不動産取引で電子契約解禁!民法改正による影響と併せて解説します


目次[非表示]

  1. 1.不動産取引に関連する近年の法改正状況
  2. 2.デジタル社会形成整備法第17条による不動産取引への影響
  3. 3.不動産取引電子化のメリット
    1. 3.1.業務効率化が出来る
    2. 3.2.印紙税がかからない
    3. 3.3.コンプライアンスが強化される
  4. 4.民法改正による不動産取引への影響
    1. 4.1.売買契約における瑕疵担保責任の廃止と契約不適合責任の導入
      1. 4.1.1.瑕疵担保責任
      2. 4.1.2.契約不適合責任
    2. 4.2.危険負担に関するルールの見直し
    3. 4.3.賃貸借契約に関するルール変更
  5. 5.改正民法下の不動産売買で売主が注意すべきポイント
    1. 5.1.免債事項は契約書に書き込んでおく
    2. 5.2.契約不適合責任を問われる期間を限る
    3. 5.3.不具合がある箇所はしっかり買主に告げる
    4. 5.4.建物の調査(インスペクション)を行う
    5. 5.5.瑕疵保険を利用する
    6. 5.6.心理的瑕疵や環境瑕疵は告知書に記載する
  6. 6.デジタル改革関連法施行に合わせて契約方法を見直そう



現行法では、不動産仲介会社(宅地建物取引業者)が仲介を行う不動産取引を行う場合、書面の交付(宅地建物取引士による記名押印が必要)が義務づけられています(宅地建物取引業法第37条)。

しかし、2021年5月12日に国会で成立したデジタル改革関連法により、この不動産取引のルールが変更されました。つまり、これまで紙のみでの書面契約だった不動産取引が、一気に電子化へと進む可能性が出てきたのです。
具体的には、デジタル改革関連法が施行される2021年9月1日から、オンラインで契約の締結・契約書の交付を完了できる電子契約が認められる見込みとなっています。

今回は、デジタル改革関連法成立による不動産取引への影響を中心に、不動産取引における電子化のメリットのほか、2020年4月の改正民法施行後、従来の不動産取引から変わった点について解説します。


>>不動産取引における電子契約にも最適な「WAN-Sign」について活用事例はこちら


不動産取引に関連する近年の法改正状況

近年の法改正で不動産取引に大きく関係があるのは、2021年5月12日に成立したデジタル改革関連法のうち、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(以下、デジタル社会形成整備法)と、2017年5月26日に成立し2020年4月1日に施行された改正民法の2つです。

デジタル社会形成整備法は、宅地建物取引業者が守るべきルールを定めた、宅地建物取引業法の改正についても定めています。その内容は、現在は書面での交付が義務づけられている、「重要事項説明書と契約書を電磁的方法で交付することを認める」というものです。法律が施行されれば、重要事項契約書の説明から書面交付、契約の締結・契約書の交付まで、すべてオンラインで手続きが完結できるようになり、不動産取引が大きく変わることになります。
一方、改正された改正民法では、1896年の民法制定以来、ほとんど変えられたことがなかった債権関係の規定が改正され、瑕疵担保責任の撤廃と契約不適合責任の導入など、大きな変化がありました。

不動産取引に影響する主な変更点についてまとめると、下記のとおりとなります。


<デジタル社会形成整備法第17条>
・不動産取引のオンライン化が可能になる


<改正民法>
・売買契約における瑕疵担保責任の廃止と契約不適合責任の導入
・危険負担に関するルールの見直し
・賃貸借契約に関するルール変更

次項から、さらに詳しく見ていきましょう。

デジタル社会形成整備法第17条による不動産取引への影響

デジタル社会形成整備法第17条では、宅地建物取引業法の一部を改正すると定めています。その内容は、不動産取引のルールについて、次の2つのことを変更するものです。

  • 重要事項説明書の交付方法
  • 契約書面の交付方法

これら2点が変更されると、不動産の売買・賃貸契約は、契約の締結から重要事項説明・重要事項説明書の交付や受け取り、そして契約書の作成まで、すべての手続きをオンラインで行うことが可能になります。
下記に、変更点について具体的にまとめました。


