大手金融グループのネット銀行 様
導入事例

追加費用なしで使える機能の豊富さやセキュリティ面で導入を決定。複雑なフローを電子化し効率化とリモートワーク推進を実現!

企業概要

銀行業

要約
  • 社内文書のペーパーレス化でリモートワーク推進と生産性向上を両立
  • 銀行の事業継続・業務維持に不可欠な電子契約ソリューション

導入前の契約業務

年間150~200件の契約があり、紙の書類であるため、当然ながら印刷、ファイリング等の手間がかかっていた。また、それらのすべてに印紙を貼付しているわけではないが、印紙代もかなりの額に上るため、これも解決すべき課題として認識していた。

契約書の作成に至る主な業務フローは、反社会的勢力ではないこと等に関するチェック→リーガルチェック(Word等)→会議体での決議又は決裁→印刷→製本→捺印申請→捺印→郵送であるが、その後も契約書を管理するためスキャン→原本ファイリング→スキャンしたもののデータベースとの紐付けという作業を行っていた。

上記フローの中では、取引先と締結する契約書(社外文書)だけでなく、捺印申請書や決裁書、反社会的勢力ではないこと等に関するチェックの申請書等の社内文書も紙媒体に依っていたが、それらにもWAN-Signを「転用」し、業務フローの大半をペーパーレス化することで、業務効率化とテレワーク時でも業務が遅滞しないことを目指した。このことにより、上記フローでは少なくとも3種類の紙の書類が発生していたが、電子契約サービス「WAN-Sign」を利用する場合には、紙の書類が発生しなくなったので管理しやすくなった(なお、Word等の電磁的媒体として作成した契約書をいったん紙に印刷して製本し、それをまた電磁的媒体にする(PDFにスキャンする)というプロセスに特に無駄を感じていた)。

【契約書の作成フロー図】

WAN-Sign利用方法

当社ではWAN-Signを単なる契約締結ツールではなく、「紙の文書への捺印という手続きを代替することができるツール」と捉えている。
したがって、幅広い社内手続きにWAN-Signを有効活用している。上記で契約締結フローについて紹介したが、それ以外では、当社では、取締役会に関して「書面決議」(会社法第370条)の手続きを執ることがあり、当初はこの書面決議にWAN-Signを活用していた。その後、法務省の見解が出たこともあり、現在では取締役会議事録への署名にもWAN-Signを利用している。これらの文書の持ち回りが不要になることで、リモートワークの推進と取締役会事務局の負担の軽減に大きく寄与している。

決裁書や捺印申請書には、早い段階で電子運用を適用できた。社内では日増しにWAN-Signに対する理解が進み、多くの申請書類を所管する経理・財務等の部門からも利用(転用)希望が出てきた。現在では、様々な部署が所管する手続きにWAN-Signが転用されており、月間150件程度のWAN-Signの利用のうち9割程度は社内文書である。

今や、ペーパーレスによる業務効率化を通して、コロナ禍におけるリモートワークにおいても業務を遅滞させないという観点から、電子契約サービスは欠かせないソリューションだと考えている。

選んだ理由

もともと法務部門内では、2019年夏ごろから電子契約サービスの検討を開始していた。最初は、知名度の高いサービスを対象に情報収集を始めた。なお、WAN-Signを詳しく知るきっかけとなったのは金融機関向けのセミナー聴講であった。製品選定にあたっては、実印版と認印版に相当する使い分けができないと将来性がない、契約相手方のアカウント取得が必須なサービスは相手方の理解が得られにくい等の法的・実務的な観点から、複数の電子契約サービスをプロットし、絞り込みを進めていった。

海外でのシェアが高い製品であっても、電子帳簿保存法に対応していないものは検討対象に残らなかった。また、基本料金が安くても、実はオプションが高いサービスもある。①IPアドレス制限、②外部文書の取り込み、③フォルダの閲覧制限機能、④固定ワークフローは、導入の必須要件だと考えているが、これらをオプション機能として追加料金を取るサービスだと費用が想像以上に膨らむと知った。WAN-Signであれば、追加料金が発生することなく、これらがすべて標準装備なのでコストパフォーマンスが大変良い。
WAN-Signについては、ユーザー権限設定について豊富なパターンがあらかじめ用意されている点も評価した。パターンが2~3種類しか用意されていないサービスでは物足りないところがあると考えた。最上位権限でない管理職等に適したパターンから選べるよう、少なくとも4~5つ以上の権限設定が用意されていることが好ましく、WAN-Signはそれ以上で充実している。
社内文書のペーパーレス化により、リモートワークを推進する上で特に重視したのは、ワークフロー機能が標準搭載されている点である。WAN-Signには、この機能が最初から実装されており、コメント欄(送信者が承認者へ向けたコメントを入力できる欄)への入力も可能であることから、社内文書に転用しやすい。

