大阪厚生信用金庫 様
導入事例

制約の多い金融業界で電子契約導入を10カ月で実現!
「お客様の利便性」を起点に信用金庫が挑んだDX

金庫概要

協同組織金融業

本店:大阪市中央区島之内1丁目20番19号

創業:1922年(大正11年)9月9日

​​URL:https://www.co-sei.co.jp/

インタビュイー:

大阪厚生信用金庫
融資管理部 融資部 融資企画課 次長 山原里織様(写真左)
融資管理部 融資部 融資企画課 課長代理 加茂浩太様(写真右)

※役職はインタビュー当時

要約
  • コロナ禍以前から、融資時の大量の押印・記入書類によるお客様の負担を課題と認識しており、電子契約導入を決断した。 
  • 「WAN-Sign」の導入の決め手は、担当営業の対応品質や対面でのサポート体制、コストおよび機能面での優位性であった。 
  • 「立会人型」の電子契約を選択することで、お客様側でのアカウント取得が不要となり、利便性を損なうことなく電子契約の導入を実現した。 
  • メールアドレスや端末制限という金融機関特有の課題に対し、グループメールアドレスの新設と厳格なアクセス管理により対応した。 
  • 担当営業のサポートもあり、3名という少人数チームと約10カ月という短期間で電子契約システムの導入を完遂した。 
  • 導入後のお客様の反応は「印紙代が不要になった」を筆頭にポジティブなものが大多数を占め、手続き負担の軽減を実感する声が多い。 
  • 「WAN-Sign」はシステム設定の変更を自ら修正できるため、お客様の声をスピーディーに反映しやすい。
  • 今後は全店運用の安定化を図りつつ、各営業店の職員がいつでも電子契約書類を参照できる環境の構築を目指す。

導入の背景

「当金庫は、お取引先の大半が法人です。今回、法人向けの金銭消費貸借契約証書や各種特約書の契約手続きの業務効率化を目的として、電子契約サービス『WAN-Sign』を導入しました。最近では、変更契約書についても電子契約に対応しています。
融資の場面では、お客様に押印いただく書類が多く、負担を軽減できないかという思いはコロナ禍以前から抱いていました。その後、法改正などの影響により、お客様にご記入・ご捺印いただく書類が増加しました。そうした中、理事長が営業店を視察した際に、お客様が多数の書類に向き合っている様子を目の当たりにし、『電子契約を進めよう』との方針が示されました」(山原氏)
「当初、電子契約の導入にあたり、お客様に『紙から電子へ移行した』ことを視覚的に分かりやすくお伝えするため、『印影』にこだわっていた時期があり、電子印影を付与できるサービスを探していました。
ちょうどその頃、FIT(※日本最大規模の金融機関向けIT展示会)に出展していた『WAN-Sign』ブースの福井様(営業担当者)と初めてお会いしました。説明も分かりやすく、親身に話を聞いて下さり、懸念していたサポート面について好印象を持ちました。最終的に『電子印影』の選択肢は採用していませんが、当時は別のサービスで検討を進めていましたが、いったん社内で再検討するための会議を行いました」(加茂氏)

導入の決め手

「最大の決め手は、NXワンビシアーカイブズの営業担当者の存在です。法人向け事業性融資の電子契約は、業界全体でもまだ事例が少なく、参考となるひな形や相談先もほとんどありませんでした。そのような状況下で、営業担当者は初回面談時から丁寧に商品説明を行い、当方の質問にも的確に回答してくださいました。レスポンスも迅速で、安心して相談できると感じました。
不明点を何度質問しても、他の金融機関の事例を交えながら丁寧に説明していただき、問い合わせに対しても真摯に対応してくださいました。その姿勢から、『この方となら一緒に取り組める』と確信しました」(山原氏)
「物理的な距離の近さも重要でした。他に検討していたベンダーは東京所在で、常にWEB会議での打ち合わせのみでしたが、NXワンビシアーカイブズの場合は、大阪でも迅速に対面打ち合わせが可能な体制が整っていました。また、『当金庫にWAN-Signを活用してほしい』という熱意が初回面談から伝わってきたことも、大きな要因でした」(加茂氏)