■現行の宅地建物取引業からの変更点


現行の宅地建物取引業法
デジタル社会形成整備法の施行後
重要事項説明書の
交付方法
宅地建物取引業者は取引の相手方に対し、契約が成立するまでのあいだに、宅地建物取引士に取引に関わる重要事項について書面を交付して説明させることが義務づけられています。
すでに、一定の条件を満たせばビデオチャット等の対面以外の方法で説明を行うことは認められていますが、重要事項説明書は必ず紙で交付しなくてはなりません。また、重要事項説明書には、宅地建物取引士の記名と押印も必要です。

(宅地建物取引業法 第35条)
取引の相手方の承諾を得た上でなら、重要事項説明書を電子文書として提供することができます。 また、重要事項説明書上の、宅地建物取引士の押印は不要になります。
契約書面の交付方法
宅地建物取引業者は、契約が成立したときは当該契約の各当事者に対し、契約の内容を記載した不動産取引契約書を交付しなければなりません。また、契約書には、宅地建物取引士の記名と押印が必要です。

(宅地建物取引業法 第37条)
取引当事者の承諾を得た上でなら、不動産契約書を電子文書として提供することができます。
また、契約書上に宅地建物取引士の押印は不要になります。


なお、これらの新ルールが適応されるデジタル社会形成整備法の施行日は2021年9月1日が予定されており、電子文書での提供が認められる詳しい条件については、別途政令・省令等で定められることになっています。


>>電子契約における契約書の文言とは?変更箇所や注意点を紹介


不動産取引電子化のメリット

不動産取引がオンラインで手続き可能になるメリットとしては、次のようなものが挙げられます。


業務効率化が出来る

電子契約の導入メリットは締結業務の簡素化と締結スピードが向上するによる業務効率化です。書面交付が必要な取引では例えば契約が必要になった際、執務室へ戻り、必要書類を用意した後に印刷・製本をかけ、返信用封筒とともに封書して投函を行うという作業が発生していました。そして相手先からの返信を待つのにまた数日必要になります。

電子契約であればやり取りをすべてインターネット上で行うことが出来ます。そのため面倒な製本や封書作業は省けるほか、契約書の郵送が必要なくなるためタイムリーな締結が可能になります。


印紙税がかからない

電子契約は印紙税法上の課税物件に当たらないため、収入印紙をつける必要がありません。そのため1契約で数万かかっていた印紙代が不要になるため、年間複数の契約を行っている企業は大幅なコスト削減が可能になります。


コンプライアンスが強化される

電子契約はインターネット上で締結を行うため、締結作業がどの段階にあるのか、どこで契約が止まっているのかなどの状況が一目でわかります。また締結が遅れている契約もサービスによってはリマインド通知が行われるため、締結漏れに不安はありません。

また締結後の契約書もクラウドで管理されるため、キャビネットなどの保管スペースが必要なくなり、インターネットに接続できるデバイスがあれば内容の確認も行えます。更新漏れの契約の発生を防ぐとともにサーバーで厳重に保管されるため紛失リスクも低減されます。


>>電子契約に関連する法律と要件を紹介


民法改正による不動産取引への影響

2020年4月施行の改正民法では、不動産取引に影響が及ぶものとして、「売買契約における瑕疵担保責任の廃止と契約不適合責任の導入」「危険負担に関するルールの見直し」「賃貸借契約に関するルール変更」の3つの変更がありました。これらの変更について、詳しく解説します。


売買契約における瑕疵担保責任の廃止と契約不適合責任の導入

3つの変更の中でも、最も不動産取引への影響が大きいのは、売買の「瑕疵担保責任」が廃止され、「契約不適合責任」が創設されたことです。土地や建物に問題があった場合の売主の責任が、拡大された形になりました。


瑕疵担保責任

従来の民法にあった瑕疵担保責任とは、売買の対象物に隠れた瑕疵があった場合、売主が買主に対して負う責任のことです。「瑕疵」というのは法律用語で、傷や欠陥、問題のことを指します。

土地や建物の売買契約の対象は、ほかに替えのきかない「特定物」です。不動産売買契約における売主の債務は、この特定物を引き渡すことにあります。通常の契約のルールでは、雨漏りしている家を引き渡しても債務を履行したことになり、売主が債務不履行責任を問われることはありません。しかし、それでは雨漏りの存在を知らずに代金を支払った買主とのあいだに不公平や軋轢などのトラブルが生じます。その解決のために、特別の責任として導入されたのが瑕疵担保責任です。

具体的には、売買の対象物に隠れた瑕疵がある場合、買主は売主に損害賠償請求ができ、契約の目的が達成できない場合は契約の解除ができるとされてきました。


契約不適合責任

瑕疵担保責任を廃止し、改正民法で新たに創設された契約不適合責任とは、引き渡された対象物が契約の内容に適合していない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。