また、セキュリティの観点で注目したのが、IPアドレス制限と、NXワンビシアーカイブズは日本国内にデータセンターを構えているということだった。特に後者につき、クラウドサービスは、データの保管場所が海外である場合、何か不測の事態が起きても即座に現地を訪れるわけにもいかず、長期間にわたり重要な記録データを預けておくのにふさわしいか不安になる。WAN-Signであれば、実地での監査対応も可能なため安心だった。

導入プロセス

前述のとおり、2019年夏ごろから電子契約サービスの検討を開始していたが、社内で導入の機運が一気に高まったのは新型コロナウィルスの感染拡大がきっかけである。
社内外でテレワーク導入の必要性が意識され始めた2020年3月に、電子契約サービスの導入について経営陣に説明を行ったところ、即座にゴーサインが出た。リモートワークを推進することが、コロナ禍で業務を維持・継続する上で喫緊の課題であり、そのためには電子契約サービスの導入が有用であるとの判断があった。なお、その時点では「電子契約」はそこまで社会的に浸透していなかったことから、電子契約サービスの利用範囲が「電子契約」だけでは導入効果が制限されると考え、法務部門では、当初から社内手続きに「転用」することを視野に入れていた。その方が経営陣の理解も得られやすかった。
その後、手始めに電子契約の締結及び法務部門が所管する社内手続き(決裁書、捺印申請書)をWAN-Signによる手続きの対象とするとともに、全社展開を進めていく中心部門として立ち回った。
法務部門は、ペーパーレス化への強い思いから、社内の各部がスムーズに利用開始するための準備と、電子化後の運用を定着させるための支援をきめ細かく行った。各部の担当者向けに説明会を実施し、電子契約サービスの仕組みや、法務部門が考案した転用時の運用ルールについて分かりやすく解説した。

各部では、最初は、電子契約を使いこなすのは難しいという先入観もあったようだが、時間の経過とともに不安感が取り払われてきた。文書のテンプレートを事前に整備しておけば、安定的な社内利用が進むようになる。なお、当社では、従来の紙の書類のフォーマットを概ねそのままWAN-Signに載せるイメージ(すなわち、紙がPDFファイルになり、ハンコを押す代わりにWAN-Sign上で電子サインするイメージ)で移行したため、署名者にとっては、新たなワークフローシステムを導入するより直感的に分かりやすい部分があったのではないかと思う。
経理や業務などの各部門においても、手順書を自主的に作成するなど、率先してWAN-Signを活用する動きが見られた。WAN-SignユーザーのIDメンテナンス等は、法務部門で集約管理しているが、いずれは各部の担当者に役割を移管していきたいと考えている。

利用後の感想、印象、これからの活用予定

マニュアル類も充実しているが、直感的に操作できるのが嬉しい。ブラウザ種類の影響で画面表示が大きく崩れることもなく、検索・閲覧がしやすいデザインである。承認者や署名者に向けて、必須と任意のコメントを使い分けられたり、入力欄にはガイドを指定できるのも良い。

当社では様々な部署が所管する様々な文書にWAN-Signを活用しているので、適宜フォルダ分けしながら利用している。CSVファイルでユーザー権限を一括変更できる点も便利で、管理者の負荷も抑えられる。

外部組織と締結する契約の場合は、社内文書に比べて運用自体はシンプルであるため、様々な取引先との電子契約利用が徐々に進んでいる。また、署名者を1人だけとする運用も可能なことから、複数の当事者で捺印する一般的な契約以外に、請求書、見積書、発注書、発注請書などへの利用も進めている。

他の金融機関との間で締結する契約は、今のところ秘密保持契約等の定型的な文書にとどまっているが、印紙税節減の観点から電子化のメリットが大きいものもあるので、今後の増加が期待される。

今後の活用予定とWAN-Signに期待すること

リモートワークの拡大により、場所を問わない安定的な業務維持を実現し続けるため、契約事務や社内事務の電子運用は銀行業界においても重要なテーマであり、どのような環境下にあってもコア事業を遂行し続けることが金融機関の責務だと考えている。

そのため、間接業務を無理なく効率化していく仕組みを飽くことなく模索し続けたい。事務的な申請だけのために出社する無駄をなくし、生産性向上に寄与する活動を優先して欲しい。決裁権限を持つ者は、重要な業務に充てるための時間を確保してほしい。そのための工夫を積み重ねていきたい。

WAN-Signは、顧客が発する創意工夫のアイデアを迅速に取り入れ、頻繁な機能アップデートを行う点も評価に値する。今後も、ユーザーからの声を反映した利便性、セキュリティを高める定期的なバージョンアップを期待している。

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