稟議書と同じ文書を指す場合や、決裁段階の文書として区別する場合がある

上申書

現場から上位者へ意見や要望、改善案を伝える

上司、経営陣

現場の事情や例外対応の必要性を伝え、上位者の検討を求める

書類を使い分ける際は、目的(何を求める文書か)、作成時期(実行前か後か)、承認・共有先(誰の判断が必要か)を整理します。書類名や役割が社内規程で定められている場合は、自社の定義と承認ルートを優先してください。今一度、稟議書と各申請書類の違いを見ていきます。

稟議書と申請書の違い

申請書とは、経費精算や休暇の取得などの申請を行い、直属の上司から承認を得るための書類です。それに対して、稟議書では直属の上司だけでなく、関係部署の上長や経営陣を含む複数の承認者・決裁者から承認を得る点に主な違いがあります。

稟議書と報告書の違い

報告書とは、業務上の事柄を報告するための書類です。社内外へ向けて業務の情報を共有し、進捗報告や信頼構築といった目的で用いられます。一方、稟議書は特定の事案について、承認・決裁を得るための書類で、作成する目的が異なります。

稟議書と企画書の違い

企画書は、新商品・サービスを開発するときや、イベントを実施するときなどに提案内容を伝えるための書類です。具体的なアイデアや計画を明確にして起案する役割があります。一方、稟議書は起案に対する承認を得ることが主な役割となっています。

稟議書と決裁書の違い

稟議書と決裁書の違いは、使う段階と記録する内容にあります。一般的に、稟議書は関係者の承認を得ながら決裁へ進む過程で使い、決裁書は決裁権者の最終判断や決定内容を記録するために使います。

ただし、企業によっては稟議書と決裁書を同じ文書として扱うため、実務では社内規程で定められた名称と役割を優先してください。

稟議書と上申書の違い

上申書は、現場や部下が意見・要望・事情を上位者へ伝え、検討や判断を求める文書です。一方、稟議書は、具体的な事案を所定の承認ルートへ回し、関係者の承認を経て決裁を得るために使います。

上申書は現場の事情や改善の必要性を伝える役割が中心です。稟議書は、提案した事案を実施してよいか、組織として最終判断を得る場面で用いられます。

稟議書の主な種類

稟議書は、起案する事案によって記載内容や承認経路が変わります。ここでは、購入や採用など、起案内容に応じた稟議書の主な種類を紹介します。

物品・設備の購入稟議(購買稟議)

購買稟議書は、物品や設備を購入する必要性と、購入条件の妥当性を説明するために作成します。購入する品目と数量を明らかにし、見積金額や購入先、納期を記載します。複数社から見積もりを取得した場合は、価格や契約条件の違いを示し、購入先を選んだ理由などを明記します。

システム・ITツールの導入稟議

システム導入稟議書では、導入によって解決したい課題と、導入後の運用方法を説明します。費用と対象部署を示したうえで、既存システムとの連携、セキュリティ、運用体制について記載します。

作業時間の削減を導入効果として示すときは、削減時間の見込みに加え、現在の作業量や算定根拠も併記してください。

新規取引先との契約締結・取引開始の稟議

取引を始める妥当性と、契約にともなうリスクを共有するために作成します。取引先の概要や契約内容、取引条件、信用調査の結果を記載してください。

契約書案や見積書、反社会的勢力に関する調査資料など、取引開始の可否を判断するために必要な資料も添付します。

人員の増員・人材の採用稟議

人員を増やす必要性と、採用後に任せる業務を説明するための稟議書です。募集する職種と人数に加え、採用理由や人件費、求めるスキル、採用時期を記載します。

欠員補充と事業拡大では、増員する理由が異なります。現在の業務体制や採用後の配置まで示し、必要な人員数の根拠を明確にします。

出張・旅費交通費の稟議

現地へ出向く必要性と、出張にかかる費用を説明する社内文書です。出張の目的や訪問先、日程、参加者を示し、交通費と宿泊費などを併記します。オンライン会議で目的を達成できない場合は、現地訪問が必要な理由も添えるのが一般的です。

接待・交際費の稟議

支出の目的と予定金額が社内規程に沿っていることを説明するための稟議書です。相手先や参加者、実施場所を示し、接待・会食を行う理由を記載します。実施後の精算に備え、領収書や参加記録の提出方法、保存先などを起案時に確認しておきます。

企業が稟議書を活用・運用するメリット

稟議書を活用すると、判断に必要な情報と承認の経緯を一つの文書に残し、会議や決裁を効率化できます。具体的なメリットを以下にまとめました。

会議の効率化につながる

会議のために事前に稟議書を作成しておけば、決裁が必要な事項を簡潔に書面にまとめられます。関係者が稟議の内容を速やかに把握できるので、意思決定の効率化につながります。

ミスやトラブルなどが起こりにくくなる

稟議書を作成することで社内の承認や決裁のプロセスを記録に残せます。責任の所在が明確になり、重要な事案の意思決定を適切に行えます。また、複数の関係者が承認を行うことで、意思決定の過程で起こり得るミスやトラブルのリスクを回避しやすくなります。