具体的には、引き渡された対象物が契約の内容と適合しない場合、買主は売主に損害賠償請求ができ、契約の目的が達成できない場合は契約の解除ができることに加え、履行の追完を請求できます。履行を請求しても追完されない場合は、契約解除や代金減額請求をすることも可能です。

契約不適合責任は法律が定めた特別な責任ではなく、「債務者がその債務の本旨に沿った履行をしないとき、または債務の履行が不可能であるときは、債権者は債務者に損害賠償請求ができる」とする、債務不履行責任の一種になります。


■瑕疵担保責任と契約不適合責任の違い


瑕疵担保責任(民法改正前)
契約不適合責任(民法改正後)
責任の種類
法が定めた特別な責任
債務不履行責任
責任を問われる条件
引き渡された対象物に隠れた瑕疵がある場合
引き渡された対象物が契約の内容と適合しない場合
(瑕疵が隠れているかは関係ない)
対象
特定物に限る
特定物・不特定物を問わない
瑕疵/契約不適合のできた時期
原始的瑕疵に限る
契約履行時までに生じたものであれば対象となる
売主への損害賠償請求
できる
できる
契約の解除
契約の目的が達成できない場合のみできる
契約の目的が達成できない場合、履行の追完を求めたが売主が応じない場合にできる
目的物の修補などの追完請求
できない
できる
代金減額請求
できない
できる
買主が瑕疵/契約不適合があることを知っていた場合
追及できない
追及できる
買主が権利行使できる期間
買主が事実(瑕疵の存在)を知ってから1年以内
種類または品質に関する契約不適合を理由とする追完請求等は、買主が不適合を知ったときから1年以内に通知すれば良い。権利行使期間に定めはない


なお、契約不適合責任によって、従来と大きく変わった点は2つあります。
まず、瑕疵担保責任では「隠れた瑕疵があるか」が問題になるのに対し、契約不適合責任では「契約書に書かれていたかどうか」が問題になるという点です。

例えば、「買った家で雨漏りがする」という案件で買主が売主に責任を追及する場合、瑕疵担保責任を追及するには、買主は「雨漏りは隠れた瑕疵であった」ことを自身で証明する必要がありました。しかし、改正民法では「契約書には雨漏りがするとの不具合は書かれていない」なら、買主は売主の契約不適合責任を追及できるのです。

もうひとつは、契約不適合責任になったことで、売主の責任を追及するために買主がとれる手段が増えたことです。改正民法では、買主には次の5つの権利が認められています。


■買主に認められた5つの権利

追完請求
-民法562条
契約不適合な対象物が提供された場合、買主は売主に対し、代わりの対象物の提供や修理を行って契約内容に合った状態にするよう求めることができます。
雨漏りがする物件を提供された場合、「雨漏りを直して」と言えるわけです。
契約解除(無催告)
-民法542条
契約不適合で契約の内容が達成できない場合は、無催告で契約を解除することができます。
損害賠償請求
-民法415条
売主の責に帰すべき事由で契約不適合な対象物が提供された場合は、買主は損害賠償請求をすることができます。
代金減額請求
-民法563条1項、2項
追完請求をしても売主が修補しないとき、または修補が不可能なときは、買主は代金減額請求をすることができます。
契約解除(要催告)
-民法564条
売主が追完請求に応じない場合は、買主は催告をした上で契約を解除することができます。


危険負担に関するルールの見直し

危険負担とは、双務契約(双方が債務を負う契約)において、債務者の責任ではない事情で、一方の債務が履行不能になったとき、もう一方の債務をどちらが負担するのかという問題のことを指します。
例えば、不動産売買契約では、買主は「代金の支払い」という債務を、売主は「不動産の引き渡し」という債務を負っています。この取引の対象となっている家が、第三者による放火によって全焼してしまい、家を引き渡すことはできなくなってしまいました。このとき、売主は不動産の引き渡しという債務を果たせません。しかし、買主の「代金の支払い」という債務は残るわけです。この場合、買主は代金を払わなくてはいけないのか、売主は代金を支払うよう請求できるのかといったことについて定めたものが、危険負担に関するルールです。