「もちろん、機能面も重要な判断材料でした。既存の契約書作成システムのベンダーも連携可能な電子契約サービスを提供しており、そちらを導入する選択肢もありました。ただし、そのサービスは『当事者型』の電子契約のみに対応しており、お客様側で同サービスのアカウント発行やID・PWの管理などのご準備が必要となります。お客様の利便性を重視する観点から、『立会人型』に対応した電子契約サービスを導入すべきと判断しました。
さらに、システム連携(システム開発)をせず、電子契約システム単体で利用できる点も、コスト削減につながりました。それが可能と判断できるほど機能・操作性も優れていると感じました。担当者の対応・サポート品質、サービスの機能およびコスト面、お客様の利便性を総合的に勘案し、『WAN-Sign』の導入を決定しました」(山原氏)

信用金庫の業界にあまり電子契約が普及していない原因

「信用金庫業界で電子契約があまり普及していないと思われる要因は、大きく3点あると考えています。1点目は、業界における管掌協会では、協会ごとにシステム環境が異なることです。2点目は人的リソースの制約で、信用金庫では新しい一つの業務に多くの人員を割くことが難しいことです。3点目は、電子契約は新規性が高くリスクも伴うため、導入判断が容易ではなく、最終的には各金庫の判断に委ねられる部分が大きいという点です。
クラウド型システムの利用が制限されているケースも少なくありませんが、総務省の発表等を踏まえ、クラウドでのみ実現可能な機能については、適切なリスクマネジメント態勢を整備することで導入は可能であると考えています。
加えて、金融機関特有の制約もあります。電子契約の締結にはメールアドレスが必要ですが、多くの信用金庫では職員個人のメールアドレスが付与されておらず、インターネット接続端末も限定されています。当金庫も同様の状況でした。しかし、本課題は運用設計により解決可能であることが分かりました。当金庫では、管理者用・作業者用・承認者用の3種類、”合計3つのグループメールアドレス”を新設し、アクセス可能な職員および端末を厳格に限定する運用体制を構築しました。各営業店にはユーザーアカウントを付与せず、本部でアップロードおよび起案作業を実施しています。ただしWAN-Signの機能を利用すれば自身の営業店が担当した書類のみを閲覧できるような体制も構築可能と判断しており、将来的には各営業店へのユーザー配布も検討しています」(山原氏)

短期間・少人数で電子契約の導入を実現できた理由

「当金庫では、『電子契約を導入すること』自体を目的としたのではなく、『お客様に多数の書類へ記名押印いただくことにより損なわれている利便性を改善したい』という思いを出発点としていました。この“お客様本位”の姿勢が大きかったと考えています。リスク低減を図りながら必ず実現するという方針が、理事長をはじめとする経営陣にも共有されていました。当金庫は不動産融資分野で先進的な取り組みを行ってきた経緯もあり、経営陣に『まずは挑戦してみよう』という文化があります。裁量を任せてもらえる環境があったことが、3名という少人数体制でも電子契約導入を進められた理由だと思います。
また、NXワンビシアーカイブズのサポートも大きな支えとなりました。電子契約に関する書籍も複数読みましたが、書籍のみでは理解が難しい点もありました。会議資料を作成する際には、『想定されるリスクとその低減策』など盛り込むべき論点について事前に質問し、回答を踏まえて理解を深めたうえで資料へ反映させる形で進めました」(山原氏)
「『立会人型と当事者型の違い』を上層部に説明するためには、担当者自身が十分に理解している必要があります。その理解を支えていただいたことが、結果として社内承認の迅速化にもつながったと感じています」(加茂氏)