書面だけで決裁を完了できる

稟議書の回覧によって承認・決裁を行えば、関係者が会議に出席することなく書面のみで判断を行い、重要な意思決定を実現できます。会議を開催するためのコストを削減できるため、業務効率化が期待できる点もメリットです。

電子化すれば、リモートワークや多拠点展開をしても決裁を進められる

紙と印鑑を使う稟議では、押印のための出社や拠点間の郵送が必要になり、承認・決裁が滞る場合があります。ワークフローシステムで申請から決裁までを電子化すれば、承認者は自宅や別拠点から内容を確認でき、リモートワーク中も回覧を進められます。

また、社内決裁後の契約締結までオンライン化する場合は、電子契約サービスを利用します。稟議の電子化と電子契約を組み合わせることで、社内承認から取引先との契約締結まで、押印や紙の受け渡し、郵送にかかる手間と費用を抑えられます。

企業における稟議書運用のデメリット

稟議書は、最終承認までに時間が取られやすいことや、書類作成に手間がかかること、責任の所在があいまいになりやすいことなど、いくつか運用上の課題もあります。

最終承認までに時間がかかる

稟議書を提出してから最終承認を受けるまでには、多くの時間がかかる場合があります。特に、承認者や決裁者が出張などで長期的に不在となる場合は、回覧が遅れることが少なくありません。そのため、起案者は関係者のスケジュールを踏まえて手続きを進める必要があります。

書類作成に手間がかかる

稟議書の作成を担当する起案者は、関係者を納得させるための情報を網羅した書類を作成しなければなりません。例えば人材採用に関する稟議の場合、採用の目的や募集するポジション、予算、人材のスキル要件など必要な情報を記載する必要があります。また、差し戻しの対応に手間がかかります。

責任の所在があいまいになりがち

稟議書は複数の関係者が承認に携わることから、運用方法が不適切である場合には責任の所在があいまいになるおそれがあります。特に、多数の関係者が携わるケースでは各自の責任範囲が不明確になりがちです。稟議書を作成する際は、各関係者の責任範囲を明確にする必要があります。

稟議書の主な記載項目

一般的に、稟議書には以下のような項目を記載するケースが多いです。ここでは、稟議書の主な記載項目をご紹介します。

作成日

稟議書の作成日(起案日)を明記します。和暦または西暦のいずれかを選択し、自社の表記ルールに従って記載しましょう。

起案者名

起案者の氏名や所属部署などの情報を明記します。部署で起案する場合は、「起案部署名」として記載することもあります。

件名

稟議の内容が端的に伝わるような件名を設定しましょう。例えば契約に関する稟議の場合、「A社との〇〇契約締結について」といった形で記載します。

稟議の目的

何のために稟議を行うのか、目的や背景などを具体的に記載します。関係者が即座に状況を把握できるように書くことが大切です。

稟議の理由

稟議の詳細、現状の課題、提案する理由などを記載します。また、提案に説得力を持たせるために、メリットや費用対効果を含めて書くと良いでしょう。

金額

稟議に金額が関わる場合には、金額やコストなどを具体的かつ正確な数値で明記します。必要に応じて見積書などの書類を添付することもあります。

承認を得やすい稟議書を作成するポイント

稟議書を作成する際は、どのようなポイントに注意すれば良いのでしょうか。ここでは、スムーズに書類を作成するために書き方のコツについて解説します。

必要な情報をできるだけ簡潔にまとめる

稟議書は関係者からの承認を得るための書類です。そのため、読んだ人が即座に要点を理解できるよう心がけて情報をまとめましょう。必要に応じて箇条書きなどを活用して情報を整理し、端的に伝えることが大切です。

リスクや注意点などのマイナス面も記載する

提案内容にリスクや注意点がある場合でも、こうしたマイナス面は隠さずに記載しましょう。メリットや効果に加えて、マイナス面の対策まで含めて提案することで、実現可能性が高いと判断され関係者からの承認を得やすくなります。

数値は具体的に記載する

稟議書に金額やデータなどの数値を記載するときは、できるだけ具体的に記載することで信頼性を高められます。例えば業務効率化の効果を伝えたい場合は「月間の作業時間が○%削減され、1カ月あたり○時間○分の短縮が見込まれます」といった形で伝えると良いでしょう。

関連データや資料を添付する

稟議書の提案に対して根拠を示す必要がある場合は、関連データや資料を添付すると良いでしょう。例えば、事前に実施した調査データや見積書といった資料を添えることで、関係者が判断材料として活用できます。

稟議書の作成前に準備しておくこと

稟議書を作成する前に、決裁権者との情報共有や申請目的の明確化、記載項目の確認を済ませておくと、差し戻しを防ぎやすくなります。

事前に決裁権者に情報を共有しておく

稟議書を回覧する前の段階で関係者に情報を共有しておくと、スムーズに回覧が進みやすくなります。決裁権者は早めにリスクや懸念事項を検討できるようになります。また、起案者は決裁権者からの指摘を踏まえて稟議書を作成し、内容を充実させることが可能です。