改正前民法の危険負担に関するルールは、「債権者主義」という考え方で、片方の債務が履行不能で消滅しても、もう片方の債務は消滅しません。上記の例の場合では、買主は家が手に入らなくても代金を払わなくてはいけないとされていました。ただ、これではあまりに買主に酷なので、実務では、契約において便宜上「危険が移転するのは物件を引き渡したとき」などと定めることで、引き渡し前に物件が焼失したような場合に、買主は代金を支払わないで済むような運用がなされてきました。ここでいう危険とは、目的物の滅失から生じる責任のことを指します。

この実態に合わせる形で、改正民法では債権者主義を廃止。「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる」と定められました。
つまり、物件が放火によって焼失した場合、買主の代金支払債務はなくなるわけではないけれど、代金の支払いは拒むことができるとされたわけです。
さらに改正民法では、法律による定めがないため、従来争いがあった「いつの時点で危険が移転するのか」を明文化し、「危険の移転は物件の引き渡し時である」と定められました。

先のルールと併せてまとめると、取引の対象となっている家が第三者の放火により焼失した場合、次のようになります。


■改正民法で明文化された危険負担のルール(例:第三者の放火により対象物が焼失)

焼失時期
危険負担
契約成立後、引き渡し前
買主は代金の支払いを拒むことができる
引き渡し後
買主は代金の支払いを拒めない


賃貸借契約に関するルール変更

改正民法では、賃貸借契約に関するルールも、旧民法でははっきりしていなかったことを明文化する形で変更されました。主な改正事項は下記のとおりです。


<契約時に関するもの>

  • 借地借家法が適用されない賃貸借契約の期間が最大20年から50年へ延長
    太陽光パネルの設置敷地や駐車場など、借地借家法の適用外の土地についても長期間の賃貸借契約が可能になりました。

  • 上限額の定めのない個人の根保証契約は無効になった
    個人が連帯保証人となる場合、支払責任を負う上限額を定めなければ保証契約が無効となる旨が明記されました。

  • 借主が賃貸物を返還する義務が明確になった
    改正前民法では明示されていなかった、契約終了時に借主が賃貸物を返還する義務が明記されました。


<入居中に関するもの>

  • 貸主の修繕義務が見直しされ、借主の修繕権が新設された
    借主の責任によって修繕が必要になった場合、貸主は修繕義務を負わないことになりました。また、修繕の必要性を貸主に通知しているにもかかわらず、貸主が修繕してくれない場合や緊急の場合は、借主は自分で修繕でき、その費用を貸主に請求できることが定められました。

  • 賃貸物が一部破損された場合のルール
    台風によって屋根がはがれた場合など、賃貸物の一部が破損したときは、賃料が減額されることが定められました。さらに、破損した残りの部分だけでは住むことができない(契約の目的を達成できない)ほど破損した場合も、借主は契約解除ができるようになりました。

  • 賃借人の承諾がなくても賃貸不動産の譲渡が可能になった
    賃借人の承諾がなくても、物件の売主と買主の合意のみで賃借人の地位(契約上の立場)も買主に移転することになりました。


<契約時に関するもの>

  • 借地借家法が適用されない賃貸借契約の期間が最大20年から50年へ延長
    太陽光パネルの設置敷地や駐車場など、借地借家法の適用外の土地についても長期間の賃貸借契約が可能になりました。

  • 上限額の定めのない個人の根保証契約は無効になった
    個人が連帯保証人となる場合、支払責任を負う上限額を定めなければ保証契約が無効となる旨が明記されました。

  • 借主が賃貸物を返還する義務が明確になった
    改正前民法では明示されていなかった、契約終了時に借主が賃貸物を返還する義務が明記されました。


<契約終了に関するもの>

  • 賃借人の原状回復義務および収去義務等が明確化
    賃借人は、通常の経年による損耗と賃借人に帰責性のない損傷を除いて、契約終了時に賃貸物を元の状態に戻す義務を負うことが明文化されました。

  • 敷金の定義と返還ルールが明確化
    旧民法では明確な規定がなかった敷金が、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」と定義されました。借主の賃料滞納などがあった場合にその弁済にあてたり、契約終了後の明け渡しによる修繕費として使用したりすることが明確化したのです。
    また、貸主は、賃貸借契約が終了して賃貸物の返還を受けた場合か、借主が賃借権を譲渡した場合は、敷金から未払い分の賃料を差し引いた残金を、借主に返還しなければならないと定められました。