「最終的には、『やり切る』という強い覚悟も必要でした。途中で止めるわけにはいかず、リリースまでは全力で取り組むという姿勢で臨みました。
そこまで注力できた理由として、まず融資金額が大きい案件では、電子契約により印紙代が不要となることが、お客様にとって明確なメリットになるという確信がありました。また、2027年3月末で手形貸付が廃止されることもあり、それまでに必ずリリースしたいという強い思いもありました」(山原氏)

「山原とは長年ともに業務に取り組んできましたが、本プロジェクトでは初めて本格的に意見を交わしました。それでも、『お客様のために必ずやり遂げる』という共通の思いと、『2025年10月の初回リリースに間に合わせる』という使命感が原動力となっていました」(加茂氏)

導入までの流れ

「2024年9月のFITで『WAN-Sign』を知り、同年12月頃から電子契約プロジェクトを本格始動しました。導入までのスケジュールは大きく3段階に分かれています。まず、2024年12月から2025年3月までは、紙から電子へ移行した場合の変更点を整理・理解するフェーズ。次に、2025年7月頃まで業務フローの再構築および規程類の制定・作成を進め、同年10月までの最終3カ月でリーガルチェックおよび最終確認を実施しました。結果として、約10カ月で導入を完了しました」(山原氏)

「『WAN-Sign』の導入・運用にあたり、既存システムでは対応できない部分が判明し、拡張・補完が必要となりました。システム課との要件定義や、書類の記載内容について『現場職員が理解しやすいか』『表現は適切か』といった観点で意見を出し合う作業に時間をかけました」(加茂氏)

「法的整備の面では、金庫内規程やお客様向け規定、お客様から徴求する書類など、すべてについて電子署名法および個人情報保護関連法令の要件を網羅する必要がありました。理事会や各種検討会議に提出した法的見解を含む会議資料は、最終的に30本以上に上りました。電子署名法の解釈を一から確認し、ゼロベースで規程を策定し、既存契約書の条文改定も行いました。弁護士2名およびコンプライアンス統括部長の確認を受けながら、表現の精度に留意し、リーガルチェックを重ねました」(山原氏)

「今回の取り組みを通じて強く感じたのは、電子契約の導入は『システム導入のみでは完結しない』という点です。『関連法令の理解』『金庫内規程の整備』『現場が迷わない業務フロー設計』という3要素がそろって初めて、実効性のある導入となります。この経験を基盤として、今後も金庫全体のデジタル化に貢献していきたいと考えています」(加茂氏)

導入後の効果

「全店での受付開始は2026年4月からのため、現時点では定量的効果の測定には至っていませんが、お客様が電子契約を行う場面では非常に好意的な反応をいただいています。特に『印紙代が不要になるのは助かる』という声が多く、効果を実感いただいています」(山原氏)

「すでに他の金融機関で電子契約を経験されているお客様からは、『電子契約に統一でき、書類管理が容易になった』との声もいただいています。新たな取り組みには一定の懸念が伴うものですが、現時点ではポジティブな反応が大勢を占めているという印象です」(山原氏)
「また、『WAN-Sign』はシステム設定の変更を当金庫側で完結できる点も大きなメリットです。お客様の声や運用上の気づきを迅速に設定や事務フローへ反映できるため、現場のスピードに即した改善が可能です。『ベンダーへ都度修正依頼を行い、対応を待つ』といった手間や時間的ロスが発生しない点は、運用担当として大きな利点だと感じています」(山原氏)

今後の展望

「まずは全店での電子契約運用を安定させつつ、対象書類および業務範囲の拡充を検討していきたいと考えています。
将来的には電子契約の割合を高め、各営業店の職員が必要な契約書類を随時参照できる環境を構築したいと考えています。現在、紙の契約書は保管部署へ出庫依頼を行い、1営業日後に支店へ届く運用ですが、電子契約であれば現時点でも支店から参照が可能です。各営業店の職員が利便性を実感することで、電子契約の利用拡大につなげていきたいと考えています。またWAN-Signには紙の契約書も一元管理できる機能が標準で備わっているため、書類の有無や、スキャン画像での内容確認も可能なため、WAN-Signでの統合管理も検討しています。」(山原氏)

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