目的を明確化しておく

稟議書を作成する前に、まずは稟議の目的や理由を明確化しておくことが大切です。論理的に一貫性のある稟議書を作成し、意思決定の精度を向上させるためにも、事前の準備が不可欠となります。書類を書き始める前に、構成を整理すると良いでしょう。

稟議書の例文や記載項目を確認しておく

作成した稟議書に差し戻しがあると、書類作成や回覧の段階で二度手間が発生してしまいます。あらかじめ稟議書の例文を確認して記載のポイントを把握しておくとともに、記載項目に抜け漏れがないか入念にチェックしておきましょう。

稟議書の運用で起こりがちなトラブルと対策

稟議書の運用では、記載不備による差し戻しや、承認者の不在による回覧の停滞が起こります。承認に必要な根拠や、審査する側の役割があいまいな場合も、決裁が進まない原因になります。記載項目や承認ルート、期限管理のルールを整え、トラブルを防ぎましょう。

不備による差し戻しの多発で決裁が遅れる

金額や契約期間が書かれていなかったり、必要な添付資料がそろっていなかったりすると、承認者は事案の妥当性を判断できません。用途ごとの必須項目と添付資料をチェックリストにまとめ、提出前に起案者と上司が点検する仕組みを設けます。

承認者の出張や不在により回覧が滞る

紙の稟議書は、承認者が出張や休暇で不在になると、その段階で回覧が止まりやすくなります。ワークフローシステムで通知や承認期限を設定するとともに、代理承認を認める場合は、代理できる者、対象となる案件・権限、期間、事後確認の要否を社内規程で定めてください。

目的や費用対効果が不明瞭で承認が得られない

実施内容だけを記載しても、承認者は事案の必要性や投資の妥当性を判断できません。現状の課題と必要な費用を示し、期待する効果には算定根拠となる資料を添付します。なお、投資をともなう事案では、効果が表れるまでの期間を必要に応じて記載します。

ルールが形骸化し責任の所在があいまいになる

稟議書が形式的に回覧されると、承認者が何を審査し、誰が最終判断を下したのかがあいまいになります。承認がそろっていても、契約条件や予算などが十分に検討されたとは限りません。

また、法務部門は契約条件、経理部門は予算というように、部署や役職ごとの審査項目と責任範囲を定めます。決裁規程の所管部門とシステム管理者が連携し、承認・差し戻しの理由を記録するとともに、組織変更や規程改定に応じて承認ルートと決裁権限を更新してください。

稟議書に関するよくある質問

稟議書が差し戻しになった場合の適切な対応は?

承認者が差し戻した理由を把握し、指摘箇所と関連する数値、添付資料を見直します。再申請時には、修正した箇所と対応内容を示しておくと、承認者が変更点を追いやすくなります。

少額の消耗品費や経費精算でも稟議書を提出する必要はある?

少額の支出で稟議書が必要かどうかは、一般に法律で一律に決まるものではなく、自社の決裁規程や経費規程によって決まります。稟議が必要になる金額基準と、経費精算や別の申請書で処理できる範囲を社内規程で調べてください。

稟議書の保存期間は法律で決まっている?

稟議書という文書名だけで、一律の保存期間が決まるわけではありません。ただし、法人が保存する稟議書や添付資料が、取引等に関して作成または受領した書類に該当する場合は、法人税法上、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間の保存が必要です。

青色申告書を提出した事業年度に青色繰越欠損金が生じた場合や、青色申告書を提出しなかった事業年度に災害損失金額が生じた場合は、対象となる帳簿書類を10年間保存します。2018年4月1日前に開始した対象事業年度の保存期間は9年間です。

また、契約書や見積書などに相当する取引情報を電子データで送受信した場合は、電子帳簿保存法の要件に沿って、その電子データを保存します。

出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
出典:国税庁「電子帳簿保存法の概要」

稟議書を電子化しても法的効力に問題はない?

稟議書の電子化だけを理由に、社内決裁の有効性が一律に決まるわけではありません。自社の決裁規程や職務権限規程に沿って電子申請を認め、誰がどの権限で申請・承認・決裁したのかを後から確認できる状態にしてください。なお、社内決裁と、その後に締結する契約の成立・方式要件は分けて確認します。

電子化の方法として、ワークフローシステムを導入すると、あらかじめ設定した承認・決裁ルートに沿って申請を回し、誰がいつ申請・承認したかや、現在の承認状況を確認できます。利用できる履歴や差し戻し機能は製品によって異なるため、決裁規程で求める記録を残せるかを導入前に確認してください。

まとめ

稟議書を電子化して社内の申請・承認・決裁を効率化しても、その後の契約締結が紙のままでは、印刷や押印、郵送、保管の作業が残ります。決裁後の契約書の送付から署名、締結済み文書の保存までオンラインで進める際は、電子契約サービスの導入を検討してください。

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