>>電子契約関連の法律まとめ


改正民法下の不動産売買で売主が注意すべきポイント

改正民法により、不動産取引に影響する3つの変更点を踏まえ、改正民法下の不動産売買取引で売主が注意すべきポイントを確認しておきましょう。


免債事項は契約書に書き込んでおく

契約不適合責任がそのまま適用されると、売主は、最大10年間は買主から何らかの請求を受ける可能性があります。しかし、不動産業者以外が売主となる場合、契約不適合責任は任意規定です。契約書に「◯◯については責任を負わない」との記述があればそちらが優先されるので、売主が責任を負う範囲はどこまでなのか、はっきりと契約書に記載しておくことが大切です。

従来の瑕疵担保責任の場合は、「瑕疵担保責任は全部免責とする」という便利な書き方があり、築年数が相当古い物件の売買などでは珍しくありませんでした。しかし、債務不履行責任の一種である契約不適合責任には、「全部免責」という書き方はなじみません。「耐震基準を満たしていないことについて、売主は一切の責任を負わない」など、免責したい事項は一つひとつ記載していく必要があります。

特に、中古住宅の設備などは、免責事項について何も定めないとトラブルになりがちです。給湯器や床暖房など、設備の状態についてはしっかり調べ、わかっている不具合は買主に告知した上で、買主の同意を得て契約不適合責任を全部免責にしておくことをおすすめします。


契約不適合責任を問われる期間を限る

民法の条文上は、 買主は不適合を知ったときから1年以内に売主にその旨を通知すれば、消滅時効(権利が一定期間行使されない場合に、権利を消滅させる制度)が成立するまで、いつでも売主に契約不適合責任にもとづく追完請求などをすることができるとしています。
これは、あまりに期間が長いので、実務では売買契約書で契約不適合責任の通知期間を定めるのが一般的です。従来の瑕疵担保責任では、「引き渡し後3ヵ月」とされることが多かったので、これがひとつの目安になります。
なお、売主が不動産会社の場合は、宅建業法の規定により、期間を引き渡し後2年未満に設定することはできません。


不具合がある箇所はしっかり買主に告げる

契約不適合責任を負わない旨の特約を結んだ場合でも、売主が設備等に不具合があることを知りながら買主に告げなかった場合は、免責されません。
不具合がある場合は、隠さず正直に買主に伝えることが大切です。具体的には、設備の状態を一覧で示した「付帯設備表」を作成して、買主に渡すことになります。


建物の調査(インスペクション)を行う

トラブルを避けるため、買主に物件の状態を正しく伝えるには、まず物件の状態を把握することが必要です。そのためには、専門家による調査「インスペクション」が非常に有効です。
建物の劣化状況や問題がある設備を正確に把握することは、スムーズな売却につながります。


瑕疵保険を利用する

瑕疵保険とは、売却後に物件に不具合が発見された場合、その補修や調査にかかる費用を補償してくれる保険です。 インスペクションを実施していること、耐震基準を満たしていることが加入条件にはなりますが、入っておけば追完請求が来ても安心です。


心理的瑕疵や環境瑕疵は告知書に記載する

物件の不具合は、物理的なものだけではありません。過去に殺人事件があった、近隣からの騒音がひどい、陽光がほとんど入らないなどの心理的・環境的な瑕疵も不具合にあたります。これを黙っていれば、契約不適合責任を追及される原因となります。これらについても告知書に記載することで、買主に伝えることが大切です。


>>電子契約で紙はなくなる?書面契約との上手な管理


デジタル改革関連法施行に合わせて契約方法を見直そう

法改正があると、契約書の形式や契約上注意すべき点は変わっていきます。
特に、今後はデジタル改革関連法が施行され、電子契約での不動産取引が始まれば、不動産取引の世界は大きく変わることになります。

民法改正では、従来のルールが明確化されたり、解釈が変更されたりしました。これらは、契約書の内容を見直すことで対応が可能でしょう。しかし、電子契約については、従来のやり方から変更することになるため、不動産会社にとっては対応が困難な場合も想定されます。
まずは、電子契約が難しいものと思い込まず、電子契約サービスを提供する会社に問い合わせてみることから始めてみませんか。

ワンビシアーカイブズが提供する電子契約サービス「WAN-Sign」は、既存の紙文書と電子文書を一元管理できる優れた特長を持っています。
従来のやり方を保持しながら、新しい方法へと移行するのに最適なシステムを構築していますので、お気軽にご相談ください。


人気記事ランキング

タグ一覧

ページトップへ戻る